令和7年 第三回定例会 区長所信表明
ページ番号:695-079-297
更新日:2025年9月5日
はじめに
所信表明の様子
令和7年第三回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。
被災者へのお見舞い
8月6日から各地を襲った大雨により、犠牲となられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興を心から願っています。
大雨災害の危険性
1時間80mm以上の大雨は、1980年頃と比較して、2倍程度に増加しています。
東京に線状降水帯発生予測情報が出された7月10日、練馬区の雨量はレーダー解析で1時間約110mmとなりました。気象庁は記録的短時間大雨情報を発表し、河川の氾濫はなかったものの、内水氾濫による浸水被害が発生しました。
気候変動の影響により集中豪雨が頻発し、台風による風水害も激甚化しています。引き続き、区民の皆様には、発災時に生命・財産を守るための行動が取れるよう、気象情報に注意する習慣の徹底、ハザードマップ・避難所の確認、防災用品の備蓄などの再確認をお願いいたします。
補正予算案の編成
次に、補正予算案の編成についてです。
物価上昇の影響を緩和するため、都が実施する教育・子育て施設や介護・障害者児サービス事業所に対する光熱費等補助に、区独自に食材料費・消耗品費等にかかる支援を加えます。大江戸線延伸推進基金を更に15億円積み増すとともに、延伸地域のまちづくりに要する経費を計上し、早期実現に向けた取組を加速します。その他、保育料の第一子無償化に伴う対応、景気対策工事・物品購入など区内中小企業への支援をはじめ、新規・充実事業に要する経費等について、補正予算案の編成作業を進めています。近くご提案する予定です。
子育て・教育施策
次に、子育て・教育施策についてです。
練馬こども園の追加認定
これまで全国トップクラスの保育定員増を実現し、5年連続で待機児童ゼロを達成しました。
平成27年度に創設した区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」を実施している私立幼稚園は、現在38園中30園に上っています。今月中に、実施園のうち1園で3歳未満児の預かり保育を行う低年齢型を追加認定します。
ベビーシッター利用支援事業の充実
ベビーシッター利用支援事業について、来月から障害児やひとり親家庭の子ども一人あたりの利用上限時間を年144時間から288時間に拡充します。あわせて、障害児の対象年齢を、「就学前まで」から「小学6年生まで」に拡大します。
教師の服務規律の確保
本年7月、文部科学省から教師の服務規律の確保に関する通知がありました。性暴力防止に向けた従来の取組を改めて徹底すること、特に盗撮防止に向けた具体的な対策を徹底することが求められており、各学校に速やかに周知しました。
区では、「練馬区児童生徒への性暴力等防止特別対策委員会」から頂いた提言に基づき、昨年10月に対策方針を策定し、既に具体的な取組を進めています。区独自の「人権を基盤にした教育・研修等プログラム」により、全ての区立学校・幼稚園において、全教職員、児童生徒を対象に研修等を実施しています。
盗撮防止の取組では、教室やトイレ、更衣室等の定期的な点検を行い、カメラ等を設置できない環境を作るほか、教職員による密室での一対一の指導の原則禁止、私物のスマートフォンやカメラ等の教室への持ち込みと教育活動への利用の禁止等を改めて徹底しています。
児童生徒の人権が大切にされ、安心安全に過ごすことができるよう、取組の効果を毎年検証し、改善を重ねていきます。
高齢者の在宅介護負担軽減モデル事業
高齢者の在宅介護における夜間時間帯の負担を軽減するため、7月からモデル事業を実施しています。
介護事業者団体等と協定を締結して、特別養護老人ホームなどの入所施設で近年活用が進んでいる睡眠時の寝返りや呼吸・心拍などが把握できるベッドセンサーを在宅介護の現場に導入し、有効性の検証を行います。
福祉・健康施策
次に、福祉・健康施策についてです。
重度障害者のための生活介護事業所を誘致
どんなに障害が重くても、住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、重度障害者やその家族への支援を充実します。
移転を予定している関町福祉園の用地に生活介護事業所を誘致します。現在の関町福祉園より利用定員を拡大するとともに、新たに医療的ケアが必要な重度障害者通所事業などを開始します。今月、整備運営事業者の公募を開始し、12月に決定します。13年度開設を予定しています。
重度障害児者の在宅レスパイト事業を充実
医療的ケアが必要な重度障害児者の在宅レスパイト事業では、利用上限時間を4月に年144時間から288時間に拡充しました。来月からは、大泉町2丁目の放課後等デイサービスを活用して、新たに居宅外での預かりを開始します。
こどもの体験格差を解消するための学習クーポン事業を開始
平成29年度にひとり親家庭自立応援プロジェクトに着手し、転宅費用の助成や訪問型学習支援など、23区で最多の取組を実施しています。来月から、学習の機会を確保するため、主要5科目の学習塾などに利用できるクーポン方式の助成事業を開始します。
ひとり親家庭等を支援する「いきいきコスメプロジェクトねりま」を開始
新製品の開発等に伴い、使用できる化粧品等の相当量が廃棄されています。この問題に取り組んでいる民間団体と都内で初めて連携協定を締結し、「いきいきコスメプロジェクトねりま」を開始しました。ひとり親家庭や生活困窮、DV・児童虐待により居場所がないなど困難な問題を抱える女性等に、化粧品等を詰め合わせたコスメセット2,000個の無償配布を行っています。
ひとり親家庭等がいきいきとした生活を送れるよう支援するとともに、これを契機に相談支援に繋げ、就労等の社会参加や自立を促進していきます。
新型コロナ、インフルエンザのワクチン接種開始
来月から、新型コロナウイルス、小児インフルエンザの予防接種事業を開始します。
新型コロナウイルスワクチンは、65歳以上の高齢者などを対象に定期接種を行います。国の助成が廃止されましたが、昨年度同様の自己負担額となるよう、費用を助成します。
小児インフルエンザワクチンは、任意接種で全額自己負担となっていますが、子育て世帯の負担を軽減するため、生後6か月から12歳までの方を対象に昨年度同様に費用の助成を行います。今年度から点鼻ワクチンも助成対象とします。
防災、まちづくり施策
次に、防災、まちづくり施策についてです。
感震ブレーカーの購入費補助を区内全域の木造住宅で開始
地域の初期消火力、出火防止対策の強化に取り組んでいます。
密集事業実施地区と防災まちづくり推進地区で、昨年度、消火用スタンドパイプを区立施設やコンビニなど12か所に設置しましたが、年内に更に5か所増設します。
また、両地区の木造住宅、区内全域の避難行動要支援者の住まいに対し、感震ブレーカーの無償貸与、取付け支援を実施しています。昨年度は当初予定数の約2倍1,117件の設置が完了し、今年度も既に目標を上回る申請を受け付けています。来月から都の補助事業を活用し、新たに購入費補助を区内全域の木造住宅を対象に開始する予定です。
大江戸線延伸の促進
大江戸線の延伸については、都からの報告を受け、財政負担のあり方や協力する鉄道施設整備の内容について、都と具体的な協議を進めています。
事業化に際しては、延伸後のまちの姿を明確に示すことが求められています。これまで取り組んできた延伸地域のまちづくりに、駅前空間の整備内容を加えた新たな計画を策定します。
「(仮称)大泉町駅」予定地周辺では、8月にまちづくり協議会を設立し、駅周辺の将来像を検討しています。大泉学園町8丁目付近で整備が進められている補助233号線の沿道地区では、今月、地区計画原案説明会を開催し、年度内の都市計画決定に向けて手続きを進めます。
西武新宿線連続立体交差化と沿線のまちづくり
西武新宿線の連続立体交差事業は関係自治体等との連携のもと、着実に進捗しており、現在、用地取得に向けた個別物件の調査を実施しています。
連続立体交差事業にあわせて、駅周辺のまちづくりを推進しており、上石神井北西地区で昨年9月に設立された再開発準備組合が事業区域の設定や建築計画の検討を行っています。区は引き続き、組合の活動を支援していきます。武蔵関駅周辺の地区計画については、先月、素案説明会を開催しました。来年度早期の都市計画決定を目指します。上井草駅周辺では、引き続き地域の方々と地区計画の検討を行います。
鉄道と交差する都市計画道路は、外環の2や補助230号線の用地取得を進めています。新たに補助135号線で年内の事業認可取得を予定しています。
全国都市農業フェスティバル2025の開催
11月15・16日の全国都市農業フェスティバル2025まで、2か月半となりました。前回を上回る32自治体が参加し、都市農業の魅力と可能性を全国に発信していきます。「買う」「食べる」「体験する」「話す・学ぶ」をテーマに、都市農業の魅力を存分に感じられる様々なイベントなどを行います。
マルシェでは、参加自治体特産の農産物や加工品などを販売するブースとキッチンカーが出店します。更に、京野菜の収穫や花の寄せ植えなどの体験ブースを設けます。光が丘体育館では、区や参加自治体の農業者によるトークライブを行い、来月から入場者の募集を開始します。
また、参加自治体の農業者・JA職員・行政担当者が都市農業の知見や経験等について、意見交換を行います。
開催直前には、商店会の店舗や区内全駅等でのポスター掲出、大江戸線練馬駅・光が丘駅でのホームドアステッカーの掲出、池袋駅構内や西武線と大江戸線の車内、区役所と光が丘IMAでのPR動画の放映などを行い、機運を醸成します。
参加自治体や区内農業者、JA東京あおばと連携し、区民の皆様、区議会の皆様のご協力を頂きながら、フェスティバルの成功に向けて全力で取り組んでいきます。
文化・スポーツ施策
次に、文化・スポーツ施策についてです。
美術館・貫井図書館の再整備
美術館・貫井図書館の再整備については、コンストラクションマネジメントを実施しています。その一環として行った建設業界へのヒアリング調査等では、施工が容易で、かつ利益率が高い事務所やマンションなどを優先的に受注する傾向がこれまで以上に強まっていることが示されました。区が予定している工期では事業者確保の見通しが立たず、本体工事契約の不調リスクが極めて高いとされています。これを受け、来年度の着工は見送ることとしました。
区民の皆様とともに作り上げてきた美術館・貫井図書館の再整備計画は、区民生活をより豊かにする上で欠かせないものであり、その方針に変更はありません。実現に向け、引き続き建設市場の動向を注視しながら、適切に判断してまいります。
なお、関連する経費は現在編成を進めている補正予算案として提案する予定です。
ねりま秋のスポーツフェスの開催
10月から11月にかけて、「ねりま秋のスポーツフェス」を開催します。各地域の体育館やプールで、様々なスポーツが体験できる「スポーツの日記念行事」、練馬まつりと同じ日に練馬総合運動場公園で開催する「ねりまスポーツひろば」、障害のある方もない方も一緒にスポーツを楽しめる「ねりすぽフェスティバル」で構成します。
11月15日から東京2025デフリンピックが開催されます。機運を醸成するため、「ねりまスポーツひろば」及び「ねりすぽフェスティバル」において、練馬区ゆかりの選手によるトークショーやデフスポーツの体験会などを実施します。
昨年のパリオリンピック・パラリンピックに続き、練馬区ゆかりの選手の活躍を心から期待しています。
おわりに
区政を取り巻く政治経済情勢
関税措置に関する日米協議は合意に至りましたが、輸出関連を中心に経済へのマイナスの影響は避けられません。ウクライナ・中東情勢も未だ先を見通すことができません。私たちは今、先行きが不透明で、不確実な状況に置かれているのです。
7月の参議院議員選挙の結果、政権は衆参両院で過半数を得ることができず少数与党となりました。今後、国政がどのような方向に進んでいくのか、未だ予断を許さない局面が続いています。
区政運営への決意
日本は嘗てない国家的危機の最中にあります。必要な事は、少子化が続くなかで、経済と国家財政を立て直し、国際社会の競争に打ち勝つ成長戦略を確立すること、社会保障制度を持続可能なものとして、希望の持てる将来像を示すことです。いずれも、中長期的な視点で取り組むべき構造的な課題です。しかし昨今、財源無しの消費税減税や給付金の支給など、目先のバラマキ論が横行し、排外主義に繋がりかねない主張まで見られます。ポピュリズムそのものであり、日本の行く末に強い危惧の念を抱いています。
行政は目先の人気取りであってはならない。バラマキに走ってはならない。後世の歴史の審判に堪えられる政策をこそ実現しなくてはならない。これを信条として、生涯をかけて、住民全体の奉仕者、公務員であることを誇りに仕事をしてきました。
区長に就任して11年、この間、多くの行政分野で、全国自治体を先導する多数の政策、「練馬区モデル」を実現してきました。
区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」の創設、新型コロナワクチン接種の練馬区モデル、東京都練馬児童相談所の設置をはじめ、ねりま羽ばたく若者応援プロジェクト、医療的ケアにも対応した重度障害者の地域生活支援拠点の整備、困難な問題を抱える女性への支援の強化にも取り組んでいます。練馬区の福祉医療サービスは飛躍的に充実しました。
今後は、実現に向けて大きく前進した大江戸線の延伸を基軸として、福祉医療サービスを更に充実し、文化・スポーツ・みどりなど、区民生活をより豊かにする施策を組み合わせ、一体で取り組んでいく。「改革ねりま第Ⅲ章」の実現に向けた私の決意です。
区議会の皆様、区民の皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。
なお、本定例会には、「令和6年度練馬区一般会計歳入歳出決算」など、20件の議案を提出しています。宜しくご審議のほど、お願いいたします。
以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
お問い合わせ
区長室 秘書課 秘書担当係
組織詳細へ
電話:03-3993-1111(代表)
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