平成29年9月 第三回定例会 区長所信表明
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更新日:2017年9月7日
はじめに
前川区長所信表明の様子
平成29年第三回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。
7月に発生した「九州北部豪雨」により、犠牲となられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
練馬区が板橋区から分離独立して70周年を迎えた先月1日、「練馬区独立70周年記念式典」を、区議会並びに記念事業区民実行委員会と共に、開催いたしました。東京都知事、板橋区長・区議会議長、友好都市上田市長並びに国際交流都市の北京市海淀区長をはじめ、多くのご来賓にご出席を賜りました。また、会場を埋め尽くす多数の区民の皆様を目の当たりにして、練馬区への愛着と誇りを、改めて実感したところであります。
練馬区文化振興協会の大谷康子理事長のバイオリンソロと、NHK交響楽団の弦楽メンバーによる記念コンサートでは、大谷さんの親しみやすいトークと、会場を移動しながらの演奏で、音楽の楽しさを心ゆくまで堪能して頂きました。観客と演奏者が一体となって、独立を祝う喜びを肌で感じて頂いたものと思います。
当日の夜、練馬総合運動場で記念事業の一環として、「花火フェスタ」を実施しました。開始時刻にあわせるように、それまでの強い雨がやみ、待ちかねていた区民の皆様が詰めかけました。70年にわたる流行歌の流れに沿って、大掛かりで工夫を凝らした仕掛け花火が繰り広げられ、拍手喝采を浴びていました。記念コンサートと花火、夏の練馬の新しい文化の可能性を示すことができたものと考えています。
私は、練馬区発展の礎を築いた先人たちの渾身の努力によって、練馬区の今日があることに心から感謝しつつ、更なる発展を目指して、区議会の皆様、区民の皆様と手を携えて、全力を尽くしてまいります。
子育て支援と児童虐待対策の充実
次に、子育て支援と児童虐待対策の充実についてです。
中学校入学準備費の入学前支給
まず、中学校入学準備費の入学前支給についてです。
区では、準要保護世帯に対し、中学校の入学準備費を入学後の8月上旬に支給しておりますが、保護者の皆様から、制服や体操着など、一時的に出費が重なり、負担が大きいとの声が寄せられていました。今年度から、支給時期を入学前の3月に前倒しすることとし、本定例会において、所要の経費を補正予算として提案する予定です。
児童虐待・育児の孤立化対策の充実
次に、児童虐待・育児の孤立化対策の充実についてです。
私は、家庭が崩壊し遺棄された子ども、虐待された子ども、貧困に苦しむ子どもは、最も不幸な存在であると考えています。こうした子どもたちの福祉を守るためには、区の子ども家庭支援センターによるきめ細やかな支援と、都の児童相談センターによる広域的・専門的な支援との連携こそが重要であると、かねてから申し上げてきました。
既に、本年4月から、子ども家庭支援センターに専門相談員を配置しました。見守りが必要な家庭を継続的に訪問するほか、対象児童の有無に関わらず、全ての学校や保育園などへの巡回を始めています。
6月1日には、東京都と協定を締結し、児童相談事業の連携を強化しました。まず、子ども家庭支援センターの所長が、都の児童相談センターの援助方針会議に、事前打ち合わせの段階から参画することとしました。
12月から、23区で初めて2歳以降12歳までの虐待の恐れがある子どもたちを対象に、最長14日間のショートステイ事業を開始します。通学・通園をはじめ子どもの日常生活を指導するとともに、保護者に対しても、育児不安や育児疲れなど、様々な課題の解決に向けて、きめ細やかな援助を行うものです。本定例会において、所要の経費を補正予算として提案する予定です。
特別養護老人ホーム等の開設
次に、特別養護老人ホーム等の開設についてです。
練馬区の特別養護老人ホームの施設数は都内最多ですが、8月に2施設が開所し、29となりました。今年度は新たに2施設の工事を開始し、来年度は更に2か所の整備に着手する予定です。
本年10月には、在宅療養生活を支える大きな柱である、24時間の訪問介護看護サービスを行う事業所が開設されます。区内8か所目ですが、これも都内最多であります。24時間365日、必要に応じて、ヘルパーによる食事・入浴などの介助や、看護師による医療的ケアを提供します。
介護が必要となっても住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、団塊の世代の全てが後期高齢者となる平成37年までに、地域包括ケアシステムを確立しなければなりません。施設サービスや在宅サービスの充実、在宅療養のネットワークづくりを進め、高齢者一人ひとりが、サービスを選択できる地域づくりに向け、着実に取り組んでまいります。
健康づくり事業の充実と骨髄ドナー支援制度の創設
次に、健康づくり事業の充実と骨髄ドナー支援制度の創設についてです。
健康づくり事業の充実
まず、健康づくり事業の充実についてです。
仕事や子育てで忙しい働く世代のために、健康管理アプリを作成し、11月から配信します。体重や血圧、健康診査結果、日々のウォーキングの目標や達成状況が記録できます。利用者が登録した地域や年代に合わせた、健康診査や地域のイベント、健康講座などの情報をお知らせします。
要介護状態になる原因の2割を占めているロコモティブシンドロームの予防を目的とする、区オリジナルの「ねりまゆるらく体操」を11月に披露します。
健康づくりは、一人ひとりが取り組むことが基本です。正確な知識に基づき、運動や食事など日常の生活そのものを変えていくことが必要です。区・区民・事業者の協働により、健康づくりに取り組む地域の活動を広げてまいります。
骨髄ドナー支援制度の創設
次に、骨髄ドナーに対する支援制度の創設についてです。
骨髄移植は、白血病などの血液疾患に対する有効な治療法ですが、ドナーは入院・通院が必要となり、仕事や学業を休まざるを得ません。ドナー登録という形で社会貢献したいと思いつつも、躊躇している方々を後押しするため、8月から助成金の交付事業を開始しました。全国で初めて、在勤・在学の方も対象としております。
今後とも、献血会場において呼びかけを行うなど周知に努め、ドナー登録を促進してまいります。本定例会において、所要の経費を補正予算として提案する予定です。
障害者福祉の充実
次に、第五期障害福祉計画、第一期障害児福祉計画の策定についてです。
障害者の高齢化・重度化が進むなか、家族の高齢化も同時に進んでおり、障害者一人ひとりをどのように支えていくかが大きな課題となっています。ライフステージに応じた必要な支援が行き届き、障害者や障害児の方々が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、その人に合わせた支援を提供することが求められています。
障害特性に応じた就労の支援と定着を進め、併せて障害者地域生活支援センターなどで、夜間休日における緊急時の相談や一時受入れを行うことが必要です。更に、新たに設置する重度障害者グループホームと一体で、障害者の緊急一時保護、ショートステイや相談支援などを総合的に提供する、地域生活支援拠点の整備を急がなければなりません。また、保育園や幼稚園での受入れが現在困難な、重度障害児や医療的ケアが必要な未就学児の早期療育も、喫緊の課題となっています。
現在策定中の、第五期障害福祉計画、第一期障害児福祉計画では、これらの課題への対応を反映しつつ、国の基本指針に沿って、平成32年度までのサービス供給見込み量の目標を示してまいります。
12月に素案を公表し、区議会や区民の皆様のご意見を頂いたうえで、年度内に成案とします。
生産緑地制度の改正
次に、生産緑地制度の改正についてです。
練馬区では、市民生活と融合した生きた農業が営まれています。都市農業は、生活に新たな豊かさをもたらすものであり、これからの都市生活に必要不可欠なものです。
これまで区は、全国の自治体の先頭に立って、国に対し、市街化区域内農地制度の改善を働きかけてきました。その結果、都市農業振興基本法の制定と基本計画の策定に加え、本年5月、下限面積の緩和などを内容とする生産緑地法の改正が行われました。
本定例会では、「練馬区生産緑地地区の区域の規模に関する条例」を提案しています。生産緑地の下限面積を現在の500平方メートルから300平方メートルに引き下げます。近接した複数の小規模農地が、合わせて300平方メートル以上となる場合についても、生産緑地の指定を行ってまいります。
また、新たに生産緑地内に建築できるようになった、農家レストランや直売所、農産物等加工施設の設置に関する許可基準を設けます。
しかしながら、今回の法改正だけでは、練馬区の都市農地を守ることは困難です。更に、農地制度や税制度の改正を実現することが必要であり、引き続き、他の自治体と力を合わせ、国に対し強く働きかけてまいります。
地域おこしプロジェクトの開始
次に、地域おこしプロジェクトの開始についてです。
自由闊達なアイデアによる地域に根差した主体的な活動が、至るところで展開されるまち、それが練馬の自治を豊かなものにするのだと思います。
このたび、練馬区独立70周年記念事業として、区民の皆様の自由な発想による、練馬の未来に向けた取り組みを募集し、「地域おこしプロジェクト」を開始しました。27件の提案から、3つの事業を選定しました。「若手シェフによる、練馬産野菜を使った新しい料理の開発」、「コンビニエンスストアを、高齢者の見守り拠点とするためのプログラム開発」、「特別支援学校卒業後の、地域への定着を目指す、交流拠点づくり」。この3件は、いずれも区民の皆様が、永く温めてきたアイデアです。
先日、キックオフミーティングに出席し、各団体から、熱のこもった説明をお聴きして、このプロジェクトに対する熱い想いをひしひしと感じたところです。各提案は、練馬の新しい魅力の創造や、地域の課題解決につながるものと期待しています。事業の推進を支えるため、全庁から募った若手職員に、一体となって取り組ませます。
職員が、意欲ある区民の皆様と共に、地域の事業に参画する経験は、人材育成の面からも重要です。行政の実務を担うには、現場感覚や区民への共感が不可欠です。自ら地域の課題を発見し、区民と共に考え、解決する力を、若手職員に身につけさせたい。それが職員のレベルを全体として向上させるのであり、現在検討中の人事制度改革のなかで、位置づけてまいります。
おわりに
7月末、今年度初めての区政改革推進会議を開催し、グランドデザイン構想の策定に、本格的に着手しました。
会議では、「暮らし」のグランドデザインについて、人口推計のほか、子ども、高齢者、福祉・医療に関するデータや課題をお示ししました。委員からは、「勤労者に対する施策の検討が必要」、「みどりの風吹くまちビジョンの近未来ストーリーが参考になるのではないか」など、貴重なご意見を頂きました。目指すまちの将来像を、引き続き議論して頂く予定です。「都市」および「区民参加と協働」のグランドデザインについても、順次、議論して頂きます。
今後とも、精力的に検討を進め、12月には素案をお示ししたいと考えています。
私は、練馬区民には、このまちを更に大きく発展させる力があると確信しています。70周年の記念すべき年を新たなスタートとして、更に前に進みたい。区民の皆様と共に、未来に向けて夢を描けるまちづくりに全力を挙げて取り組んでまいります。
なお、本定例会には、決算議案のほか、これまで述べたものを含め、22件の議案を提案しております。また、現在、待機児童対策に要する経費をはじめとする補正予算の編成を進めています。本定例会に追加して提案したいと考えておりますので、併せてよろしくご審議のほど、お願いいたします。
以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
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