令和7年 第二回定例会 区長所信表明
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更新日:2025年6月10日
はじめに
所信表明の様子
令和7年第二回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。
今年もまた、暑い季節がやってきます。近年、春先から気温が上がり、早い時期から熱中症への注意が必要になっています。既に区では、高齢者世帯に対する訪問や電話による声掛けに加え、SNSなどによる注意喚起を行っています。
区民の皆様には、こまめな水分・塩分の補給や積極的なエアコンの活用など、熱中症から命を守る行動をお願いいたします。
これまで永い年月にわたり努力を積み重ねてきた、区政最大の課題である大江戸線の延伸が大きく前進しました。
本年3月、副知事をトップとする都のプロジェクトチームがこれまでの検討を取りまとめ、その内容について区へ報告がありました。2040年頃の開業を想定し、区が200億円の財政負担と鉄道施設整備への協力を行うことで、収支採算性が確保できると見込んでいます。大江戸線の延伸は新たな段階に入り、今後、都は国との協議を進めていくものと考えています。
区は、都に対し事業化及び開業の目途を早期に公表するよう求めるとともに、国との協議に全面的に協力していきます。同時に、延伸地域のまちづくりを更に進め、大江戸線延伸推進基金を計画的に積み増すなど、地元自治体としての責任を果たしていく決意です。
引き続き、区民の皆様、区議会の皆様と力を合わせて、一日も早い延伸の実現に向けて全力を尽くしていきます。
区長就任以来、私は住民の切実な声に応えるために、基礎的自治体でなければ対応が難しい問題があるのではないか、自問自答を重ねてきました。既存の都区の役割分担では応え切れない課題に対し、区が一歩踏み込むことが必要だと思い至ったのです。
重度障害者が練馬区で暮らし続けることができる「三原台二丁目の地域生活支援拠点」、地域団体と手を携えて進める「困難な問題を抱える若年女性への支援」などに取り組んでいます。
児童相談体制では、広域行政である東京都練馬児童相談所と区の子ども家庭支援センターを一体的に運営するだけでなく、区独自に児童養護施設等の卒業生を支援する「ねりま羽ばたく若者応援プロジェクト」を開始しています。幼保一元化の垣根を超えた「練馬こども園」は、これらに先行して実現した施策です。
いずれも、住民の切実な声に応えるため、敢えて区として踏み込むべきと見極めて実行したものです。今後とも自分の信条を貫いて、全国を先導する自治体行政を展開していきたい、そう考えています。
子育て施策
次に、子育て施策についてです。
保育サービスの拡充
区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」の創設、「待機児童ゼロ作戦」の展開などにより、これまでに9,400人を超える保育定員増を実現し、5年連続で待機児童ゼロを達成しました。
都の新たな補助事業を活用し、国制度等の対象外となっている第一子の保育料を9月から無償化します。これにより、全ての児童が対象となります。本定例会に、「練馬区保育所保育料条例」の改正案を提出しています。
こども誰でも通園事業の試行実施
国が来年度から本格実施する「こども誰でも通園事業」は、区独自に利用上限時間を拡大するなど、より利用しやすくして、来月から私立保育所等10か所で試行します。
学童クラブ待機児童対策等
4月に区立小学校3校で「ねりっこクラブ」を開設し、これまでに学童クラブの定員は2,500人以上拡大しました。来年度は、全校実施に向け2校で開設します。
中村橋区民センターの大規模改修に伴い、一時移転していた学童クラブは11月にセンターに戻り、障害児の受入れ体制を充実します。
本定例会に「練馬区立学童クラブ条例」及び「練馬区ねりっこクラブ条例」の改正案を提出しています。
児童館の充実
来年度、北町児童館・北大泉児童館に指定管理者制度を導入し、平日夜間及び日曜・休日も利用できるようにします。今年度は、指定管理者の公募・選定を行います。
栄町児童館は、来年4月に開校する小中一貫教育校「みらい青空学園」の施設内に移転します。本定例会に、「練馬区立児童館条例」の改正案を提出しています。
ねりま羽ばたく若者応援プロジェクトの開始
4月から、児童養護施設等を退所した若者を支援する「ねりま羽ばたく若者応援プロジェクト」を開始しました。生活支度金や家賃・光熱水費等の経済的支援を行うとともに、弁護士による法律相談を実施しています。
今月14日には、NPO法人と連携して、社会的養護経験者によるシンポジウムを開催します。孤立を防止するため、来月から、LINEによる相談・連絡を開始するとともに、春日町青少年館内のねりま若者サポートステーションで居場所事業を始めます。
生まれ育った環境によらず、自らの意思で希望する未来を切り拓けるよう、児童養護施設や里親の手を離れた若者たちの自立を支援していきます。
光が丘医療福祉プラザの開設
本年4月、「光が丘医療福祉プラザ」が開設されました。入院から在宅生活に至るまで、切れ目のない医療・介護サービスを提供し、地域包括ケアシステムの一翼を担います。
慈誠会・光が丘病院及び区内初の介護医療院では、近接する練馬光が丘病院をはじめとする医療機関などとの連携により、患者等の受入れを進めています。
看護小規模多機能型居宅介護施設「光が丘ライフプラザ」では、介護保険・障害福祉サービスを一体的に提供する共生型サービスを10月から開始する予定です。
介護福祉士を養成する「光が丘福祉専門学校」は予定どおり4月に開校しました。卒業後に、区内介護サービス事業所等に就職して頂くため、運営法人への区独自の宿舎借り上げ補助を行うとともに、学生と事業所等との面接会を行います。
医療・介護が必要になっても、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるまちを目指します。
福祉施策
次に、福祉施策についてです。
障害者施策の充実
一時移転していた心身障害者福祉センターは、11月に中村橋に戻り、機械浴槽を利用した入浴事業、ICT相談窓口の情報支援機器拡充など、サービスを充実します。来年度から、名称を中村橋福祉ケアセンターとするとともに、指定管理者制度を導入し、重度障害者の受入枠拡大などを進めます。本定例会に、「練馬区立障害者自立支援施設条例」の改正案を提出しています。
三原台二丁目用地を活用した、医療的ケアにも対応した地域生活支援拠点については、利用者や家族、地域の声を伺いながら、基本設計を進めており、11年度の開設を目指します。
発達障害児の保護者を対象に、子どもとのより望ましい関わり方を学ぶ講座を来月開始します。10月からは、兄弟姉妹に障害児がいる子ども達の交流・相談事業を開始します。
障害のある方が身近な地域でいきいきと暮らせるよう、ライフステージに応じたサービスを充実していきます。
あすはステーションの増設
長期間ひきこもり状態にある方を対象にした、区内2か所目の居場所支援拠点「あすはステーション大泉」を、来月、東大泉敬老館跡施設に開設します。併設する児童館との交流事業を新たに実施するほか、土曜日に開所し、心理相談や家族支援を充実します。
困難な問題を抱える若年女性支援事業の開始
4月から、女性自立支援施設や民間団体との協働により、困難な問題を抱える若年女性を対象とした居場所事業を、男女共同参画センターえーると民間のカフェで実施しています。来月からは、LINE相談を開始します。
引き続き、困難な問題を抱える女性が、それぞれの意思が尊重されながら最適な支援を受けられるよう取り組んでいきます。
防災、まちづくり施策
次に、防災、まちづくり施策についてです。
防災まちづくりの取組
桜台東部地区や貫井・富士見台地区は老朽木造住宅が密集し、道路が狭あいです。この現状を放置することはできません。震災時の建物倒壊や延焼火災を防ぐため、危険な建物を建て替え、防災道路を通さなければなりません。
桜台東部地区では、昨年度、防災道路一号線の現況測量を完了し、来月から用地測量に着手します。貫井・富士見台地区では、引き続き、四商通り沿道等の用地取得を進めるとともに、来月から無電柱化の設計に着手します。あわせて、両地区において、地区計画素案の検討を進めます。
鉄道駅のバリアフリー化
先月、西武鉄道はホームドアの整備計画を公表しました。来年度の中村橋、富士見台、新桜台駅に加え、新たに大泉学園駅で、9年度の整備を予定しています。引き続き、西武鉄道と連携して駅の安全性向上に取り組みます。
大泉第二中学校の教育環境保全と大泉学園駅南側地区まちづくりの取組方針の策定
「大泉第二中学校の教育環境保全と大泉学園駅南側地区まちづくりの取組方針」を3月に策定しました。今年度は、重点地区まちづくり計画を検討する区域の指定や現況測量に着手します。
引き続き、区議会並びに学校関係者、地域の皆様のご意見を伺いながら、大泉第二中学校の教育環境保全と当該地区の課題解決に資するまちづくりを着実に進めます。
公園等改修計画の策定等
区内には約700か所の公園があり、その約半数が開園から30年以上経過しています。老朽化への対応や多様化するニーズに応じた公園づくりを計画的に進めるため、来年度、「(仮称)公園等改修計画」を策定します。本年3月に、区内全域を対象として実施したアンケート調査に続き、9月からは地域ごとにオープンハウスを開催し、検討を進めます。
「公園トイレリニューアル方針」のリーディングプロジェクトである、平成つつじ公園のトイレは来年3月の完成を目指し、秋に工事を開始します。
高齢者から子どもたち、障害のある方もない方も、誰もが楽しめるよう、引き続き、特色ある公園づくりに取り組んでいきます。
商店街振興、都市農業施策
次に、商店街振興、都市農業施策についてです。
キャッシュレス決済ポイント還元事業
区民生活への物価上昇による影響を緩和するとともに、区内商店街等での消費喚起に繋げるため、10%のキャッシュレス決済ポイント還元事業を、7月1日から8月10日までの41日間実施します。
全国都市農業フェスティバル2025
11月15・16日に開催する全国都市農業フェスティバル2025には、前回を上回る32自治体の参加が決定しました。
区内約120名の農業者の皆様にご協力頂き、顔写真入りのポスターを作成します。今月から、区内の直売所や収穫体験を実施している農園約180か所にポスターやのぼり旗を設置します。更に、参加自治体と連携して、全国版の農業者ポスターやSNSを活用したメッセージ動画リレーなどにより、広く発信していきます。
引き続き、練馬区が全国の先頭に立って、農業者の皆様やJA東京あおば、参加自治体と連携して、都市農業の振興に取り組んでいきます。
おわりに
先月、2年にわたる特別区長会副会長の任期を終えました。児童相談体制では、大きく流れが変わり、区立児童相談所の設置から都区の連携強化へと方針を転換する区が、既に9区に及んでいます。都区財政調整交付金の配分割合は、区側を56%に引き上げることで合意に至りました。また、今後の清掃工場の建替えに備え、「次期一般廃棄物処理基本計画」の骨子を取りまとめ、人事・給与制度では、今年度から、採用試験の時期や選考方法を見直すとともに、専門人材をより活用できるよう制度を改めました。
私が志したのは、東京のため、日本のために、都と区が力を合わせる体制への転換です。この間、膝詰めで粘り強く議論しながら改革を進め、一定の道筋をつけることができたと考えています。
世界情勢は混迷の度を加えています。
トランプ関税による大きな打撃が危惧されるだけでなく、世界経済を支えてきた市場原理の行方すら懸念されています。ウクライナ・中東情勢も先を見通すことができません。
更に、これまで世界の秩序を支えようとしてきたアメリカが、このまま自国第一主義を突き進んだとき、どういう帰結が訪れるのか、私たちは先行きを予測できない異常な局面に置かれているのです。
こうした難しい時代にあっても、私は住民に最も身近な基礎的自治体の長として、今後も、全体の奉仕者としての信念を貫き、住民の参加と協働による地域自治の確立を目指して、あらゆる分野で工夫を重ね、区民の皆様にお約束した「改革ねりま第Ⅲ章」を必ず成し遂げる。そう決意しています。区議会の皆様、区民の皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。
なお、本定例会には、施設予約システムの更新・統合に係る条例の改正案14件をはじめ、51件の議案を提出しております。宜しくご審議のほど、お願いいたします。
以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
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区長室 秘書課 秘書担当係
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