練馬区立美術館 秋元雄史館長就任記者会見
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更新日:2018年4月4日
平成30年4月1日、練馬区立美術館の新館長に、秋元雄史さんが就任しました。
秋元館長は、これまで地中美術館(香川県直島町)や、金沢21世紀美術館(金沢市)の館長などを歴任されています。
この日、前川燿男練馬区長は、秋元館長とともに記者会見を行いました。
動画の概要 前川区長記者会見 練馬区立美術館の新館長に、秋元雄史さんが就任
日時
平成30年4月4日(水曜) 午後3時30分~午後4時
区長挨拶
今日はお忙しい中をお集まりいただきまして、真にありがとうございます。
この4月1日から、今ご出席いただいている秋元雄史さんに、私どもの区立美術館の館長をお引き受けいただくことになりまして、それでご紹介申し上げたいと思います。
昨年の秋に、私自身が秋元さんのところに参上してお願いを申し上げました。現在、東京藝大の美術館長の重責を担っている方であるので、かなり無理なお願いだったのですけれども、何とか兼務していただくということで、今回お引き受けいただくことができました。真にうれしく思っています。
秋元さんは、私が申し上げるまでもなく、地中美術館長であるとか、あるいは、金沢の21世紀美術館長という、そういったことを歴任されて、すばらしい業績を上げていらっしゃる方です。そういう方を我が練馬区の美術館長としてお迎えできて、私は区長として、心からうれしく、また、ありがたく思っています。
練馬区の美術館は、これまでも、職員が、学芸員を中心として、工夫をして、いろんな話題を呼ぶ展覧会、例えばシスレー展であったりとか、あしたのジョー展とか、マスコミを賑わせてきました。これをさらに充実していきたい。
美術館の周辺一帯は、美術の森緑地として展開して、美術館と一帯で整備してきました。これを、これから美術館を全体として、もっと飛躍させたいというのが私の念願です。そのためには、まず、今の美術館というのは全体的にスペースが少ないと思っています。今は、大きな企画展をやっても、なかなか全部収容しきれないところがあるので、これを充実したい。
ちょうど開館から33年が経過して、改修も必要になっていますので、規模を大きく改修して、増築して、そして、練馬区の文化芸術活動の拠点として整備していきたい。
ちょうどそう考えている時に、秋元さんに美術館長をお引き受けいただいたので、秋元さんには、美術館の企画展、その内容はもちろんですが、ハードの美術館の整備についても、ぜひ、お知恵を借りて、リーダーシップを取っていただければと思います。
つまり、ソフトとハードの両面にわたって、私のお願いなんですけれども、言わば、秋元美術館というのをつくっていただいて、これまでにない斬新な美術館としていただければと、そう心からお願いしたいと思います。私も、最大限の協力を惜しまないつもりです。
皆様にご支援いただいてスタートした私の区政も、この4月15日には改選期を迎えることになって、早いものです。区民の皆様のご信任をいただけたならば、引き続き区長として練馬区の発展に全力を尽くしたいと考えています。
当然ながら、美術の振興、芸術の振興というのは、一番重要な課題の一つですので、秋元さんにお力添えをいただいて、美術、音楽、それから演劇、そういったものが、みどり豊かな練馬の街に咲き匂う、そういった街をつくっていきたい。私は全力を尽くしていきます。秋元さんにも力いっぱいご支援いただいて頑張りますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
館長挨拶
皆さん、はじめまして。秋元雄史と申します。この4月1日から、練馬区立美術館の館長を拝命させていただきました。
前川区長から今ご紹介があったように、区長自らおいでいただきまして、練馬区の美術館にかける思いを語っていただいて、非力ではあるのですけれども、何かお力添えができればというふうな思いでこの仕事を受けさせていただきました。
改めて、今、横でお話を聞いていて、何かこう、身が引き締まる思いでいっぱいであります。このまま、座ってお話をさせていただきます。
実は、私も自己紹介を兼ねてですけれども、東京は中野区の出身でして、高校は都立の武蔵丘高校。同じ学区であったので、練馬区には随分と高校時代から友人がいて、このあたりにも遊びに来ておりました。たまたま美術の仕事をしてからも、練馬区の区立美術館には、大変、展覧会としてすばらしいものをされていたということもあるので、お伺いしていました。歴代の学芸員の皆さんや、館長さんともおつき合いをさせていただいていて、大変いい美術館だなというふうに思っていました。こういう形で、自分自身が練馬の美術館に関われることというのは、本当に光栄に思っています。
既に、練馬の美術館は、区の美術館としてはもう長い歴史があるわけですから、そして、さまざまな展覧会をされてきた経緯があるので、そういった、これまで蓄積してきた知恵というか学芸員の力というのをベースにして、それをもう一度、見直すような形で展覧会を組んでいけたらなというふうに思っています。
昨年は大変好調でして、展覧会の入場者数のカウントで10万は越えてくるだろうというふうに思っていますし、これは、これまで開館した中では2位ぐらいの来館者数だそうです。こういう、非常に改めていい時期に、私が館長にさせていただいて、ありがたいというふうに思っていますが、上手く、引き続きいい状態で続けられればなというふうに思っています。
今年もいろいろ学芸員が展覧会を工夫しています。実際に、これまでも、今年、来年ぐらいは、これまで仕込んであるものをやっていくような感じなので、私と学芸員で一緒につくっていくというのは、もう少し先からになってくると思いますけれども、いろんなところで、展覧会の関連の企画も工夫していきたいというふうに思っています。
これは、区長のお話の中にありましたけれども、純粋に、美術、絵画、彫刻といったような、そういうオーソドックスなところももちろんですけれども、もう少し幅広く、音楽やアニメーションとか、練馬区の中にある文化資産みたいなものも注目をしていって、そういったものを全国に発信していけたらなというふうに思っています。
東京なので数多くの美術館がありますし、また、規模でいえば、練馬区よりもはるかに大きい国立美術館もあります。お客さんの側から見れば、選択しようと思えば、そういった国立博物館から何から、さまざまな選択肢がある中で、練馬区の美術館を選んでいただく、そのためには、かなり独自性の強い、ユニークなところを狙っていくというのが一つあるだろうというふうに思っています。ですので、そういったところで、館の運営を、かなり練馬区立美術館らしいものを探していくということになるかなというふうに思っています。
小さくてもキラリと光っていくというような、そういう美術館にぜひしたいというふうに思いますし、練馬に足場を置きつつ、全国発信していけるような、そういう強い美術館にしていきたいなというふうに思っています。
質疑応答
【記者】芸術広場の池上と申しますが、先ほど区長さんからの、拡大、大きい路線として、文化、芸術、演劇、音楽まで含めて大きくということなのですが、具体的に、何年に、今の中村橋の練馬の美術館を拡大していくのか。いろんなところが案があると思うのですが、それをお聞かせ願えればと思うのですが。
【区長】美術館自体は、当然ながら、あくまで美術館ですので、私が申し上げた音楽とか演劇とか、それは練馬区全体としてやっていきたいということです。例えば、去年の70周年記念事業でも大谷康子さんにご活躍いただいて、夏の記念コンサートをやりましたし、それから真夏の第九もやったし、それから、これは一昨年からですけれども、練馬薪能を始めています。そういった取り組みは先行してやっていますから、こういった人材の方とも協力しながら、練馬区全体を、イメージとして、みどりの中に芸術の文化の花が咲く、通俗的な言い方ですけれども、そういった街にしたい。その一環として、美術館は、美術そのものの一大拠点としてちゃんとやっていきたい。いつにするかは、これから設計して検討していきますので、もう少し時間をかけたいと思っています。
【記者】フリーのジャーナリストの藤田と申しますけれども、区長さんと館長さん両方ともにお伺いしたいのですが、先ほど秋元館長も言われましたように、秋元さんが今までやられていた美術館と違いまして、東京の場合は、一つの展覧会で40万、50万と入るような巨大展覧会がある時に、区立の美術館のあり方とかが非常に今、揺れているという感じがあると思うのです。前の若林館長が結構、先ほど言われた、入れてきたのですけれども、逆にいうと地域性といいますか、東京の地域性の中で、今年は結構、関係者が多いのですけれども、一番最初だったら、練馬の作家展のような在住作家展とか、地域密着型のものというのが、いかんせんお客が入らないということで、練馬だけではなく、世田谷にしても、目黒にしても、板橋にしても、やっている傾向があるのですが、その中で、先ほど美術館の拡大ということを言われましたけれども、たしかに拡大というものも必要なのでしょうけれども、地域文化とか、地域密着的な文化館としての美術館のあり方というのを、お二人は一体どういうふうに考えられるのでしょうか。お二人にお伺いしたいのですが。
【区長】私はこれから、それこそ、それは秋元さんとご相談しながらと思っています。ただ、ローカルであることがパーシャルというか、特殊性といいますか、そういったことではないだろうと思います。ローカルであって、そのことによって普遍性につながるというのか、理想として、そういったものになりたいと思います。例えば、今までやってきた中で、いろんなことをやって、本当に光るものがありました。あしたのジョーもそうですけれども、一つの、練馬区そのもの自体というよりも、もっと日本のある時代を象徴するような展覧会であるとか、そういったものが、現にこれまでも幾つかやってきたわけですから、そういった意味で、私は、練馬区でやっているけれども、同時にもっと世界に通じるような、そういったことを何とか花開かせられないか。例えば、たまたま練馬区に住んでいた作家で、それも大事ですけれども、そういったことに固執する気は、私は余りありません。それは、また秋元さんのお考えとご相談しながらと思っています。
【館長】ここに来る前に、これまでの展覧会の傾向の資料を見てきたのです。私も、例えば、来館者数の多かったシスレーとか、そういう最近の本当に超ビックネームの展覧会だけが上位にきているのかなと思ってみていたのですけれども、来館者数だけでいくと、実は、そういうビックネームの展覧会だけが上位に来ているわけではなくて、かなり展覧会の工夫の仕方によって、例えば本当にベタなところでは、練馬区立美術館の収蔵品の作品展であったりとか、後は、今すぐに名前が出ないのですけれども、意外と、結構、企画の作り方によって、展覧会の評価は変わってくると思うので、そのあたりは、もちろん来館者数というのは一つのバロメーターとしてあるのですけれども、そこだけで評価していくのではなくて、もう少し長い目で、美術館との関わり、作家との関わりであったりというところで見ていきたいというふうに思っています。
まだまだ、野見山先生を初め、すばらしい先生方がおいでになりますし、美術館として逆にどう評価していくかというか、価値づけていくかというところも大きなテーマであると思うので、余り簡単に、そこらあたりは諦めずにやっていきたいなというように思っていますけれども。
【記者】特に彫刻作家がたくさんいる割には、彫刻をやっていないのですよね。
【館長】そうですね。今日も学芸員の方と、いろいろと近い将来の話をしていたのですけれども、練馬にあることの意味で、練馬に住まれている、優秀な、力のある作家さんたちの掘り起こしという、それは一つ大きくあるので、そのあたりは本当に時間をかけてやっていきたいということと、もう一つは、練馬に住まわれている方たちにとって、今度は美術館を楽しんでいただくというふうな両面があるので、そのあたりは両方ともバランスを取っていこうというふうな気がしています。今、区長もおっしゃいましたけれども、一方で、余りローカルにどっぷりと、ローカルな足場があっても、できるだけ広がりを持たせたいというのもあるので、練馬の資源をいかに外に上手く伝えていけるかという工夫は、ここは多分、学芸的な、美術館的な工夫のしどころかなというふうに思っています。
【記者】毎日新聞の福澤と言います。一番最初の方の質問の関連ですけれども、私たちはどうしても、スケジュール感というのを知りたいので、3月からの予算会見の時に、再整備基本構想検討に入ったということが発表されていますけれども、その再整備の会の会長というか座長的なものに秋元さんが就かれて、それで、その後、基本設計、実施設計をして、2022年度の着工というふうな形で新区立美術館を広げる形でつくっていくというふうに考えてよろしいのでしょうか。
【区長】まだ予算はこれからですけれども、公共施設等総合管理計画をつくっていまして、その中で大まかな方向は示していますので、今おっしゃった年次で今のところは考えています。当然ながら、秋元さんに大活躍していただきたい、キーマンであると思っています。
【記者】その検討会というのは、大体、外部の人が入ると思うのですが、どのくらいの人数構成で、どんな人が入って進めていくのですか。
【区長】学識経験者の構成ですか。今、事務的に検討しているのは、数名です。例えば、地元のそれこそ、ちばてつやさんもいらっしゃるわけです。それから、大谷さんもいらっしゃれば、そういった方にもご活躍いただきながらやっていこうかと思っています。
【記者】中心が秋元先生と。
【区長】そうです。
【記者】地元の新聞、練馬新聞の斎藤と言います。三十数年前にオープンした時の謳い文句は「図書館と併設した美術館」というオープンの見出しがありました。それで三十数年経ったわけでございますけれども、何せ行政の限られた予算の中で、所蔵品といいますか、あれがどのくらいのレベルか知りませんけれども、館長から見ますとどうですか。練馬の美術館が持っている収蔵品作品のレベルというのはどのくらいのレベルなのか、中には宝物もあるのでしょうけれども、どのくらいのレベルと見て品定めしておりましたか。
【館長】今、点数として7,000点を超えるくらい。館としては、よくそれだけの点数を保有しているなというのが、私は逆に驚きました。レベルですけれども、私は、良い作品というか、全部が全部というわけではないですけれども、かなり良い作品も含まれているというふうに思っています。美術館の役割というのは、美術品を評価していく一つの仕組みでもありますので、逆に、練馬で今、保有している、もちろんそれ自体も非常に高い価値があるのですけれども、より価値を高めていくということも美術館の役割ですし、特に練馬在住の知名度のある作家の皆さんもおいでになるので、そのあたりは、もう少しきっちり美術館としては評価していく必要があるだろうというふうに思っています。おっしゃるような、一定の高いレベルを持っているというふうに思っています。
【記者】現代美術が多いと聞いていますけれども、そうでもないですか。近代ではないのですよね、板橋は江戸時代のものも大変持っていると聞いていますし。その辺は、僕は門外漢なのでわかりませんけれども、もう一つ質問。練馬区には、もう一つ、日藝という大学がございます、江古田に。彼らも、八つのアートの切り口で情報発信して、かなりリエゾンオフィスでは大変収益も高まっていますけれども、今後はどうですか、日藝との連係プレーという点での発想も当然、秋元先生の中にありますか。
【館長】そうですね、割と地域型でいろいろと、私の一つの考え方ですけれども、地域資源というのは、できるだけ上手く使いたいというのはあるので、その中で日藝さんは、より大きな要素だと思いますので、そことの連携というのは、当然、何かしら出てくるとは思っています。
【記者】産官学の連係プレーの手本を秋元館長には示してほしいと思うのです。そうすると練馬は、もう一回り二回り大きくなるという感じを持っていますので、期待しております。よろしくお願いいたします。
【記者】株式会社アルテヴァンの庄司と申します。よろしくお願いします。先ほど、2022年のお話がありましたけれども、その前に、東京都としては2020年東京オリンピックのことが考えられると思うのですけれども、ちょうど秋元館長はきっと就任されて2年目とかになるので、どういった形で、練馬区の美術館はオリンピックに対して関わっていくのか、独自の企画をつくっていくのか、あるいは、区の美術館として連携して何かできないかというようなお話もあると聞いているので、そのあたりのことを教えてください。
【区長】私は、今、具体的にオリンピックと連携してこれということは、特段、現時点で具体化しているわけではありません。ただ、当然ながら、企画を考える段階で、職員の皆さんの中にも、そういった発想が入っていると思います。それはそれとして、秋元さんにさらに宣伝していただいてやっていただければ、こんなにありがたいことはないと思っています。
【館長】区立美術館で、板橋とか目黒とかと連携していこうという話は出ていまして、それの連絡協議会をつくっています。具体的には、どこまでやれるかというのはあるのですけれども、最低、何か同時にインフォメーションを出していくとか、何らかの形で協調しているところは出していこうというふうにしています。展覧会の中身については、これもまだ学芸員と話を始めたばかりですけれども、多分、読みとしては、2020というのは、どこも館蔵品というのをベースにして展覧会を組んでくるだろうというふうなことがいわれているので、基本的には練馬の美術館が持っている館蔵品、あるいは、練馬のわりと得意な関係を持っているところと一緒につくっていくみたいなことがベースになるのかなというふうに思っています。まずは、館の中でやる展覧会そのものをどういう方向にするかというのを早急につくっていくということかなと。それができて、もう少し、例えば連携とか、この間もジャストアイデアでしたけれども、理事長と音楽とのコラボですとか、そんなことをやっていこうかみたいなことも、それは本当に立ち話ですけれども、いろいろと広がりが出てくるかなと思っています。
【記者】東京新聞の渡辺と申します。館長にお伺いいたしたいのですけれども、21美の特任館長さんとあと、東京藝大の大学美術館の館長と教授ということで兼務されるということですが、練馬のこちらの美術館には、どのくらい足場を置いて仕事ができそうな感じでしょうか。
【館長】今、週に2回来るという風な感じです。金沢は、これはほぼ名誉職で、実際の仕事というのはないので、10年間働いていたのでそういう名前をくれているというところなので、実際の仕事の中身としては、藝大とこちらが軸になっています。実質的に二日ですが、ただ常に連絡が取れるよう状態になっていますし、館長の仕事なので、余り日数では換算できないところが出てくるかなと思っています。
【区長】どうぞよろしくお願いいたします。
【館長】どうもありがとうございました。
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