準備作業から種まきまで(1998年9月取材)
ページ番号:757-552-040
更新日:2010年2月1日
取材日:98年9月4日
1997年の全記録では紹介出来なかった準備作業の様子です。
ここで紹介した準備作業は、練馬区大泉町の白石 好孝さんにご協力をお願いして取材をさせて頂いています。
練馬大根の栽培方法は、各農家によって異なりますし、同じ農家でも年によって異なります。より良い「練馬大根」を作るために、今も努力を続けているからです。
種まきまでの作業レポート
1.肥料をまく
肥料は機械でまきます。練馬大根の場合、有機栽培をすると先がふた又に分かれてしまう等、なかなか上手く育ちません。そこで肥料は化学肥料を含むものを使用しているそうです。
左側に白く見えるのは、次項の「石灰」をまき終わった部分。
2.石灰をまく
肥料をまき終わった後に石灰をまきます。この作業は機械を使うので、それほど時間をかけずに進めることができます。土の上に白い石灰が雪のように点々と落ちています。
3.たがやす
練馬大根は一般的に見かける青首大根よりもずっと長く、根の部分が80センチメートル程になります。そこで地面の奥深くまで耕す必要があります。
ここでは、「深耕トラクター」で「カメのようにじっくり」と耕します。深耕トラクターは、後ろにカマキリのカマのような大きな刃が沢山ついています。トラクターがゆっくりと進み始めると、刃が土の中へどんどん入っていき、地面の中でぐるぐると回って畑を耕すのです。トラクターの通った後には、白い石灰の代わりに黒い土が現われました。
これで約50センチメートル位の深さまで耕せば、練馬大根を育てるには十分とのことです。耕した後の土は確かに柔らかくなっていて、棒を刺してみると、80センチメートルぐらいまでは簡単に地中に入ってしまいました。
4.畝幅を決め、ビニールマルチを敷く
白石さんのところでは、1,000本の練馬大根の生産を委託されています。
畑にビニールマルチ(※注釈)を1列張ると、穴の数はだいたい170個。これを10列張ります。1つの穴に5粒前後の種をまき、元気そうな1本以外を間引くので、1穴1本、計1,700本の大根ができる計算となります。しかし実際にはその数字をかなり下回るだろうとのこと。それほど生育にムラがあるのだそうです。
ここでは、120センチメートル幅、2列の穴が空いているビニールマルチを使うので、畝(うね)幅(畝どうしの間隔)は60センチメートルになります。
また、株間(かぶま・株どうしの間隔)は、40センチメートル取ります。昨年は30センチメートルでやっていたのですが、どうも大根の生育にムラがあるようなので、今年は40センチメートルに広げたそうです。株間を広く取ると太く育ちますが、早く熟し過ぎて、大根に”す”が入りやすくなってしまいます。株間をどれだけ取るか、この辺りの見極めはなかなか難しいようです。
農業の方法は農家の数ほどあり、農家ごとに、「うちじゃあ、こうだ」という流儀が色々あるそうです。
さて、ここからの作業は2人がかりです。畑に120センチメートル幅のビニールマルチを10列敷きます。10センチメートル毎に印のついた棒で120センチメートルの幅を計り、ロープで地面を擦って印をつけます。
次に、ビニールを巻いた長い筒を後ろに付けた機械で、ゆっくりとビニールマルチを敷きます。この機械で、種まきすることも出来るそうです。(ほうれん草などの場合は機械で種まきを済ませてしまうとのことです。)
敷き始めと終わりは手作業でマルチを土に埋める必要がありますが、その後はほとんど機械でマルチを張ることができます。全て人手のみで行うと、非常に大変な作業です。
農業は、機械の導入でとても助かっているのだということが、良く分かります。
次のステップ、種まきはビニールマルチを敷いた後、1~2週間おくのが理想的だそうですが、現在ほとんどの農家ではすぐに種をまいてしまうとのことです。
※注釈:「ビニールマルチ」
保温、保水、雑草対策のために敷くビニールシートです。関東での農業によく使われているとのこと。これを敷くと作物の出来が良いそうです。ただ、畑で燃やすと「ダイオキシン」がでる恐れがあるので、これからは紙や生分解性の素材(放っておくと土に還るもの)を使うことが検討されています。
5.種をまく
これは手作業で行います。ビニールマルチ2列を白石さんと奥さん、二人で1列ずつ手分けして種をまいていました。マルチの穴の部分の土に握りこぶしでかるく穴をあけ、そこに5粒ずつ種を落とし、そして軽く土をかけてやっておしまい。この作業を1つ1つ行います。
穴の部分に種をまきました
この作業は、1人で行っても朝からやれば1日で終わってしまうとのこと。
現代の農業に機械の果たす役割は大きいのです。
白石さんの畑では、練馬大根の他、キャベツ、人参、葱、トマト、ナス、ピーマンなど、八百屋さんで通常扱っている野菜のほとんどを作っているとのことです。大根畑の横には広々としたキャベツ畑や、様々な夏野菜が実をつけた体験農園が広がっていました。
キャベツは練馬区内でもっとも多く生産されている野菜でもあります。
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都市農業担当部 都市農業課 農業振興係
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