第2次みどりの風吹くまちビジョン 基本計画 平成31年(2019年)3月 練馬区企画部企画課 序章第2次みどりの風吹くまちビジョン策定にあたって 第1章区を取り巻く状況 第2章区が目指す方向性 第3章6つの施策の柱 施策の柱1子どもたちの笑顔輝くまち  施策の柱2高齢者が住みなれた地域で暮らせるまち 施策の柱3安心を支える福祉と医療のまち 施策の柱4安全・快適、みどりあふれるまち 施策の柱5いきいきと心豊かに暮らせるまち 施策の柱6区民とともに区政を進める 最終章新たな自治の創造への芽生え ※新元号が公表されていないため、本計画では平成31年度以降の年次についても「平成」で表示しています。 第2次みどりの風吹くまちビジョン策定にあたっての区長あいさつ 平成という時代が間もなく終わろうとしています。 時代の転換点に立って振り返ると、戦後復興期から高度経済成長期にかけては、日本が飛躍的に豊かになった時代でした。 右肩上がりで人口が伸び続け、毎年のようにGDPは増加し、瞬く間に世界第2位の経済大国にまで駆け上がりました。 今は、全く逆になりました。 日本は、史上初めて少子高齢化・人口減少社会に突入し、右肩上がりの経済成長はもはや幻想となっています。 新興国が目覚ましい経済成長を遂げるなか、国際社会における日本の影響力は相対的に低下しています。 困難な時代にあって、日本はどうあるべきか、基礎的自治体はどうあるべきか。根源的な課題に直面しています。 私は、こういう時代だからこそ、練馬区は前へ前へと進まなければならない。未来を切り拓くために難しい課題から決して逃げてはならない。 そう考えています。 昨年6月には、グランドデザイン構想を策定し、区の目指す将来像を区民の皆様にお示ししました。 第2次みどりの風吹くまちビジョンは、グランドデザイン構想の実現に向けて策定するものです。 時代を先取りした新しい政策を立案・実行し、区自ら身を切る行政改革を断行し、区民参加を「参加から協働へ」と更に前に進めなければならない。 私に課された使命です。 政策においても、区政運営においても、「ここに練馬区あり」と胸を張れる自治体を創りたい。 23区の先頭を切って進む自治体行政を実現したい。 誰もが誇りにする、みどり豊かな美しいまちを創って次の世代に引き継ぎたい。 私の一貫して変わらぬ大きな夢です。大変難しい道ではありますが、全身全霊を傾けて努力をしていきたい。そう決意しています。 練馬区長 まえかわ あきお 序章 第2次みどりの風吹くまちビジョン策定にあたって この章では、第2次ビジョン策定の経緯、目的・位置づけ、体系・計画期間を明らかにします。 1 第2次ビジョン策定の経緯 平成27年3月、区は、新しい区政運営の方向性を明らかにし、将来を見据えた戦略を提示するため、みどりの風吹くまちビジョン(以下「ビジョン」という。)を策定しました。 また、政策の実現に向けた具体的な仕組みや態勢を「区民の視点」から改めて見直し、平成28年10月に区政改革計画を公表しました。 これまで、ビジョンに基づき、練馬区ならではの取組を推進してきました。 練馬こども園の創設、児童相談体制の充実、特別養護老人ホームの増設、街かどケアカフェ、ひとり親家庭自立応援プロジェクト、重度障害者グループホーム、医療環境の整備、大江戸線の延伸・西武新宿線の連続立体交差化・都市計画道路第四次事業化計画など都市インフラの整備とまちづくり、都市農業の制度改革、商業のまちゼミ、特色ある公園の整備、練馬薪能をはじめとする文化・芸術・スポーツの振興など、広範な分野にわたって、着実に実績を積み重ねています。 平成30年6月には、区政を更に前に進めるため、「暮らし」「都市」「区民参加と協働」の3つの分野からなるグランドデザイン構想を策定し、目指す将来像を区民の皆さまと共有しました。 2 第2次ビジョンの目的・位置づけ 社会のあり様が大きく変化するなか、練馬区は基礎的自治体としてどうあるべきか。 これまでの取組の成果や将来予測を踏まえた今後の区政運営の方向性を明らかにし、練馬区ならではの住民自治のあり方を示す必要があります。 そこで、グランドデザイン構想に示す将来像の実現に向けた、区の新たな総合計画(地方版総合戦略※1)として、第2次みどりの風吹くまちビジョン(以下「第2次ビジョン」という。)を策定します。 第2次ビジョンは、ビジョンで示した施策の方向性を継承しつつ、新たな課題の解決に向けた先駆的な取組を追加し、体系化するものです。 また、区政改革計画を取り込み、施策の充実に係る取組を戦略計画に継承しました。改革の実行(区立施設や区組織のあり方、ICTの活用等)に係る取組は、引き続き個別計画等に基づき推進していきます。 3 第2次ビジョンの体系・計画期間 第2次ビジョンは、グランドデザイン構想実現への道筋を示す基本計画と、具体的な実行計画であるアクションプランの二部構成とします。基本計画では、「3つの基本理念」と「6つの施策の柱」を提示します。アクションプランでは、「21の戦略計画」、「年度別取組計画」と「財政フレーム」を明らかにします。 計画期間は、基本計画が5年間(平成31〜35年度)、アクションプランの「戦略計画」が5年間(平成31〜35年度)とします。「年度別取組計画」は3年間(平成31〜33年度)とし、33年度に後半の計画を策定します。 第1章 区を取り巻く状況  この章では、世界経済や日本社会の情勢など、区を取り巻く状況を分析した上で、今後解決すべき課題を提起します。 1 世界の状況 ・グローバル化の進展に伴う経済成長と新たな火種 情報通信技術や高速交通機関等の発達に伴い、国家や地域の垣根を越えて資本や人が移動するグローバル化が進展しています。 世界経済は成長を続けており、世界全体の名目GDPは、2000年から2017年にかけて約34兆ドルから約80兆ドルまで拡大しました。 こうした経済成長の一方で、移民の流入や貧富の格差拡大等を背景として、グローバリズムを否定する「自国第一主義」の動きが先進国を中心に広がっており、社会を分断しかねない新たな火種となっています。 ・新興国の台頭と日本の影響力の低下 世界経済が成長を続ける間、日本の影響力は相対的に低下しています。 日本の名目GDPは、2000年と2017年で比較すると4.9兆ドルと横ばいの状況であり、国民1人当たりの名目GDPでは、世界2位から世界25位まで下落しました。 日本の低迷とは対照的に、新興国は飛躍的な経済成長を遂げています。 例えば、中国の名目GDPは、2000年から2017年にかけて約1.2兆ドルから約12兆ドルの10倍まで拡大しており、現在はアメリカ合衆国に次ぐ世界2位の経済大国です。 IT産業を中心に経済発展を遂げているインドのほか、近年、東南アジア、アフリカ諸国の発展も目覚ましいものがあります。 世界経済のけん引役が、先進国だけでなく、新興国を含めて多極化しており、世界構造は複雑化しています。 影響力が低下した日本は、様々な国の利害が衝突する国際社会で、どのように立ち振る舞うべきか。 これまでのやり方が通用しない、難しい状況に置かれています。 ・急速に進む技術革新 近年、インターネット上でデジタル化された財やサービスの流通が加速しており、これらをベースとした技術革新が急速に進んでいます。 IoT、ビッグデータ、AI、ロボット技術などの登場は、「第4次産業革命」とも呼ばれています。技術革新は、流通のあり方や通貨の定義など、経済活動そのものを変えつつあり、健康、医療、公共サービス、人々の働き方、ライフスタイルにまで影響を与えています。 2 日本の状況 ・少子高齢化・人口減少社会 平成29(2017)年10月1日時点の日本の総人口は、約1億2,671万人と、前年から約23万人減少しました。 人口の減少は7年連続となり、65歳以上人口は、3,515万人、高齢化率は27.7%と、超高齢社会に突入しています。 今後、総人口は、平成52(2040)年に1億1,092 万人、平成77(2065)年に8,808 万人まで減少し、高齢化率は38.4%まで上昇すると予測されています。 日本は、世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進展しています。本格的な人口減少社会を迎えるなか、社会全体の活力低下が懸念されます。 ・先行き不透明な経済・財政状況 近年の日本経済は、世界経済の拡大による輸出増や2020年東京大会の建設需要等の内需に支えられ、緩やかな回復基調にあります。 しかし、消費者物価の基調は横ばいの状況が続いており、長らく不況の原因とされてきた「デフレ」から脱却できていません。労働者の賃金や個人消費の伸びも緩やかなものにとどまっています。 今後、人口減少が更に進展した場合、国内の消費市場が縮小し、経済成長にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。国と地方を合わせた長期債務残高は1,000兆円を超えており、プライマリーバランスの赤字は依然解消されていません。 量的拡大による右肩上がりの経済は既に終焉し、財政再建に向けた道筋も不透明ななか、社会全体のあり方をどのように変えていくか、残された時間は多くありません。 ・深刻な労働力不足 人口減少に伴う労働力不足も深刻な課題の一つです。 保育・介護等の福祉分野をはじめ、多くの産業分野で慢性的な人手不足が発生しています。高齢者や女性の活躍が期待されていますが 、求人と求職のミスマッチや、介護・子育てと仕事の両立負担等の問題を背景として、その広がりは不十分です。 労働力不足を解消する活路を技術革新に求める声も上がっていますが、国は外国人労働者の受入れに舵を切るなど、様々な解決策の模索が続いています。 ・地震、豪雨災害の脅威 平成23年3月の東日本大震災以降、熊本地震、大阪府北部地震、北海道胆振東部地震など、大規模な地震災害が相次いでいます。 南海トラフ巨大地震や首都直下地震、富士山噴火等の脅威が叫ばれるなか、防災対策に対する関心が高まっています。 大規模災害が発生した場合、行政による迅速な支援が困難になるだけでなく、行政自身が被災することで機能麻痺に陥る可能性があります。 「公助」の限界を踏まえ、地域コミュニティを中心とした「自助・共助」の役割がますます重要になっています。 異常気象によって引き起こされる台風の大型化や局地的な豪雨災害も大きな脅威です。 毎年、全国で河川氾濫や土砂災害によって甚大な被害が発生しています。 こうした被害を教訓とし、徹底した予防対策に早急に取り組む必要があります。 ・日本社会の在り方 急速に高齢化が進む日本は、いわば「高齢化先進国」です。 様々な困難にどう向き合うのか、世界から注目を集めています。人口減少に伴う緩やかな衰退を受け入れるのか、大きく国を開き、外国人を受け入れることで活力の維持を試みるのか、あるいは、それ以外の道を模索するのか、日本社会は岐路に立っています。 3 今後の課題 ・「高齢化先進国」の可能性 中国では、人口抑制政策の影響等で少子高齢化が進展しており、高齢者介護が社会問題化しつつあります。 また、韓国の2017年の高齢化率は13.8%と日本の半分程度ですが、合計特殊出生率は1.05と世界最低水準であり、日本を上回るスピードで少子高齢化が進んでいます。 それ以外の国にとっても、高齢化社会は避けて通れない世界共通の課題と言えます。 「高齢化先進国」である日本は、さまざまな困難な課題に真っ先に立ち向かい、解決策を模索することで、少子高齢化・人口減少社会における「パイオニア(開拓者)」となることが期待されます。 ・技術革新を活用した新たな芽生え 急速に進む技術革新を活用し、少子高齢化・人口減少社会を「チャンス」として捉える動きも生まれています。 昨今、介護従事者の負担を軽減するロボットスーツや、会話ができるコミュニケーションロボットなど、医療・介護向けのロボット開発が盛んになっています。 また、深刻な労働力不足に対応するため、生産性の向上や業務の効率化に向けた、AIやRPAの活用も広がっています。 こうした産業の新たな芽生えを、日本の強みにしなければなりません。 ・多様な公共サービスの主体 戦後、公共サービスは、行政が提供することが当然であり、住民はそのサービスを享受するだけという時代が長く続きました。 しかし、地域社会のあり様や住民意識の変化とともに、地域の現場が抱える課題は多様化・複雑化しており、様々なニーズが生まれています。新たなニーズは、生活に一層の安心や豊かさをもたらすものですが、その多様性などから行政だけで対応できるものではありません。 区民や団体などが、適切な役割分担の下で協働することが重要です。 ・地方自治体の自立 日本経済をけん引し、地方自治体の中で最大の人口規模を誇る東京都でさえ、いずれ人口減少に転じると予測されており、東京2020大会後の経済状況も不透明です。 地方自治体は、未来は自分たちの手で切り拓くという、自主・自立の精神の下、未来を見通した先進的な政策を立案・実行することが求められます。 平成12年に地方分権一括法が施行されて以降、国の法令による義務付け・枠づけの見直し、国から地方自治体への権限移譲をはじめ、各種取組が進められてきました。 しかし、未だに地方自治体に対する国の関与が多く残されています。 また、地方法人課税の一部国税化、地方消費税清算基準の見直し、ふるさと納税など、国による不合理な地方税の偏在是正措置も繰り返し行われています。 多様化・複雑化する地方の課題は、地方の創意工夫で解決すべきものです。 国から地方への大幅な税源・権限移譲を実現するなど、更なる地方分権の推進が不可欠です。 第2章 区が目指す方向性 この章では、第2次ビジョンの基本目標、基本理念について明らかにします。 1 基本目標 ・第2次みどりの風吹くまちビジョンの基本目標は「グランドデザイン構想の実現」です。 平成30年6月、目指す将来像を区民と共有し、区政を更に前に進めるため、グランドデザイン構想を策定しました。 グランドデザイン構想では、おおむね10年後から30年後の将来像を、「暮らし」「都市」「区民参加と協働」の3つの分野で示しています。 第2次ビジョンでは、グランドデザイン構想に示す将来像を実現するための具体的な取組を明らかにしています。 2 基本理念 (1)区民サービスの向上 区民一人ひとりの価値観は様々です。子育て中の保護者であれば、「家庭で子育てしたい」「子どもを預けて働きたい」、高齢者であれば、「いつまでも働きたい」「趣味を楽しみながら暮らしたい」「自宅で介護を受けながら暮らしたい」など、望むライフスタイルは一様ではありません。 多様な選択ができる社会の実現を目指し、知恵を絞り、工夫を重ねることで、区民サービスを向上させます。 (2)区民協働による住民自治 練馬区を育てていく主役は区民です。 区民一人ひとりが地域の課題を自分たちの問題として考えること、そして、区民が区政のあらゆる場面に積極的に参加することが重要です。 区民や団体と区が地域の課題を共有し、解決に向けてともに知恵を絞る「区民協働」の取組を更に増やさなければなりません。 「参加から協働へ」更なる深化を図り、区民や団体と区が協働しながら、地域が抱える様々な課題解決に立ち向かうことで、練馬ならではの住民自治を実現させます。 (3)区政改革の徹底 高齢化の進展に伴い、医療や介護等に要する費用が年々増加しています。 また、老朽化した公共施設の維持更新にも対応しなければなりません。 都市計画道路の整備率の低さや鉄道空白地域の存在など、練馬区特有の課題も解決が迫られています。 右肩上がりの成長は期待できず、税収の増加も望めないなか、区が何でも担う行政運営はもはや幻想です。 「あれもこれも」取り組むのではなく、「あれかこれか」を選択する必要があります。 区が直面する課題は大変厳しいものです。 しかし、区民の理解と協力を得ながら、着実に解決していく責務が区にはあります。 区民サービスの向上と持続可能な行政運営を実現するため、将来を見通した観点から施策の必要性・方向性を検証して見直す「区政改革」を徹底します。 第3章 6つの施策の柱 この章では、6つの施策の柱ごとに「区の基本姿勢」や「施策の方向性」とともに、施策の柱をけん引する「リーディングプロジェクト」や「主要な取組」を示します。 施策の柱1 子どもたちの笑顔輝くまち (1)区の基本姿勢 平成30年の日本全体の出生数が約92万人と過去最低を記録した一方で、女性の就業率の向上等の影響により、保育需要は年々増加しています。 平成31年10月に幼児教育・保育の無償化が実施されることで、新たな保育需要が喚起されると見込まれており、引き続き保育所等の整備を進める必要があります。 核家族化や地域コミュニティの希薄化等を背景に、子育てにおいて孤立する保護者が増えており、子育て相談機能の重要性も高まっています。 区、学校、地域団体等、関係機関が連携して子育てを支える仕組みが欠かせません。 教育分野においては、平成28年2月に策定した「練馬区教育・子育て大綱」の目標である「夢や目標を持ち困難を乗り越える力を備えた子どもたちの育成」を実現することが重要です。 子育ては誰が担うべきか、様々な考え方や価値観が存在しますが、最も尊重されるべきことは、それぞれの家庭の思いです。 家庭で子育てがしたい、子どもを預けて働きたいなど、多様化する子育てサービスのニーズに応える施策を展開することで、子育てのかたちを選択できる社会を実現します。 (2)施策の方向性 ・保育サービスを更に充実させ、保育所待機児童を解消する。 ・保護者が子育ての悩みを安心して相談できる体制を充実する。 ・都と連携し、児童虐待を未然に防ぐ新たな仕組みをつくる。 ・全ての小学生が安心して過ごせる放課後の居場所をつくる。 ・児童生徒一人ひとりに応じた、きめ細かい指導や支援を行う。 (3)リーディングプロジェクト「保育サービスの更なる拡充」 区は、、増加を続ける保育ニーズに対応するため、練馬こども園を創設するとともに、待機児童ゼロ作戦を展開し、全国トップレベルの保育所定員増を実現してきました。 この5年間で 5,000 人以上拡大し、既に供給が需要を 1,000 人以上上回っています。 しかしながら、地域における需要と供給のミスマッチ等により、待機児童が発生しています。 幼児教育・保育の無償化による保育需要の増加への対応を含め、待機児童の解消を図るため、保育所の整備や練馬こども園の充実など保育サービスを拡充します。 一方、将来は確実に区の児童人口は減少していきます。 社会が大きく変わっていく中で、これからの教育・保育サービスはどうあるべきか、長期的な視点に立って検討していきます。 (4)主要な取組 @「(仮称)練馬こどもカフェ 民間カフェと協働し、子どもが学び・遊ぶ機会や、保護者が交流したりリラックスできる環境を提供するため、「(仮称)練馬こどもcafe」を創設します。 カフェ店内のスペースを活用して、地域の保育士や幼稚園教諭等が教育サービスや子育て講座等を実施し、家庭で子育てをする保護者を支援します。 A「母子健康電子システム」の構築 妊娠期から子育て期まで切れ目ないサポートを実現するため、妊婦健診 や乳幼児健診情報等を電子化する「(仮称)母子健康電子システム」を構築します。 保護者などが閲覧できるようにするとともに、居住する地域にかかわらず、どの保健相談所でも健診や相談を受けられる仕組みを作ります。 B新しい児童相談体制の構築 児童相談行政は、区の地域に根差したきめ細かい支援と、都の広域的・専門的 な支援を適切に組み合わせた仕組みが必要です。 児童相談所行政は、基本的に広域行政が担うものです。区に児童相談所を設置しても、区単位では問題を解決できません。 児童福祉の向上を図るため、都と実務的な協議を重ね、児童相談所行政を共同して取り組む仕組みを構築します。 今後設置される都・区の検討の場には練馬区も参加し、児童相談体制のあるべき姿について積極的に主張し提案を行っていきます。 施策の柱2 高齢者が住み慣れた地域で暮らせるまち (1)区の基本姿勢 平成37(2025)年、団塊世代のすべてが75歳以上の後期高齢者となります。 介護が必要になっても、誰もが住みなれた地域で安心して暮らせるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的・継続的に提供される、地域包括ケアシステムを確立することが不可欠です。 区内の高齢 者の約8割は要介護認定を受けていない、いわゆる「元気高齢者」であり、前期高齢者(65〜74歳)に限れば約95%が「元気高齢者」です。 元気で意欲のある高齢者が働き続けること、積極的に社会参加活動を行うことは、健康増進や介護予防につながります。 また、福祉分野の労働力不足が叫ばれるなか、「元気高齢者」を、地域の担い手として期待する声も上がっています。 高齢者一人ひとりの充実した人生は、それぞれの価値観によって異なります。 働くこと、地域活動に参加すること、ボランティアに取り組むこと、個人の趣味を深めることなど、多様なニーズに応じた支援が必要です。 介護保険施設等の整備や医療と介護が連携した在宅療養ネットワークの構築に取り組むとともに、高齢者一人ひとりに合ったサービスを提供することで、住みなれた地域での暮らしを支えます。 (2)施策の方向性 ・地域包括支援センターをより身近で利用しやすい窓口にする。 ・医療と介護が連携した在宅療養ネットワークをつくる。 ・介護保険施設等を着実に整備するとともに、在宅サービスを充実する。 ・コンビニや薬局と連携した介護予防・地域の見守りに取り組む。 ・働く意欲がある高齢者が、元気に働き続けられる機会を増やす。 ・高齢者が永年取り組んできた趣味等を活かした地域活動を応援する。 (3)リーディングプロジェクト「特別養護老人ホームの整備・在宅サービスの充実」 区はこれまで、高齢者が地域で安心して生活できるよう、介護保険施設等の整備を進めてきました。 特別養護老人ホームの施設数は都内最多です。 今後、団塊の世代の全てが後期高齢者となる平成37(2025)年に向けて、在宅での生活が困難な方全てが希望する時期に入所できるよう、特別養護老人ホームの整備を促進します。 地域密着型サービスやショートステイなど、在宅生活を支えるサービスを充実させるとともに、地域包括ケアシステムの中核を担う地域包括支援センターを、より身近で利用しやすい窓口とするため、区立施設への移転、センターの増設、担当区域の見直し等を進めます。 (4)主要な取組 @コンビニ・薬局と協働した介護予防と見守り 介護予防を進めるには、孤立や閉じこもりを防ぎ、自主的に取り組んでもらうことが重要です。 自宅近くで自ら介護予防を実践したいとの高齢者の声にお応えするため、区内に多数の店舗があるコンビニや薬局と連携し、イートインスペースや待合室を活用した新たなスタイルの「街かどケアカフェ」を開始します。 コンビニの移動販売日時に合わせ団地内の集会室で「出張型街かどケアカフェ」を実施します。 また、コンビニの従業員等を対象として、「ニンプロ」を活用した認知症対応研修を実施し、地域の見守り体制を強化します。 A元気高齢者応援プロジェクト 働く意欲がある高齢者にとって、永年培ってきた技能や知識・経験を活かして働き続けられることが大切です。 高齢者と区内中小企業をマッチングする「シニア職場体験事業」を実施します。 職場体験受入企業の開拓やハローワークとの連携により、高齢者の希望に合った 雇用につなげます。 また、趣味や特技を活かした地域活動を応援する「はつらつシニア活躍応援塾」を開始します。 これまでに身に付けた知識や技術を効果的に教える手法を学ぶセミナーを開催し、修了者には子供向け体験教室やはつらつセンター・敬老館で実施する事業の講師を務めて頂くなど、地域で活躍できる場を設けます。 施策の柱3 安心を支える福祉と医療のまち (1)区の基本姿勢 障害者や障害児を取り巻く環境は、近年、多くの法制度の施行や改正が行われ、大きく変化しています。 障害者の高齢化・重度化、家族の高齢化が進むなか、障害者一人ひとりの自立した地域生活をどのようにサポートしていくかが、大きな課題となっています。 働きたい、日中活動の場が欲しい、グループホームで生活したいなど、障害者のニーズを的確に把握するとともに、障害特性やライフステージに応じたサービスの提供が必要です。 生活保護受給世帯は年々増加しており、生活困窮者を含めた総合的な自立支援が求められています。 相対的な貧困率が高いひとり親家庭への支援など、世代を超えた貧困の連鎖を断つ取組が欠かせません。 区の人口10万人当たりの一般・療養病床数は、23区平均の約3分の1と最も少ない状況です。 高齢化の進展に伴う医療需要を見据え、引き続き病床確保に向けた取組を進めるとともに、在宅療養を支える医療提供体制の整備が必要です。 誰もが安心して暮らせ、未来に希望を持って生活できるまちの実現を目指し、福祉・医療サービスを一層充実させます。 (2)施策の方向性 ・障害者の暮らしを支える住まいの場や家族を支援する体制を確保する。 ・障害者が多様で柔軟な働き方ができる環境をつくる。 ・ひとり親家庭や生活困窮世帯等の自立を応援する。 ・病床確保と医療機能の拡充に向けた取組を進める。 ・医師会、医療機関等と連携し、在宅医療の提供体制を充実する。 ・区民一人ひとりの健康づくりを応援する。 (3)リーディングプロジェクト 区は、障害者の住まいの確保、相談支援体制や就労支援の強化、家族の介護負担軽減など、障害者のライフステージに応じたサービスの提供に取り組んでいます。 住まいの中でも、特に需要が高い重度障害者グループホームについて、公有地等を活用して整備を進めます。 また、医療的ケアが必要な障害者の家族の負担を軽減するため、区内初の医療的ケアに対応したショートステイの整備を検討します。 障害者の方々による農作物の収穫や加工・販売作業を拡充し、障害者が働ける場の確保を図るほか、福祉連携農園について検討を進めます。 (4)主要な取組 @セーフティネットの拡充 相対的な貧困率が高いひとり親家庭を対象とした「ひとり親家庭自立応援プロジェクト」を充実します。 離婚や養育費等の専門的なアドバイスを充実するため、相談窓口に弁護士を配置します。 小さな子どもを抱えて相談に来ることが難しい家庭などに対する出張相談(アウトリーチ)を開始します。 生活保護受給世帯の子どもの学習環境や生活習慣を改善するため、家庭訪問を行う子ども支援員の体制を強化するとともに、居場所支援の実施場所を増設します。 中3勉強会は新たに自学自習用の学習室を設けます。 また、生活保護受給者世帯の増加に対応し、きめ細やかなサポートを行うため、今後も適正なケースワーカーの人員を確保します。 A区内病院の整備促進と更なる病床確保 病床稼働率が高い順天堂練馬病院については、更に患者を受け入れるため、平成32年度末に90床増床します。 練馬光が丘病院については、移転・改築により、急性期機能を充実させるとともに、新たに回復期機能の病床を100床程度増床し、平成34年度中の開院を目指します。 高野台新病院については、回復期・慢性期機能を有する200床程度の病院として、平成33年度中の開院を目指し、整備を進めます。 今後、これらの事業を着実に進めるとともに、区内の病院配置状況を考慮しながら、今後の医療需要等を見据えた医療機能を有する新たな病院の誘致を目指します。 施策の柱4 安全・快適、みどりあふれるまち (1)区の基本姿勢 練馬区は、都市化が急激に進んだため、道路・鉄道などのインフラ整備が著しく遅れています。 直近の区民意識意向調査でも、最も力を入れて欲しい施策として、「都市インフラの整備」が1位に選ばれています。 都市計画道路の整備等は、完了まで年月を要する事業ですが、関係者の理解を求めながら着実に進めていきます。 あわせて、地震や豪雨災害による被害を最小限に抑えるため、地域ごとのリスクに応じた防災力を向上させる取組も欠かせません。 また、災害時のエネルギーセキュリティの確保等の観点から、自立分散型エネルギー社会の実現も重要です。 区内の民有地のみどりは、一貫して減少を続けており、既存のみどりを守るだけでなく、新たなみどりを増やす取組が求められます。 行政の取組だけで、みどりを守り、増やすことは不可能です。区民とともに、みどりに恵まれた環境を未来へ つなぐ取組が必要です。 安全で快適な、みどりあふれるまちの実現を目指し、区民と手を携えながら積極的に取り組んでいきます。 (2)施策の方向性 ・建物の耐震化・不燃化や狭あい道路の拡幅等、災害に強いまちづくりを進める。 ・都市計画道路の整備を着実に進める。 ・大江戸線の延伸、西武新宿線の連続立体交差化を早期に実現する。 ・拠点となる公園や都市計画道路の整備により、みどりのネットワークを形成する。 ・区民との協働により、みどりを育むムーブメントの輪を広げる。 ・自立分散型エネルギー社会の実現に向けた取組を進める。 (3)リーディングプロジェクト @都市インフラの着実な整備 区の都市計画道路の整備率は約5割と、23区平均の約6割を下回っており、特に西部地域は約3割と極めて低い状況です。 また、23区では稀な鉄道空白地域が残されているほか、踏切が28か所存在し、日常的に交通渋滞が発生しています。 このような課題の解決に向けて、交通の円滑化、災害時の交通確保、みどりの創出等、多様な機能を担う都市計画道路の整備を着実に進めます。 また、大江戸線の延伸に向けて、区民や各種団体と一体となった促進活動の展開、沿線のまちづくりを推進するとともに、東京都との実務的な協議を進めます。 さらに、西武新宿線(井荻駅〜西武柳沢駅付近)連続立体交差化の早期実現に取り組みます。 A練馬のみどりを未来へつなぐ 練馬のみどりに満足している区民の割合80%を目指し、みどりのネットワーク形成と区民とともにみどりを守り育てる仕組みづくりを進めます。 みどりのネットワークの拠点となる公園や、軸となる幹線道路を整備します。 「武蔵野の面影」をテーマに稲荷山公園を、「水辺空間の創出」をテーマに大泉井頭公園を拡張整備します。 個人のみどりを地域で守る仕組みや公園、憩いの森の区民管理の拡充などを通じて、みどりを育むムーブメントの輪を広げていきます。 (4)主要な取組 地震や水害等の災害リスクは、地域によって異なります。 地域特有の災害リスクを、地域住民と情報共有した上で、防災対策を講じることが有効です。 地域の災害リスクや防災情報をまとめた「地域別防災マップ」を、地域住民と協働で作成します。 水害リスクの高い地域をモデルとして、「地域別防災マップ」を活用した訓練を区民とともに実施し、地域の防災力を強化します。 老朽木造住宅が密集し、地震発生時の建物倒壊や延焼の危険性が高い地区において、「密集住宅市街地整備促進事業」を進めています。 これに次ぐ 危険性が懸念される3地区程度を、区独自に「防災まちづくり推進地区」として位置付け、狭あい道路の拡幅、ブロック塀の撤去、老朽木造住宅の建替え促進などに集中的に取組みます。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 施策の柱5 いきいきと心豊かに暮らせるまち (1)区の基本姿勢 誰しも馴染みの店やお気に入りの街角 で過ごす時間は、幸せを感じるひとときです。 何度も訪れたくなる魅力的なお店や場所があれば、日々の暮らしに彩りが加わります。 地域特性を活かした企業支援と商店街の魅力づくりが重要です。 身近に農業を体感できる、農の魅力があふれる暮らしも幸せを感じることの一つです。 練馬区は、東京という大都市の都心近くに立地しながら、生活と融合した生きた農業が営まれている、世界でも稀な都市です。練馬でしか体感できない都市農業の魅力を発信するとともに、農地の保全や区民が農に親しむ取組の充実が欠かせません。 練馬区は、みどり豊かな住宅都市だからこそ、豊かな文化芸術が花開く可能性があります。都心に行かずとも身近に楽しめる文化芸術が、まちづくりと一体で展開されることで、練馬ならではの都市文化が花開きます。 文化芸術の拠点である区立美術館の創造と日本を代表する芸術家の舞台やコンサートの開催、区民参加型のイベントなど、さまざまな企画の充実が求められています。 中小企業支援、商店街振興、都市農業、文化芸術・スポーツ振興など、区民が暮らしに潤いや幸せを感じる、魅力あふれるまちを目指して取組を進めます。 (2)施策の方向性 ・地域特性を活かした企業支援・商店街振興に取り組む。 ・都市農業が持つ魅力と可能性を世界に発信する。 ・都市計画制度等を活用した農地保全を進める。 ・意欲的な農業者による多様な農業経営を応援する。 ・みどり豊かなまちと一体となった練馬独自の新しい美術館を創造する。 ・優れた 文化芸術を楽しめる魅力的なイベントを展開する。 ・「映像文化のまち構想」を策定し、映像文化をテーマとしたまちづくりに取り組む。 ・スポーツ施設の整備を進め、多くの人が参加できるイベントを充実する。 (3)リーディングプロジェクト「生まれ変わる区立美術館・四季を感じる年中行事」 区立美術館は、優れた企画展等により好評を博していますが、7,000点を超える収蔵品の活用や大規模企画展の開催にはスペースが不足 しています。 サンライフ練馬等の周辺の区立施設と合わせて大胆に美術館を拡張し、収蔵コレクションや大規模企画展、重要文化財や国宝等 も鑑賞できる場とします。 美術の森緑地と商店街・駅へ続く動線を一体化して、美術館を核とした街並みを実現します。 四季を感じ、誰もが楽しめる年中行事を開催します。春の「こぶしハーフマラソン」にはじまり、「真夏の音楽会」は、日本有数のフルオーケストラによるクラシック演奏を楽しめるようにします。 光と音がねりまの夏の夜を彩る「花火フェスタ」、秋の夜は石神井の森を借景とする「みどりの風 練馬薪能」、冬は誰もが参加し楽しめる「ユニバーサルコンサート」や「ユニバーサルスポーツフェスティバル」を開催します。 「映像文化のまち構想」を策定し、映画やアニメなどの映像文化をテーマとした、ソフト・ハードが一体となった夢のあるまちづくりに取り組みます。 (4)主要な取組 @世界都市農業サミットの開催 練馬区は、市民生活と生きた農業が融合する世界でも稀有な都市です。 練馬の都市農業の魅力と可能性を世界に発信するとともに、その魅力を共有し、相互に学び、更に発展させていくため、平成31年11月に「世界都市農業サミット」を開催します。 都市農業について積極的に取り組んでいるニューヨーク、ロンドン、ジャカルタ、ソウル、トロントから、農業者や研究者、行政関係者を招聘します。 あわせて、ワールドマルシェや(仮称)ねりまワールドフェスティバルなど多彩なイベントを開催します。 A農と共存するまちづくりの推進 区は、農地制度や税制度の改善を国に要望してきました。都市農業振興基本法の制定と基本計画の策定に加え、生産緑地指定下限面積の緩和、特定生産緑地制度、生産緑地貸借制度の創設などは、この活動が実ったものです。 この新たな法制度を最大限に生かし、農地保全に取り組むほか、新たな用途地域である田園住居地域の指定に向けた検討を進めます。 また、地区計画等の都市計画制度を活用した、新たな農地保全制度を研究し、国・都と調整を進めます。 施策の柱6 区民とともに区政を進める (1)区の基本姿勢 公共サービスは行政が提供することが当然であり、住民はそのサービスを享受するだけという時代が長く続きました。 しかし、地域社会のあり様や住民意識の変化とともに、地域の現場が抱える課題は多様化・複雑化しており、様々なニーズが生まれています。 新たなニーズは、行政だけで対応できるものではありません。区と区民や団体などが適切な役割分担の下で協働することが重要です。 地域の現場では、町会・自治会をはじめ、NPO・ボランティア団体などが地域の課題をわが事として考え、自発的に活動する動きが広がりつつあります。こうした取り組みを、区政の広範な分野に拡げ、区政を「参加と協働」から「参加から協働へ」と深化させ、練馬ならではの住民自治を創造していきます。 区政を支えているのは“人”です。 区はこれまで、区民サービスの向上を目的に、区政改革計画を策定し、職員の育成と組織運営の改革、委託民営化によるサービス向上、ICTの活用などの改革を進めてきました。 窓口での職員対応への区民満足度は87%に向上しましたが、厳しい意見がいまだに寄せられています。こうした区民の皆さんの声に応えていかなければなりません。 区民の皆さんと直接対応する窓口は、区役所の顔というべき存在です。 目に見える形で区役所全体の改革を進めるため、まず窓口から具体的な課題に着実に取り組んでいきます。 (2)施策の方向性 ・町会・自治会の活性化を促進する。 ・区民協働の取組を推進する。 ・来庁しなくても手続きができるサービスを拡大する。 ・混雑状況が確認できる窓口を拡大する。 ・窓口対応力を向上させる。 ・複数の申請書を一括で作成するシステムを導入する。 (3)リーディングプロジェクト「窓口から区役所を変える」 いくつかの自治体では、1か所で全ての手続が完了するワンストップ窓口を設置していますが、かえって待ち時間が長くなるなど課題が生じています。 来庁前から手続完了まで、それぞれの段階に工夫をこらし、「待たない」「まごつかない」「何度も書かない」窓口を実現します。 来庁しなくても手続ができる電子申請の拡充、窓口の混雑状況が分かる仕組みの導入、窓口対応力の向上、複数の申請書の一括作成支援、事務処理ミスの防止など、具体的な課題に着実に取り組みます。 (4)主要な取組「区民協働による住民自治の創造」 防災や一人暮らし高齢者の見守りなど、様々な地域活動を行っている町会・自治会組織の基盤強化を促進します。 転入者へのパンフレット配布や地区祭での呼びかけなど、様々な機会を捉えて加入促進活動を実施します。 組織の活性化に向け、23 区で初めて町会・自治会が作成した「これからの町会・自治会運営のヒント集」を活用し、具体的な取組について議論を促します。 区はこれまで、練馬の未来を語る会、ねりまちレポーターなどを実施し、協働の取組や区政への反映につなげてきました。今後、更なる取組を進め、「参加から協働へ」と深化させていきます。 新たな協働の取組として、(仮称)「練馬こどもcafe」、コンビニや薬局と連携した新しいスタイルの「街かどケアカフェ」、地域の防災情報をまとめた「地域別防災マップ」の作成などを開始します。区民による公園の管理運営や個人のみどりを地域で守り育てる取組を推進し、区民協働の流れ「みどりのムーブメント」の輪を広げていきます。 また、地域活動に参加したいという区民の背中を後押しするため、「パワーアップカレッジねりま」をリニューアルします。区民の自由な発想から生まれたアイデアを具現化する地域おこしプロジェクトは、実施団体を増やします。 最終章 新たな自治の創造への芽生え   第2次ビジョンは、基本理念の一つとして「区民協働による住民自治」を掲げています。 ここでは、地域の課題をわが事として考え、自主的に取り組まれている区民協働の事例の一部を紹介します。 取組1 自然の中で人と関わりながら、思いっきり遊ぶ原体験を! 子どもの”根っこ”を豊かに育てる環境づくりへの取組 (1)協働の事例紹介 子どもの「あそび場」の運営 子どもが安心してのびのびと遊べる環境が、子どもの心と体が健全に育つために必要不可欠と考え、「こどもの森」や乳幼児向けの野外子育てひろば「おひさまぴよぴよ」など、23区で最もみどり豊かな練馬の特色を活かした「あそび場」を運営しています。 あそび場で出会うゆるやかな人のつながりに見守られながら、子どもがとことん遊んで成長していく、そんな地域づくりに取り組んでいます。 (2)NPO法人あそびっこネットワーク 代表 中川 奈緒美さんのコメント 今どきの子どもたちの生活は、自由な時間と、好きなことができる空間と、一緒に遊ぶ仲間が、どんどん減っているといいます。 「やりたいこと」にとことん熱中する遊びの中で、子どもは自分のありのままを全肯定して成長していきます。遊んで育つ子どもたちをあったかく見守る地域を、みんなで作っていきたいと思っています。 取組2 地域の住民が身近な場所に気軽に集い、お茶を飲みながら、楽しくおしゃべり、いきいき体操 (1)協働の事例紹介「街かどケアカフェの運営」 区内の17か所(平成30年12月時点)で運営される「街かどケアカフェ」では、高齢者をはじめ、地域の方がふらっと立ち寄り、お茶を飲みながら介護予防について学んだり、健康について相談したりすることができます。 区立施設で行われるもののほか、練馬区と協定を締結した団体が運営する「街かどケアカフェ」もたくさんあります。多くの地域団体の協力によって、体操、手芸、ゲームなど、さまざまなイベントが開催されています。 (2)気づき“あい”のあるまちをめざす会・代表 大湊 正男さんからのコメント 南大泉地域集会所にある「街かどケアカフェけやき」で、毎週火曜日と木曜日の午後に「おしゃべりサロンゆったり」を開催しています。 高齢者からお子さんまで、多世代が集える居場所づくりを目指しています。 取組3 スポーツを通じた交流で、障害のある人もない人も、誰もが互いを尊重し、共に活動できる社会へ (1)協働の事例紹介「ユニバーサルスポーツフェスティバルの開催」 障害の有無によってわけ隔てられることなく、誰もが互いを尊重し、共にスポーツを楽しむ場として開催されているイベントです。 スポーツ団体と障害者福祉施設等で構成する実行委員会が運営しています。 ボッチャ、風船バレー、ラダーゲッターなど、誰でも楽しめる種目にチャレンジできます。 今後は、各地域体育館や福祉園などに取組みを広げ、誰もが身近な地域でスポーツを楽しめる環境をつくります。 (2) 公益社団法人練馬区体育協会 代表理事 石川 正子さんのコメント スポーツ団体と障害者福祉施設との協力で開催に至ることができました。 今後も、スポーツを通じて交流の輪を更に広げていきたいと思います。 取組4「自分達でわがまちを災害から守る」という使命感を持ち、地域の防火・防災の要として、安全・安心なまちをつくる (1)協働の事例紹介「地域の消防団活動」 消防団は、会社員や主婦、学生など普段は別に本業がある地域の方たちが、災害発生時に消火・救助活動を行う組織です。 消防団員の方々は、仕事や学業、家事などに従事しながら「自分達でわがまちを災害から守る」という使命感の下、地域の防火・防災の要として幅広い活動を行っています。 区内には、練馬・光が丘・石神井の3つの消防団がありますが、災害に強い安全なまちづくりの実現には欠かせない組織です。 (3) 光が丘消防団所属 竹中 千尋さんからのコメント 消防団の魅力は制服がカッコイイだけでなく、救命の知識が身に付き、災害時に行動できる自信をもてることです。 アットホームな雰囲気で活動でき、今では活動がないと寂しいと感じるほどです。 仕事と重なり、訓練に参加できなくても理解があり、自分のペースで続けられます。 取組5「みどりを楽しむ活動への参加をきっかけに、地域のみどりを守り育てるために、自分事として率先して活動 (1)協働の事例紹介「花壇の自主管理」 みつはし自治会の会員を中心とする有志で、区立大泉橋戸公園内の花壇の自主管理を行っています。 「地域のみどり」=「地域の財産」と考え、ほぼ毎日雑草取りや水やりを行うなど、みどりを守り育てる活動に自発的に取り組んでいます。 公園を訪れる多くの区民が、秋桜(コスモス)やマリーゴールドなど、季節ごとのきれいな花を愛でています。 (2)弁天池花壇管理委員会 委員長 永井 明さんからのコメント 公園のベンチで一休み、そこから眺める花壇の景観に癒されたのが活動のきっかけです。 皆さんもぜひ公園に足を向けてみませんか。 一緒に活動する仲間も募集中です。 取組6「練馬ならではの農業体験を通じて「食の大切さ」や「つくり育てる喜び」を次世代に伝える」 (1)協働の事例紹介「子どもの農業体験」 練馬区立田柄小学校では、総合学習の時間を使って、実際に畑で農作物の収穫体験等を行っています。 大根の種まき、とうもろこしの収穫などの体験を通じて、「食の大切さ」や「つくり育てる喜び」を子どもたちに伝えています。 (2)農業者 吉田 茂雄さんからのコメント 子どもたちには、畑での体験を通して、地元で採れる野菜の美味しさや、災害が発生した時の農地の役割などを伝えています。 いつまでもみどりが引き継がれていくよう、活動を続けたいと思っています。 取組6「練馬産農産物の魅力を「料理」を通じて「人」に伝え、「都市農業ってカッコいい」、「練馬っていいね!」のムーブメントを巻き起こす!」 (1)協働の事例紹介「ネリマ若手シェフズクラブ」 練馬区独立70周年記念事業「地域おこしプロジェクト」の一環として、練馬駅周辺の飲食店シェフ達が立ち上げた団体です。 練馬産農産物を活かしたレシピの開発やオリジナルメニューを味わえるフードイベントの開催などの活動を通じて、料理のプロフェッショナルの立場から、都市農業の魅力を多くの人に伝えています。 (2)ネリマ若手シェフズクラブ代表 高橋智行さんからのコメント 日々、厨房に立ち、練馬産農産物の魅力を十分に知る私たちならではのやり方で、練馬が誇る都市農業の魅力を伝えようと始めました。 地域おこしプロジェクトとして、区と連携しながら、多くの人を巻き込むムーブメントに 広げていきたいです。 以上