映像文化のまち構想 ふだん着で本物を愉しむ 令和3年(2021年)11月 練馬区 1ページ 予告編 練馬はアニメだけじゃない! 練馬区には、昔から映画の撮影所、アニメ会社や映像に関連した会社が多くあり、名作と呼ばれる作品が数多く生み出されてきました。 映画館も多いときには区内に9館あり、今も二つのシネコンには18スクリーンを備え、区民の身近で映像が楽しまれています。 創立百周年を迎えた日本大学芸術学部では、映画、映像制作に寄与した数多くの人材を輩出しています。 作家、監督、脚本家、俳優、漫画家といった映像関係者も多数、在住しています。 令和5年には、映画ハリー・ポッターのスタジオツアー施設がとしまえん跡地にオープンします。 練馬区の多彩な映像資源を活かし、みどり豊かな住宅都市の暮らしを文化で更に豊かにしたい、そうした想いからこの構想を提案します。 作品も場所も人も三拍子揃った練馬にしかできないことを、さあ始めよう! 2ページ コンセプト concept1 発見  「身近な暮らしの中で楽しもう」 鑑賞、体験、創作など多様な機会や場を身近に設けます。 新たな発見や交流を通して、区民の生活を楽しく豊かにします。 concept2 創造  「みんなで参加して創ろう」 区民、大学、映像関連事業者など、多様な主体と協働します。 知恵を出し合い、自由な発想のもと、多彩な取組に挑戦します。 concept3 継承 「未来を見据えできることから始めよう」 短期に実現できる取組とともに、中長期的な取組も合わせて時間をかけ検討し、準備を進めます。 将来を見据え、丁寧に息長く取り組みます。 3つのシーン シナリオ Scene1 出会う 楽しむ ねりま映像文化ウィーク 3ページ、4ページに掲載しています。 Scene2 みどりと映像文化の響奏 新生・美術館 5ページ、6ページに掲載しています。 Scene3 映像文化を歩いて感じる NERIWOOD 7ページ、8ページに掲載しています。 Special Edition メイキング・オブ ハリー・ポッター 9ページ、10ページに掲載しています。 映像文化 映像には映画、アニメ、テレビ映像をはじめ、最新のテクノロジーを活用したプロジェクションマッピングなど、様々なメディアや形態があります。 それらにかかわる文学や美術、音楽、写真、デザイン、ポスター、作家・監督・俳優・漫画家・制作スタッフなどの作り手、映像作品を楽しむ観客なども含め、映像を文化の視点から幅広く捉えていきます。 3ページ、4ページ Scene1 出会う 楽しむ ねりま映像文化ウィーク ・妻も、小学生の息子も、練馬こども園に通う娘も、家族みんなが楽しみにしている「ねりま映像文化ウィーク」が、今年もいよいよ始まる。 ・「ねりま映像文化ウィーク」の幕開け  まずは練馬文化センターの映画祭へ。  毎年企画のひねりがきいていて、これまで見逃していた映画も含めて何本も大画面で観られるし、シンポジウムでは上映作品の奥深さを監督や俳優が熱く語ってくれる。  妻と感想を話し合って盛り上がろう。 ・区内各地でも  来週からは、区内各地で関連イベントが開催される。  妻のお気に入りは江古田の三大学と商店街のコラボイベントだ。  毎年映像にちなんだ食事やお菓子など、商店街のお店が工夫を凝らしている。  子どもたちのリクエストは、大泉エリアのアニメのおまつり。  いつもけんかばかりしているが、この日ばかりは仲良く楽しんでいる。 ・映像文化を発信するホームページ  ねりま映像文化ウィークのイベント情報は、ホームページ「映像文化まち ねりま」でチェックしている。  練馬ゆかりの映画監督や俳優のインタビューが頻繁に更新されるので、ツイッターで更新の通知が来るのを心待ちにしている。  他にも、練馬と映像文化の全てがわかるホームページを謳っているだけあって、年表・マップ・用語辞典など色々な角度から練馬と映像の深いつながりが分かるようになっている。  ここを見るとなんだか自分が練馬に住んでいることを少し誇らしく感じる。 概要  早春の練馬こぶしハーフマラソン、春の照姫まつり、夏の音楽祭、秋の練馬薪能、練馬まつりに続く、練馬区の新たなイベントとして「ねりま映像文化ウィーク」を開催します。  おひとり様でも、グループでも、家族でもみんなで楽しめるイベントを実施します。  観客も参加し、新たな発見や出会い、交流が生まれるイベントを企画します。 主な取組 ●(仮称)ねりま映像文化ウィークの開催  練馬区の映像文化資源を活かしたイベントを「ウィーク」の中で、多様な主体との協働により開催します。 ・(仮称)ねりまの森の映画祭  映画やアニメの上映会、監督、原作者、俳優を招聘してシンポジウムやトークショー、音楽と映像がコラボしたコンサートなど多彩な企画を実施します。  新しい映像アートも活用し、子どもから大人まで誰もが楽しめる、区民参加型のイベントを開催します。 ・映像文化企画展  映画祭の企画内容に合わせて、石神井公園ふるさと文化館やリニューアル後の区立美術館で、特別展や企画展を開催します。  また、各図書館では企画に関連した図書の紹介や映画会などを行います。 関連する取組 ●ホームページの開設  ねりま映像文化ウィークの開催や映像文化企画展の告知、区内大学等の調査・研究成果など、映像文化に関する情報を幅広く発信するホームページを開設します。  現在アニメに関する情報を発信している「練馬アニメーションサイト」もこのホームページに統合します。  YouTubeに専用チャンネルを開設し、練馬ゆかりの映画人の対談動画を配信します。 5ページ、6ページ Scene3 みどりと映像文化の響奏 新生・美術館 ・この春、江古田の大学に入学した私。  先輩に「練馬を知るなら、映像文化のまち ねりまがいいよ」と聞いて覗いてみたら、みどりと映像文化のマップを見つけた。  新緑の美しい週末、マップのポイントを訪ねてみよう。 ・まちにひらかれた美術館  西武池袋線の中村橋駅を降りたら、もうそこからアートな空間がはじまった。  駅構内のデジタルサイネージでは企画展や映像文化イベントの情報が発信されている。  アートに彩られた歩道を通り、みどりの前庭から美術館のエントランスへ。  こんなに身近な場所で本格的な企画展を楽しめて、ラッキーだ。  最新の設備を活かした映像作品も迫力がある。  同じ建物内の図書館とも開放的なフロアでつながっていて、世界の美術館がWEBで発信している情報も見られる映像文化コーナーが充実している。  思わず時間を忘れてしまった。  美術館を出て商店街を歩くと、絵画や写真、映像などの作品がところどころお店や街角に展示され、まるでまち全体が美術館だ。   ・みどりの中の映像文化の道  マップに載っている「映像文化の道」をめざして、商店街を抜けて目白通りを北へ。  街路樹の新緑にアート作品が点在する歩道をのんびり進むと、大きな森が見えてきた。  ここは昔、遊園地だったそうだが、広大な公園になっていて、みどりに包まれた散策で久しぶりにリフレッシュできた。 概要  全面リニューアルする区立美術館は、練馬の映像文化を発信する新たな拠点となります。  区立美術館から、新たに整備される都市計画道路を通って、みどり溢れる練馬城址公園へと繋がります。  都心に行かずとも、みどり豊かな住宅都市の中で「本物」に出会える場所を創出します。 主な取組 ●区立美術館のリニューアル  「まちと一体となった美術館」、「本物のアートに出会える美術館」、「併設の図書館と融合する美術館」の3つのコンセプトの実現に向け、全面リニューアルを行います。  美術の森緑地と商店街・駅へ続く動線を一体化して、美術館を核とした街並みを実現します。  美術館と一体的に改築する貫井図書館をはじめ、図書館は改修等に合わせて映像文化の情報発信や展示機能の強化を検討します。 関連する取組 ●映像文化の道  区立美術館と練馬城址公園を結ぶ都市計画道路補助133 号線を「(仮称)映像文化の道」として、各拠点を結ぶ取組を検討します。 ●区内大学との連携  日本大学芸術学部、武蔵大学、武蔵野音楽大学と連携し、各大学の特色や施設を活かした映像文化企画展などを開催します。 ●アーカイブ機能の整備  区内の企業や大学等が所蔵する映像文化関連資料の調査、情報収集を行い、「映像文化資料総合目録」としてまとめます。  区へ寄贈、寄託された映像資料の保管・活用も検討します。 7ページ、8ページ Scene3 映像文化を歩いて感じる NERIWOOD   ・私は生まれも育ちも大泉。  子どものころから撮影所やアニメスタジオが近所にあり、俳優さんや撮影現場もよく見てきた。  知る人ぞ知る映像文化発祥の地だと思っていたが、最近は「ねりウッド」として知られるようになった。 ・まちに広がる映像文化  駅には、映画のロケ地や漫画・アニメに登場する場所などを紹介した観光案内板があって、映像文化イベントの情報もデジタルサイネージでリアルタイムに発信している。  大泉学園駅のアニメゲートにほど近いギャラリーには、練馬ゆかりの作家による漫画やアニメ、映画の貴重な資料が展示されている。  商店街を歩くとフラッグ、マンホール、モニュメントなどで映画やアニメのキャラクターに出会える。   ・古くて新しい映画とアニメを体感  駅から撮影所やアニメーションミュージアム、映画館までの一帯が「ねりウッド」と呼ばれ、ファンにはたまらないスポットになっている。  東映創立80周年・仮面ライダー60周年記念など、記念の年に合わせ、東映、東映アニメーション、区内企業と連携したイベントが開催される。 ・若手映像作家が巣立つ場所  映像文化の創作活動をする若者に制作や発表の場を提供するスタジオ兼ギャラリーもあって、とんがった感性に出会えるのが楽しみだ。 概要 ・大泉には、昭和初期に映画撮影所が開設され現在も東映東京撮影所があり、数多くの作品が制作されています。  また、東洋のディズニーを目指した東映動画株式会社(東映アニメーション株式会社)が創立され、現在も東映アニメーション大泉スタジオでは、優れた作品が作られ続けています。  練馬の映像文化の豊かさに触れ、感じられる街並みづくりを目指します。 主な取組 ●映画とアニメシンボルロードの整備  大泉学園駅から東映東京撮影所に至る道を、「(仮称)映画とアニメシンボルロード」とし、キャラクターモニュメントやフラッグ、デザインマンホール等を設置します。  また、大江戸線の新駅予定地周辺のまちづくりにおいても、映像文化資源の活用を検討します。 ●ゆめりあホールギャラリー等の活用  ゆめりあホールギャラリーを活用して、区ゆかりの漫画家と連携し、映像文化作品等の展示を行います。  また、勤労福祉会館は、大規模改修に合わせて展示機能等の整備を検討します。 ●鉄道高架下や空家等を活用した創作・発表の場の提供  映像文化の担い手を育成・支援するため、創作活動や発表の場として、鉄道高架下や商店街の空き店舗・空家等の活用を検討します。 関連する取組 ●石神井公園ふるさと文化館、分室のリニューアル  常設展示をリニューアルし、映画やアニメ等に係る映像文化関連資料をいつでも見られるようにします。 ●東映、東映アニメーション等区内企業や商店街と連携したイベントの開催  東映、東映アニメーション、区内企業や商店街と連携したイベントの開催を検討します。 9、10ページ Special Edition メイキング・オブ ハリー・ポッター ・この春、待ちに待った「ハリー・ポッター」のスタジオツアー施設が、としまえんの跡地に開園した。  小学生の頃、母に連れられて映画館で観た魔法の世界を体感できるなんて夢のようだ。  原作ファンの母を誘って出掛けよう。 ・駅から始まる映画の世界  池袋駅から豊島園駅行きの電車に乗った。  電車の中からすでに映画の世界が始まっていたが、降り立ったプラットホームにも映画の世界が広がっていた。  まるで映画のワンシーンの舞台に立ったような感じだ。  みどりの中を抜けると、目の前にはスタジオツアー施設が見えてきた。ロンドンに次いで世界で二番目の施設というから驚きだ。 ・映画のワンシーンを体験  完全予約制のスタジオツアーでは、撮影で実際に使用された本物の衣装や小道具が展示され、映画のシーンを体験することができる。  ハリーたちの母校である「ホグワーツ魔法魔術学校」の大広間や寮の談話室など、映画で実際に使われたセットを巡り、魔法の特殊効果の仕組みを知ることができた。  劇中で使用された制服やドレスなどの衣装、小道具や魔法のアイテムといった展示物を観ていると、気分はホグワーツに入学した新入生になったようだ。  歩き疲れたら、カフェテリアで一休み。  映画にも登場した「バタービール」に舌鼓を打ちながら「あのセットの仕掛けには驚いた!」と興奮した様子の母。    映画の世界の舞台裏や撮影の秘密を体験し、初めて映画館で鑑賞したときの感動が思い出された。  家に帰ったら、もう一度映画を見返してみよう。  今後順次公開予定のシリーズ最新作も楽しみだ。 概要  ワーナーブラザースによる「スタジオツアー東京-メイキング・オブ ハリー・ポッター」が、令和5年(2023年)前半に遊園地「としまえん」跡地にオープンします。  スタジオツアー東京は、ロンドンに次ぐ世界で2番目(アジアで初)の施設であり、練馬城址公園と合わせ、練馬の魅力を高める新たなにぎわいの拠点になります。 主な取組 ●練馬城址公園の整備  東京都が整備する練馬城址公園は、都、区、民間事業者で締結した覚書に基づき、「緑と水」「広域防災拠点」「にぎわい」の機能を備えた公園の実現に向け整備が進められるよう働きかけます。 ●スタジオツアーオープンイベントの開催  スタジオツアー施設の開設に合わせ、練馬ならではの映像文化資源を活かしたイベントを実施します。 ●映像文化体験機会の充実  子どもの頃から映像文化に触れ、映像文化に興味を持つきっかけづくりとなる体験企画を、大学や企業と連携して実施します。 関連する取組 ●練馬駅から豊島園駅間のにぎわいの創出  スタジオツアー施設のオープンを機に、周辺町会、商店会、観光センターと連携し、練馬駅から豊島園駅間のにぎわいを創出する仕組みを検討します。 ●観光マップの作成、観光案内板のリニューアル  区内の映像関連施設、ロケ地、イベント等をまとめたマップを発行し、ホームページにも掲載してまち歩き観光に活用します。  映像文化をリアルタイムで発信できるデジタルサイネージなどを取り入れ、観光案内板のリニューアルを行います。  観光案内所を映像文化の情報発信にも活用します。 11ページ 「(仮称)映像文化のまちチーム」をつくります この構想は映像文化のまちづくりを進める上でのシナリオ、言わばラフスケッチです。 構想を深化させ、具体的に展開するために、映像、音楽、美術など各分野の有識者や区民、区内企業、区内三大学などに呼びかけ「(仮称)映像文化のまちチーム」を立ち上げます。 それぞれの専門知識や民間の自由な発想を活かし、様々な企画の提案を行うとともに、各主体が担う役割についても検討し、具体的取組につなげます。 区民の力を結集して、練馬の映像文化を活き活きと魅力的に輝かせましょう。 13、14ページ 映像文化のまち ねりまの歩み 練馬には昭和7年(1932)不二映画撮影所の設立以来、映画の撮影所、アニメ会社など映像に関連した会社が多くあり、今に至るまで数多くの作品がこの練馬の地でつくり出されてきました。 1932年(昭和7年) 不二映画撮影所が【向山(豊島園)】に設立 1935年(昭和10年) 新興キネマ東京撮影所が【大泉】に完成 1939年(昭和14年) 日本大学芸術科江古田校舎(現:日本大学芸術学部)が新築落成 1947年(昭和22年) 太泉スタジオ(後に太泉映画)が【大泉】に設立 1951年(昭和26年) 太泉映画他2社が合併し、東映東京撮影所が【大泉】に設立 1956年(昭和31年) 東映動画(現:東映アニメーション)が【大泉】に設立 1958年(昭和33年) 日本初の長編カラーアニメーション映画『白蛇伝』公開(東映動画) 1961年(昭和36年) 手塚治虫プロダクション動画部(後に虫プロダクション)が【富士見台】に設立 日本初の連続1時間ドラマ『特別機動捜査隊』放送開始(東映) 1963年(昭和38年) 日本初の30分枠連続テレビアニメ『鉄腕アトム』放送開始(虫プロダクション) 1984年(昭和59年) 練馬文化センターなどで撮影が行われた『Wの悲劇』公開(KADOKAWA) 2000年(平成12年) 『相棒』『平成仮面ライダー』シリーズ放送開始(東映) 2001年(平成13年) T・ジョイ大泉(現:T・ジョイSEIBU大泉)開業 2004年(平成16年) ユナイテッド・シネマとしまえん開業 2011年(平成23年) 練馬区公式アニメキャラクター「ねり丸」誕生 2015年(平成27年) 「大泉アニメゲート」オープン 2020年(令和2年) 映像∞文化のまち構想(素案)公表 2021年(令和3年) 特設ホームページ「映像∞文化のまち ねりまPROLOGUE」開設 映像∞文化のまち構想策定 以上