練馬区障害者計画懇談会意見書 令和2年10月 目次 1 計画の構成、基本理念、計画策定の視点 1ページ 2 施策の方向性 施策1 障害福祉サービス基盤の整備と住まいの確保 2ページ 施策2 相談支援体制の強化 4ページ 施策3 障害者の就労を促進 6ページ 施策4 障害児の健やかな成長を支援 8ページ 施策5 安心して暮らせる共生社会の実現と社会参加の促進 10ページ 施策6 保健・医療体制の充実 12ページ 3 資料編 練馬区障害者計画懇談会開催経過 14ページ 練馬区障害者計画懇談会委員名簿 15ページ 【障害者計画懇談会意見書について】 区では、現在の「練馬区障害者計画(一部改定)・第五期障害福祉計画・第一期障害児福祉計画」の計画期間が今年度で終了するため、来年度から始まる練馬区障害者計画・第六期障害福祉計画・第二期障害児福祉計画(以下、次期計画という)を策定することとしました。 次期計画の策定にあたっては、地域における障害者当事者等の生活状況や意向などを捉え、障害者その他関係者の意見を聴きながら行います。 令和元年度に設置した練馬区障害者計画懇談会は、公募区民、障害者団体関係者、障害福祉サービス事業者、学校関係者、障害者就労支援関係者、医療関係者、学識経験者により構成され、障害当事者や支援者、区民等の様々な立場から、次期計画に盛り込むべき施策の方向性などについて協議しました。  区は、同懇談会における意見をまとめた練馬区障害者計画懇談会意見書を踏まえ、次期計画を策定します。 (意見書の構成) ・委員の意見を、施策ごとに掲載しています。 ・提言は、個別意見を集約し、懇談会の総意として計画に反映すべき事項をまとめたものです。 ・提言に続く、○で示した意見は主な意見を列記したものです。なお、趣旨が同じものは一つにまとめています。 練馬区障害者計画懇談会意見書の提出にあたって この度、次期練馬区障害者計画(令和3年度〜令和8年度)・第六期障害福祉計画・第二期障害児福祉計画(令和3年度〜令和5年度)の策定にあたり、練馬区障害者計画懇談会意見書を提出する運びとなりました。令和元年11月から令和2年9月まで、実に6回の議論を重ねてきました。この間、コロナ禍という想定外の出来事があり、会議の中止や文書審議での開催となることもありましたが、公募区民8名を含む全29名の委員は積極的に意見を述べ、毎回時間が足りなくなるほどの懇談会の開催が続きました。練馬区においては、障害者総数が32,316人であり、人口の約4.4%に相当(平成30年度末)します。三障害全てが増加傾向にあり、障害者相談件数が平成26年度〜平成30年度まで12.8%伸びており、障害児向けサービスの利用者も48.4%増加しています。一方で、練馬区内の事業者の約6割が職員不足を指摘しています。練馬区内の障害者の重度化・高齢化を踏まえ、「施策1 障害福祉サービス基盤の整備と住まいの確保」「施策2 相談支援体制の強化」「施策3 障害者の就労を促進」「施策4 障害児の健やかな成長を支援」「施策5 安心して暮らせる共生社会の実現と社会参加の促進」「施策6 保健・医療体制の充実」を議論の柱として懇談会では意見書をまとめました。特に、ライフステージに応じた保健・医療・教育・福祉等が切れ目なく支援されることや当事者の視点から社会参加や生きがい、学習の機会が保障されることが指摘されました。また、重度障害児者の支援とともに、ひきこもりや発達障害者等グレーゾーンの人々への支援の重要性も議論されました。国連の障害者権利条約が採択されたことを踏まえ、障害のある人もない人も地域の中で自立して暮らし続けられる共生社会が実現できるよう、地域生活支援拠点等による親亡き後を踏まえた住まいや相談支援の確保が求められています。近年、社会福祉法の改正で地域福祉計画との関係も重要となっています。練馬区の特徴として農福連携も議論されました。懇談会委員の思いが凝縮された意見書に基づいて、計画策定が行われることを懇談会委員一同、心より願っています。 座長 中島 修 練馬区の「障害者計画・第五期障害福祉計画・第一期障害児福祉計画」は今年度で計画期間が終了するため、次期計画の方向性を話し合うための懇談会が設置されました。人と人のつながりこそが大切にされるべき時代に、新型コロナウイルス感染症対策として人との距離を保つことを求める新しい生活様式への対応が求められることになるとは誰もが想定外でした。そのような中、中島座長のリーダーシップのもと多くの委員の皆さんに参加していただき、中身の濃い懇談となりました。懇談会を通して、次のことを感じました。一つ目に、計画の対象者でもある当事者の声がより多く反映された計画であることが望ましいと考えます。懇談会には多くの障害当事者や家族が参加し討議をしてきましたが、当事者ならではの意見にはいつもハッとさせられました。「私たち抜きに、私たちのことを決めないで」という障害者権利条約のスローガンのように、地域で暮らす障害のある人たちのための計画となるよう意見書の内容を是非とも反映していただきたいと願っています。二つ目に、意見書で示している提言や意見は重点的に取り組んでいただきたい点や懇談で出された意見であり、計画に盛り込むべき内容が必ずしも網羅されていないことにご留意ください。障害のある人は年齢も生きづらさも多様であり、障害者計画やいわゆる障害者施策ではカバーしきれないニーズも存在しています。それらにも漏れなく対応するためには、地域におけるセーフティネットが重要です。そのために、障害者計画だけでなく、関連する行政計画や地域福祉計画などにおいて行政施策に横串を通していただき、地域で暮らす障害のある人のニーズが網の目からこぼれ落ちないようにしていただきたいと願います。計画の基本理念実現に向けて、本意見書を踏まえた施策の展開を期待しております。 副座長 丸山 晃 1 計画の構成、基本理念、計画策定の視点 【提言】 1 基本理念の実現のために、「あんしん」・「いきがい」・「つながり」という計画策定の視点に立った、きめ細やかな施策を望む。 【主な意見】 @ 計画の構成について  ○計画の構成に沿った実践を期待したい。 ○高齢者、子ども、医療等の他計画や地域福祉計画との連携が重要になってきている。これらの計画との整合性についても検討してほしい。 ○障害者基礎調査で明らかになった点を、計画にどう反映していくのかを明確にするべきである。 ○成果目標等の設定にあたり、コロナの状況下では、現状より高い目標値の設定は難しいのではないか。 A 基本理念の考え方、計画策定の視点について  ○基本理念の継続が図られており、区の姿勢が長年変わらずにいることに安心感がある。 ○福祉サービス事業者の一員として、基本理念の実現のために貢献したい。 ○基本理念を具体的な形で区民一人ひとりがイメージできるよう、実際の活動の現場で取り組んでいきたい。 ○「人権を尊重する」ことは、その障害を知らずしては成し得ない。それぞれの障害についての正しい理解を促進していくことが必要である。 ○基本理念について、当事者の姿をイメージしてつくられた文章であることが大切である。 ○「自立」の定義について、障害当事者がどのように考えているのかが重要である。また、「自立」するために頼れる人や信頼できる仲間をつくるという考え方も必要である。 2 施策の方向性 施策1 障害福祉サービス基盤の整備と住まいの確保 【提言】 1 障害者の重度化・高齢化への対応は喫緊の課題であり、当事者が地域で暮らし続けるために、家族支援も含めた体制強化を進めるべきである。 2 障害者が自分の希望する暮らし方を実現するために、住まいの確保やひとり暮らしを支える支援、体験の場の確保など、個々の状況に応じた支援が必要である。 3 障害福祉サービス事業所が適切なサービスを提供するためには、福祉人材を育成するとともに、事業者への運営支援も必要である。 【主な意見】 @ 障害者の重度化・高齢化への対応について  ○超高齢社会になり、緊急時や親亡き後も安心して自立して暮らしていくために、それぞれの個性に合った支援を考えていく必要がある。 ○親の介護を行う年齢になると、親と子のダブル介護となる家庭もある。ショートステイの充実や、家族以外に支援ができる環境づくりが必要である。 ○支援者・介助者に対する支援はまだ不足していると感じている。家族支援を含め、支援者・介助者の不在、もしくは援助してもらえなくなったときのことも考えて、レスパイトケアや新たなサービスが必要ではないか。 ○医療的ケアをしている家族の負担軽減を考えると、医療施設でレスパイトできるところを考えた方がいいのではないか。 A 地域移行、地域生活の継続・住まいの確保について  ○住まいは自立生活をしていく基盤であり、グループホームの拡充は課題である。サテライト型や滞在型が増えると、地域移行が加速するのではないか。 ○家族以外の人と暮らす体験をできる場や、支援組織を作ってほしい。少しの手助けで一人暮らしをできる障害者は多いのではないか。 ○将来の自分の生活環境や生き方をイメージすることは難しいため、サービスを利用してライフステージやニーズに合った多様な社会経験をできる場をつくり、意思を伝える手段の獲得や意思決定支援の充実が必要である。 ○グループホームだけではなく、ひとり暮らしを支える仕組みや支援力が強化されると選択肢は広がるのではないか。 ○「家族と暮らしたい」という希望を実現するための仕組みづくりが必要である。一方で、施設で生活したい人もいるので、それぞれの希望が叶えられるとよい。 B 事業者の人材確保・人材育成について  ○事業所の運営においては人材が永遠のテーマである。福祉関係は、やはり人材がいないと何もできない。 ○人材を確保するにあたっては、労力と賃金の差が大きい。これまでどおりの取組では難しいのではないか。 施策2 相談支援体制の強化 【提言】 1 障害者やその家族が安心して相談できるよう、相談支援事業所を拡充するとともに、相談支援専門員の専門性や質の向上を図るべきである。 2 障害者の高齢化に伴う課題に対応するため、障害分野と高齢分野の連携強化が必要である。 3 ひきこもりや8050問題などの複合的な課題に対しては、関係機関が連携し、当事者だけではなく、家族も含めた丁寧な支援が求められる。また、支援を必要とする人が地域で孤立しないための支えが必要である。 【主な意見】 @ 相談支援体制の充実について  ○相談支援専門員一人が担当するケースも多いので、計画相談支援事業所、または相談支援専門員を増やし、利用者が安心して相談できる体制が必要である。 ○知的障害当事者から、安心して相談することができないとの声を複数聞いており、相談支援専門員の質の向上を含め、相談支援体制の充実が必要である。相談支援において重要なのは、件数ではなく質であり、障害者地域生活支援センターは相談支援機能をきちんと果たしていく必要がある。 ○たらい回しにせず、サービスなどの情報を迅速かつ的確に提供できるような相談の仕組みを作ってほしい。 ○精神障害者の相談先として、保健相談所や障害者地域生活支援センターの利用促進や周知の充実が必要ではないか。 A 障害者の高齢化について  ○障害者が高齢化し、親亡き後の対応や別の障害との重複化、介護保険サービスへの移行など、障害者の高齢化に伴う課題を感じている。 ○高齢になり、一人暮らしや家族のいない人が増える現状を考えると、居宅介護や同行援護などのサービスを充実してほしい。また、障害福祉サービスから介護保険へ移行したときに、サービス等を低下させないための支援が必要である。 B 障害特性に応じたきめ細やかな支援、関係機関の連携強化について  ○地域精神保健相談員の方々が精神疾患患者へ訪問支援(アウトリーチ)を実施しているが、ひきこもりの方々や支援につながっていない方々の声も次期計画に反映されるとよい。 ○精神障害者の状況を改善するための、カウンセラーの人材が不足しているのではないか。 ○発達障害のある方々への支援を今後も一層充実させてほしい。 ○三障害全て増加傾向にあり、特に精神疾患のある方が増えている現状を踏まえ、区内精神科病院や近隣の病院、関係機関も含めた相談体制の基盤を構築することはできないか。障害者の地域生活を支えていくためにも必要なネットワークとなる。大切なのは、どこに相談していいか分からない、相談することにためらいがある、周囲に知られたくないといった様々な問題をクリアすることである。 ○多様な障害特性や生活環境がある中で、「困っている」という声をあげられない人も多い。地域に埋もれているニーズを拾い、必要な人に支援を届けるためには、地域の人の見守りや関係機関の連携など、様々な支えが必要になる。 ○当事者も高齢化しているが、その家族も高齢化しており、支援がなく困窮してしまう8050問題がある。当事者だけではなく、世帯丸ごとの支援が重要である。信頼できる相談支援体制があること、家族と当事者に寄り添った地域社会をつくることが大切ではないか。 施策3 障害者の就労を促進 【提言】 1 一般就労および福祉的就労における障害者の多様な就労ニーズに応えるために、個々の障害特性や状況に応じた支援が必要である。 2 就労を継続していくためには、社会生活における様々な課題を踏まえ、多角的な支援を検討していく必要がある。 3 関係者と広く連携した、練馬区ならではの農福連携の実現を望む。  【主な意見】 @ 一般就労・福祉的就労について  ○「働きたい」という気持ちを支え、支援するためには、一人ひとりの状況や特性に応じた多様な支援、働き方の提案が必要であることに加え、きめ細やかな支援も求められている。 ○障害者基礎調査の結果から、障害者雇用の推進が少しずつ図られてきたこと、働き方の意識が多様性の理解に変化したことが分かる。 ○区内企業に対する、障害理解と雇用促進ということであれば、事業所と企業が知り合う機会を設けたり、企業が求める人材を事業所へ提示したりするなどの連携があるとよい。 ○就職者数といった数字だけではなく、働いている環境などの障害者の状況を踏まえた就労支援が重要である。 ○就労して5年、10年経った障害者の相談窓口が不足している。年齢や体力低下なども踏まえた就労のあり方など、どこに相談したらよいか分からないという声もある。 ○活字処理や書類の読み書きなど、事務社会の中で視覚障害者が一般就労するのは難しいのが現状である。情報処理の日常生活用品などについて、支援ソフトの助成金額を上げたり、耐用年数を下げるなどの支援が必要ではないか。 ○視覚障害者で針きゅう、あん摩マッサージ師をされている方たちの職域が奪われないよう考えていくことも必要である。 ○障害者の就労の後押しをするため、法定雇用率が定められているが、難病患者にも適用されるべきである。 ○障害者基礎調査の結果において、就労における知的障害者の年収で、20万以下が多く、300万円以上がいないというのは課題である。 ○今後の災害や今般の新型コロナウイルス感染拡大の状況を考えると、地域での就労機会の多様化や量的拡大は必須である。 ○福祉作業所の工賃の向上を図るための経営コンサルタント派遣に期待する。 ○福祉作業所の一部生活介護化について、通所の際の配慮が必要ではないか。通所に移動支援を利用している人もいるが、支給量の関係で余暇活動等に利用できなくなっている人もいる。 A 就労の継続について  ○就職率とともに、定着率も気になっており、社会生活を営むための生活習慣の体得なども必要である。就労支援機関と就労支援事業所との連携がより一層求められているのではないか。 ○就労を継続していくために必要な力は、直接的なスキルだけではない。金銭管理や対人コミュニケーションなど、様々な分野の未学習による課題が非常に多く、それがトラブルになって表面化し離職につながるケースもある。就労継続のために必要な支援は多角的に捉えていく必要がある。 ○就職者数の半数が精神障害者ではあるが、離職率も高いと聞いている。更なる支援が必要ではないか。 B 農福連携について  ○障害者施設と農業者等が協働で行う福祉連携農園について、以前農家の方から夢があると聞いており、実現を楽しみにしている。 ○農福連携について、後継者の育成といった都市農業の現状を踏まえた中長期的な連携体制づくりを検討していくことはできないか。 ○農業だけでなく、多様な連携により、障害者が働ける場を広げていけるのではないか。 施策4 障害児の健やかな成長を支援 【提言】 1 障害児が成長し、将来、自立した生活を送れるよう、早期発見・早期療育の充実が必要である。また、重度障害児の地域生活を支援する取組も必要である。 2 教員や生徒の障害への理解を促進し、障害児が学校で安心して学べるよう、関係機関の連携を強化していくべきである。 3 障害児を育てる家族の負担軽減や、障害児を兄弟姉妹に持つ子どもたちへのサポートが必要である。 【主な意見】 @ 早期発見・早期療育、重度障害児について  ○発達障害の表れ方は広範囲で多様であり、特に、知的に障害を伴わない場合は保護者も気付きづらく、ちょっと変わった子、困った子と見過ごされがちである。また、思春期、青年期以降に二次障害・合併症を併発(不登校、うつ、ひきこもり等)してから、診断されるケースが多くある。早期の対応は二次障害を予防し、学齢期や就労期における社会生活上のつまづきの軽減を期待できるため、早期の発見、早期に必要な支援につながる仕組みの強化をしてほしい。 ○知的障害を伴わない発達障害児が最近増えているが、小さい頃から療育していくことで、将来的には仕事にも就け、自尊心をもって生活することができると考える。発達障害児の早期療育に目を向けていくと、この課題を改善できるのではないか。 ○早期療育に関して、こども発達支援センターの現状をみると、需要と供給が合っていない。練馬区にも療育センターが必要ではないか。 ○重症心身障害児・医療的ケア児支援の施策に引き続き取り組んでほしい。 ○重症心身障害児の放課後等デイサービス事業所の拡充はお願いしたい。 A 教育と福祉の連携について  ○教育と福祉の連携をもっと密にしてほしい。子どもの頃から障害のある子と一緒に過ごし、どういうサポートをすればいいのか自然に身に付くことが当たり前の状況を作ってほしい。 ○聴覚障害のある児童が地域の学校で学べるよう、情報保障が必要ではないか。ハード面だけではなく、教員の配慮や学校のサポートなどのソフト面も必要となってくるため、教育と福祉の連携強化は重要である。 ○障害当事者が学校教育のときから生涯学習の視点を持ち、地域社会における福祉や社会教育における学びの機会を得ながら、よりよく生きていけるよう、学校教育・社会教育・児童福祉・障害福祉の四者が連携を図ることが大切である。早期から地域の中で地域住民と関わる機会をつくり、ゆるやかに移行していけるような仕組みを構築する必要がある。 ○社会に出た当事者がどのような生活をしているのかを現場の教員が把握しづらい状況にある。教員向けの講座で、社会に出た後の話しを当事者がしたところ、具体的なイメージをもって指導に活かせるという声があった。このような当事者の移行をスムーズにしていく取組を増やすことが重要である。 B 家族への支援について  ○こども発達支援センターへの相談が増えていることもあり、障害児一時預かりを希望する方は多く、必要性が高いと考える。 ○障害児を育てるご家族、特に母親にかかる負担は大きく、また、きょうだい児も生きづらさを感じている子たちがいる。小規模の家族会、小学生や中学生も含めたきょうだい児の心のフォローができる交流の場などを作り、ねりま区報やSNSで呼びかけるといった取組により支援できるのではないか。 ○自分の周りにいる知的障害児を育てる母親の中には、預け先がないことで困っている方がいると同時に、近隣で短時間だけ働きたいという方もいる。これらをマッチングさせれば、課題解決につながるのではないか。 ○訪問入浴の家庭への支援は大変有り難いが、家のお風呂は狭く入浴がなかなか難しい。どこかの施設で、入浴だけできるような仕組みがあるとよい。また、学校帰りに迎えに来てもらい、入浴して自宅に送るといった支援があると助かる。 施策5  安心して暮らせる共生社会の実現と社会参加の促進 【提言】 1 障害者差別の解消や合理的配慮の提供、成年後見制度などの権利擁護について、障害当事者だけでなく、地域住民、事業者など、広く地域社会に普及する取組が必要である。 2 障害者が安心して地域で暮らすために、災害対策の充実やバリアフリーの促進、地域の障害理解に更に取り組むべきである。 3 学習の機会など多様な社会参加の場の確保や、社会参加をサポートするための情報提供や支援者の育成といった支援体制の充実が必要である。 【主な意見】 @ 権利擁護の推進について  ○合理的配慮の意味を分かりやすく、具体的に区民に示すことができると、実際の生活の中で意識されるのではないか。 ○少し配慮していただければ一人で生活できる障害者はたくさんいる。当事者だけでなく、事業所やお店など社会に対しての合理的配慮の周知を充実してほしい。 ○障害特性や接し方など、障害のある方への理解がもっと進めばよい。 ○精神疾患のある方が増えており、障害者差別を受けていると感じている方もたくさんいる。また、成年後見制度を知らない方が半数近くいるというのも、重く受け止めなければならないことである。小・中学校の段階で、分かりやすく権利擁護を説明する取組をしてほしい。 ○障害者基礎調査の結果で、「成年後見制度の必要がない」の回答が52.2%は多い。費用がかかることや手続きが面倒だとか聞くが、情報不足によるものではないか。 ○障害者を支える「暖かく見守る地域のまなざし」が必要である。 ○消費者保護の観点から、地域で暮らす障害者の見守りネットワークのようなものを検討してもいいのではないか。 A 安全・安心のまちづくりについて  ○近年地震が多く不安である。防災・安全対策について、福祉避難所の仕組みなど情報提供してほしい。 ○視覚障害者の場合、災害が起きたとき、様子が分からず外に出られないことが予想され、どのような形で支援がくるのか不安がある。また、避難所での生活も、情報提供やトイレなどの不安がある。 ○福祉避難所の充実も良いが、災害の状況によっては、小・中学校の一般の避難所で生活すると思うので、町会や民生委員など、地域への理解啓発を進めてほしい。 ○阪神淡路大震災では、心の傷を負った方が避難所の集団生活に馴染めなかったと聞いた。大震災が起きたら、身体だけではなく、心のケアも必要ではないか。 ○車いす利用者の歩道が狭いことは、まだまだ多く、バリアフリーが進んでいないところが多い。また、大人用ベッド付きのユニバーサルトイレも不足している。 ○ユニバーサルデザインやバリアフリーについて、様々な障害特性があるということを事業者等に伝えてほしい。 ○ユニバーサルデザインを学ぶにあたって、障害者を一方的な被支援者と位置付けてしまうことは共生社会の在り方に逆行している。誰しも得手不得手があるという前提のもと、それぞれ得意なことや視点をかけあわせてまちづくりをしていこうという視点を持つべきである。 ○外出時、歩道が狭く、放置自転車などで歩きにくいといったことがある。取締りなどの対応はあるが、一般人の理解と協力も大事である。 ○駅のホームドアがなく、視覚障害者の方が亡くなる事故があった。周りの人の声かけが大事なので、ハード面の整備に加え、声かけのキャンペーンなども推進してほしい。 B 情報保障について ○様々な施策において、「心」のバリアフリーおよび「情報」のバリアフリーが重要である。 ○情報発信にも関わるが、パソコン等も充実し、会議資料を事前にメールでもらうことや、当日点字資料をもらうことができるようになった。公共機関だけではなく、民間でもこういった取組ができることを周知してほしい。 ○障害があっても、自分の意思のもとに自分なりの生き方を実現しようとするとき、より多くの選択肢を持てることが望ましいといった趣旨の意見が、知的障害のある当事者から出ている。情報提供の方法については、当事者とともに検討してほしい。 C 社会参加について ○障害者の社会参加について、第三者がどのような支援ができるのか、また、支援したいと思っている人たちに情報が伝わっていないのではないかと考える。 ○社会参加をしやすくするような拠点を地域ごとに作ってはどうか。地域拠点を作る際には補助金を出すなど、民間の力を借りながら、行政のサポートを受けられるような支援を考えてもらいたい。 ○重症心身障害者は、様々な理由により外出しての学習が困難である。生涯学習という観点から、卒業後も学校で培われた可能性を伸ばし、新たな学びのために、訪問型の学習の機会を提供してほしい。 ○知的障害当事者の学習の機会が保障されることは当然の権利である。共生社会を目指す上では、ライフステージにおいてニーズに合わせた学習の機会が保障されることが重要である。 ○社会参加について、当事者が地域社会の一員として実感できることが重要である。自分のタイミングで学習できる機会や情報提供方法など、支援のあり方を考える必要がある。 施策6  保健・医療体制の充実 【提言】 1 精神障害者が地域で孤立しないための支援が必要である。 2 受診しやすい環境づくり、医療的ケア児を育てる家族への支援の充実が必要である。 3 新型コロナウイルス感染症拡大など、想定していない事態が起きたとき、障害者やその家族の生活が守られるような取組が必要である。 【主な意見】 @ 地域移行について  ○精神疾患の方が退院されて地域で暮らすといったときに、福祉サービスにつながっていない方は孤立しがちである。ソーシャルワーカー等もいるが、どこまで寄り添ってもらえるのか分からない。作業所を辞めてしまう、相談支援専門員や主治医と連絡が取れなくなることもあるので、退院後、精神障害者が孤立しないよう取り組んでほしい。 ○精神科病院に入院している方に関して、「精神科病院からの入院患者の退院促進」という表現が気になる。本人の希望を考慮しない退院にはならないよう、ゆとりを持った入院などというのもあるのではないか。 A 医療体制、医療的ケアについて  ○障害児(者)の予防接種や軽度の受診ができる医院が地区にあるとよい。区役所内にある「つつじ歯科」のようなイメージで、駐車場もあるとより助かる。 ○聴覚障害で精神疾患のある方への配慮など、重複障害への対応も検討する必要があるのではないか。 ○新生児の救命救急医療は高水準になっており、これまでなら失われてきた命が医療によって救われ、その後の人生がスタートするというところでは、退院した後の暮らしがとても大切である。ショートステイがあることで少しでも軽減できると考えるので、柔軟な施設が出来ることを希望する。 ○医療的ケアを必要とする方への支援について、ショートステイの空き状況がオンラインでわかるシステムを構築してもらえるとよい。 B 新型コロナウイルスなどの感染症について  ○新型コロナウイルスにより、これまで積み重ねてきた、障害があっても普通の暮らしをする取組が崩れてしまうのではと不安になった。障害者が守られ、相談できる場があるなど、安心してコロナと向き合っていけるような取組を望む。 ○新型コロナウイルス感染防止のため、様々な活動ができない状況はこれまでなかったと思う。当たり前に人と人との関わりができないことが、これほど心にストレスを与えるのかと感じている。地域で活動するために必要な連絡の取り方や支え合うための方法を考えていかなければならないと感じている。 ○コロナ禍のような緊急事態時にも、障害者がスムーズに情報取得できるよう、現状を踏まえた情報提供方法を検討していくことが重要である。 ○外出する時にガイドを必要とする視覚障害者は、感染リスクやソーシャルディスタンスといったことから、今回のコロナ禍で外出しづらい時期があった。支援する側も受ける側もお互いに折り合いを付けながら、以前と変わらずに支援してもらえることを望む。 3 資料編 【練馬区障害者計画懇談会 開催経過】 第1回 令和元年11月13日  主な案件:@次期練馬区障害者計画の策定について A練馬区障害者計画(一部改定)・第五期障害福祉計画・第一期障害児福祉計画の取組状況について B 障害者基礎調査について 第2回 新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止 第3回 令和2年5月20日(書面開催) 主な案件:@障害者基礎調査の結果について A練馬区の障害者福祉に関する現状と課題について B計画の構成について C基本理念・計画策定の視点について 第4回 令和2年6月29日 主な案件:@次期障害者計画に係る施策の方向性の検討 施策1障害福祉サービス基盤の整備と住まいの確保 施策2相談支援体制の強化 施策3障害者の就労を促進 第5回 令和2年7月29日 主な案件:@次期障害者計画に係る施策の方向性の検討 施策4障害児の健やかな成長を支援 施策5安心して暮らせる共生社会の実現と社会参加の促進 施策6保健・医療体制の充実 第6回 令和2年9月3日 主な案件:@障害者計画懇談会意見書(案) A第六期障害福祉計画・第二期障害児福祉計画 【練馬区障害者計画懇談会 委員名簿】(敬称略) ※ ◎座長 ○副座長 選出区分 氏名 フリガナ 所属等 1 公募区民 8名  大森 梓 オオモリ アズサ  小原 磯則 オバラ イソノリ  上月 とし子 コウヅキ トシコ  近藤 路子 コンドウ ミチコ  冨岡 由起 トミオカ ユキ  中村 美恵子 ナカムラ ミエコ  松浦 秀雄 マツウラ ヒデオ  山中 明子 ヤマナカ アキコ 2 障害者福祉関係者 18名 (1)障害者福祉団体 10名  萩原 信子 ハギハラ ノブコ 練馬手をつなぐ親の会  藤森 紀子 フジモリ ノリコ 練馬区身体障害者福祉協会  加藤 茂樹 カトウ シゲキ 練馬区視覚障害者福祉協会  田中 康子 タナカ ヤスコ 練馬区肢体不自由児者父母の会  浦田 成幸 ウラタ ナリユキ 練馬区聴覚障害者協会  黒澤 とも子 クロサワ トモコ 練馬障がい児者を持つ親の会  吉井 美惠 ヨシイ ミエ NPO法人練馬精神保健福祉会  山岸 由香里 ヤマギシ ユカリ 練馬区重症心身障害児(者)を守る会  天沼 道代 アマヌマ ミチヨ NPO法人IamOKの会  平峯 寿夫 ヒラミネ ヒサオ 練馬区パーキンソン病友の会 (2)障害者を対象とした事業を実施している法人・団体 4名  金野 喜代美 コンノ キヨミ たまみずき相談支援事業所  明石 寿美 アカシ トシミ つくりっこの家クラブハウス  金井 仁夫 カナイ キミオ グループホーム和泉  栗原 三津子 クリハラ ミツコ 社会福祉法人 未来こどもランド (3)学校関係者 1名  永島 崇子 ナガシマ タカコ 東京都立大泉特別支援学校 校長 (4)障害者就労支援関係者 2名  田中 幸彦 タナカ ユキヒコ 池袋公共職業安定所 統括職業指導官  田ア 修司(令和元年度) タサキ シュウジ 練馬区障害者就労支援センター レインボーワーク 所長  山岡 多恵 (令和2年度) ヤマオカ タエ 練馬区障害者就労支援センター レインボーワーク 所長 (5)相談支援関係者 1名 菊池 貴代子 キクチ キヨコ 練馬区立豊玉障害者地域生活支援センター 所長 3 医療関係者 1名  齋藤 文洋 サイトウ フミヒロ 一般社団法人練馬区医師会 副会長 4 学識経験者 2名  ◎中島 修 ナカシマ オサム 文京学院大学人間学部人間福祉学科 教授  ○丸山 晃 マルヤマ アキラ 立教大学 コミュニティ福祉学部 特任准教授