資料1 練馬区における二酸化炭素排出量の推計
- トップページ
- 区政情報
- 計画・報告・方針など
- 各施策ごとの事業計画や方針
- 環境まちづくり分野
- 練馬区環境基本計画
- 環境基本計画2001-2010
- 資料1 練馬区における二酸化炭素排出量の推計
ページ番号:614-723-252
更新日:2010年2月1日
1.二酸化炭素排出量推計の目的
二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの大量排出による地球温暖化の懸念が高まるなか、1997年に開催された、いわゆる地球温暖化防止京都会議で先進各国の温室効果ガス排出量削減目標が定められ、その後、具体的な削減のあり方をめぐって検討が続けられています。
練馬区は人口66万人、事業所数2万5千を数える大都市であり、日常生活や事業活動に伴って、大量の温室効果ガスを排出しています。したがって、今後、国際的動向や国の施策を考慮しながら、温室効果ガスの削減に向けた具体的取り組みを進め、地球市民の一員として地球温暖化の防止に貢献し、次世代、次々世代にかけがえのない地球を無事引き渡す責任の一端を担っているといえます。
この二酸化炭素排出量の推計は、温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素について、練馬区における排出の実態や将来予測を区民に示し、その排出削減の必要性を明らかにするとともに、どのような区民・事業者の行動がどの程度の削減効果があるかに関する基礎資料を得るために実施したものです。
今後、この推計を一素材として活用し、区民・事業者・区がそれぞれの環境保全行動と連携のあり方を検討する(仮称)区民環境行動方針の策定や、必要な場合、地球温暖化対策に係る練馬区地域計画の策定等を行い、区としての目標を定めていくとともに、環境にやさしい暮らし、環境にやさしい事業活動を進めるためのさまざまな施策を総合的に進めていきたいと考えます。
2.推計の方法
2-1.概要
1990年から1997年までの区内の二酸化炭素排出に係わる活動量データを収集し、これに、二酸化炭素排出係数(活動量1単位あたりの二酸化炭素排出量)を乗じて、活動ごとの二酸化炭素排出量を算出し、これらを集計して区内の活動に伴う1990年から1997年までの二酸化炭素排出量を推計しました。推計値は、区内の各部門(産業部門、民生業務部門、民生家庭部門、運輸部門、上下水道部門、廃棄物部門)ごとに算出しています。
これは、環境庁が作成した「地球温暖化対策地域推進計画策定ガイドライン」に定める方法に基本的に従ったものですが、練馬区に関するデータがない活動量については、東京都全体のデータ等から推計する方法を採用しています。
将来の区内活動に伴う二酸化炭素排出量予測は、今後の環境保全に係わる技術進歩や社会基盤整備の状況と、今後の区民・事業者の環境保全行動の実施状況とのそれぞれについて、一定の仮定をおいていくつかのケースを設定して、それぞれ2005年および2010年のものを予測しました。
2-2.推計に使用した二酸化炭素排出係数
二酸化炭素排出量は、エネルギー消費量などの活動量に、それぞれの二酸化炭素排出係数を乗じて推計していますが、この推計に使用した二酸化炭素排出係数は表1のとおりです。なお、二酸化炭素については、“みどり”による吸収効果を考慮しなければなりませんが、この吸収効果の見積方法等はまだ確立されていませんので、今回の推計からは除外しています。
単位 | 排出係数 (kg-CO2/kg,l(リットル),平方メートル,kWh) |
|
---|---|---|
ガソリン | l(リットル) | 2.359 |
ナフサ | l(リットル) | 2.231 |
灯油 | l(リットル) | 2.529 |
軽油 | l(リットル) | 2.644 |
A重油 | l(リットル) | 2.698 |
B重油 | l(リットル) | 2.833 |
C重油 | l(リットル) | 2.939 |
LPG | kg | 3.007 |
石油コークス | kg | 3.307 |
石炭 | kg | 2.584 |
石炭コークス | kg | 3.247 |
コークス炉ガス | 平方メートル | 0.810 |
LNG | kg | 2.688 |
天然ガス | 平方メートル | 2.026 |
都市ガス | 平方メートル | 2.141 |
上水道 | 平方メートル | 0.587 |
廃プラスチック類 | トン | 2,440 |
購入電力 | kWh | 年度別(下の付表) |
(資料)上下水道、廃プラスチック、購入電力以外は「二酸化炭素排出量調査報告書」(環境庁)
年度 | 1990 | 1991 | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
CO2排出係数 | 0.381 | 0.385 | 0.389 | 0.363 | 0.374 | 0.356 | 0.337 | 0.334 |
(資料)東京電力株式会社提供
2-3.将来予測のケース設定
将来2010年までの区内活動に伴う二酸化炭素排出量の予測は、大きく次の3つのケースに分けて予測しました。
(1)自然体ケース
2010年まで、区民生活・事業活動の活動量(エネルギー使用状況等)がこれまでの傾向のまま推移し、追加的な対策や省エネ等の技術水準の向上等がなされなかった場合について、2005年および2010年の二酸化炭素排出量を予測
(2)技術進歩・社会基盤整備ケース
2010年までに、省エネ技術等の進歩や環境保全に係わる社会基盤の整備が、基本的に、地球環境保全東京アクションプラン(平成10年3月)の推計レベルに進み、一方、区民生活・事業活動のエネルギー使用状況等がこれまでの傾向のまま推移するものとして、2005年および2010年の二酸化炭素排出量を予測
(3)区民・事業者の環境保全行動による削減効果例
技術進歩・社会基盤整備による省エネ技術等が進展するとの設定に加え、区民・事業者の主な環境保全行動の実施の程度について3つのシナリオ(A,B,C)を想定し、それぞれについて2005年,2010年の二酸化炭素排出量を予測
ケース | 技術進歩・社会基盤整備 | 区民・事業者の環境保全行動 |
---|---|---|
自然体ケース | 現状の水準で推移 | 現状のまま推移 |
技術進歩・社会基盤整備ケース | 家電製品の待機電力の削減、自動車燃費の向上など7項目の技術進歩・社会基盤整備を想定 | 現状のまま推移 |
区民・事業者の環境保全行動による削減効果例 | 家電製品の待機電力の削減、自動車燃費の向上など7項目の技術進歩・社会基盤整備を想定 | 省エネ等の環境保全行動を区民が9項目、事業者が10項目、ある割合で実行すると想定(3つのシナリオに細分) |
3.1990年~1997年の実績値の推計と自然体ケースの将来予測
3-1.1990年~1997年の実績値の推計
練馬区における二酸化炭素の排出量は、平成2(1990)年に約173万トンだったものが平成9(1997)年には約183万トンへと、5%以上増加していると推定されます。
平成7(1995)年における住民一人あたりの排出量を比較すると、全国約9.7トン、東京都約5.1トンに対し、練馬区は約3.0トンとかなり低くなっていますが、家庭部門における住民一人あたりの排出量を比較すると、練馬区約0.97トン、東京都約1.01トンとほぼ同じであることなどから考えて、練馬区の一人あたり二酸化炭素排出量が少ないのは、区内に化学工業・鉄鋼業等のエネルギー多消費型産業がほとんど立地していないことが大きな要因と考えられます。
また、平成9(1997)年における練馬区の二酸化炭素排出量を部門別に見ると、運輸部門(自動車、電車など)(44%)と家庭部門(32%)が高い割合を占めていることが、産業部門や業務部門が比較的大きな割合を占めている全国や東京都の場合に比べ、大きな特徴となっています。
3-2.自然体ケースの2010年の二酸化炭素排出量予測値
省エネルギー技術や自動車燃費が現在の水準のままで、区民のエネルギー使用状況などが現状のまま推移すると仮定した場合について(自然体ケース)、練馬区における将来の二酸化炭素排出量を予測してみると、平成22(2010)年の二酸化炭素排出量は約210万トンとなり、平成2(1990)年と比べて約21%増加するという結果になりました。
なかでも、家庭部門の排出量は、約53万トン(平成2年)から約85万トン(平成22年)へと約6割増になると予測されます。同時に運輸部門の二酸化炭素排出量も増加が予想されます。
年次 | 1990 | 1995 | 1997 | 2000 | 2005 | 2010 |
---|---|---|---|---|---|---|
推計値および予測値 | 1,727,973 | 1,880,193 | 1,829,074 | 1,883,664 | 1,968,832 | 2,098,253 |
グラフ1
1990-1997年の区内活動に伴う二酸化炭素排出量推計値と自然体ケースの将来予測値(部門別)
4.技術進歩・社会基盤整備ケースにおける二酸化炭素排出量予測
4-1.技術進歩の想定
「技術進歩・社会基盤整備」ケースでは、家電製品のエネルギー効率向上等の技術進歩や、自動車燃費の向上、交通渋滞の改善等の社会基盤整備事業が行われた場合を想定します(技術進歩・社会基盤整備ケース)。
これは、基本的に「地球環境保全に向けた東京アクションプラン(仮称)に係る基礎調査報告書」に準拠し、練馬区の実情にそぐわない場合やデータ入手が困難な場合等には変更を加えたもので、対象としたメニューとその進展内容は以下の通りです。
「技術進歩・社会基盤整備」のメニュー | 想定した進展の内容 |
---|---|
(1)家電製品の待機電力の削減 | 1997年以降、区内世帯数の5%/年の割合で、待機電力なしの家電製品への転換が進む。 |
(2)冷蔵庫の改善 | 2人以上世帯の80%以上が400リットルサイズの冷蔵庫を利用していると仮定し、利用世帯のうち2000年で5%、2005年で20%、2010年で30%の世帯で、従来よりエネルギー効率が50%改善されたものに転換される。 |
(3)ヒートポンプエアコンの効率向上 | 環境庁資料で想定した普及率を使用(ただし2005年は中間値とした)。 2000年3.2%、2005年18.0%、2010年32.7% |
(4)ガス給湯器の高効率化 | 1995年の東京都内ガス給湯器普及率(42.5%)を練馬区も同じとし、高効率化(熱交換機の性能向上により省エネルギー率が2.4%向上)したガス給湯器の普及率が毎年5%づつ増加する。 |
(5)自動車燃費の向上 | ガソリン乗用車:新車ベースで2000年度に平均8.5%の燃費向上を達成 ガソリン貨物車:新車ベースで2003年度に平均5.0%の燃費向上を達成 ディーゼル車:新車ベースで2003~2007年度に平均5.0%の燃費向上を達成 |
(6)省エネルギー型車両 (鉄道)の導入 |
全国の新規車両の導入台数から、練馬区の全国に対する電力消費比率により練馬区における新規車両導入台数と車両数を算出したうえで、毎年、新規車両にVVVF制御型が導入され、チョッパー型は1997年以降、横ばいで推移するものと仮定。 |
(7)交通需要マネジメント(TDM)施策の推進による車速の向上 | 1997年時点の混雑時平均車速18.5km/hが、2003年で20km/h、2010年で25km/hに向上 |
※注釈1:(1)~(6):地球環境保全東京アクションプランと同じ設定。
※注釈2:(7):TDM東京行動プランの目標値に合わせて設定。
4-2.「技術進歩・社会基盤整備事業」による効果
4-1に示した技術進歩が達成され、社会基盤整備が実施されることにより、2010年(平成22年)における二酸化炭素排出量が、自然体ケースより約21万トン削減されます。しかし1990年(平成2年)の排出量と比較すると、約9%増加しています。
2000年 | 2005年 | 2010年 | |
---|---|---|---|
技術進歩・社会基盤整備による二酸化炭素削減量 | 51,574 | 148,777 | 209,162 |
5.区民・事業者の環境保全行動による二酸化炭素排出削減効果例
5-1.「区民・事業者の環境保全行動」のメニューとシナリオの設定
効果を推計した「区民・事業者の環境保全行動」のメニューは以下の表6の通りです。この行動の内容は「地球環境保全に向けた東京アクションプラン(仮称)に係る基礎調査報告書」に準拠するものですが、練馬区にはない特定の施設を対象にするものや、現時点でデータの入手が困難なものを除いています。
なお、これらのメニューは、その実行の容易さなどから次の3つに区分しています。
◎:行動1=是非実行して欲しい行動
○:行動2=できるだけ実行して欲しい行動
△:行動3=できれば実行して欲しい行動
また、将来におけるこれらの行動メニューの実施・普及割合は、表6の「実施・普及割合の設定」欄に記載の区分に従って、「簡易設定」と「現実的設定」により設定しました。簡易設定は、表7の3つのシナリオ(A,B,C)ごとに各行動の実施・普及割合を一律に設定したものです。現実的設定は、簡易設定が適切でない行動メニューについて個別に現実的な実施・普及割合を設定したものです。これらの設定は、前述の「地球環境保全に向けた東京アクションプラン(仮称)に係る基礎調査報告書」に従うものですが、現実的設定の一部を区の実情に合わせ修正しています。
行動メニュー | 実施・普及割合の設定 | ||
---|---|---|---|
簡易設定 | 現実的設定 | ||
■区民の行動 | |||
省エネルギー行動の実践(◎) | ● | ||
普通車から小型車への買い替え(△) | ● | ||
住宅の断熱化(△) | ● | ||
省エネ機器の利用 | インバーター照明(○) | ● | |
コンパクト蛍光灯(○) | ● | ||
公共交通機関の利用(◎) | ● | ||
アイドリングストップ(◎) | ● | ||
新エネルギーの利用 | 太陽光発電の導入(△) | ● | |
テレビの液晶化(○) | ● | ||
■事業者の行動 | |||
省エネルギー行動の実践(◎) | ● | ||
普通車から小型車への買い替え(△) | ● | ||
アイドリングストップ(◎) | ● | ||
省エネビルの建設(△) | ● | ||
省エネ機器の利用 | Hfインバータ照明、高効率ルーバー・反射板(○) | ● | |
センサー付き蛍光灯(○) | ● | ||
新エネルギーの利用 | 太陽光発電の導入(△) | ● | |
低公害車の導入(△) | ● | ||
積載率の向上(△) | ● | ||
燃料転換(△) | ● |
◎:行動1=是非実行して欲しい行動
○:行動2=できるだけ実行して欲しい行動
△:行動3=できれば実行して欲しい行動
行動のパターン | |
---|---|
ケース | 行動1:是非実行して欲しい行動(◎) 行動2:できるだけ実行して欲しい行動(○) 行動3:できれば実行して欲しい行動(△) |
シナリオA | 区民・事業者の 1.約7割が行動1(◎)を実行する 2.約5割が行動2(○)を実行する 3.約2割が行動3(△)を実行する |
シナリオB | 区民・事業者の 1.約8割が行動1(◎)を実行する 2.約6割が行動2(○)を実行する 3.約3割が行動3(△)を実行する |
シナリオC | 区民・事業者の 1.約9割が行動1(◎)を実行する 2.約8割が行動2(○)を実行する 3.約5割が行動3(△)を実行する |
※注釈1:区民・事業者の行動割合は、2010年度時点での普及状況(仮定)である。
※注釈2:区民・事業者の行動で国や都が既に目標を持っているものや、上記の設定が非現実的であるものについては、現実的な設定を行っている。
5-2.「区民・事業者の環境保全行動」による効果
「技術進歩・社会基盤整備事業」による効果に加えて、区民・事業者が前項に示した行動を実行することで、より一層の二酸化炭素排出削減が可能となります。
設定した3つのシナリオごとに二酸化炭素排出削減効果を算出しました(表8)が、1990年(平成2年)と比較して、シナリオAでは約3%減、シナリオBで約6%減、シナリオCで約12%減まで二酸化炭素排出量の削減が可能であると考えられます(表9)。
シナリオA | シナリオB | シナリオC | |
---|---|---|---|
区民の行動による二酸化炭素削減量 | 137,411 | 176,444 | 244,511 |
事業者の行動による二酸化炭素削減量 | 68,250 | 86,782 | 115,835 |
合計 | 205,661 | 263,226 | 360,346 |
シナリオ | 2010年の1990年に対する 削減率 |
---|---|
技術進歩・社会基盤整備のみ | +9%程度 |
シナリオA | -3%程度 |
シナリオB | -6%程度 |
シナリオC | -12%程度 |
※注釈:ただし、シナリオA・B・Cの削減率は技術進歩ケースの効果を加えた値
グラフ2 シナリオ別CO2排出量予測グラフ
※注釈:但し、シナリオA・B・Cは技術進歩・社会基盤整備事業の実施による効果を加えた値
グラフ3 シナリオ別CO2排出量の予測
※注釈:但し、シナリオA・B・Cは技術進歩・社会基盤整備事業の実施による効果を加えた値
6.まとめ
以上の推計結果は、次のようにまとめることができます。
1)練馬区の区民・事業者の活動に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量は、1990年から1997年までの間に、5%以上増加していると推計されます。
2)将来の二酸化炭素排出量は、省エネ技術等が進歩し環境保全に係わる社会基盤の整備が進んだとしても、区民生活や事業活動におけるエネルギーの使用状況がこれまでどおりだとすると、2010年には、1990年の排出量より約9%増加すると予想されます。したがって、二酸化炭素の排出量を削減するためには、区民・事業者の省エネルギー等の行動が不可欠となります。
3)練馬区における二酸化炭素は、その大部分が運輸部門(家庭での自動車使用を含みます。)と家庭部門からのものですので、その削減のためには、日常生活や事業活動における省エネルギー等の推進が特に重要な課題となります。
4)日常生活や事業活動における省エネルギー等の行動を一定以上進めれば、2010年における二酸化炭素の排出量を1990年の排出量より、3~12%程度削減可能であることが分かりました。
区民・事業者の省エネルギー等の行動を促進するため、今後、区の誘導施策の強化・拡充が必要とされます。
お問い合わせ
環境清掃部 環境政策課
組織詳細へ
電話:03-3993-1111(代表)
この担当課にメールを送る(新しいウィンドウを開きます)




法人番号:3000020131202
練馬区 法人番号:3000020131202