練馬区環境基本計画2023(素案) 令和5年6月練馬区 目次 第一章計画の基本的事項 第二章地球温暖化対策の動向 第三章脱炭素社会の実現に向けて 第1節区の温室効果ガス排出実態等 第2節温室効果ガスの削減目標 第3節削減目標達成に向けた取組 第四章分野ごとの施策 分野1エネルギー 分野2みどり 分野3清掃・リサイクル 分野4地域環境 第五章計画の推進体制 第六章資料編 第1節区民意識意向調査 第2節区内事業者の意向と取組状況 第3節区の基礎統計資料 第4節CO2排出量の算定 第5節地球温暖化のメカニズム 第6節法定計画として定める事項 第7節計画策定における区民意見の反映等 第8節用語解説 第9節環境都市練馬区宣言 第一章 計画の基本的事項 策定の背景 区は、令和2年3月、気候変動への対応を図るため『練馬区環境基本計画2020』を策定して、2030年度までに温室効果ガスを2013年度比26%削減する目標を定めました。計画策定からこの間、望ましい環境像「みどりの風吹く 豊かな環境のまち ねりま」の実現を目指して、地域住民、学校、事業者、民間団体等、様々な主体と協働して、脱炭素を一歩一歩推進してきました。 令和2年10月、国は2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、令和3年10月には「2030年度に温室効果ガスを2013年度比46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていく」とする、新たな中期削減目標を決定しました。 区は、令和4年2月、「ゼロカーボンシティ」を宣言しました。2050年までにCO2排出実質ゼロとする脱炭素社会の実現に向け、区民・事業者と協働して総合的な環境施策を展開するため、『練馬区環境基本計画2023』(以下「本計画」という。)を策定します。 計画の位置付け 本計画は、『練馬区環境基本計画2020』および『練馬区エネルギービジョン』、『練馬区環境管理実行計画』を統合した、区の環境の保全に関する総合的な計画であり、練馬区環境基本条例に基づき策定するものです。本計画では、今後、概ね10年間の区の環境施策の方向性および重点取組を示します。各施策の取組は、アクションプラン、個別計画に位置づけて推進します。 区の関連計画との関係 本計画は、区の総合計画にあたる『第2次みどりの風吹くまちビジョン』の環境分野の施策を体系化する計画です。 また、分野ごとの施策のうち、「みどり」と「清掃・リサイクル」については、それぞれ個別計画として『練馬区みどりの総合計画』と『練馬区一般廃棄物処理基本計画』を策定しています。 国や東京都の計画との関係 本計画は、国の地球温暖化対策計画、東京都環境基本計画等の関連計画を踏まえて策定します。 計画期間 令和5年度から令和14年度までの10年間を計画期間とし、社会情勢や技術革新などの状況に応じて、必要な見直しを行います。 年号表記 年号の表記は和暦を原則とします。ただし、パリ協定に基づく温室効果ガス削減に関する年号には西暦を用います。 第二章 地球温暖化対策の動向 世界の動き 国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)は、2016年に発効したパリ協定で、「世界の平均気温上昇を産業革命前から2℃未満に抑えること、1.5℃未満に抑える努力をすること」を目標に定めました。 2018年、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、「世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるためには、温室効果ガスを2050年までに実質ゼロ、2030年までに約半減させる必要がある」とする見解をまとめました。 2021年、英国グラスゴーで開催されたCOP26において、「気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求する」ことが合意され、世界各国で脱炭素化の取組が加速しています。 国内の動き 国の動き 国は、令和3年に地球温暖化対策計画を改定して、2030年度までに温室効果ガスを2013年度から46%削減する中期削減目標を新たに定めました。 同年、第6次エネルギー基本計画を策定し、安全性の確保を大前提として、安定供給やコスト低減に向けた取組を示し、2030年度の電源構成について再生可能エネルギーの割合を36〜38%に引き上げる方針を示しました。 また、建築物に由来するCO2の削減を進めるため、令和6年度から、2千u以上の大規模非住宅建築物の省エネ基準が引き上げられます。令和7年度には、改正建築物省エネ法が施行され、全ての新築建築物について省エネ基準適合が義務付けられます。 都の動き 都は、令和3年1月に、2030年までに都内の温室効果ガス排出量を2000年比50%削減する「カーボンハーフ」を表明しました。 令和4年9月、東京都環境基本計画を改定して、カーボンハーフ実現を目指す3+1の戦略(エネルギーの脱炭素化と持続可能な資源利用によるゼロエミッションの実現、自然と共生する豊かな社会の実現、良質な都市環境の実現+危機を契機とした脱炭素化とエネルギー安全保障の一体的実現)を示しました。 同年12月、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(以下「環境確保条例」という。)が改正されました。この改正により、令和7年度から都内新築建築物への太陽光パネル設置等が義務付けられます。 区の動き 第一章 計画の基本的事項の「策定の背景」を参照 第三章 脱炭素社会の実現に向けて 第1節 区の温室効果ガス排出実態等 温室効果ガス排出量 区の温室効果ガス排出量は、基準年度(2013年度)の227.3万t-CO2eqをピークに減少傾向にあります。2019年度排出量は193.1万t-CO2eqで、基準年度から約15%(34.2万t-CO2eq)削減しました。 電力排出係数も減少傾向にあります。 温室効果ガスの構成比 区の温室効果ガスの構成比は、CO2が91%、次いでフロン類が8.5%です。この2種類のガスが全体の99%以上を占めています。 部門別CO2排出量 区のCO2排出量は、2012年度の217.3万t-CO2をピークに減少傾向にあります。2019年度排出量は175.7万t-CO2で、基準年度(2013年度)から約19%(40.8万t-CO2)削減しました。 区のCO2排出量の5割以上は家庭部門に由来し、特別区や全国平均と比べて高い割合となっています。また、家庭部門と業務部門を合わせた排出量が全体の約4分の3を占めています。 世帯あたり・一人あたりCO2排出量 区の世帯あたり・一人あたりの年間CO2排出量は減少傾向にあります。 住宅ストック 区には、共同住宅が約22.8万戸、一戸建てが約10.2万戸あります。所有形態は、持ち家が約15.2万戸、借家が約17.8万戸です。 都内のCO2排出量の7割以上は、住宅や事業所などの建物を利用する際に消費するエネルギーに由来しています。 省エネ・再エネ設備の導入率 区内住宅の省エネ・再エネ設備の導入率は低く、窓の断熱改修が約22.0%、太陽光発電が約1.6%にとどまります。特に借家の導入率が低くなっています。 一戸建てと集合住宅のCO2排出量 世帯あたりの年間CO2排出量は、全国平均で2.74t-CO2です。住宅の形態別では、一戸建てが平均3.46t-CO2であるのに対して、集合住宅は平均1.92t-CO2となっています。 省エネに関する区民意識 令和4年度に実施した区民意識意向調査において、節電等の省エネルギーに積極的に取り組んでいる人は約1割にとどまっています。 また、自宅への再エネ・省エネ設備の導入状況は、「導入していない(導入する予定はない)」が約6割で最も多くなっています。 第2節 温室効果ガスの削減目標 削減目標の考え方 第1節で明らかになった区の温室効果ガスの排出実態等を踏まえ、区の温室効果ガス排出量の将来推計や国・都の取組による削減量見込みなどを考慮して、国の中期削減目標「2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減」と整合を図る目標とします。 成果指標とする温室効果ガス 区の温室効果ガス排出量の91%を占めるCO2は、その5割以上が家庭部門から排出されています。住宅等で使う給湯や冷暖房、照明、自動車の燃料消費、廃プラスチックの焼却など、CO2排出量は私たちの日常生活と深く関係しています。 本計画では、区民や事業者の省エネ・再エネの取組により削減が可能で、削減量を把握しやすいCO2を成果指標として設定します。その他の温室効果ガスについても、排出量の削減に取り組みます。 削減目標 2030年度までに、区内CO2排出量を2013年度比46%減 排出量の算定手法 本計画では、環境省の『地方公共団体実行計画(区域施策編)策定・実施マニュアル』に準拠してCO2排出量を算定します。 排出量の算定式 CO2排出量は、産業・民生・運輸・廃棄物の部門ごとの活動量、エネルギー消費原単位、排出係数の3項目から算定します。 現状すう勢ケース(BAU)排出量 目標年度まで、追加的な温暖化対策が行われないと仮定して算定する排出量を現状すう勢ケース(BAU)排出量といいます。 BAU排出量は、エネルギー消費原単位と排出係数が現況から変化しないものとして算定します。これらの数値は、今後の追加的な温暖化対策で変動するためです。したがって、BAU排出量は、直近の排出量実績と部門別活動量の変化率から算定します。 2030年度のBAU排出量 2019年度の排出量実績を基準として算定した、2030年度のBAU排出量は173.6万t-CO2です。 目標達成に必要な削減総量 目標達成に必要な削減総量は、基準年度(2013年度)のCO2排出量216.5万t-CO2の46%にあたる99.6万t-CO2です。 今後2030年度までに削減すべき排出量 区の2019年度排出量実績は175.7万t-CO2です。基準年度(2013年度)排出量216.5万t-CO2から40.8万t-CO2を削減しました。 したがって、今後2030年度までに削減すべき排出量は58.8万t-CO2です。 区の取組によって削減すべき排出量 今後2030年度までに削減すべき排出量58.8万t-CO2から、BAU排出量から推定される削減量、国・都の対策により見込まれる削減量を差し引くことで、区の取組により削減すべき排出量を算定します。 活動量変化による削減見込み …@ 2019年度排出量を基準とした2030年度BAU排出量は173.6万t-CO2です。追加的な対策が行われない場合であっても、今後の活動量変化によって2019年度実績から2.1万t-CO2の削減が見込まれます。 今後の国・都の対策による削減見込み …A 国の地球温暖化対策計画における対策の削減量から、2020年度以降に上積みされる削減量を求めて、各部門の主要活動指標で案分した43.2万t-CO2の削減が見込まれます。 これに都独自施策である新築住宅等へ太陽光パネル設置義務化で見込まれる削減量1.2万t-CO2を合算した、44.4万t-CO2の削減が見込まれます。 今後区が独自に削減すべき排出量 …B 今後2030年度までに削減すべき排出量58.8万t-CO2から、前ページで算定した@・Aの削減見込みを差し引いた12.3万t-CO2が、区が独自に削減すべき排出量です。 BAU排出量の算定、国・都の取組による削減見込みの算定の詳細は、第六章・資料編第4節に掲載しました。 第3節 削減目標達成に向けた取組 第2節で設定した削減目標の達成には、区内CO2排出量の5割以上を占める家庭部門由来のCO2排出量の削減が不可欠です。 区は、「住宅等の消費エネルギー削減」と「環境に配慮したライフスタイルの推進」を取組の軸として、家庭部門のCO2削減を重点的に進めます。また、区内最大の事業者として、区立施設等の省エネ化・再エネ導入などの対策を率先して進めます。 1.住宅等の消費エネルギー削減 都内の温室効果ガスの7割は、住宅や事業所などの建築物から排出されています。断熱性の向上、省エネ設備・再エネ設備の導入支援などにより、住宅等建築物の消費エネルギー削減を進めます。2030年度までに、1.0万t-CO2の削減を目指します。 2.環境に配慮したライフスタイルの推進 家庭で省エネの工夫を実践することで、何も実践しない場合に比べて、世帯あたり年間955.1kg-CO2を削減できます。区民一人ひとりの行動が大きな削減効果を生み出します。 区は、2030年度までに、省エネに積極的に取り組む区民の割合を、現在の約11%から50%まで引き上げ、9.4万t-CO2の削減を目指します。 3.区の率先行動 区内最大の事業者として率先して行動し、区民・事業者の取組を促します。区立施設等については、さらなる省エネ化・再エネ導入を進めます。 2030年度までに2.2万t-CO2の削減を目指します。 1 住宅等の消費エネルギー削減 新築住宅の環境性能向上の啓発 国は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下「建築物省エネ法」という。)」を改正して、令和7年度から、小規模住宅を含む全ての新築建築物に省エネ基準適合を義務付けます。 都も令和7年度から、大手住宅メーカーを対象として、都内の新築住宅に太陽光発電など再エネ設備の設置を義務付けます。 区は、国や都と連携して区民・事業者向けの周知徹底を図ることを通じて、新築住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化を促進します。 既存住宅の省エネ化・再エネ導入支援 国や都の施策により新築住宅の環境性能の向上が見込まれることから、区は、既存住宅の省エネ化や再エネ導入に重点的に取り組みます。 カーボンニュートラル化設備設置等補助金を充実して、省エネ効果の高い設備(エネファーム、エコキュート、LED化改修、窓断熱改修など)や、太陽光発電などの再エネ設備、蓄電池、V2H13などの導入を促進します。 補助内容は、技術革新の動向や価格の変動、利用実績等に応じて随時見直します。高効率な太陽熱温水器への補助についても今後検討します。 2 環境に配慮したライフスタイルの推進 環境学習の充実 子ども向けの環境学習の充実 教育委員会と連携して、学校敷地内にある樹木、校舎に設置した太陽光発電設備を、身近な環境教育の教材として活用します。 各家庭でできる省エネについて学び、日常生活での実践につなげるエコライフチェックのデジタル化を進めます。参加校には、CO2吸収量を示した樹木プレートを設置して、身近なみどりの役割を学ぶ環境学習に活用します。 令和4年度に試行した子ども向けの参加・体験型環境イベント「ねりま環境まなびフェスタ」を本格実施します。 事業者等の環境学習プログラムの活用 事業者や環境活動団体等の環境学習プログラムを積極的に活用して、環境について学び、体験する機会の拡充を図ります。練馬区地球温暖化対策地域協議会(ねり☆エコ)が行うイベントなどの事業について、新たな事業者・団体との協働を進めます。 リサイクルセンターの総合的な環境学習拠点への移行 リサイクルセンターは、従来の3R推進に加えて、家庭での省エネの取組や生物多様性などの取組を拡充し、脱炭素という共通目標の実現に向けた総合的な環境学習拠点への移行を目指します。 区民ボランティアによる環境・リサイクル講座を引き続き開催します。 情報発信の充実 区民・事業者の取組を後押しする情報発信 国や東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)、東京都中小企業振興公社が実施する補助制度を含めて、区民・事業者が利用できる補助制度や導入効果を分かりやすく情報発信します。 事業者向けの情報は、練馬ビジネスサポートセンターと連携して提供します。初期費用なしで太陽光発電設備を導入できる「0円ソーラー」など、新たな民間サービス・製品についても情報発信します。 電力需給ひっ迫時には、都や一般送配電事業者と連携して、節電への協力を区民・事業者に分かりやすく呼びかけます。 ごみの発生抑制・再使用の促進 フードドライブ事業の充実 リサイクルセンターに未利用食品の受付窓口を常設します。受け付けた食品は、子ども食堂や食糧支援を行うNPO法人等に提供します。 食品ロスの削減 SNS等を活用し食品ロス削減の習慣化を促す情報発信を充実します。 小盛りメニューの提供や、食べ残し防止の働きかけ等を行っている「おいしく完食協力店」の拡充を図り、飲食店から排出される食べ残し等の削減に取り組みます。 賞味期限が迫った防災備蓄食品や飲料水は、学校や防災訓練等で啓発の一環として区民へ配布し、有効活用します。 学校では、児童・生徒が食べ残しによる食品ロスの実態を理解し、食を通じた資源循環について学べるよう、各教科・領域等と関連付けた指導を行います。 プラスチックの削減 講座やイベントを通じた意識啓発を図り、使い捨てプラスチックを使わないライフスタイルへの変容を促します。農業分野においては、農業用生分解性マルチ共同購入事業への補助などにより、プラスチックごみの削減を図ります。 省エネや3Rの一体的な推進 これまで、省エネについては「環境審議会」、3Rについては「循環型社会推進会議」において、それぞれ区民や専門家の意見を伺い、個別に施策を推進してきました。 今後は、区民生活に身近な一体的な施策として推進を図り、脱炭素社会実現に向けて取組の実効性を高めます。「環境審議会」と「循環型社会推進会議」は再編・統合します。 3 区の率先行動 区立施設等のエネルギー消費量削減 新築・改築する区立施設等は、建物の用途や特性等を踏まえて、原則として一次エネルギー消費量を30%〜50%(ZEB OrientedやZEB Ready水準相当)以上削減することを目指します。 改修時は、建物の規模や工事内容に応じて、照明設備のLED化、高効率空調設備や再エネ設備の導入などによりエネルギー消費量の削減を進めます。 PPAモデルを活用した再エネ導入 「PPAモデル」は、発電事業者が建物や敷地などに無償で太陽光発電設備を設置し、需要家が発電された電気を使うことができる電力契約モデルです。例えば、区立施設の屋上に太陽光発電設備を導入する場合、設置、運用、保守は電気事業者が負担し、毎月の電気利用料を区が負担します。初期費用がかからずに再エネを導入できることから、区立施設の再エネ導入を加速する上で有効な手法です。 令和5年度にモデル事業に着手し、検証を行った後、一定規模以上の既存施設および新築・改築する施設への本格導入を目指します。 令和5年3月に環境省から示された「PPA等の第三者所有による太陽光発電設備導入の手引き」に基づき、導入候補施設の選定を進めます。 公用車の電動化と充電インフラ整備 公用車は、代替可能な車種がない場合等を除き、2030年度までに電動車に置き換えます。また、公用バイクの電動化に向けた実証を行います。 電動車の置き換えに合わせて、普通充電器から急速充電器への更新、新たな充電器の設置を進めます。十分な充電設備を確保した後、電動車からZEVへの更新を検討します。 区役所のさらなる省エネ化 区役所は、改修等の機会を捉え、エネルギー管理システムの更新、高効率空調設備の導入、照明設備の100%LED化を目指します。 区役所のプラスチック削減 「練馬区役所プラスチック削減指針」に基づき、マイボトル対応型給水機の導入、ペットボトルを使用しないびん・缶のみの自動販売機の設置、庁舎食堂・売店でのプラスチック製カトラリーの削減、イベント出展者へのプラスチック削減の呼びかけなどにより、プラスチックごみ発生を抑制します。 第四章 分野ごとの施策 本計画の分野ごとの施策と推進体制は以下のとおりです。前章第3節に掲げた「削減目標達成に向けた取組」は、関連する分野の施策にそれぞれ再掲します。 分野1 エネルギー 温室効果ガスは、化石資源である石炭・石油・天然ガス、またそれらを原料に生成・製造した電気・ガスなどのエネルギー使用により発生します。 住宅の省エネ化・再エネ導入、モビリティのゼロエミッション化などを進め、エネルギー消費量の削減によるCO2削減に取り組みます。 目標  区民とともにエネルギーの脱炭素化を進める 2050年脱炭素社会の実現に向け、区民や事業者と協働してライフスタイルやビジネススタイルの変革に取り組み、エネルギー消費量を削減します。 指標  カーボンニュートラル化設備設置等補助によるCO2削減量 2030年度 17,080t-CO2 現状と課題 CO2の5割以上が家庭部門から排出 基準年度(2013年度)以降、温室効果ガス排出量は減少傾向にあります。CO2については排出量の5割以上が家庭部門に由来し、家庭部門に業務部門を加えた排出量が全体の約4分の3を占めます。 CO2の2019年度排出量は、175.7万t-CO2で、基準年度から約19%(40.8万t-CO2)を削減しました。 区内の住宅ストック 区内には、約33万戸の住宅ストックがあります。家庭部門のCO2の多くは、住宅等の冷暖房・給湯・照明などのエネルギー消費に伴って排出されており、CO2削減には、住宅等の省エネ化と再エネ導入が不可欠です。 省エネ設備の導入率 区は平成18年度から、カーボンニュートラル化設備設置等補助金を通じて、住宅等の省エネ設備・再エネ設備の整備を促進してきましたが、代表的な窓の断熱改修でも導入率は約22%にとどまっています。 令和4年度に窓の断熱改修に対する補助上限額を4万円から12万円に引き上げ、利用実績が前年度比4.8倍となりました。 再エネ導入率は5%未満 区内には、太陽光エネルギーなどの再エネ導入ポテンシャル(102.5万kW分)が存在しています。令和3年度末の再エネ導入量は約4.8万kW、導入率は4.7%にとどまっています。 費用負担軽減が望まれています 令和4年度に実施した区民意識意向調査では、省エネ設備や再エネ設備を導入していない理由として、区民の4割以上が「設備の導入費用が高いから」(42.3%)と回答しています。また、区が力をいれるべき取組として「補助制度の継続」(58.2%)や「補助対象となる設備の拡大」(55.4%)が回答上位となりました。 令和3年度の区内事業者アンケート調査でも、区へ期待・要望することとして、「補助制度の創設・拡充」(65.3%)が最も多くなっています。 補助制度等により、住宅や店舗等における省エネ化と再エネ導入を一層加速させる必要があります。また、区民一人ひとりが環境に配慮したライフスタイルやビジネススタイルに取り組むことが求められています。 区内最大の事業者としての区役所 区は、事業者としての自らの事務事業に伴う温室効果ガス排出量を削減するため、環境管理実行計画を策定し、区立施設等の省エネ化・再エネ設備の導入、電気・ガス・自動車燃料等のエネルギー使用量の削減を進めてきました。 区立施設28か所に太陽光発電設備を設置、23か所に清掃工場の焼却熱で発電したCO2排出量の少ない電力を導入しています。 2050年の脱炭素社会実現に向けて、施設の省エネ化・再エネ導入をさらに加速させる必要があります。公用車の電動化、充電設備の更新や追加整備が求められます。率先した行動によって、区民・事業者の取組を促すことが必要です。 施策 住宅等の消費エネルギー削減 新築住宅の環境性能向上の啓発(再掲) 国は、令和7年度から、小規模住宅を含む全ての新築建築物に省エネ基準適合を義務付けます。都も令和7年度から、大手住宅メーカーを対象として、都内の新築住宅への太陽光発電など再エネ設備の設置を義務付けます。 区は、国や都と連携して区民・事業者向けの周知徹底を図ります。また、新築住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化の取組を促します。 既存住宅の省エネ化・再エネ導入支援(再掲) 区は、カーボンニュートラル化設備設置等補助金を充実して、既存住宅の省エネ化や再エネ導入を促進します。 補助内容は、技術革新の動向や価格の変動、利用実績等に応じて随時見直します。高効率な太陽熱温水器への補助についても検討します。 商店街・中小企業の支援 商店街装飾灯のLED化を引き続き支援します。地球温暖化対策に取り組む区内中小企業の資金繰りを特別貸付等により支援します。また、環境分野の各種認証取得を支援します。 東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)や東京都中小企業振興公社が実施する事業者向け補助制度について、練馬ビジネスサポートセンターと連携して情報を発信します。 モビリティのゼロエミッション化 ゼロエミッション車の普及促進 都は、2030年までに都内で販売される新車(乗用車)を100%非ガソリン化し、販売台数の50%をZEV化することを目指しています。区は、ZEV普及を支える都のインフラ確保の支援策や、乗用車・バス・バイクなど業務用車両のZEV化を普及する取組についての情報発信を強化するなど、ZEV化の普及を促進します。 シェアリングサービスの利用促進 カーシェアリング、シェアサイクルなどの環境にやさしい移動手段により、脱炭素型ライフスタイルの普及を進めます。 サイクルポートを拡充して利便性を高めるため、事業者に公有地を貸与するなど支援を行います。 先進技術の導入 超高効率燃料電池システムの実証 超高効率燃料電池システムの実証を、田柄特別養護老人ホームで継続します。実証後は、区立施設等への導入を検討します。 水素エネルギー活用の検討 区内水素ステーションの活用拡大や新たなステーションの設置について、関係者と協議を進めます。 トリジェネレーションの研究・実証 ハウス栽培で使用する電力、熱、CO2を、高効率燃料電池システムから供給するトリジェネレーションの研究・実証を、農業者・エネルギー事業者と協働して進めます。 災害時のエネルギーセキュリティ確保 家庭等におけるエネルギーセキュリティ確保 災害時に非常用電源となる太陽光発電設備や蓄電池、家庭用燃料電池(エネファーム)、ヒートポンプ給湯器(エコキュート)、コジェネレーションシステムなどの設置を促進します。 非常用電源の確保 電動化した公用車および協定を締結した区内自動車販売店等の電動車を、「動く蓄電池」として避難拠点等の非常用電源に活用します。車両から給電を行う際は、医療救護所に備蓄しているV2Lを活用します。 災害時に区民利用が想定される民間施設の非常用電源として、可搬型大容量蓄電池へのニーズ調査・検討を進めます。 地域コジェネレーションの運用 災害拠点病院の順天堂練馬病院と練馬光が丘病院は、コジェネレーションシステムを整備しています。災害時には、隣接する小中学校に開設する医療救護所へ電力を供給する「地域コジェネレーション」として稼働します。継続的に運用訓練を行い、災害拠点病院と医療救護所の強靭性を確保します。 事業者としての区の取組 区立施設等のさらなる省エネ化 区立施設等のエネルギー消費量削減(再掲) 区立施設等の新築・改築時は、建物の規模や各施設の特性を踏まえて、原則として一次エネルギー消費量を30%〜50%(ZEB OrientedやZEB Ready水準相当)以上削減することを目指します。 また、改修時は、建物の規模や工事の内容に応じて、照明設備のLED化、高効率設備や再エネ設備の導入などにより、エネルギー消費量の削減を進めます。 新築・改築時の再エネ導入 区立施設等は、新築・改築の際に再エネ導入を進めます。避難拠点となる小中学校には、非常用電源として太陽光発電設備と蓄電池を整備します。 PPAモデルを活用した再エネ導入(再掲) 「PPAモデル」は、発電事業者が建物や敷地などに無償で太陽光発電設備を設置し、需要家が発電された電気を使うことができる電力契約モデルです。例えば、区立施設の屋上に太陽光発電設備を導入する場合、設置、運用、保守は電気事業者が負担し、毎月の電気利用料を区が負担します。初期費用がかからずに再エネを導入できることから、区立施設の再エネ導入を加速する上で有効な手法です。 令和5年度にモデル事業に着手し、検証を行った後、一定規模以上の既存施設および新築・改築する施設への本格導入を目指します。 令和5年3月に環境省から示された「PPA等の第三者所有による太陽光発電設備導入の手引き」に基づき、導入候補施設の選定を進めます。 区役所のさらなる省エネ化(再掲) 区役所は、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(以下「省エネ法」という。)の第二種エネルギー管理指定工場に該当し、毎年度エネルギー使用量等の報告が義務付けられています。また、都の「キャップ&トレード制度」の対象事業所としてCO2排出総量の削減が義務付けられています。第一計画期間、第二計画期間ともに削減義務率を上回る削減を達成しています。 今後も庁舎の改修機会を捉え、エネルギー管理システムの更新、高効率空調設備の導入、照明設備の100%LED化を目指します。 街路灯・公園等のLED化 令和4年度までに、約2万5千基の水銀灯等をLEDに更新しました。引き続き街路灯と公園灯のLED化を進めます。 公用車の電動化と充電インフラ整備(再掲) 公用車は、代替可能な車種がない場合等を除き、2030年度までに電動車に置き換えます。また、公用バイクの電動化に向けた実証を行います。 電動車の置き換えに合わせて、普通充電器から急速充電器への更新、新たな充電器の設置を進めます。十分な充電設備を確保した後、電動車からZEVへの更新を検討します。 事業執行における環境配慮の徹底 これまで環境管理実行計画に基づき実施してきた、省エネルギーの推進、環境に配慮した電力調達、省資源・廃棄物削減の取組は、今後、本計画に基づき推進します。取組の実効性は、環境配慮手順書を定めて確保します。 環境配慮手順書の更新・見直し 消耗品の購入や公用車の更新、電力調達、施設の設計など6分野について、具体的な環境配慮の手順書等を作成しています。法令改正により基準が改定された際には、必要な見直しを行います。 環境に配慮した電力調達 区立施設で使用する高圧電力の調達では、平成24年度から「練馬区電力の調達に係る環境配慮方針」に基づき入札を導入しており、CO2排出量の削減と累積12億円の電気料金削減効果を生み出しました。引き続き、入札等により環境に配慮した調達を行い、低炭素電力や再エネ電力の割合を高めます。 清掃工場で発電された電力調達 清掃工場では、ごみ焼却により発生する熱エネルギーを、発電や熱供給に有効利用しています。区では、CO2排出量の少ない清掃工場由来の電力を23施設で使用しており、さらなる使用施設の拡大を電力小売事業者に働きかけます。 区役所のプラスチック削減(再掲) 「練馬区役所プラスチック削減指針」に基づき、マイボトル対応型給水機の導入、ペットボトルを使用しないびん・缶のみの自動販売機の設置、庁舎食堂・売店でのプラスチック製カトラリーの削減、イベント出展者へのプラスチック削減の呼びかけなどにより、プラスチックごみ発生を抑制します。 分野2 みどり みどりは、豊かな都市景観の形成、地下水のかん養、野生生物の生息環境の確保に加え、光合成によるCO2の吸収・固定、酸素の生成など、私たちの生活に欠かせない多様な恵みを与えてくれます。 みどりの保全・創出により、気候変動の影響の緩和に貢献しつつ、私たちの生活環境の向上を図ります。 目標  練馬のみどりを未来へつなぐ  練馬のみどりに満足している区民の割合80%を目指し、みどりのネットワーク形成を進めるとともにみどりを育むムーブメントの輪を広げます。 指標  練馬のみどりに満足している区民の割合  令和30年度 80% 現状と課題 みどり 練馬区は、都心近くに立地しながら、農地や樹林地など豊かなみどりが残る住宅都市です。令和3年度のみどりの実態調査では、練馬区のみどりに満足している区民の割合は69%で、近年は横ばいとなっています。アンケート調査では、みどりを守り育てるために必要な取組として、「公園・緑地の整備」や「民有樹林地・農地への支援」が回答の上位となりました。 区の緑被面積は約1,087ha、緑被率は22.6%でした。前回調査からの5年間で、樹木地約41ha、草地約10ha、農地約22 haがそれぞれ減少しており、区全体の緑被率は1.5ポイント減少しました。特に300u以上の樹木地の減少幅が大きく、区のみどりの約4分の3を占める民有地のみどりが減少傾向にあります。 みどりのネットワークの形成を進めるとともに、民有地のみどりを維持する方策を考える必要があります。また、区民が道路から見て楽しめるみどりを増やす必要があります。 さらに、練馬のみどりを地域の財産として育むために、所有者だけではなく、区民がみどりに関する活動に関わりやすい仕組みづくりを進め、みどりを育むムーブメントの輪を広げていく必要があります。 都市農業 都心近くにありながら、生活と融合した生きた農業が営まれているのが、練馬区の特徴です。この農業と農地を守り、次世代に引き継ぐことが重要です。都市農業の振興と農地の保全は、区の重点課題の1つです。 区は、身近な農地で生産される安全で新鮮な農産物の魅力の発信、意欲ある農業経営の支援、多様な機能をもつ都市農地の保全に向けた取組などを進めてきました。 世界都市農業サミットやねりマルシェなどにより、都市農業の魅力を発信してきました。都市農地を保全するには、農業者の営農を支援するとともに、地域住民の理解を深めていく必要があります。 生産緑地の貸借制度等のさらなる活用と、区民が農に親しむ取組の拡充が求められています。 施策 みどりのネットワークの形成 拠点となる大規模で特色のある公園を整備し、軸となる幹線道路や河川とつなぎ、みどりのネットワークの形成を進めます。 みどりの拠点づくりを進める長期プロジェクト みどりの拠点づくりを進める長期プロジェクトとして、白子川で結ばれる2つの都市計画公園の整備を進めます。稲荷山公園は「武蔵野の面影」、大泉井頭公園は「水辺空間の創出」をテーマに、みどりのネットワークの拠点としての機能を充実します。 特色ある公園等の整備 石神井松の風文化公園の拡張、平成つつじ公園の改修など、スポーツができる公園や地域のみどりを活かした公園を整備します。 子どもたちの遊び場や高齢者の散策の場、地域のお祭りの場として生活に欠かせない、暮らしに潤いをもたらす身近な公園を整備します。 計画段階から区民参加を進め、整備内容を検討します。 都市計画道路等の都市インフラの整備におけるみどりの創出 都市計画道路や河川の整備に合わせて、街路樹等による緑化を進めます。沿道の状況や地域の特性などを踏まえ、路線ごとにふさわしい樹種を選び、地域の方々や道行く人が楽しめるみどりを創出します。 幹線道路の沿道のまちづくりを進める際には、みどりの創出に努めます。都が事業を行う路線についても、豊かなみどりの軸として整備されるよう調整します。 重要な樹林地の保全 屋敷林などの樹林地を保全するため、都市計画や市民緑地などの保全制度の活用について、土地所有者との合意形成を進めます。 都市農地の保全 生産緑地の貸借制度等のさらなる活用と、区民が農に親しむ取組を拡充します。果樹の摘み取りが楽しめる「果樹あるファーム」の開設支援や、農業者が行う野菜の収穫体験事業のブランド化など、区民が農を体験できる場を充実します。 令和元年度に開催した世界都市農業サミットで得たつながりを活かし、都市農業に積極的に取り組む自治体や農業者とともに、都市農業の魅力を広く発信し、さらなる都市農業振興を図るため、令和5年度に全国都市農業フェスティバルを開催します。 高松地区と南大泉地区の2地区が指定されている「農の風景育成地区」の魅力の向上・発信に努めます。 みどりの美しい街並み形成の推進 緑化助成制度のさらなる周知等により、特に沿道の緑化を進め、身近な暮らしの場でのみどりを増やし、みどりの街並みを広げます。 区民が見て楽しめる沿道の緑化を促進し、公共施設においては、屋上への太陽光発電設備の導入との両立を図ります。 みどりを育むムーブメントの輪を広げる 個人のみどりを地域で守る仕組みの拡充 民有地のみどりを地域で守り育むため、保護樹林等の落ち葉清掃など、地域住民による取組を広げます。 公園や憩いの森の区民管理の拡充 区民による花壇や公園・憩いの森の管理を拡充し、地域の庭として、身近なみどりへの愛着を育み、みどりの保全を図ります。地域ニーズに応じた公園や憩いの森の利活用を推進します。 みどりを守り育てる活動に気軽に参加できるマッチングの推進 みどりに関心のある区民に向けて、みどりに関する活動や団体の求人情報の発信、見学会など、活動に結び付ける取組を進めます。 みどりを守り育てる人材や団体の育成 つながるカレッジねりまに開設した「コミュニティ・ガーデナーコース」と「ねりまの森維持管理コース」を通じて、地域のみどりを守り育てる中心的な役割を担える人材を育成します。 練馬区みどりを育む基金の運用 練馬区みどりを育む基金の活用実績の広報を強化するとともに、魅力的な短期プロジェクトの新設などにより、練馬のみどりに関心を持つきっかけを増やします。 事業者としての区の取組 区役所の緑化(ハーブテラス) 区役所の屋上・壁面緑化に取り組みます。 区役所西庁舎の屋上には、みどりの庭園「ハーブテラス」があります。ラベンダーやレモンバームなど10種類以上のハーブをはじめ、レッドロビンなどの生け垣に適した樹木が植えられています。また、テイカカズラなどを使った壁面緑化をしているほか、太陽光パネルを設置するなど、環境にも配慮した庭園となっています。 屋内の環境情報コーナーでは、太陽光発電システムの仕組みや、環境に関するパネルを展示しています。 みどりが直射日光を遮ることで建物の温度上昇が抑制され、さらに葉からの蒸散作用によって周囲の大気の温度上昇も抑制されます。建物に蓄積される熱が減少することで冷房効率が高まり、エネルギー消費量とCO2排出量の削減につなげます。 分野3 清掃・リサイクル 資源を採掘して製品をつくり、不要になれば捨てるという経済モデルは、気候変動や生物多様性の喪失など様々な問題をもたらしています。特に生活のあらゆる場面で使用されているプラスチックごみの削減が課題となっています。 食品ロスの削減、プラスチックごみの削減・資源化など3Rの取組を推進し、循環型都市を目指します。 目標  ごみの減量・資源化により循環型都市を目指す  ごみの発生抑制・再使用の促進、多様な資源循環と適正処理に取り組み、ごみの減量と資源化を推進します。 指標  区民1人1日あたりのごみ収集量  令和8年度 443g以下 現状と課題 ごみの排出量と食品ロス 令和3年度のごみ排出量は約12.9万t、区民1人1日あたり476gでした。コロナ禍による影響を受けた令和2年度を除き横ばいで推移しています。 このうち、可燃ごみの排出量は約12万tで、その4.2%にあたる約5,100tが未利用食品です。 令和4年度の区民意識意向調査では、脱炭素社会に向けて区が力をいれるべき取組として、「食品ロスの削減」(46.1%)や「3Rの推進」(31.2%)が回答の上位となりました。 食品ロスの削減、3Rの推進には区民および事業者の協力が欠かせません。区民・事業者・区が協働して、ごみの排出量を削減します。 プラスチック分別回収の新たな課題 区は、プラスチックごみの排出抑制とリサイクルを推進するため、他区に先行して平成20年度から容器包装プラスチックの分別回収に取り組んでいます。容器包装プラスチックのリサイクル実績は、年間5,000tを超えて23区最多となっています。 令和4年4月、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下「プラスチック資源循環促進法」という。)が施行され、全てのプラスチックがリサイクルの対象となりました。プラスチックの資源循環を促進する重要性が一層高まっています。 一方で、容器包装プラスチックを含めた全てのプラスチックをリサイクルするためには、大量のプラスチックを持ち込む処理施設などリサイクルルートの確保が課題となっています。 排出ルールの徹底 令和3年度の資源・ごみの排出実態調査によると、分別すれば資源化が可能なものが可燃ごみに15.3%、不燃ごみに14.6%含まれています。区の排出ルールによる分別徹底を進めることが、ごみの減量・資源化につながります。 施策 ごみの発生抑制・再使用の促進 フードドライブ事業の充実(再掲) リサイクルセンターに未利用食品の受付窓口を常設します。受け付けた食品は、子ども食堂や食糧支援を行うNPO法人等に提供します。 食品ロスの削減(再掲) SNS等を活用し、食品ロス削減の習慣化を促す情報発信を充実します。 「おいしく完食協力店」の拡充を図り、飲食店から排出される食べ残し等の削減に取り組みます。 プラスチックの削減(再掲) 講座やイベントを通じた意識啓発を図り、使い捨てプラスチックを使わないライフスタイルへの変容を促します。農業分野においては、農業用生分解性マルチ共同購入事業への補助などにより、プラスチックごみの削減を図ります。 生ごみの発生抑制・資源化 生ごみ堆肥づくりなどの講習や区報などを通じて、生ごみの減量に効果的な「食べキリ 使いキリ 水キリ」の取組を広めます。給食を提供する区立施設から発生する生ごみを一括回収・肥料化し、削減に取り組みます。 再使用の促進 粗大ごみとして収集した不用家具等のうち、再使用が可能なものは簡易な修繕や清掃を行い、リサイクルセンターで展示・販売します。リサイクル・マーケットを開催する団体の支援と、家庭で不用になった生活用品を相互活用する情報交換の場を提供します。 多様な資源循環の推進 区民・事業者が進める資源回収の促進 報奨金や作業用品の支給などを通じて、集団回収に取り組む区民・事業者を支援します。町会・自治会、マンション管理組合などに新たな参加を呼びかけます。事業系ごみの資源化を促進するため、事業者向け講習会において意識啓発を図ります。 区が進める資源回収の推進 容器包装プラスチックを含めた全てのプラスチックをリサイクルするためには、大量のプラスチックを持ち込む処理施設などリサイクルルートの確保が課題となっています。国に基盤整備等の役割を果たすよう強く求めていきます。 製品プラスチックの資源化については、国や事業者の動向を注視しつつ、検討する必要があります。 令和4年度に開始した不燃ごみ資源化事業は、実施状況を検証して必要に応じて見直しを行います。 街区路線回収や拠点回収は、区民の利便性を高める仕組みを検討します。 適正処理の推進 排出ルールの徹底・事業者の自己処理責任の徹底 地域や集積所単位での「青空集会」などにより、資源とごみの分別について周知・啓発に取り組みます。ごみとして排出される割合が高い紙類やびんの分別について周知徹底を図ります。 ごみ収集の際、分別されていないごみに警告シールを貼付して、適正な排出を促します。事業系ごみ排出事業者に適正排出の指導などを行います。 資源・ごみの収集運搬と適正処理・処分 排出された資源・ごみを適切に収集運搬し、生活環境の保全に努めます。 効率的かつ安定した資源・ごみの収集運搬体制の構築を目指し、委託化を進めます。資源の処理・処分は民間事業者を活用し、適正処理の履行確認を行います。 分別ルールの周知・徹底と適正な収集運搬体制の構築により、多量の廃棄物が発生する災害時においても、円滑かつ迅速な処理ができるよう対応を進めます。 事業者としての区の取組 食品ロスの削減(再掲) 賞味期限が迫った防災備蓄食品や飲料水は、学校や防災訓練等で区民へ配布し有効活用します。 学校では、児童・生徒が食べ残しによる食品ロスの実態を理解し、食を通じた資源循環について学べるよう、各教科・領域等と関連付けた指導を行います。 区役所のプラスチック削減(再掲) 「練馬区役所プラスチック削減指針」に基づき、マイボトル対応型給水機の導入、ペットボトルを使用しないびん・缶のみの自動販売機の設置、庁舎食堂・売店でのプラスチック製カトラリーの削減、イベント出展者へのプラスチック削減の呼びかけなどにより、プラスチックごみ発生を抑制します。 区立施設における生ごみの発生抑制 給食を提供する区立施設から発生する生ごみを一括回収・肥料化し、削減に取り組みます。給食を提供する区立施設に対し、機会を捉えて生ごみ減量に向けた意識啓発を図ります。 区立施設におけるリサイクルの推進 古紙、びん・缶、ペットボトル、乾電池および蛍光管を回収し、区の事業活動に伴う廃棄物の再生利用を行います。保育園や福祉園などの給食提供施設では、廃食用油の資源化を行います。学校給食では、使用後もリサイクルできる食器を積極的に導入します。 分野4 地域環境 公害発生の防止、空き家対策、まちの美化など生活環境の保全は、私たちの豊かで快適な都市生活の基本です。法令改正に的確に対応し、引き続き安心して生活できる環境の保全に努めます。 環境に配慮した都市構造の整備の推進やまちづくりの実現により、環境負荷の少ない都市づくりを進めます。省エネルギー化などの検討によりCO2を削減し、環境に配慮した循環型のまちづくりに取り組みます。 自動車交通による環境負荷を軽減するため、公共交通を中心としたまちづくり、環境負荷の少ない公共交通の充実、シェアリングサービスの利用促進など、運輸部門の脱炭素化を図ります。 目標  みどり豊かで快適な地域環境をつくる。 脱炭素社会の実現に向け、生活環境の保全を推進し、みどり豊かで快適な地域環境を創出します。 指標  区内の雨水流出抑制対策量(累計)  令和19年度 72.5万m3 現状と課題 生活環境 大気環境は改善が進み、浮遊粒子状物質(SPM)、一酸化二窒素(N2O)、窒素酸化物(NOX)は全ての観測地点で環境基準を長期間継続して達成しています。 適正に管理されていないあき地・空き家や、いわゆる「ごみ屋敷」により、地域の防災・防犯、衛生、景観などが損なわれる事例が増えています。「あき地の管理の適正化に関する条例」、「練馬区空家等および不良居住建築物等の適正管理に関する条例」や「練馬区空き家等対策計画」に基づく発生予防、適正管理、所有者への指導などに引き続き取り組むことが必要です。 環境美化活動を行う区民や事業者への支援や啓発活動を進めた結果、歩行喫煙率やポイ捨ての状況は改善されつつあります。引き続き、区民や事業者と協働して、まちの美化に取り組む必要があります。 交通環境 区内から都心へのアクセスは、鉄道やバスによる交通網の充実により飛躍的に向上しました。一方、都市計画道路の整備率は約50%で、23区平均の66%を大きく下回っており、生活道路への車両流入を招く一因となっています。 区内には、道路と鉄道が平面交差する踏切が28か所あり、交通渋滞が日常的に発生しています。23区では稀な鉄道空白地域が区北西部を中心に残されており、公共交通空白地域も存在します。 令和4年度の区民意識意向調査では、特に力を入れてほしい施策について「鉄道・道路・バス交通など都市インフラの整備」(25.2%)が2割半ばと最も多く、8年連続で第1位となっています。次いで「駅周辺のまちづくり」(16.7%)が回答の上位を占めました。 安全で快適なまちを実現するため、交通インフラの整備を積極的に進めることが必要です。 気候変動 区内の浸水被害は、台風を原因とするものが減少し、短時間・局所的な集中豪雨を原因とするものが増加しています。熱中症発生率や熱帯夜日数も増加し、気候変動が区民の健康や生活に影響を与えています。 豪雨被害の発生を抑制するため河川改修や雨水流出抑制などの取組や、ヒートアイランド現象の緩和に向けた取組が必要です。 施策 安心して生活できる環境の保全 公害発生の防止や空き家対策など生活環境の保全 大気汚染や水質汚濁、騒音など環境の監視を継続し、事業所に対する規制や指導を行います。公害のうち行政が対応すべきものは迅速な解決を図り、地域住民間での解決が必要なものは、区民自らが解決できるよう支援します。 建築物等の解体・改修工事におけるアスベストの飛散を防止するための法令・条例の改正情報を、区民・事業者に周知する等、適切な対応を促します。 空家等対策の推進に関する特別措置法や、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制などの改正が予定されています。法改正を踏まえ、管理不全状態の空き家への対応を強化します。 ごみ屋敷やあき地対策としては所有者に向けた指導を、歩行喫煙対策としてはマナーアップ指導員による巡回等を行い、良好な生活環境を保全します。 ヒートアイランド対策の推進 街路樹などを活かしたみどり豊かな幹線道路の整備、新たなみどりを創出する河川改修、沿道や街区単位での緑化の推進によるみどりのネットワークの形成、区立施設の改修・改築に合わせた緑化の推進、道路の整備・改修時の遮熱性舗装の採用等により温度上昇を抑え、ヒートアイランド現象を緩和します。 良好な都市環境の整備 環境にやさしい住まいづくりの促進 住宅修築資金融資あっせん制度やカーボンニュートラル化設備設置等補助制度などの活用により、環境配慮型の住まいづくりや設備の導入を促進します。 建築物省エネ法に対応した建築物、省エネ性能を高めた低炭素建築物、長期優良住宅など長持ちする建築物の普及啓発を行います。令和5年度に開始した区のマンション管理計画認定制度では、評価基準に省エネ・再エネの取組を盛り込み、建物からのCO2排出を削減します。 都市計画道路の整備 豊かなみどりを楽しめる歩道、快適な自転車の走行空間、電柱のない街並みなど、豊かで美しい都市空間をつくる道路整備に積極的に取り組みます。 都市計画道路の整備に合わせて、沿道の土地利用や周辺環境の変化に対応したまちづくりを進めます。 西武新宿線の連続立体交差化 踏切による交通渋滞や踏切事故を解消するため、都や鉄道事業者、沿線区市と連携し、連続立体交差事業や鉄道付属街路、交通広場等の事業に着手します。連続立体交差事業への取組に合わせて、多くの人々でにぎわう駅前空間の創出を目指すなど、まちづくりの検討を進めます。 大江戸線の延伸 令和5年2月、都は、大江戸線の延伸に向けた収支採算性などの検証を深度化し、事業化の課題を明確にすること、および鉄道政策全般を所管する庁内検討組織を立ち上げることを表明しました。 区は都と一層連携を図り、費用負担のあり方などについてさらに協議を進め、早期着工を目指し、事業化に向けた手続の着手に取り組みます。延伸推進基金の効果的な活用についても、都との協議を踏まえ検討します。 新駅予定地周辺では、駅前広場の整備や生活を支えるサービス施設の立地促進、公共施設の集約化など、新たな拠点づくりを検討します。 延伸の早期実現に向けて、地域の機運をさらに盛り上げるため、延伸地域の住民や町会、区内の各種企業、区議会と一体となった促進活動に取り組みます。多くの人が集まるイベントで啓発活動を行い、延伸の効果や必要性を広くPRします。 公共交通空白地域の改善 「公共交通空白地域改善計画」に基づき、みどりバスのルート再編や利用者が多い時間帯の増便、高齢化率が高い地域へのバス停設置に取り組み、公共交通空白地域の改善を進めます。 自転車利用環境の整備 放置自転車の解消に向け、自転車駐車場(駐輪場)の整備、買物客や駅周辺の実態などを踏まえた施設の改修に加え、買物の際に一時利用できる施設の拡大を進めるなど、対策を強化します。 都市計画道路の整備などに合わせて、自転車の通行空間の整備に取り組みます。 シェアリングサービスの利用促進(再掲) カーシェアリング、シェアサイクルなどの環境にやさしい移動手段により、脱炭素型ライフスタイルの普及を進めます。 サイクルポートを拡充して利便性を高めるため、事業者に公有地を貸与するなど支援を行います。 雨水流出抑制対策の推進 令和3年3月に改定した練馬区総合治水計画に基づき、河川や下水道へ流入する雨水を抑制する流域対策を進めます。 大規模な開発事業や公共施設において、雨水貯留浸透施設の設置を進めます。また、個人住宅を対象に、雨水浸透施設設置費や雨水タンク購入費を助成します。 環境に配慮したまちづくりの推進 みどり豊かな住環境に配慮した開発の促進、区道の無電柱化を推進します。 大規模な開発事業については、東京都環境影響評価制度に基づく手続きの各段階で、関係自治体として環境の保全に関する意見を都知事に提出します。都と連携して説明会や意見書提出の機会を区民に周知します。 事業者としての区の取組 区立施設における特定フロンの排出抑制 区立施設の特定フロン使用機器の現状を把握し、計画的に機器の更新を進めます。 第五章 計画の推進体制 CO2排出量の5割以上が家庭部門から排出されています。区民一人ひとりがライフスタイル・ビジネススタイルを見直し、脱炭素の取組を重ねることが不可欠です。 2050年代を担う世代の環境意識の育成を図るため、環境教育・環境学習を充実します。 省エネに配慮したライフスタイルと3Rの推進は、脱炭素社会の実現に向けて欠かすことのできない取組です。共通の目標のもと、一体的に推進することで実効性を高めます。 脱炭素化は、日常生活や事業活動の全ての分野において推進しなければなりません。区の組織を横断した取組の推進体制の構築を図ります。 総合的な環境施策の推進 環境学習の充実 子ども向けの環境学習の充実(再掲) 教育委員会と連携して、学校敷地内にある樹木、校舎に設置した太陽光発電設備を、身近な環境教育の教材として活用します。 各家庭でできる省エネについて学び、日常生活での実践につなげるエコライフチェックのデジタル化を進めます。参加校には、CO2吸収量を示した樹木プレートを設置して、身近なみどりの役割を学ぶ環境学習に活用します。 令和4年度に試行した、子ども向けの参加・体験型環境イベント「ねりま環境まなびフェスタ」を本格実施します。 事業者等の環境学習プログラムの活用(再掲) 事業者や環境活動団体等の環境学習プログラムを積極的に活用して、環境について学び、体験する機会の拡充を図ります。練馬区地球温暖化対策地域協議会(ねり☆エコ)が行うイベントなどの事業について、新たな事業者・団体との協働を進めます。 リサイクルセンターの総合的な環境学習拠点への移行(再掲) リサイクルセンターは、従来の3R推進に加えて、家庭での省エネの取組や生物多様性などの取組を拡充し、脱炭素という共通目標の実現に向けた総合的な環境学習拠点への移行を目指します。 区民ボランティアによる環境・リサイクル講座を引き続き開催します。 情報発信の充実 区民・事業者の取組を後押しする情報発信(再掲) 国や東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)、東京都中小企業振興公社が実施する補助制度を含めて、区民・事業者が利用できる補助制度や導入効果を分かりやすく情報発信します。 事業者向けの情報発信は、練馬ビジネスサポートセンターと連携して行います。初期費用なしで太陽光発電を導入できる「0円ソーラー」など、新たな民間サービス・製品についても情報発信します。 電力需給ひっ迫時には、都や一般送配電事業者43と連携して、節電への協力を区民・事業者に分かりやすく呼びかけます。 デジタルメディアの活用 ターゲット層に応じて、区ホームページ、SNS、スマートフォンのアプリなど、適切なデジタルメディアを選択して情報発信します。 練馬区地球温暖化対策地域協議会(ねり☆エコ)による情報発信の強化 講演会・イベント等の啓発事業やホームページを充実して、地球温暖化対策に関連する情報発信をさらに強化します。 練馬区地球温暖化対策地域協議会(ねり☆エコ)が行うイベントなどの事業について、新たな事業者・団体との協働を進めます。 分野を横断して区民との協働を広げる 脱炭素社会の実現という共通の目標に向かって、地域で活動している団体間の交流や連携の場を創出し、エネルギー、みどり、清掃・リサイクル、地域環境など、分野ごとに分散していた区民活動を結び付ける仕組みづくりを検討します。 環境施策の一体的な推進 省エネや3Rの一体的な推進(再掲) これまで、省エネについては「環境審議会」、3Rについては「循環型社会推進会議」において、それぞれ区民や専門家の意見を伺い、個別に施策を推進してきました。 今後は、区民生活に身近な一体的な施策として推進を図り、脱炭素社会実現に向けて取組の実効性を高めます。「環境審議会」と「循環型社会推進会議」は再編・統合します。 環境管理推進本部の機能強化 「環境管理推進本部」の機能を強化し、庁内各部が分野の枠を越えて連携し、脱炭素の取組を推進します。 事業執行における法令遵守を徹底するため、「環境法令遵守の手引」を毎年度更新して、各部に対して周知・徹底と注意喚起を行います。さらに、年度ごとに「環境法令遵守評価報告書」の提出を求め、必要な助言・是正指導を行います。 計画の進行管理 進捗状況の点検・評価 本計画に基づく具体的な事業内容および年次計画は、(仮称)第3次みどりの風吹くビジョンや、公共施設等総合管理計画等において示します。重要業績評価指標を用いたPDCAマネジメント手法44により点検・評価および見直しを行います。 環境報告書「練馬区の環境」の発行 区の環境の保全に関する監視および測定結果は、環境報告書『練馬区の環境』により毎年度公表します。 計画の改定・見直し 本計画は、環境審議会や区民意見反映制度(パブリックコメント)により、広く区民から意見を伺い、改定・見直しを行います。 第六章 資料編 第1節 区民意識意向調査 設問1 節電等の省エネルギーの取組状況 省エネに『積極的に取り組んでいる』のは1割強 節電等の省エネルギーの取組状況は、「負担にならない程度に取り組んでいる」(73.1%)が7割強で最も多く、「積極的に取り組んでいる」は1割にとどまります。(10.6%) 設問2 省エネルギーに取り組まない理由(複数回答) 「効果が実感できないから」が3割を超える 設問1で「取り組んでいない(取り組む予定はない)」と回答した90人に理由を聞いたところ、「効果が実感できないから」(32.2%)が3割を超えて最も多く、次いで「関心がない、または必要性を感じないから」(28.9%)、「手間がかかるから」(24.4%)、「費用がかかるから」(22.2%)などの順となっています。 設問3 自宅への再エネ・省エネ設備の導入 再エネ・省エネ設備を「導入していない(導入する予定はない)」が6割 自宅への再エネ・省エネ設備の導入状況は、「導入していない(導入する予定はない)」(60.5%)が6割で最も多く、次いで「既に導入している」(25.5%)、「導入する予定」(9.1%)の順となっています。 設問4 導入している設備(複数回答) 「LED照明」が8割近く 設問3で「既に導入している」「導入する予定」と回答した386人に導入設備を聞いたところ、「LED照明」(77.5%)が8割近くで最も多く、次いで「太陽光発電設備」(16.3%)、「住宅の断熱改修(窓以外も含む)」(16.1%)、「家庭用燃料電池システム(エネファーム)」(14.5%)などの順となっています。 設問5 再エネ・省エネ設備を導入していない理由(複数回答) 「設備の導入費用が高いから」が4割を超える 設問3で「導入していない(導入する予定はない)」と回答した674人にその理由を聞いたところ、「設備の導入費用が高いから」(42.3%)が4割を超えて最も多く、次いで「賃貸物件だから」(32.5%)、「集合住宅だから」(29.2%)、「設備に関する情報が少ない(わからない)から」(21.4%)などの順となっています。 設問6 区が力をいれるべき取組(複数回答) 「補助制度の継続」が6割近く 区が力をいれるべき取組を3つまで聞いたところ、「補助制度の継続」(58.2%)が6割近くと最も多く、次いで「補助対象となる設備の拡大」(55.4%)、「設備等の導入による省エネ効果に関する情報提供」(40.8%)、「地球温暖化、脱炭素についての啓発活動」(20.5%)などの順となっています。 設問7 脱炭素社会の実現に向けて導入したい設備(複数回答) 「太陽光発電設備」が3割を超える 補助金や税の優遇措置が拡充された場合、導入したい設備について聞いたところ、「太陽光発電設備」(31.6%)が3割を超えて最も多く、次いで「LED照明」(30.9%)、「電気自動車(燃料電池自動車、プラグインハイブリッド車を含む)」(23.4%)、「住宅の断熱改修(窓以外も含む)」(22.1%)などの順となっています。 第2節 区内事業者の意向と取組状況 設問1 現在行っている脱炭素の取組(複数回答) 身近な取組が大部分を占める 「照明のLED化」(77.7%)が最も多く、次いで「空調温度調整」(41.3%)、「廃棄物の削減」「公共交通機関・自転車・徒歩による通勤・移動」(各36.4%)などの順となっています。 設問2 今後行ってみたい脱炭素の取組(複数回答) 電気自動車など車両の電動化に高い関心 「電気自動車」(16.5%)が最も多く、次いで「照明のLED化」「ハイブリッド車」(各10.7%)などの順となっています。(「特になし」を除く) 設問3 脱炭素に取り組む際の課題(複数回答) 費用面と情報不足が主な課題 「費用対効果」(58.7%)が最も多く、次いで「情報不足」(45.5%)、「資金調達」(41.3%)などの順となっています。 設問4 区へ期待・要望すること(複数回答) 補助制度・情報提供への期待が多く寄せられている 「補助制度の創設・拡充」(65.3%)が最も多く、次いで「支援情報の提供」(47.1%)、「取組事例の共有」(35.5%)などの順となっています。 第3節 区の基礎統計資料 世帯と人口 令和5年1月1日現在、区の総人口は73万8,914人です。 世帯数は38万5,142世帯で、世帯あたりの人員は1.92人です。世帯人員は、長期減少傾向にあります。 人口の将来推計 全国的に少子高齢・人口減少社会が進行する中、都の総人口は令和7年頃にピークを迎え、その後、減少が続くと見込まれています。一方、区の総人口は令和31年に約76.1万人でピークを迎え、その後、減少に転じる見込みです。 土地利用 宅地が63.3%を占め、公共用地や商業用地、住宅用地として利用されています。非宅地は36.7%で、道路や公園、農用地などとして利用されています。 用途別の詳細は、住宅用地が最大の48.2%を占め、次いで道路が18.9%となっています。 業務・産業 区内20,278か所の事業所で、172,477人の従業員が従事しています。事業所数の産業別構成は、日常生活に密着・関連する、卸売業・小売業、医療・福祉、宿泊業・飲食サービス業が全体の45.7%を占めます。 従業者規模では、1〜4人の事業所が全体の60.4%と最も多く、20人未満の事業所が全体の90.9%を占めており、区内の産業活動の中心となっています。 第4節 CO2削減量の算定 都の太陽光パネル設置義務化による削減量 制度概要 都は、令和7年度から、年間の都内供給延床面積が2万u以上のハウスメーカー等の事業者を対象として、都内の新築住宅への太陽光発電などの再エネ設備設置を義務付けます。 義務化対象となる棟数 都内の年間新築棟数のうち、対象となる大手ハウスメーカーの施工は半数程度と想定されています。このことから、区内の年間新規着工棟数2,672棟のうち50%の1,336棟が、大手ハウスメーカー施工の建築物と見込まれます。 この1,336棟に、太陽エネルギー利用の適合割合の都内一律の算定基準率85%を適用すると、区内の設置義務化住宅棟数は、年間1,136棟となります。 CO2削減量の算定 令和4年度のカーボンニュートラル化設備設置等補助制度では、区民等が導入した太陽光発電設備の発電容量の平均は約4kWでした。そこで、本算定では、新築住宅1棟あたりの発電容量を4kWとします。 一方、発電容量1kWの太陽光発電設備の年間CO2削減量は448kg-CO2とされており、4kWでは1,792kg-CO2となります。これを、設置義務化住宅棟数1,136棟に乗じ、さらに、制度が施行される令和7年度から本計画の目標年度までの6年間のCO2削減量を算定すると、約1.2万t-CO2となります。 区の取組による排出量の削減 区の取組を通じて、区内のCO2排出量を2019年度実績から12.6万t- CO2削減することを目指します。 資料編では、脱炭素を推進する3つの取組軸ごとに削減量を示します。 住宅等の消費エネルギー削減 既存住宅の省エネ化・再エネ導入支援  0.98(単位万t-CO2) 「環境に配慮したライフスタイルの推進」による削減 家庭部門の大きな削減ポテンシャル 都が発行する『家庭の省エネハンドブック2022』に掲載された家庭の省エネの工夫(37項目)を全て実践した場合、何も実践しない場合と比較して、世帯あたり年間955.1kgのCO2削減と58,300円の節約効果があります。 区民一人ひとりの省エネ意識向上を図り、家庭での省エネの工夫の実践率を高めることが大きな削減効果を生み出します。 節電等に積極的に取り組む区民の割合50%を目指します 令和4年度の区民意識意向調査における節電等の取組状況は、「積極的に取り組んでいる」方が10.6%にとどまっています。 区は環境に配慮したライフスタイルを推進する取組を通じて、2030年度までに「積極的に取り組んでいる」方の割合を50%、「負担にならない程度に取り組んでいる」方の割合を45%に引き上げることを目指します。 家庭での取組による削減量の推定 区の世帯数、区民意識意向調査における節電等の省エネの取組状況、家庭での37項目の省エネの工夫を全て実践した場合の削減量、最近のエコライフチェックの結果を基礎として、環境に配慮したライフスタイルの推進による現況の削減量と。2030年度目標達成時の削減量を推定します。 推定は、区民意識意向調査における節電等の省エネの取組容共ごとに、家庭で37項目の省エネの工夫の実践率を設定する手法により行います。 現況の削減量 【A】 家庭での37項目の省エネの工夫の実践率は、「積極的に取り組んでいる」場合直近の「いつもの日(平常日)」の取組率72.9%とし、「負担にならない程度に取り組んでいる」場合の実践率は、「エコライフデー(特定日)」86.9%と「いつもの日(平常日)」72.9%との差の▲14ポイントとします。 この場合における削減量は18.7万t-CO2と推定されます。 2030年度目標達成時の削減量 【B】 家庭での37項目の省エネの工夫の実践率は、「積極的に取り組んでいる」場合直近の「エコライフデー(特定日)」の取組率86.9%とし、「負担にならない程度に取り組んでいる」場合の実践率は、「現況の削減量【A】」と同様▲14ポイントとします。 この場合における削減量は28.1万t-CO2と推定されます。 第5節 今後、2030年度までの削減量 2030年度目標達成時の削減量 28.1万t-CO2−現況の削減量 18.7万t-CO2=9.4万t-CO2 地球温暖化のメカニズム 地球に届いた光エネルギーは、地表や海面を温めます。温められた熱の多くは宇宙へ放出されますが、一部が温室効果ガスに吸収されて大気を温めています。 温室効果ガスが全く存在しない場合、地球の平均気温は、マイナス19℃前後まで低下すると予測されています。 IPCCは、化石燃料の使用量が爆発的に増えて、気温上昇が生じていると指摘しています。 温室効果ガスとは 地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「温対法」という。)では、温室効果ガスとして、以下の7種類が指定されています。 第6節 法定計画として定める事項 本計画は、練馬区における、温対法に基づく「地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)」および「地球温暖化対策地方公共団体実行計画(事務事業編)」、気候変動適応法に基づく「地域気候変動適応計画」です。 本節では、計画本編に示した事項のほか、各計画において定めるべき事項を示します。 地方公共団体実行計画(事務事業編) 温対法により、全ての地方公共団体は、事務事業に伴う温室効果ガス排出量の削減を目的とした「地方公共団体実行計画(事務事業編)」を策定・公表することが義務付けられています。 対象とする範囲 区(指定管理施設・委託施設を含む)の全ての事務事業 エネルギー使用量の報告 環境マネジメントシステムによるエネルギー使用量の管理 練馬区環境マネジメントシステム(EMS)により、各施設のエネルギー消費量等を把握しています。また、PDCAサイクル53に基づき、温室効果ガス削減の取組について点検・評価、見直しを行います。 法令に基づく報告 事業者としての区(区長部局および教育委員会)は、省エネ法の「定期報告・中長期計画」、温対法の「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」、環境確保条例の「地球温暖化対策報告書制度」により、エネルギー使用量やCO2排出量等の報告が義務づけられています。 区役所(練馬庁舎)は、エネルギー使用量が多いため、事業所単独で省エネ法の報告を行うとともに、環境確保条例に基づく「大規模事業所に対する温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)」により、エネルギー使用量の総量削減が義務付けられています。 令和5年4月に省エネ法が改正され、今後は非化石エネルギーも含めた全てのエネルギーの使用の合理化、非化石エネルギーへの転換、電気の需要の最適化(デマンドレスポンス[DR])が求められます。 区は、EMSデータに基づき、法令に基づき国や都への報告を行います。 環境配慮事項の手順書 事務事業執行における具体的な環境配慮の取組事項は、以下の環境配慮手順書等において定めます。本計画策定および国や都の制度改正に対応するため、令和5年度から環境配慮手順書等の改定に着手します。 施設計画策定にあたっての環境配慮手順書 省エネルギー等施設管理標準 低燃費・低公害車の導入に関する手順書 練馬区電力の調達に係る環境配慮方針 区の物品購入等におけるグリーン購入推進手順書 練馬区役所プラスチック削減指針 基本協定締結時における指定管理者への環境配慮に関する伝達事項 モニタリング実施要領に基づく指定管理者の環境配慮項目 環境法令の遵守 区が事務事業を行う際には、様々な環境関係法令の遵守が求められます。環境関係法令の遵守に遺漏がないよう、環境管理推進本部(本部長・区長)において、各部に対して年度ごとに「環境法令遵守評価報告書」の提出を求め、必要な助言・是正指導を行います。 職員の環境法令遵守の意識を高め、知識習得を促すため、環境法令の内容や運用上の注意点等を分かりやすくまとめた「環境法令遵守の手引」を作成し、活用しています。 温室効果ガス排出量算定の見直し これまでの算定手法 区は、環境管理実行計画を策定して、平成23年度から事務事業に伴う温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。第三次計画(計画期間:令和2〜5年度)までは、計画策定時の全電源平均排出係数を固定して各年度の排出量を算定してきました。これは電源構成の変化による影響を排除する算定手法です。 標準的手法による再算定 令和5年3月、環境省は、「地方公共団体実行計画(事務事業編)策定・実施マニュアル」における温室効果ガス排出量の標準的な算定手法を改めました。これを踏まえ、区は、2013年度以降の排出量を標準的手法により再算定しました。 目標設定および排出量算定に用いた排出係数は以下のとおりです。 基準年度および目標年度の排出量は、計画策定時の基礎排出係数 各年度の排出量実績は、当該年度の調整後排出係数 地域気候変動適応計画 気候変動の影響の顕在化 近年の気象災害の激甚化は、地球温暖化が一因とされています。これまで経験したことのない猛暑や豪雨、台風の強大化、それに伴う自然災害の発生、熱中症のリスクの増加や農作物の品質低下など、気候変動によると思われる影響が全国各地で生じています。都区部においても、真夏日・猛暑日・熱帯夜が増加傾向にあります。 気候変動の緩和と適応 平成30年に「気候変動適応法」が施行され、令和3年に「気候変動適応計画」が閣議決定されました。区は、区民の生命と財産、安全・安心な生活を守るため、適応策についての取組を地域気候変動適応計画に位置づけ、区民・事業者と温室効果ガスの排出量を削減するとともに(緩和策)、気候変動の影響による被害の回避・軽減対策(適応策)に取り組みます。 気候変動シミュレーション 将来の気候予測は、私たちがこれから温室効果ガスの排出をどれくらい削減できるか、社会経済がどう発展するか、追加的な気候政策を行うか等の仮定によって大きく変わります。 自然災害対策  無電柱化の推進(再掲)  雨水流出抑制対策の推進(再掲)  災害時のエネルギーセキュリティ確保(再掲)  練馬区国土強靱化地域計画に基づく取組の推進 大規模な自然災害が発生した際のリスクを明らかにし、最悪の事態に陥らないために事前に取り組むべき施策を体系化した「練馬区国土強靱化地域計画」に基づく取組を推進します。 健康被害対策(暑熱環境対策)  ヒートアイランド対策の推進(再掲)  住宅等の暑さ対策の普及啓発 断熱・省エネ性能の高いZEB・ZEHなどの普及啓発により、住宅等の暑さ対策を促進します。  熱中症予防情報の発信 熱中症に特に注意が必要な高齢者・子ども等の健康を守るため、熱中症警戒アラート、新しい生活様式における熱中症を防ぐポイント、暑さ指数(WBGT:湿球・黒球温度)等について、区ホームページ、SNS、チラシ・ポスター等により、情報を発信します。  区民が手軽に取り組める暑さ対策の普及啓発 区民が手軽に取り組めるライフスタイルの工夫や、打ち水などの暑さ対策について、様々な媒体を通して情報発信を行います。 第7節 計画策定における区民意見の反映等 練馬区環境審議会 練馬区環境審議会は、練馬区の環境保全に関する事項を審議するため、環境基本条例により設置された区長の附属機関です。 1 委員名簿(答申時点) 横倉 尚  武蔵大学名誉教授 石神  法政大学名誉教授 稲垣 憲治  公募区民 岩橋 栄子  公募区民 河原 啓子  公募区民 崎 誠  公募区民 若林 信弘  公募区民 橋 司郎  区民団体 練馬区環境清掃推進連絡会 会長 小口 深志 いんせくとかふぇ 副代表 野ア 寛司  練馬区小学校PTA連合協議会 庶務 兵頭 将勝  練馬区立中学校PTA連合協議会 会長 鈴木 政信  事業者団体 練馬区商店街連合会 副会長 三宅 泉  一般社団法人練馬産業連合会 副会長  藪本 史郎  東京商工会議所練馬支部 飲食分科会副分科会長 鈴木 正明  東京あおば農業協同組合 常務理事 野尻 哲也  教育関係者 練馬区立小学校長会 八坂小学校長 大澤 秀吉  練馬区立中学校長会 関中学校長 大黒 康広  関係行政機関 東京都環境局 総務部自治体連携推進担当課長 2 審議日程 第1回 令和4年1月31日 第2回(諮問) 令和4年8月5日 第3回 令和4年11月14日 第4回(答申) 令和5年1月19日 練馬区エネルギー分野有識者会議 練馬区エネルギー分野有識者会議は、本計画の策定に向け、令和2年度に検討を行ったエネルギービジョンの内容や、エネルギーを取り巻く最新の動向を計画に反映するために、令和4年度に設置した会議体です。 1 委員名簿 柏木 孝夫  東京工業大学 特命教授・名誉教授 高口 洋人  早稲田大学 創造理工学部教授 北本 晶彦 東京ガス株式会社 カスタマー&ビジネスソリューションカンパニー 東京担当部長 伊藤 あすか  東京ガスネットワーク株式会社 東京東支店長 佐々木 正信  東京電力エナジーパートナー株式会社 販売本部 副部長 今井 義人  東京電力パワーグリッド株式会社 荻窪支社長 森田 昌志  東京二十三区清掃一部事務組合 企画室長事務取扱総務部参事 岡村 将夫  東京熱供給株式会社 技術部長 相原 光良  区内事業者団体 一般社団法人練馬産業連合会 副会長 中川 大介  東京あおば農業協同組合 農業振興課長 細野 正樹  東京商工会議所練馬支部 商業分科会長 江村 健二  練馬区商店街連合会 副会長 2 審議日程 第1回 令和4年7月5日 第2回 令和4年8月25日 第3回 令和4年10月18日 第4回 令和5年1月16日 第8節 用語解説 あ行 雨水流出抑制 局所的大雨等による河川や下水道施設への負荷軽減のために、一時貯留施設等により雨水流出総量やピーク量を減少させること。降雨による浸水被害の軽減や、地下水のかん養などが期待できる。 エネルギー基本計画 「エネルギー政策基本法」に基づいて政府が策定する計画で、エネルギー需給に関する政策について、中長期的な基本方針を示したもの。安全性(Safety)を大前提とし、自給率(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時達成するべく、取組を進めている。 オール東京62市区町村共同事業 各自治体の地域の特性に応じた自然環境の保護や地球温暖化対策を推進するために、東京の62市区町村が共同してさまざまな事業に取り組むための仕組み。温室効果ガス排出量の推計などを共通で行っている。 か行 カーボンニュートラル CO2をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること。 環境影響評価制度 大規模な開発事業等を実施する際に、事業者が、あらかじめその事業が環境に与える影響を予測・評価し、その内容について住民や関係自治体等から意見を聴くことにより、事業の実施において適正な環境配慮がなされるようにするための一連の手続のこと。 キャップ&トレード制度 都内大規模事業所に対し、CO2排出量の総量削減を義務付ける制度。義務履行手段として、自ら削減(省エネの実施、再エネの導入、低炭素な電気・熱の利用)、排出量取引(超過削減量、再エネクレジット等)第二計画期間からのバンキング(第二計画期間の超過削減量やクレジットを、第三計画期間の削減義務に利用)がある。 グリーン水素 風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの電力を利用し、水を電気分解することで生産した水素のこと。 コジェネレーションシステム 天然ガス、LPガス、石油等を燃料として、エンジン、タービン、燃料電池などで発電し、発生する廃熱も同時に回収し利用する熱電併給設備のこと。回収した廃熱は、蒸気や温水として、冷暖房・給湯、工場の熱源などに利用でき、熱と電気を無駄なく利用することで、高いエネルギー効率を実現することができる。 さ行 シェアサイクル エリア内に複数設置されたステーションから自転車を借り、任意のステーションに返却することができるシステム・サービスのこと。 遮熱性舗装 路面温度の上昇につながる赤外線を高反射することで、路面温度の上昇を抑制する舗装のこと。通常の舗装と比較して、路面温度を最大で約10℃下げる。また、遮熱材に含まれる中空セラミックにより、赤外線を太陽の方向へより反射させる。 食品ロス 本来食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。食品ロスは大きく分けると、製造過程で発生する規格外品、小売店での売れ残りなどの事業活動を伴って発生する「事業系食品ロス」と、各家庭から発生する、家庭での食べ残しや廃棄によって発生する「家庭系食品ロス」がある。 樹木地 樹木でおおわれている土地のこと。単木であっても含まれ、樹林地とは限らない。 生産緑地 良好な都市環境を確保するため、農林漁業との調整を図りつつ、都市部に残存する農地の計画的な保全を図ることを目的として、都市計画法による「生産緑地地区」内の指定された農地のこと。 生物多様性 生き物たちの豊かな個性とつながりのこと。生物多様性条約では、生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性という3つのレベルで多様性があるとしている。 た行 地域気候変動適応計画 「気候変動適応法」に基づく気候変動適応計画に即して、地方公共団体が策定する計画。都道府県や市町村等が主体となって、その区域における自然的、経済的、社会的状況に応じた気候変動適応に関する施策を推進するために策定する。 地方公共団体実行計画 「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく地球温暖化対策計画に即して、地方公共団体が策定する計画。区全域の温室効果ガスの排出の抑制等を行うための施策に関する計画(区域施策編)と、区の事業者としての温暖化防止対策に関する計画(事務事業編)で構成される。 トリジェネレーション ガスエンジンを稼働して電気と熱をつくる「コジェネレーション」に加え、排ガス(CO2)も有効活用するエネルギー供給システムのこと。このシステムを農業に活用することで、植物の光合成による生育を促進させ、栽培効率を高めることができるため、環境に配慮した持続可能な農業の実現策として期待されている。 な行 燃料電池 水素を使って電気や熱をつくることができるシステムのこと。燃料電池自動車や、定置用燃料電池がある。 農業用生分解性マルチ 農作物の栽培が終わった後に土壌の中にすき込むことで、微生物の働きにより水とCO2に分解されてなくなるマルチ。使用後の剥ぎ取り作業や廃棄物処理が不要になるなどのメリットがある。 農の風景育成地区 都市の貴重な農地を保全し、農のある風景を維持していくため都が創設した「農の風景育成地区制度」により指定された地区。 農地や屋敷林などが比較的まとまって残る地区を指定し、散在する農地を一体の都市計画公園等として計画決定するなど都市計画制度を積極的に活用することとしている。 は行 ヒートアイランド現象 郊外部と比較して都市部に高温域が形成される現象。主な要因として、@地表面被覆の人工化(緑地の減少と舗装や建物などによる人工的被覆面の拡大)、A都市形態の高密度化(密集した建物による風通しの阻害や天空率の低下)、B人工排熱の増加(建物や工場、自動車などの排熱の増加)の3つが挙げられる。 避難拠点 震度5弱以上の地震が起きた際に、避難者の受け入れや在宅避難者への支援を行う拠点のこと。区立小中学校98校に開設される。 フードドライブ 家庭で余っている食品を集めて、食品を必要としている地域のフードバンク等の生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設等に寄付する活動のこと。食料の支援を必要とする人への支援を通じた貧困問題の解消などに加え、住民の食品ロスへの関心の向上や、食品ロス削減に向けた取組の後押しにつながる。 保護樹木・保護樹林 民有地のみどりを保護するため、「練馬区みどりを愛し守りはぐくむ条例」に基づき指定された樹木や樹林地のこと。 地上から1.2mの高さにおける幹の周囲が1.5m以上の樹木を「保護樹木」、面積が300u以上の樹林を「保護樹林」として指定し、せん定費用の補助等を実施している。 ま行 未利用エネルギー 工場排熱、地下鉄や地下街の冷暖房排熱、外気温との温度差がある河川や下水、雪氷熱など、有効に利用できる可能性があるにもかかわらず、これまで利用されてこなかったエネルギーの総称。 未利用エネルギーは「広く、薄く」分布するという性質をもち、供給源が需要地から離れているケースも多いことから、効率的な利用技術が求められている。 や行 容器包装プラスチック 容器包装リサイクル法の対象となっている、プラマークのついたプラスチック製の「容器(入れもの)」や「包装(包み、袋)」のこと。 例:洗剤のボトル・卵のパック・食品トレイ 英数字 3R Reduce(リデュース・発生抑制)、Reuse(リユース・再使用)、Recycle(リサイクル・再生利用)の英語の頭文字の総称。リデュース、リユース、リサイクルの順番で取り組むことが求められている。 COP Conference of the Partiesの略称。国連気候変動枠組条約締約国会議。1992年に採択された「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」に基づき開催されている、気候変動問題に関する締約国会議。 e-methane(イーメタン) 水素と二酸化炭素から都市ガスの主成分であるメタンを合成することをメタネーションといい、この技術により製造されたメタンをイーメタン(合成メタン)という。 HEMS Home Energy Management Systemの略称。「ホーム・エネルギー管理システム」と訳され、家庭内で多くのエネルギーを消費するエアコンや給湯器を中心に、照明や情報家電まで含め、エネルギー消費量を可視化しつつ積極的な制御を行うことで、省エネやピークカットの効果を狙うシステムのこと。 IPCC Intergovernmental Panel on Climate Changeの略称。国連気候変動に関する政府間パネル。世界気象機関(WMO)と国連環境計画 (UNEP)により設立された組織で、気候変動に関する最新の科学的知見をとりまとめた報告書を作成・公表し、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えることを目的としている。 PPA Power Purchase Agreementの略称。PPA事業者(発電事業者)が、太陽光発電設備を設置、所有、維持管理を行った上で、当該設備で発電された電力を需要家に供給するスキームのこと。 V2H・V2L V2H(Vehicle to Home)は電気自動車等から建物内に電力供給を行う機器、V2L(Vehicle to Load)は電気自動車等から外部コンセントにより電気機器に電力供給する機器の総称。 ZEB Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称。建物の高断熱・高気密化、高効率設備や再エネ設備の導入などにより、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。 ZEH Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称。高断熱・高気密化、高効率設備による省エネ化、太陽光発電などの再エネ導入によって正味(ネット)消費エネルギー量を概ねゼロ以下とした住宅のこと。 ZEV Zero Emission Vehicle(ゼロ・エミッション・ビークル)の略称。走行時にCO2等の排出ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)のこと。 第9節 環境都市練馬区宣言 私たちは、武蔵野の台地に広がった雑木林や農地と調和したみどりと水の豊かなまち練馬を誇りにしてきました。しかし、そうしたまちの風景は、次第に失われつつあります。 また、資源とエネルギーを大量に消費する暮らしや事業活動のあり方は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスなどの環境負荷を発生させ、地域のみならず地球環境に対して大きな影響を与えるようになっています。 多くの人々の努力により守られてきた環境資産を大切にしながら、快適で安心して暮らすことのできる環境をつくり、つぎの世代に引き継いでいくことは、今を生きる私たちの責務です。 練馬区に住み、働き、学び、集う私たちは、協力して、「みどりや水と共生する美しいまち」「安全で健康に暮らせる生活環境のまち」「資源やエネルギーを大切にする循環のまち」「環境にやさしいこころを育み行動の環が広がるまち」を築くことを誓い、ここに環境都市練馬区を宣言します。 平成18年8月1日 練馬区