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1. 健康・福祉分科会

ページ番号:868-267-927

更新日:2010年2月1日

1.高齢者施策の推進

  • 1.要介護にならないための予防
  • 2.高齢者が持てる知識や経験を生かしながら、地域社会づくりへの参画
  • 3.高齢者の住みよい地域づくりの推進
  • 4.要介護高齢者施策のあり方

2.障害者施策の推進

  • 1.障害者の就労の促進
  • 2.障害者の生活支援のあり方
  • 3.地域でともに生きる
  • 4.障害者の親亡き後対策
  • 5.精神障害者福祉の体制強化

3.子ども家庭支援施策の推進

  • 1.育児と仕事の両立の支援
  • 2.子育て家庭支援
  • 3.子どもの権利擁護(児童虐待防止)
  • 4.中・高校生の居場所の確保
  • 5.子育ての社会による支え合い
  • 6.いじめ・不登校への対応

4.心身ともに健康な区民生活

  • 1.総合相談体制の推進
  • 2.ライフステージに対応した健康施策の推進
  • 3.保健・医療・福祉の総合的サービスの推進

1 高齢者施策の推進

基本的考え方

  • 1.日本の総人口は、21世紀の半ばには、現在と比べ約2割減少し、国民の3人に1人が65歳以上となる超高齢社会が予測されている。
  • 2.今後の経済は、低成長が見込まれている。従来のような財政支出を維持していくことは難しい状況が続くものと思われる。
  • 3.社会状況を背景に、国においては社会福祉基礎構造改革などが論議され、措置制度から利用者による選択制度へと、社会福祉システムが大きく変わろうとしている。
  • 4.高齢者の介護については、介護保険制度が導入され、家族介護から社会的介護へと質的転換が図られた。あわせて、基本的考え方・サービスと負担のあり方においても考え方の転換が求められて来ている。
  • 5.練馬区においても人口の高齢化が一層進み、平成12年度推計では高齢化率15%となっている。平成22年度には20%と推計され、確実に超高齢社会となる。現在、高齢者人口に占める要援護高齢者は、12%であり、健康高齢者は88%である。
  • 6.区では高齢者施策を総合的・計画的に取り組んでいくことが求められていることから、今の10年間を展望し、以下の点について重点的に取り組む必要がある。

 1.介護保険制度の実施にともない、介護サービスは保険制度を中心に進められることから、保健、医療、福祉施策を再構築・再編成していかなければならない。
 また、高齢社会を迎えるにあたっては、依然として多数を占める健康高齢者への体系的施策の展開が求められている。
 2.高齢者の主体的な地域への参画を通して、地域の人々との様々なふれあいの中で、生きがいをもって自立して生活できる環境づくりを行うことが必要である。
 また、高齢者の様々な体験に裏打ちされた知識や経験を積極的に生かせる場・機会を整備する必要がある。

1.要介護にならないための予防

基本的考え方

  • 1.「自分の健康は自分で守る」という自己責任はあるものの、人は老化とともに体力は衰え、病気にかかりやすくなってくる。また、外出への意欲が減退し、家に閉じこもりがちになるとも言われている。
  • 2.介護保険制度の実施により、要介護者や要支援者は、介護保険でサービスの給付を受けることになる。健康高齢者が、要支援・要介護状態にならないためには、日頃からの健康管理、疾病予防が重要となってくる。
  • 3.高齢者自身による健康管理・予防を補うため、今後は、高齢者自身による健康管理、疾病予防を支援していく仕組みづくりが必要である。
  • 4.地域参加や地域交流、世代間交流を通じて、閉じこもり、寝たきり予防を促進する必要がある。
  • 5.健康を保持し、充実した日々を送るためには、保健・医療サービスだけでなく、各種福祉サービスとの連携のもとに総合的・一体的な施策を推進する必要がある。

具体的提言

  • 1.健康の保持には、日々の自己管理が大切であるが、早期発見・早期治療のためには定期的な健康診断が有効である。健康診断が受けやすい仕組みづくりや受診結果をフォローできる体制の整備が必要である。
  • 2.介護保険制度の認定にあたっては、かかりつけ医の意見書が必要となるが、普段からかかりつけ医を持ち健康管理を行えるよう、かかりつけ医制度をPRしていく必要がある。
  • 3.健康保持には、バランスの良い食事が重要である。特に、一人暮らし高齢者や高齢者のみ世帯においては身近な地域で食事の提供が受けられるようにすることや閉じこもり予防の観点から、地域で会食できる施設等の整備が必要である。
  • 4.住み慣れた地域で高齢者が安全で安心して暮らせるように、高齢者を支え合える仕組みづくりが必要である。
  • 5.保健・医療・福祉が連携したサービス提供が行えるよう「訪問援護チーム」の編成や保健相談所と総合福祉事務所との連携強化を図り、総合的・一体的な施策の提供が必要である。
  • 6.スポーツ活動や生涯学習などを行い、閉じこもりや寝たきり予防施策を実施していくことも必要である。
  • 7.人口10万人を単位として、その中で住民の意識を高めながら事業者との連携により保健と福祉の総合的な対応ができるような地域づくりの検討が必要である。

2.高齢者が持てる知識や経験を生かしながら、地域社会づくりへの参画

 基本的考え方

  • 1.医療の進展や栄養状態の改善、高学歴化などにより、高齢者の体力、知力は一昔前に比べ格段に向上し、高齢者が能力を保持したまま、現役引退後に自由に使える時間が長くなりつつある。しかし、多くの高齢者にとってそれまで社会で築いてきた場や仲間との関係が大きく断絶してしまうことが問題となっており、生きがいの喪失につながっている。
  • 2.今後のライフサイクルの変化を考えたとき、住み慣れた地域で、地域とのかかわりを持ちながら、より積極的に地域社会の諸活動に参加することは、豊かな老後を過ごすための大切な条件である。
  • 3.老後を迎えてから、生きがいづくりや地域社会への参加を進めるのではなく、若いときからのあり方が求められている。生きがいや社会参加は、本来、個人の内面的な問題であるが、地域社会の相互支援機能を高め、補完するような環境整備を行う必要がある。また高齢者が地域のコーディネーターとして、情報提供やリーダー育成等に努めるよう人材育成面での支援も必要である。

 具体的提言

  • 1.高齢者は、これまで培ってきた社会的経験や豊富な知識を有していることから、その経験や知識を地域に還元することができるような環境整備を行う必要がある。
  • 2.高齢者が、単に福祉サービスの受け手としてではなく、地域に生きる一員として、その能力と知恵を生かすことができる仕組みが必要である。
  • 3.都市化、核家族化が進むなかで、世代間のコミュニケーションやふれあいが希薄になっていることから、学校の空き教室などを活用し、世代間交流の仕組みづくりが必要である。
  • 4.高齢者といえども、日々の生涯学習を通して、新しい知識を得て自らを高めていきたいと願っている。このため、福祉行政と生涯学習の連携を進め、高齢者の学習活動の支援を行っていくことが必要である。
  • 5.高齢者の健康増進、生きがいの観点から、高齢者の地域における就業、社会参加、生涯学習、自由時間活動を推進し、地域の活性化を行うことが必要である。このため、シルバー人材センターをより活性化し、高齢者の生きがいづくりや生きがい対策を強化する必要がある。また、高齢者自身による介護、話し相手、家事援助や学校・児童館等での知識、経験の伝承、青少年の育成などの活動は、世代間の交流をもたらし、地域社会の活性化につながることが期待できる。このような高齢者の諸活動を核として地域づくりを促進する仕組みづくりが必要である。

3.高齢者の住みよい地域づくりの推進

 基本的考え方

  • 1.高齢社会は、高齢者の活動がこれまで以上に時間的・空間的に大きく広がる社会である。高齢者が地域の一員として生活し、支え合っていけるような基盤整備が求められている。そのため、自由に安心して行動し、積極的に施設利用や社会参加できるよう、ノーマライゼーション(※注釈1)の考え方に基づいた基盤整備を推進する必要がある。
  • 2.住宅は、生活の基盤である。高齢者が安心して暮らすためには、日々の生活の場が、安全で快適であることが必要である。高齢者の住宅のバリアフリー(※注釈2)の向上が必要である。
  • 3.高齢者は、豊かな知識と経験をもっている。主体的に地域への参画を通じて、生きがいづくりを行おうとしている存在である。多様な高齢者が、自ら地域社会へ参画し、地域の人々とともに協力して地域づくり、まちづくりが行えるよう支援する仕組みづくりが必要である。

 具体的提言

  • 1.高齢者が、日常生活はもとより社会参加、地域での活動がしやすいよう、安全で住みよいまちづくりの基盤整備が必要である。障壁を除くというバリアフリーの考え方から、すべての人に住みよい住環境の創出というユニバーサルデザイン(※注釈3)の考え方を今後は取り入れる必要がある。
  • 2.住宅は、生活の基盤であり、その状況は精神的にも身体的にもその生活に大きな影響を及ぼす。居住水準の確保のために、密集住宅の解消を進めるなど老化に配慮した安全な住宅への誘導策が必要である。また、一人暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が賃貸住宅を確保することは困難な状況にあることから、家賃補助・家主への補助などにより、多様な住み替えニーズを支援していく必要がある。
  • 3.地域で活動する多様な高齢者グループが、豊かな地域づくりに寄与している。このようなグループ活動を有機的に結びつけ、お互いが支えあい、助け合いができるようなグループ間のネットワーク化が必要である。
  • 4.高齢者の生活を地域全体で支えていくシステムづくりが必要である。一人暮らし高齢者や高齢者のみ世帯と商店街を結び、食材の出前販売を行ったり、そのような人材に高齢者自身がボランティアで携われるよう工夫を重ねていく必要がある。
  • 5.パソコン等の情報機器の進歩が著しい。高齢者であっても容易にも扱えるように関係機関に要請するとともに、高齢者が情報弱者とならないような情報提供が必要である。

※注釈1:ノーマライゼーションとは、高齢者や障害者などの区別なく、すべての人が地域社会において通常の生活が営めるような社会をつくっていこうという考え方である
※注釈2:バリアフリーとは、障害のある人が社会生活をしていく上での、物理的、社会的、制度的、心理的および情報面での障壁の除去をしようとするものである。
※注釈3:ユニバーサルデザインとは、高齢者、障害者、健常者などの区別なく、だれもが分け隔てなく使える、通れる、住めるように商品、街、公園、家の設計、デザインをしようとするものである。

4.要介護高齢者施策のあり方

基本的考え方

  • 1.介護保険制度は、税を財源とした措置によるサービスから、社会保険制度に基づき本人の選択による契約を中心としたサービスへ転換するものである。
  • 2.保険料と利用者の負担が導入されたことから、負担の公平性を確保し、負担とサービスとの均衡を図りつつも、現行のサービス水準の維持・向上に努めていかなければならない。
  • 3.介護保険法の理念・目的を踏まえ、区は保険者として実施体制、サービスの提供基盤整備に努めていかなければならない。
  • 4.区民が主体的にサービスを選択するにあたって、保険者としての区は、サービスの質量共に確保するとともに、区民に選択可能な情報を公開する必要がある。あわせて、利用者が気軽に相談できる体制整備をする必要がある。
  • 5.虚弱高齢者への生活支援などのサービスを保険外サービスとして取り組むと同時に、保険内サービスの上乗せ・横出しをする必要がある。

具体的提言

  • 1.介護保険制度の円滑な実施のため、必要な基盤整備を進める必要がある。
  • 2.介護保険対象外の保健・医療・福祉の関連サービスについて、対象者の範囲、負担のあり方、サービス内容などを総合的に見直し、再構築に取り組んでいく必要がある。
  • 3.現行のサービスのうち、介護保険へ移行するサービスについて、要介護認定で自立と判定された高齢者等に対しては、独自のサービスを提供するなど現行と比べてサービスが低下しないように取り組む必要がある。
  • 4.民間非営利団体が、介護サービス提供事業者となる場合には、利用者の選択範囲を広げる観点から、事業者の育成を含め積極的な行政支援が必要である。
  • 5.公共施設はもとより、インターネットをはじめ各種通信機器を利用した情報の提供や相談体制の整備を進める必要がある。

2 障害者施策の推進

基本的考え方

  • 1.練馬区の障害者の施策は、1981年の「国際障害者年」を契機に整備が進んできた。
  • 2.国においては、平成5年12月、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るため「心身障害者対策基本法」が「障害者基本法」に改められ、精神障害者が福祉の対象として明確に位置づけられた。また、平成7年12月には国が「障害者プラン」を策定し、取り組んでいる。
  • 3.区は障害者施策に総合的・計画的に取り組むため、平成5年3月に「障害者福祉行動計画」、平成10年3月に「障害者計画(改定福祉基本計画がその内容を併せ持つ)」を策定した。今後の10年間を展望すると、以下の3点について、取り組んでいく必要がある。

・障害の特性別に進められてきた施策の総合化を図ることである。これまでは、身体障害、知的障害を中心として施策が実施されてきた。精神障害者は従来、保健・医療の対象とされ、施策体系も必ずしも十分ではなかった。今後は、保健・医療と福祉の連携を進め、各障害特性別に応じた施策の総合化を図るとともに各施策間の整合性の確保や各施策の共通性に着目した施策の整理・展開も求められている。また、障害者の高齢化や障害の重度化・重複化により、障害の状況も大きく変わりつつあり、こういった対応も求められている。
・社会変化や区民の意識変化に対応した施策の展開を図っていくことである。人々にとって、障害者が地域の中で自立した生活をしていくということは自然なことという意識に変わりつつある。障害の有無にかかわらず誰もが社会の一員としてごく当たり前に生活が送れる社会づくりが必要である。このため、障害者が住み慣れた地域において、施設と各種施策を選択しながら、普通に自立生活ができるよう施策を整備していくことが求められている。また、障害者が主体的に参画する地域の仕組みづくりや障害者自身が施設整備、施設運営にかかわることのできる仕組みづくりを進める必要がある。
・介護保険制度の導入により、障害者施策の整理を行うとともに、5年後の介護保険制度の見直しを視野に入れたサービスを整備していくことである。具体的には、ホームヘルプサービスの実施やグループホームなどの整備により、これへの対応を図っていくことが求められている。その際、既存サービスの低下を招かないようにしていくことは当然のことである。

1.障害者の就労の促進

基本的考え方

  • 1.障害者が住み慣れた地域において、主体的に自立生活を送ることができ、その選択肢を広げ、生活の質を高めていくことができるよう施策を推進することが必要である。
  • 2.障害者の福祉的就労については、授産施設の果たす役割が大きいが、一般企業に就職が可能な障害者は、その一般就労が継続できるように生活面での支援を含め、支援する体制を整備することが必要である。
  • 3.障害者の一般就労の場の拡大についても、取り組みを強化し障害者の就労を促進していくことが必要である。また、福祉作業所などを就労後の生活相談の場として検討する必要がある。さらに、生活の安定と向上を図る観点から、きめ細かい就労相談に応じる体制を充実することも必要である。
  • 4.更生施設や授産施設における福祉的就労と一般企業における雇用との円滑な移行についても企業者など関係機関との連携が重要な要素である。
  • 5.一般就労が困難で、地域の自立生活が困難な障害者への対応は、今後も充実していく必要がある。

具体的提言

  • 1.障害者の地域での自立支援のため、積極的に一般就労の場の拡大を図るとともに、就労促進協会の体制を強化する必要がある。就労後のフォローは、関係機関の連携などにより体制の強化を図るべきである。障害者自身の「起業」支援も必要がある。
  • 2.障害者の一般就労への理解と障害者の生きがいづくりを進める必要がある。例えば障害者の働く喫茶コーナーなどの場を区立施設新設時に率先して設置する。また、障害者の制作した製品や作品が販売できる仕組みを地域の人達とともに、より積極的に支援していくことが必要である。
  • 3.養護学校卒業後などの一般就労が円滑に進むよう、就労インターンシップ制度の導入や養護学校専攻科設置の都への要請、福祉作業所との訓練交流など就労体験を進める必要がある。
  • 4.一部の障害者施設の生活や訓練内容の中は、女性対象など性によって固定化されている傾向が見られる。男女平等の観点から見直し、指導職員の意識改革と質の確保を図る必要がある。
  • 5.福祉作業所などの施設を就労後の生活相談の場として活用することが必要である。

2.障害者の生活支援のあり方

基本的考え方

  • 1.障害者が保護の対象としてではなく、一人の生活者として自らの生活を自らの意思で、選択・決定していきたいという考え方が人々に受け入れられつつある。また、社会福祉事業法等の改正により、措置制度から選択への大きな構造改革の動きがある。
  • 2.待機者が増えていることから、相談・判定・生活訓練を行うリハビリテーションの場としての心身障害者福祉センターの運営のあり方を見直すとともに増設を行う必要がある。
  • 3.障害者施設は、日常生活訓練の場としての更生施設、福祉的就労の場としての授産施設常時介護をする場としての療護施設等に大きく分けられている。それぞれ障害の程度に対応しており、相互利用が難しいといった問題も指摘され、今日に至っている。今後は障害者の年齢や能力に応じた施設のあり方を考えることや医療との関わりの面から施設のあり方を考える必要がある。
  • 4.就労との関係では、更生施設が就労支援でどこまで担うのか役割分担を明確にする必要がある。
  • 5.障害者が普通に地域で生活できるようにしていくために、施設配置のあり方を検討する必要がある。
  • 6.待機者が発生することも踏まえ、通所基準の明確化を図るとともに、通所施設やデイサービスの充実により、在宅でも地域の中で生活が可能となるようにする必要がある。
  • 7.障害者を介護・養育する家族等の負担軽減のために、一時的なサービスの提供も進める必要がある。提供にあたっては、介護保険で導入が予定されている障害者の介護サービスとの調整も、今から進めていく必要がある。
  • 8.障害の重度化・重複化により、自らの努力だけでは自立が困難な障害者も増加してきている。これらの障害者への支援も大きな課題となっている。

具体的提言

  • 1.今後の施設整備には、相当な需要が見込まれている。より明確な目標値を定めながら、行政の役割や都・区・民間との役割分担について明確にする必要がある。分場形式や障害特性に合わせた通所日設定など、弾力的な処遇が可能な施設も必要である。
  • 2.これからの施設整備は、公設公営の形態に全面的に依存することは困難な状況になっている。営利を考えない法人を活用し、公設公営よりも充実したサービスができるという方向へもっていく必要もある。そういう際、オンブズマン制度も視野に入れる必要がある。また、当事者や区民も参画できる評価委員会の設置が必要である。
  • 3.障害者の利便を図るため、移送サービスの充実を図ることやホームヘルプサービスの従事者に、医療ケアができる看護婦などの人材確保をする必要がある。
  • 4.障害者施策は都区の役割分担で実施されている。利用条件や制限がそれぞれ障害者の実態にあっていない例もある。緊急一時保護は、介護者の休養や社会参加でも利用できるよう弾力的に考えていく必要がある。また、医療的ケアの必要な人の利用を促進していくためにも、都の役割と言わず区でも一歩進める検討が必要である。
  • 5.今後は、加齢に伴い障害が重度化し、医療的ケアが必要になることも想定される。医療的ケアを必要とする障害者の施設整備が必要である。
  • 6.行政の支援のあり方や障害者に関わるNPO等民間団体、ボランティアへの支援策を検討・充実していく必要がある。
  • 7.今後、障害者のみの施設を考えるのではなく、地域に身近な施設となるよう複合施設化する整備手法を考えていく必要がある。
  • 8.障害者施設を考えるには、養護学校や福祉園・福祉作業所などの関係機関、利用関係者が運営協議会のようなものをつくり、連携をして知恵を出していくことが必要である。
  • 9.障害者の生活保障には、障害者年金や障害者手当、生活保護など経済的支援の充実が必要である。
  • 10.平成5年の精神障害者基本法の改正などにより、精神障害者の施策は10年前とは大きく変わる。その充実は、この10年間の大きな課題となる。練馬区においても地域生活支援センターを核として、障害者施策充実を明確にしていくことが必要である。
  • 11.今後は、パソコンは障害者にとっても、有効な情報伝達手段である。情報弱者とならぬよう情報提供体制の整備を進めるとともに福祉作業所の学習内容にパソコン実習などを組み込んでいく必要がある。養護学校などの関係機関へも要請を行っていく必要がある。

3.地域でともに生きる

基本的考え方

  • 1.障害者が一人の生活者として自らの生活を自らの意思で、選択・決定し、自立生活を送ることができるように支援していくことが、行政の責任である。
  • 2.ノーマライゼーションの考え方が人々に浸透しつつあるが、まだまだ障害者や障害者施設への偏見や差別は存在している。なお一層の普及・啓発が必要である。
  • 3.障害を問わず、身近な地域で地域住民が協力し地域で支え合う仕組みづくりを進める必要がある。このため、社会福祉協議会や民生・児童委員、心身障害者相談員などの関係機関や人材の連携・協力体制を進める必要がある。

具体的提言

  • 1.障害者が地域の中で普通の人として生活していくために、サービス利用支援やピアカウンセリング(※注釈)などを総合的に行う体制を整備する必要がある。
  • 2.幼い頃から障害者と接することが理解につながる。新学習指導要領に「総合的学習の時間」が取り入れられ、健康・福祉に関連する事項も扱えるようになることから教育との連携が今後の10年間は必要になる。障害者や高齢者とふれあえる体験が持てるような連携システムを構築する必要がある。
  • 3.障害者の意見や生活情報を、広く地域に発信する必要がある。また、障害者だけで集まるのではなく、地域住民も参加するなど、相互理解が進む形にすることが必要である。
  • 4.バリアフリーの考え方を徹底していく必要がある。障害者が使いやすい施設は、子どもや高齢者にとっても使いやすい施設となる。障害者も利用可能な入浴施設の設置を進める必要がある。
  • 5.街全体のバリアフリーを行うことで、障害のある人たちがごく当たり前に外出できる環境をつくる必要がある。モデル的に地区を指定し、バリアフリー化を進め、さらにそれが全区に広がるようにしていく必要がある。
  • 6.施設設置に地域の理解を求めるため、検討段階から地域住民を参画させていくことなどを積極的に行い、意識改革を図っていく必要がある。

※注釈:ピアカウンセリングとは、障害者が自らの体験に基づいて、同じ仲間である他の障害者の相談に応じ、問題解決を図ろうとする方式である。

4.障害者の親亡き後対策

基本的考え方

  • 1.在宅の障害者の高齢化や主な介護・介助者である親の高齢化が進んでいる。親が亡くなった後も障害者が住み慣れた地域で、自立生活を送ることができるよう施策を整備していくことが必要である。
  • 2.地域で生きがいを持ちながら、豊かな生活が送れるように、保健・医療・福祉の総合的なサービスを提供する体制の整備が求められている。
  • 3.現在は、親亡き後の支援策は都が実施するという役割分担となっているが、身近な区においても、何らかの支援策が必要である。例えば、グループホームなどの小規模施設整備を進め、そこに地域支援を組み合わせて、地域全体で支えていくようなことも考えていく必要がある。

具体的提言

  • 1.親亡き後の残された障害者が地域で自立生活を送るためには、人的支援が欠かせない。住み慣れた地域に住み続けらるよう、人的支援が必要である。
  • 2.障害の特性により、親亡き後の生活にも個人差がある。現在は大半が入所となっているが、地域で生活しつづけられる選択肢も必要である。例えば、グループホームやホームヘルプサービスなどの整備を進めるとともに、地域のボランティアやNPO団体などから支援を受けられる体制が必要である。
  • 3.都の役割と言われているが、身近な地域に区としても入所施設を整備する必要がある。その際、重度重複の障害者も対象にするなど様々な選択肢が必要である。
  • 4.遠距離に入所している人のために訪問里親制度がある。区でもこういう制度を支援策として導入する必要がある。

5.精神障害者福祉の体制強化

基本的考え方

  • 1.精神障害者福祉の体制整備は、他の障害者施策に比べると取り組みが遅れている状況にある。
  • 2.これまでは、在宅支援活動として、訪問看護指導事業や病院による日帰りの介護あるいはデイサービス事業が行われてきた。今後は、生活支援を進めるため、地域生活支援センターを中心にしながら、ホームヘルプサービス事業などを進めていく必要がある。
  • 3.精神障害者福祉のメニューの多様化を図るとともに、そのあり方を実施体制や提供体制等について総合的にしていく必要がある。

具体的提言

  • 1.権利擁護制度は、社会福祉協議会を中心に進められているが、本人の希望に則して具体的にどう整備するかがこれからは重要な課題である。NPO団体や関係福祉団体も含める必要がある。
  • 2.練馬区に精神障害者を扱う精神病床数が多いという地域特性もあり、精神障害者福祉の早急な体系化が急がれている。専門家だけでなく、当事者も入れた研究委員会方式などで地域生活支援センターなどを具体的に施策化する必要がある。
  • 3.入院しなければならない精神障害の方でも社会生活可能な人は一般の人と接するようにしてバリアをなくす努力をしていく必要がある。精神障害者も医療から福祉へと転換されており、一般の人々と同じような生活レベルへ上げていくことが、地域の努力も含めてなされる必要がある。

3 子ども家庭支援施策の推進

基本的考え方

  • 1.昭和50年以降、晩婚化の進行などを背景として、出生率の低下が進み、子どもが減りつづける「少子化」が進んでいる。この「少子化」傾向は、練馬区でも同様である。
  • 2.区はこれまで、児童福祉、母子保健等の施策により対応を図ってきたが、これまでのように狭く捉えていたのでは十分な対処ができない状況が生じている。結婚、女性の労働、家庭のあり方、家族のあり方などを総合的にとらえて対応しなければ解決が困難となっている。
  • 3.区では、平成10年3月に「練馬区子ども家庭支援計画」を策定し、対応を進めているが、依然として出生率は低下しており、結婚や子育てへの夢や魅力がなくなり負担感が増していることが指摘されている。
  • 4.このため、「男女が共に暮らし、子どもを生み育てることに夢を持てる社会」をつくるとともに、家庭、地域、職場、学校など地域社会全体が多様な関わり合いを持てる社会をつくっていく必要があると考える。
  • 5.今後の10年間を展望すると、以下の3点について重点的に取り組む必要がある。

・家庭、地域、行政の役割を明確にし、子どもと家庭の関係を重視し、行政の様々な分野が連携・協力・協働した取り組みを進めることである。
 子育てについては今後とも家庭が子育ての第一義的責任を負うのは当然であり、育児は父母の共同作業である。しかしながら、核家族化に伴い家庭の子育て機能が低下している中で、父母が子育てで孤立化しなくてすむよう地域の児童館や保育園などの関係機関等の連携や地域の住民相互に支え合う子育て支援の新たな体制が必要である。
・地域における子どもの育成環境の整備を図ることである。
 近年の非行やいじめの増加の背景には、集団での遊びや異年齢間の交流が少なくなっており、信頼感や連帯感を育む「居場所」がなくなりつつある。地域社会の中にそのような交流の機会や居場所を増やすことが子どもの健全育成には必要であると考える。
・子どもを一人の権利主体として捉え、子どもの立場に沿った体制整備を図ることである。子どもたちは、身のまわりで起こる家庭や学校に関することなどについて、自分の意見として発言する機会や場を求めている。それが、十分に保障されていない現実がある。これまでのように大人が子どもに与えるという従来からの発想や仕組みを変えていくことが必要である。

1.育児と仕事の両立の支援

基本的考え方

  • 1.女性の就業意識が高まり、少子化が急激に進む中で、子育てをいかに支援するかが社会にとっても重要な課題となっている。
  • 2.父親の育児参加が進まないなど、男女共同参画社会への変革が遅れており、子育てに関する母親の負担感が増大し、晩婚化や非婚化が進んでいる。
  • 3.女性のこれからの生きかたをどう考えるかが、非常に重要である。今後は、男女共に仕事を持って自立していくことが基本的なことであり、その上に立った家庭のあり方、育児のあり方を考えていくことが求められている。

具体的提言

  • 1.父母が働いている子育て家庭への支援として、弾力的な保育システムや健診システムを整備する必要がある。
  • 2.父母が安心して仕事・子育てができるよう延長保育、病後児保育、緊急一時保育、休日保育などの実施・充実を考えていく必要がある。
  • 3.現代の女性は育児の重要性を認識しつつ、一方では、自分の自己実現のために働くことも優先したい気持ちがある。仕事と育児の両立支援サ-ビスの充実を図るとともに、応益負担のあり方の検討も必要である。
  • 4.仕事と育児の両立支援には、結婚、女性の労働、家庭のあり方、家族のあり方などを総合的にとらえ直した広範な対応が必要である。

2.子育て家庭支援

基本的考え方

  • 1.核家族化などにより、家庭の子育て機能が低下し、家庭だけの力で子どもを育てることが難しい時代となっていることを認識する必要がある。
  • 2.子どもを育成する基礎的な場である家庭の教育的機能が減退している。少人数の家族間では、多様な人間関係が結べなくなっている。地域と家庭の関係の希薄化や家庭内の役割の変化が進行している。
  • 3.3歳までは、母親の手で育てないと子どもはうまく育たないという3歳児神話が根強く残っている。こうした社会の意識を見直していく必要がある。
  • 4.社会全体で家庭の子育てを支えていくことが必要となっている。父母が子育てで孤立化しなくてすむよう地域の児童館や保育園、地域の関連機関などが協力・連携して、家庭の子育てを支えていく仕組みづくりが求められている。

具体的提言

  • 1.子育て全般に渡って母親が担っていることがストレスを増大させている。母親が育児から離れ、休養できるような時間と場所を確保する必要がある。そのため、子育てで大変な時期にヘルパ-が家庭を訪問して負担の軽減をする必要がある。
  • 2.子どもを施策別の縦割り対応ではなく、地域ごとに保育園、児童館、学童保育等が連携し、保育園に預けている家庭、在宅の子育て家庭、幼稚園に通所の家庭など子育て家庭全般を対象として、支援していく施策の展開が必要である。例えば、保育園が中心になって地域ごとに在宅の子育て家庭も参加できる話し合いや相談などのプログラムを考えていくなどの支援策を地域ごとに細かく実施することが必要である。
  • 3.父母の孤立の解消や子どもの健全な育成を図るために、仲間づくりができて、子育ての情報交換ができる「子育ての広場・ぴよぴよ」的機能をもつ場や機会を身近な地域に確保する必要がある。

3.子どもの権利擁護(児童虐待防止)

基本的考え方

  • 1.児童相談所における家庭内の児童虐待への相談対応件数が年々増加している。相談件数の急増の背景には、虐待そのものの増加のほか、社会的関心や認識の高まりが、潜在事例を顕在化させてきている。虐待には多様な背景があり、親の育児不安からくる子育て負担感による場合もあるが、その形態は様々である。
  • 2.児童虐待の対応には、何よりも予防が重要である。多様な子育て支援の充実などにより父母への過度な子育て負担の集中や不安を解消していくことが必要である。
  • 3.しつけとの線引きが難しい面もあるが、地域住民の通告義務をはじめ、子育て施設、医療機関、保健相談所、教育機関等との緊密な連携による総合的な相談や措置などの対応が求められている。
  • 4.子どもの権利擁護への取り組みでは、これまで、大人が子どもに与えるという仕組みであったものを、子どもを一人の権利主体として捉えていくことで、子どもの立場に立った体制整備へと環境を変えていく必要がある。

具体的提言

  • 1.虐待を受けた子どもは、成長した後、自らの子に虐待を繰り返す率が高いというデ-タがある。虐待を受けた子どもの心理的な悪影響は計り知れない。虐待を早期に発見し、的確に対応できる体制を確立する必要がある。
  • 2.児童虐待を早く発見するためには、子育てについての親への相談体制の整備や子どもが自由に電話で悩みを打ち明けられる体制の整備などを確立する必要がある。
  • 3.核家族化という家族形態が児童虐待の発見を困難にしている。地域の人々が児童相談所等に通報して、対策を取ることができる仕組みづくりが必要である。親や子どもの心のケア・身体保護ができる関係機関との連携をとる必要がある。
  • 4.子どもの権利条約についてのリーフレットなど、子どもや大人が子どもの権利・人権について学習できるものを整備する必要がある。学習の機会を広げることで子どもの権利擁護の必要性を社会全体で高めていく必要がある。

4.中・高校生の居場所の確保

基本的考え方

  • 1.地域に中・高校生などの利用できる「健全な遊び場」や「安心できる場」がほとんどない。このため、集団での遊びや異年齢間の交流が少なくなっている。
  • 2.遊びを通して価値観の異なる様々な人と接する機会を持ち、信頼感や連帯感、様々な体験を積む「居場所」づくりが求められており、地域社会の中にそのような「居場所」をつくっていく必要がある。
  • 3.自由に遊べる放課後の施設などの整備が必要である。
  • 4.子どもの権利条約第31条にあるように、休息、余暇を持つ権利を保証するという観点に立つならば、行政は広場やたまり場といった「ゆとりの場」を提供する必要がある。

具体的提言

  • 1.中・高校生の居場所としてふさわしいのは、同年代の仲間やリーダーがいて、話し相手が確保できる空間・機会である。中・高校生の居場所づくりは、地域づくりとして捉える必要がある。単に建物を提供するということだけではなく、機会・空間を提供するという考え方で捉える必要がある。
  • 2.居場所づくりは、与えられた場所よりも「望む」場所が必要である。中・高校生が望む場所を居場所として認めて支援するという考え方も必要である。中・高校生が意見参加でなく、構想段階から参加し、運営まで関わることのできる中・高校生センターなどの施設整備が必要である。
  • 3.中・高校生が保育園や特別養護老人ホームなどでのボランティア活動を通して、将来的に自分にプラスになって、はね返ってくる活動のあり方の検討が必要である。

5.子育ての社会による支え合い

基本的考え方

  • 1.少子社会を迎え、依然として出生率は低下しており、結婚や子育てへの夢や魅力がなくなり、子育てへの負担感が増していることが指摘されている。
  • 2.子どもを持つこと、育てることに意義や喜びを感じることができ、子どもを健やかに育てることができるような環境の整備や社会全体としての支援体制が強く求められている。
  • 3.子育てを家庭だけでなく、子どもを地域の子として地域全体で育成していく考え方も必要となっている。
  • 4.多様な人々とのかかわり合いのなかで、小さい時からいろいろな人の影響を受けながら育つことが大切である。
  • 5.子育て支援を進めるには、家庭・家族像をどうするのか将来像を示していくことである。視点の転換が必要で、家庭のあり方、結婚のあり方などを総合的にとらえていく必要がある。

具体的提言

  • 1.結婚は夢があるが、子育てには夢がないと若い人は感じている。社会で子育てを支え、軽減することが必要である。安心して子どもを生める社会、育てやすい社会を作る必要がある。
  • 2.子どもを育てるのに、経済的負担が大きいと感じる現在の教育のあり方を考える必要がある。
  • 3.企業経営者が、子育て家庭に対する理解を増すよう啓発や支援を進めるとともに育児休業制度の採用を働きかけていく必要がある。
  • 4.子育てにおける経済的負担を軽減するために、行政としても一定の減免措置、助成制度を考える必要がある。特に、子どもの数が多い家庭には減免などを考える必要がある。
  • 5.地域に開かれているはずの施設なのに、バリアフリー対応となっておらず、施設面の不備から利用できない子どももいるので、利用者の側に立った施設づくりを進める必要がある。

6.いじめ・不登校への対応

基本的考え方

  • 1.いじめ・不登校に対しては、家庭・学校・地域・行政等地域の関連機関が密接に連携し合い、協働して取り組むことが重要である。
  • 2.相手の立場に立ってものを考えられるように小さいころから、多くの人々とふれあい、様々な経験ができるような環境づくりが必要となっている。

※注釈:いじめ・不登校の問題のうち、学校や教師の資質を視点とした論議については、「教育・文化・区民サービス」分科会で行った。(教育についての基本的考え方を参照のこと。)

具体的提言

  • 1.いじめ、不登校等の問題は学校や家庭で対応できないところを地域で対応していくことが必要である。多様なネットワ-クの中で、子どもを育てていくという視点が必要である。地域の様々な機関や関係団体が連携して子育てに取り組める仕組みづくりをし、実施していく必要がある。
  • 2.いじめ、不登校の防止には、小さいときからの多くの人との触れ合いによる成長が大切である。小さいころからボランティアとか社会奉仕的なことを体験し、人間として成長していくうえで必要なモラルやいたわり、愛情を教えていくことが必要である。
  • 3.ボランティアを活用した思春期体験学習などを行う必要がある。保育園と連携をとって保育園利用の子どもとの関わりを思春期の地域の子ども達に体験させる。この体験はいずれ父親・母親になるときの子育てへと生かすことができる。

4 心身ともに健康な区民生活

基本的考え方

  • 1.人生80年と言われて久しい。区民の一人ひとりが、心豊かに健康で充実した人生を送るためにも、また、活力ある地域社会を維持・発展させるためにも、健康の意義はますます大きくなっている。
  • 2.健康への関心が高まるなか、乳幼児から高齢者までが、それぞれの年齢や体力、健康の状況に応じて、健康を保持・増進し、調和のとれた健康づくりを進める必要がある。
  • 3.健康づくりは、原則として「自分の健康は自分でつくり守る」という本人の自覚と実践に基づいている。しかし、個人の努力だけでは限界があることから、健康づくりを地域社会全体で支援し、区民一人ひとりが健康維持・増進に取り組むことのできる条件整備や環境づくりを推進していくことが必要となっている。
  • 4.区民の健康を保健・医療の側面からのみ対応するのではなく、福祉との連携・一体化を図り、保健・医療と福祉との総合的・一体的サービスの提供を検討していかなければならない。
  • 5.近年、区民を取り巻く生活環境が大きく変化している。O-157に代表される食中毒の多発やダイオキシンなど環境汚染物質による健康被害、遺伝子組み替え食品への不安などが新たな問題として起こっている。また、薬の副作用や薬物の不適正使用などへの対応も課題となっている。

1.総合相談体制の推進

基本的考え方

  • 1.健康に対する関心を高め、区民が自らの健康の増進や疾病の予防に努めることができるよう、健康相談を充実していく必要がある。
  • 2.これまで行政においては、保健、医療、福祉などの各相談窓口が縦割り的に実施されてきており、区民の多様な相談に十分に対応できていない点が見られるので、それぞれの相談窓口を連携させ、総合的に対応できる相談体制の整備を図る必要がある。

具体的提言

  • 1.介護保険対象者も含め、自立高齢者の生活支援や生きがい対策、介護予防、子どもの虐待などに対応して、保健、医療、福祉などの各分野が相談に連携した、区民が相談しやすい総合的な相談窓口の体制整備が必要である。
  • 2.区民が要介護等の相談に行くときに、わかりやすい相談体制が必要である。区の組織図を見ると課や事業が重複しているように感じるので改善を進め、窓口を一本化するような工夫をする必要がある。
  • 3.生活習慣病など各種の病気の予防、早期発見、早期治療を図るため、健診結果を区民の健康管理に的確に生かせるよう健康相談体制を充実する必要がある。
  • 4.日頃から個人の健康の状況を把握しているかかりつけ医の相談機能への参画を進める必要がある。
  • 5.高齢者や障害者を含め、どのような家庭であっても、身近な地域で安心して生活できるような相談体制の整備が必要である。
  • 6.家庭の事情がよく分かっている構成団体の人やその家庭と関係づくりを行なってきた人々と連携し、アドバイスが受けられる相談体制を整備する必要がある。
  • 7.相談体制の整備にあたっては、プライバシーに配慮するよう取り組む必要がある。
  • 8.区民は、区や民間団体などから提供されているサービスメニューを知らないことが多いため、総合的な相談体制整備とともに総合的に情報提供体制の整備を行う必要がある。

2.ライフステージに対応した健康施策の推進

基本的考え方

  • 1.現在の保健施策は、学齢期前は、地域保健施策で対応し、学齢期は学校保健施策、就職後は職域保健施策、退職後からの高齢期は再度、地域保健施策というように分担され、それぞれの連携が不十分で、個々人の生涯にわたる健康管理が行われにくい仕組みとなっている。このため、それぞれのライフステージに応じた取り組みがなされるように取り組むべきである。

具体的提言

  • 1.区民が自らの身体状況や健康の状況に応じた健康づくりができるように、健診データなどを活用した健康の自己管理を支援する必要がある。母子健康手帳情報などが乳幼児期から成人後まで活用できるようにする必要がある。
  • 2.生活習慣病は学齢期の子どもの罹患率が高くなっている。その防止のための健診事業を考える上で、学校健診と連携させ、一貫した健康管理を行うことができる体制整備を進める必要がある。
  • 3.費用がかかるが、プライバシーに配慮しつつ、カード一つでこれまでの病歴が分かるICカードシステムなどを進める必要がある。
  • 4.高齢者健診は健診を実施後、その健診結果や実態把握に基づいて施策を再構築していくことが必要である。
  • 5.世代ごとに応じた健康施策を実施していく必要がある。特に、高校と大学生の期間は、飲酒、喫煙や外食など健康を考える上で問題が多く、中高年期に影響が出てくるのでこの世代には健診ではなく、健康管理の大切さを教育面から啓発していく必要がある。
  • 6.公的な健診は、3歳児健診で終わるので、保育園・幼稚園と保健相談所の連携も視野に入れ、小学校就学までの健康管理も行う必要がある。
  • 7.健診などの施策以外に教育の面からのアプローチも大きい。小・中学校の時代から、幼年期の予防に関して、啓発を進めていく必要がある。
  • 8.区民の自主的な健康づくり活動を支えるため、地域における多様な健康学習の場を提供するとともに各健康づくりグループを育成・支援する必要がある。

3.保健・医療・福祉の総合的サービスの推進

基本的考え方

  • 1.医療や介護保険制度の導入、地域保健法の施行などを踏まえ、保健医療対策の充実や地域ケア体制の整備を、保健、医療、福祉などの関係機関の緊密な連携のもとに総合的に推進していく仕組みを確立していかなければならない。
  • 2.現在の仕組みは、各サービス提供主体間の連携が不十分で、利用しやすく効率的なサービス供給体制となっていない。利用者の立場に立ち、多様なサービスが必要に応じて、適切に組み合わされ、提供される体制の整備が求められている。

具体的提言

  • 1.従来型の行政機関内でつくっている保健と福祉が連携したサービス調整チームは、介護保険導入による民間企業の参入を踏まえ、あり方の見直しが必要である。民間企業が参入してくる中で、民間企業間、民間と行政の役割分担などの調整をすることが必要となっている。また、事業者との連携やNPO団体などが活動しやすい環境整備が必要である。
  • 2.区民から見ればサービスとして医療も福祉も同じである。行政の縦割りでのサービス実施を見直していく必要がある。
  • 3.保健・医療・福祉の統合は、組織が統合されても組織内で分かれていれば意味がない。保健、医療、福祉の各分野が現場のレベルで統合を図ることが必要である。
  • 4.地域レベルで保健、医療、福祉の統合・連携の組織づくりを行う必要がある。
  • 5.健康教育や健康増進プログラムは、保健所だけの施策という縦割り実施ではなく、スポーツ施設や生涯学習施設とも連携する必要がある。
  • 6.保健と福祉を機能的に統合した地域保健福祉センターを設置する際には、全ての事業を公的機関で対応するのではなく、非営利の信頼できるNPO団体や福祉分野の社会福祉事業団などと協力して事業を実施していくことも必要である。
  • 7.高齢者、障害者などの情報弱者をつくらないようにする必要がある。公平な情報提供体制の整備が必要である。

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