資料2 施策5 安心して暮らせる共生社会の実現と社会参加の促進 現状と課題 〇平成28年に障害者差別解消法や成年後見制度利用促進法が施行され、区はこの間、周知・啓発、合理的配慮の提供、成年後見制度の利用支援などの取組を推進してきました。障害者基礎調査によると、「差別を受けていると感じたことがある」と回答した方が26.5%、「成年後見制度を知らない」と回答した方が41.3%となっており、あらゆる場面で障害者の権利が守られるよう、さらに権利擁護の取組を推進していく必要があります。 〇近年、全国で発生している自然災害などにより、災害に対する懸念や不安の声が増えています。区では、災害に備えて、避難行動要支援者名簿の更新や福祉避難所の確保に取り組んでいます。災害時においても、障害者が安心して生活を送るために、支援体制の強化が必要です。 〇障害者が安心して自由に外出するために、駅や建築物等のバリアフリー化を着実に進めています。ハード面の整備に加えて、ICT(情報通信技術)なども活用した情報のバリアフリー化や障害理解の促進など、安心して暮らせるまちづくりが求められています。 〇障害者の社会参加を支援するため、手話通訳者窓口の拡大や移動支援事業の実施、リフト付きタクシー利用の助成などに取り組んでいます。さまざまな社会活動の中から、自分が望むものを自分で選べるよう、障害特性に応じた情報提供や社会参加を後押しする支援者の育成が必要です。 〇区では、子どもや高齢者、障害のある方、外国人など、様々な人がともに暮らせる地 域社会を実現するために、スポーツや音楽、アートを楽しみながら、お互いに交流し、 理解を深めることができる、ねりまユニバーサルフェスを開催しています。福祉施設においても、イベントや製品販売などを通じて地域住民との交流を広げています。誰もが個性や能力を発揮し、地域の一員として生き生きとした生活を送るために、文化、スポーツ活動、学びの機会など、多様な社会参加の場が必要です。 施策の方向性と取組内容 (1)権利擁護の推進 〇障害者差別に関する相談窓口に適切につながるよう、障害当事者向けの分かりやすいリーフレットを作成するとともに、民間事業者への出張講座を拡充し、障害者差別解消法の理解を深める取組を推進します。 〇練馬区社会福祉協議会の権利擁護センター「ほっとサポートねりま」を中核機関として、地域連携ネットワークを構築し、成年後見制度等の利用支援を強化します。 〇関係機関のネットワークを強化し、障害者虐待の早期発見・早期対応、再発防止の取組を進めます。 (2)安全・安心を支えるまちづくり 〇障害福祉サービス事業所と介護サービス事業所が連携した福祉避難所訓練を実施し、災害時の安全対策を進めます。 〇福祉避難所の拡充に取り組むとともに、福祉避難所に指定している各施設には、障害特性や感染症に配慮した備蓄物資の配備に努めます。 〇転落を防ぐためのホームドアの設置等、駅のバリアフリー化を促進するとともに、主要な公共施設と最寄り駅を結ぶアクセスルートの整備に取り組みます。 〇店舗、診療所、共同住宅の共用部について、スロープや手すりの設置などの改修 に必要な費用の一部を助成し、既存建築物のバリアフリー化を促進します。また、施工事業者の育成および情報提供を行うとともに、バリアフリー法に基づく認定制度の周知等を充実します。 〇ユニバーサルデザインの考え方を広げていくため、ユニバーサルデザインに関する必要な知識や技術を学ぶことができる講座を地域で開催します。また、ユニバーサルデザイン体験教室の実施校を中学校まで拡大することで、ユニバーサルデザインについて継続的に学ぶ機会を拡充します。 〇練馬区バリアフリーマップの情報発信にあたり、技術の進展を踏まえた使いやすい情報の提供や掲載施設の拡充に取り組みます。 〇誰にでも分かりやすい情報を発信するため、研修の実施等を通して、区が発行する印刷物へのユニバーサルデザインの取組を推進します。 (3)障害者の社会参加を支援 〇SNS等を活用した地域のイベント情報などの発信や障害者地域生活支援センターによる社会参加プログラムの充実に取り組みます。 〇障害者の社会参加と地域理解の促進を図るため、安心して立ち寄れる地域の居場所に関する情報を集約し、発信していきます。 〇障害者地域生活支援センターにタブレット端末等を設置し、遠隔手話通訳を実施します。【新規】 〇リニューアルされた「つながるカレッジねりま」の卒業生や練馬区社会福祉協議 会で取り組んでいる地域福祉協働推進員(ネリーズ)とともに、地域福祉活動の創出と身近な場所でのきっかけづくりに取り組みます。 〇区立図書館において、文字・活字文化を享受できるよう、点字、拡大図書等および音声読み上げ対応など、円滑な利用に向けたサービスを充実します。 〇身近な場所での障害者スポーツ教室の実施や個々の障害状況に応じた学びの機会の充実、区内の大学や文化施設と連携した文化・芸術活動の振興に取り組みます。 〇誰もが参加できるスポーツ、音楽、アートのイベント「ねりまユニバーサルフェス」の開催を通して、地域住民との交流を一層進め、お互いの理解を深めます。 用語解説 ・「合理的配慮」…障害のある人が社会の壁を取り除くために必要な手助けを求めたとき、役所や会社、お店などが、負担が重すぎない範囲で対応すること ・「成年後見制度」…障害・高齢などの理由で判断能力が不十分な方のために、本人の意思決定を支援し、生活や財産などの権利を守る制度 ・「避難行動要支援者名簿」…災害対策基本法に基づき、大地震などの災害が起こったときに自力で避難することが難しく、支援を必要とする方々(避難行動要支援者)を、あらかじめ登録しておく名簿  ・「移動支援」…障害者総合支援法に規定する、屋外での移動が困難な障害者等に対する外出のための支援 ・「権利擁護センター「ほっとサポートねりま」」…判断能力が十分でない障害者や高齢者などが住み慣れた地域で安心して生活できるよう、成年後見制度の周知や普及、相談活動を行う機関 ・「バリアフリー法に基づく認定制度」…病院、店舗、事務所などについて、より高い水準のバリアフリー整備誘導基準に適合し、区長の認定を受けたものは、認定建築物であることのPRや容積率の緩和等を利用できる制度 ・「ユニバーサルデザイン」…あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、言語等に関わらず、多様な人々が利用しやすいように、都市や生活環境をデザインする考え方 ・「SNS」…Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の略。インターネットを介して、人と人とのつながりを促進、サポートするスマートフォンやパソコン用のWebサービスの総称。Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)などがある。 ・「地域福祉協働推進員(ネリーズ)」…日々の暮らしの中で、近隣の方達とつながっていくことで、ゆるやかに見守り合い、誰にとっても暮らしやすい地域づくりを目指している地域の方々