資料3 施策1 障害福祉サービス基盤の整備と住まいの確保 現状と課題 〇障害者基礎調査によると、障害福祉サービス利用者の高齢化・重度化について、「利用者の高齢化が進んでいる」と回答した事業所が51.5%、「利用者の障害の重度化が進んでいる」と回答した事業所が30.2%となっています。障害者の高齢化・重度化、家族の高齢化が進むなか、地域で安心して暮らし続けられるよう、サービス基盤の整備を進めていく必要があります。 〇障害者の高齢化・重度化、「親亡き後」を見据え、地域生活支援拠点の整備が求められています。平成30年4月に、区立障害者地域生活支援センターと大泉つつじ荘・しらゆり荘を中心に、民間事業所と連携した「面的整備型」の運用を開始しています。今後、相談や緊急時の受入れ等を1つの拠点で対応する「多機能拠点整備型」の整備を含め、体制のさらなる強化が必要です。また、重度障害者が通所できる日中活動の施設の整備とともに、通所する障害者の高齢化等に対応する必要があります。 〇医療的ケアが必要な障害者(児)では、訪問診療や訪問看護などを受けながら地域で暮らす方も増えています。家庭で長時間医療的ケアをしている家族の負担軽減も求められています。 〇福祉施設に入所している障害者や精神病院の長期入院患者が、退院・退所して地域で生活するため、地域移行支援に取り組んでいます。また、平成31年4月に居住支援協議会を設置し、同年6月から住まい確保支援事業を開始しました。地域移行の促進には、住まいの確保と生活をサポートできる体制づくりが必要です。 〇障害者の地域生活を支える障害福祉サービスには、「居宅介護」「重度訪問介護」などの訪問系サービスや就労支援などの通所サービス、ショートステイやグループホームなどの居住系サービスがあり、現在、約600事業所がサービスを提供しています。事業所の人材不足や職員のスキル向上は、障害福祉サービスを支える事業所が抱える大きな課題であり、人材確保・人材育成を支援する取組が求められます。 施策の方向性と取組内容 (1)重度化・高齢化への対応を強化 〇区立障害者地域生活支援センターと区立障害者グループホームを中心に、民間事業所と連携して、相談や緊急時の受入れなどの機能を担う「面的整備型」の地域生活支援拠点の運用状況を検証し、運用体制の充実を図ります。 〇石神井町福祉園用地で整備予定の重度障害者グループホームに、ショートステイと相談機能を付加した「多機能拠点整備型」の地域生活支援拠点を整備します。   〇旧高野台運動場用地を活用し、民設民営方式により福祉園を整備します。あわせて 今後、重度障害者の利用が増えていくことを見据え、重度障害者が通所する施設の定員の見直しを行います。 〇障害者の高齢化や重度化に対応するため、区立福祉作業所の機能を拡充し、生活介護事業を開始します。【新規】 〇特別養護老人ホーム等を活用したショートステイなど、「共生型サービス」を充実します。 〇医療的ケアをしている家族の負担軽減のため、医療的ケアに対応したショートステイを整備します。【新規】 (2)地域移行の促進 〇長期入院患者や施設入所者の実態把握に努め、障害者地域自立支援協議会などを通じて課題を整理し、保健相談所や総合福祉事務所、地域生活支援センター、医療機関、障害福祉サービス事業所等が連携して、地域移行の促進に取り組みます。 (3)住まいの確保・地域生活の継続 〇民間事業者による重度障害者グループホームの整備を促進し、運営を支援します。また、中軽度障害者グループホームの整備など住まいの確保に取り組みます。 〇不動産団体や居住支援法人と連携し、障害者の民間賃貸住宅への入居を支援します。また、居住支援法人等と協力して、入居後の生活が円滑に始められるようサポートを行います。【新規】 〇「自立生活援助」事業を実施する事業所の拡充と利用促進を図り、一定期間生活支援を受けることで、安定した地域生活が送れるよう支援します。【新規】 (4)障害福祉サービス事業所の人材確保・人材育成 〇専門性が求められる支援や多様なニーズへの対応力向上のため、障害福祉サービス事業所職員の資格取得時の助成対象を拡大します。  あわせて、人材育成研修等の参加について、助成支援を創設します。【新規】 〇職場環境を整え、働きやすい職場とするため、コンサルタントの派遣等を行う人材確保支援事業を実施します。 〇効率的・効果的な事業所運営、利用者支援ができるよう、ICT(情報通信技術)を活用した業務改善の取組を支援します。 用語解説 ・「地域生活支援拠点」…居住支援機能(相談、緊急時の受入れ・対応や地域の体制づくり等)をグループホーム等と一体的に行う「多機能拠点整備型」と、地域における複数の機関が機能分担する「面的整備型」がある。 ・「居住支援協議会」…障害者や高齢者、ひとり親家庭など、住宅の確保に特に配慮を要する方の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する協議を行うための会議 ・「住まい確保支援業」…年齢や身体状況などの理由により、アパート探しでお困りの方を対象に民間賃貸住宅の空き室情報を提供するサービス ・「共生型サービス」…高齢者と障害者が同一の事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉両方の制度に新たに位置付けるサービス ・「居住支援法人」…改正住宅セーフティネット法に基づき、住宅確保要配慮者に対して、賃貸住宅への入居に係る情報提供や相談、見守りなどの生活支援を行う法人 ・「自立生活援助」…障害者総合支援法に規定する、一人暮らし等をしている障害者を支援する障害福祉サービス