第6期第3回(令和3年度第3回)練馬区障害者地域自立支援協議会の意見要旨および回答 (1)専門部会からの報告 1 地域包括ケアシステム・地域移行専門部会では地域移行について、精神障害者に特化した内容が議論されているように思われるが、R2年度都における施設入所者の地域移行は3.6%に留まっていることから、知的障害者の地域移行についても検討してほしいと思う。 また、地域包括ケアシステム構築とあるが、高齢分野の包括的支援を障害分野へ置き換えたシステムの構築を目指しているということと思われるが、対象を精神障害の方に留めず、地域移行支援や定着支援、自立生活援助の関係者も含めた包括的支援を構築してほしいと思う。 今年度の介護福祉士国家試験において、障害について多く問題が出題されており、介護保険事業者の障害理解や支援の必要性が浸透してきていると思われる。地域生活・高齢期支援部会では、障害福祉サービスと介護保険の利用のつなぎ目が一つの課題として多く話されてきたが、その部分ではなく、高齢期の住まいの場や日中の場、あるいは本人の加齢による複合的課題について、どのように支援していくかということにシフトしていく必要があるのではないかと思う。 回答 地域包括ケアシステム・地域移行部会にでは、精神障害に限らず、知的障害、身体障害等を含めた検討が必要と考えており、知的障害者の施設入所からの地域移行についても課題と考えております。ご意見については移行部会の委員と共有させていただきます。 障害福祉サービスから介護保険サービスへの移行には、制度の違いなどから、障害のある方やそのご家族が不安を感じる場合が少なくありません。介護保険サービスへのスムーズな移行には、ケアマネジャーなどの介護保険サービス事業者の障害理解が必要です。練馬福祉人材育成・研修センターにおける研修等を通じ、事業者の障害理解の促進に取り組みます。 2 地域包括ケアシステム・地域移行専門部会は、令和4年2月に書面開催だった。意見として提出したものは報告書に記載されているが、報告書からは長期目標の達成に至る筋書きがはっきりしていない。色々な意見のすり合わせのプロセスが必要。その意味で、対面の会合の必要性を感じる。 回答 今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、書面開催としましたが、今後、感染状況を踏まえ、感染予防対策実施しながら、対面による会議開催も行っていきます。 3 地域生活・高齢期支援部会では、介護保険に移行した後の現場の声を聞くことができてよかった。介護保険への移行は、障害者自身やその家族に戸惑いがある。今後、介護保険のサービスがスムーズに使えるように、現場の関係者が連携を取りやすい方法を考えてほしいと思う。 回答  障害福祉サービスから介護保険サービスへの移行には、制度の違いなどから、障害のある方やそのご家族が不安を感じる場合が少なくありません。障害者地域生活支援センターと地域包括支援センターとの連携強化等、具体的な取組について検討を行います。 (2)(仮称)練馬区障害者の意思疎通に関する条例(素案)について 4 (1)「多様な意思疎通手段」の定義について、知的障害者や聴覚障害者は顔の表情も併せて、相手の話している内容や雰囲気を理解するため、表情、身振り、手振り、実物や絵の提示、コミュニケーションボードなどを入れていただきたい。 (2)手段には、手話や要約筆記、それを扱う支援者を含んでいると思うが、知的障害者には難しい言葉をやさしく言い直したり、その場の雰囲気を伝える意思疎通支援者が必要な場合が多い。そこで、そのような他者との意思疎通を支援する者を入れていただきたい。 (3)事業者の役割について、基本理念にのっとり、障害者が意思疎通手段を利用するための合理的配慮をするように努めなければならない等、踏み込んだ内容でなければ、実効性に欠けるのではないかと思う。 回答 (1)多様な意思疎通手段の定義については、必要とする手段は一人一人異なることから、幅広く捉えるとともに、具体的な手段が伝わるよう例示して規定しています。ご意見を頂いたそれぞれの手段については、聴覚障害や視覚障害、重症心身障害など様々な障害特性のある方との意思疎通手段として用いられていることから、代表例として「コミュニケーションボード」「身振り」を加えて例示します。 (2)多様な意思疎通手段の定義については、必要とする手段は一人一人異なることから、幅広く捉えるとともに、具体的な手段が伝わるよう例示して規定しています。介助者等が代弁することも必要な意思疎通手段であることから、多様な意思疎通手段に「代弁」を加えて例示します。 (3)事業者の役割は、基本理念への理解を深め、区が実施する施策に協力すること、障害の特性に応じた意思疎通手段を利用しやすい環境の整備に努めるものとしています。共生社会の実現に向け、多様な意思疎通手段や障害特性について理解し、尊重し合うことが、障害者のコミュニケーションをサポートすることにつながるものと考えています。区は今後、区民・事業者向けに、様々な生活場面ごとに具体例を示した障害者とのコミュニケーションガイドブックを作成し、ガイドブックを活用した講座等を実施します。 5 条例に対する意見にあるように、ろう者にとって、手話言語が特に重要な手段である。特別な言語であることを社会に広め、手話言語を普及させる必要がある。条例名称は「意思疎通と手話言語に関する条例」としてください。 回答 条例の題名について、内容をより明確に表すよう、ご意見を踏まえ、「手話言語」を追加し、「練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例」とします。 6 脳性麻痺による言語障害がある方は、第三者に慣れるまで時間がかかる。意思疎通のための機器の使用を進めると同時に、障害者自身が、自分の意思の伝達方法を見つけるようにしていくと良いと思う。 回答 心身障害者福祉センターでは、令和5年1月から障害のある方のICTを活用した情報支援機器の利用支援を開始します。視覚障害や聴覚障害、難病、脳性麻痺等の方などを対象に、情報支援機器の相談・体験や貸出、操作方法のサポート等を行います。 7 各障害に対する意見がしっかり反映されている内容で、とても良いと思う。スムーズに区議会で議決、施行されることを望む。 回答 練馬区障害者地域自立支援協議会の専門部会として(仮称)意思疎通条例検討部会を設置し、条例の検討を進めてきました。ご意見を踏まえて、障害者の意思疎通手段を広く捉えた条例としています。 8 言葉を使う方でも、 必ずしも言葉のみで意思を伝えられたり、受け取れたりするわけではないということを知ってほしい。 回答 区は今後、区民・事業者向けに、様々な生活場面ごとに具体例を示した障害者とのコミュニケーションガイドブックを作成し、ガイドブックを活用した講座等を実施します。その中で、意思疎通手段の具体的内容や知的障害など多様な障害の特性についても周知します。 (3)令和4年度練馬区障害者施策の主な事業について 9 これまでの高齢化・重度化の課題に加え、コロナ禍では、介護負担や就労実習の激減、工賃の減少など、さまざまに影響を及ぼしており、そのような現在の状況を捉えた施策になっていると思う。 回答 区は、新型コロナウイルスの感染拡大が区民生活と区の財政に多大な影響を与えている中、区民の生命と生活を支える施策を着実に実施すべく、障害者のライフステージに応じて、それぞれの障害特性に合わせたサービスの充実に取り組んでいます。引き続き、コロナ禍により生じた新たな課題も含め、、障害者の地域生活を支えるための取組を進めていきます。 10 (1)感染症対策の強化・業務継続への取り組み ここ3年間のコロナ禍で練馬区で感染症や災害などが発生しても、障害福祉サービスを提供できるような体制づくりが進められているか検証したい。具体的には対策や業務継続のために、委員会を開催することや研修を行うことなどがどうなっているのか。 (2)ICT化支援 コロナの影響を受け、直接支援が基本となる障害福祉事業所においては、3密を防ぎながら支援を組み立て、業務を運営していかなければなりません。厳しい状況下ではありますが、ポストコロナ・ウィズコロナを見据えた障害福祉事業の業務の在り方を検討し、大幅な業務改善に取り組む時期とも捉えられます。 練馬区での実際の取組と成果を見える形で示して欲しい。 回答 (1)コロナ禍において、障害者やその家族、支援現場の声を受け止め、感染状況に合わせた事業実施を検討してきました。区の主催する事業や研修等については、感染対策を講じた上で実施しています。参集方式に加え、オンライン会議システムの活用についても検討をしていきます。 (2)障害者地域生活支援センターや区立福祉園では、講師とオンラインでつないだプログラムの実施、こども発達支援センターでは、オンライン相談の実施など、コロナ禍における事業継続のための取組を行っています。また、新たな生活様式の定着を見据え、就労系障害福祉サービスでは、在宅支援を実施している事業所もあります。そうした現状を踏まえ、区では、ICTの活用を含め、障害者の地域生活を支えるための取組を、引き続き進めていきます。 11 新型コロナウイルス感染症対策について (1) 検査時ないしワクチン接種時に精神障害があると申告するとその対応が一定せず、検査機関や医療機関を転々とすることがないよう、適切な対応が受けられるようにしてください。 (2)精神障害者の利用する日中活動系事業所、グループホーム、地域活動支援センター等の施設が安定した運営を継続することが出来る様、対策費をつけてください。 (3)三密を避けるための在宅支援が長引くことで、精神障害者およびその家族が家庭内で孤立してしまわないよう、民間事業所の閉鎖が続く場合は、公的施設を部分的に貸し出す等の方策を講じてください。 (4)精神障害者の家族が感染した場合、安心して治療に専念できるよう、家族の支援が無いと生活出来ない精神障害者に、ショートステイ先等を速やかに確保することが出来るようにしてください。精神障害者向けの施設が足りない。 (5)精神科病院が感染予防対策で、入院患者の面会、外出の制限等をすることで、健常な長期入院者の退院支援や長期入院者が社会と?がるために必要な面会や外出が制限されないような方策を講じてください。 回答 (1)検査が必要と判断された方が身近な場所で速やかに検査が受けられる体制を整備しています。検査やワクチン接種の際は、障害を理由とした差別がないように対応します。 (2)区はこれまで独自に、障害福祉サービス等従事者への特別給付金の支給やマスク等の感染予防資材の配布、障害者支援施設新規入所者のPCR検査費用助成、感染予防アドバイザー事業、介護サービス事業所等に対するPCR検査事業等を実施してきました。引き続き、コロナ禍にあっても事業継続ができるよう、現場の声を真摯に受け止め、必要な対応を重点的・機動的に実施していきます。 (3)区では、基幹相談支援センター4所を中心に、相談支援事業等を通じて、新型コロナウイルス感染症等による生活の変化を把握し、必要なサービス提供に努めています。なお、区立の貸出施設は、練馬区方針を踏まえ、貸し出しをしています。 (4)区では、短期入所施設を活用し、介護者が感染症等(新型コロナウイルス感染症含む)で介護できなくなった場合の受け入れ態勢を整えています。短期入所を含め、介護者感染時の在宅生活に必要な支援については、総合福祉事務所や保健相談所等と連携しながら対応していきます。 (5)コロナ禍においては、病院内のクラスター発生を防ぐため、面会や外出には十分な感染予防対策を行うことが必要です。各病院では、対策をを講じながら、退院後を見据えたグループワークやICT(テレビ電話等)を活用したリモートによる面会等を行っています。 12 障害者が地域で暮らし続ける基盤の整備だけでなく、差別や人権侵害をなくすための、共生社会づくりのための取組を実施してほしい。 回答 平成28年に障害者差別解消法や成年後見制度利用促進法が施行され、区は、周知・啓発、合理的配慮の提供、成年後見制度の利用支援などの取組を推進してきました。今後も引き続き、障害による差別の解消に向けて取り組んでいきます。 13 練馬区初の医療的ケアに対応したショートステイに期待する。昨年、医療的ケア児支援法が施行されたことにより、数々の医療的ケア児に配慮した施策を盛り込んでいただき、感謝申し上げる。 医療的ケア児等支援センターの設置について、来年度以降、計画されていることを感謝する。 回答 医療的ケアが必要な障害者(児)では、訪問診療や訪問看護などを受けながら地域で暮らす方も増えています。練馬光が丘病院の移転・改築に合わせて、区内初の医療的ケアに対応したショートステイを整備するなど、医療的ケアをしている家族の負担を軽減するための取組を進めます。 14 (1)コミュニケーションに関する困りごとは多岐にわたると思われるが、コミュニケーションガイドブックには期待している。 (2)義務教育修了から成人までの期間について、支援の充実を望む。 回答 (1)区は今後、区民・事業者向けに、様々な生活場面ごとに具体例を示した障害者とのコミュニケーションガイドブックを作成し、ガイドブックを活用した講座等を実施します。その中で、意思疎通手段の具体的内容や知的障害など多様な障害の特性についても周知します。 (2)学齢期後、一般就労者福祉的就労、日常活動の場などに円滑につながるよう、障害の状況や発達段階に応じたサポートの検討を進めていきます。