参考 令和2年8月17日 練馬区長 前川 燿男 様 練馬区障害者地域自立支援協議会 会長 橋 紘士 次期練馬区障害者計画・第六期障害福祉計画・第二期障害児福祉計画に対する意見   令和2年5月、国より「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針の一部改正について(通知)」が示されました。 基本指針の基本的事項にある「地域共生社会の実現に向けた取組」「相談支援体制の充実・強化」「障害者の社会参加を支える取組」「障害福祉人材の確保」等を実現し、障害者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、基本指針の趣旨や障害者の意見を反映した計画を策定する必要があります。 第5期練馬区障害者地域自立支援協議会では、重点的に検討すべき課題に基づき、4つの専門部会を設置しています。各専門部会において、次期練馬区障害者計画・第六期障害福祉計画・第二期障害児福祉計画に関する意見聴取を行い、全体会においてさらに議論を深めてまいりました。 障害者総合支援法第88条および児童福祉法第33条の20(※)に基づき、全体会および専門部会での意見を踏まえ、練馬区障害者地域自立支援協議会として、次期練馬区障害者計画・第六期障害福祉計画・第二期障害児福祉計画に対する意見として具申いたします。 ※ 障害者総合支援法第88条第9項 市町村は、第89条の3第1項に規定する協議会を設置したときは、市町村障害福祉計画を定め、又は変更しようとする場合において、あらかじめ、協議会の意見を聴くよう努めなければならない。 ※ 児童福祉法第33条の20第9項 市町村は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第89条の3第1項に規定する協議会を設置したときは、市町村障害児福祉計画を定め、又は変更しようとする場合において、あらかじめ、当該協議会の意見を聴くよう努めなければならない。 【練馬区障害者地域自立支援協議会意見書の構成について】 ・提言は、各専門部会の意見を集約し、自立支援協議会の総意として計画に反映すべき事項をまとめたものです。 ・提言に続く、○で示した意見は各専門部会で挙がった意見を列記したものです。同様な意見については一つにまとめています。 提言1 障害福祉サービス基盤の整備 障害者の重度化・高齢化および家族の高齢化が進んでおり、「親亡き後」を見据え、地域で安心して暮らし続けられるサービス基盤の整備が求められている。 地域生活支援拠点、グループホーム、ショートステイ等の整備の他、地域移行後の住まいの確保などの支援を進めるとともに、障害福祉人材確保・育成に加えて、介護保険事業者や医療関係者等、幅広く関係機関との連携を強化し、地域生活を支えるための支援体制の充実を図られたい。 ○「親亡き後」に備えて、家族のニーズや地域生活を支える仕組みが必要である。 ○地域生活支援拠点の周知と面的整備でのネットワーク連携の仕組みが必要である。 ○重度化や個別ニーズに対応するグループホームの設置と支援体制の構築が必要である。 ○グループホームや一人暮らしを体験できるようにしてほしい。 ○グループホームの需要に応じるため、戸建て物件の転用が円滑に進められるとよい。 ○多くの介護を必要とする重度障害者が、個別の状況に応じてグループホームや入所施設等を住み慣れた地域で選択できるようになるとよい。 ○医療的ケアを必要とする障害者が週5日通所できるよう整備を進めてほしい。 ○医療的ケアをしている家族の負担の軽減も求められている。 ○放課後等デイサービスを利用してきた家族からは、卒業後も夕方から夜間にかけての支援を望む声がある。 ○ショートステイは、緊急時に柔軟に対応できる量を整備してほしい。 ○高齢になっても安定して地域生活が送れるよう、「共生型サービス」の充実を望む。 ○長期入院や施設入所からの地域移行では、実態調査に基づいた目標値の設定と関係部署の連携した支援が必要である。 ○地域移行では、入院中から関係者が計画的に関わることが必要。退院後の自立生活援助事業の充実を望む。 ○一人暮らしを希望する方の入居までのスムーズな支援と入居後の生活支援を望む。 ○居住支援法人や設置済みの居住支援協議会は、区の強みであり、連携していく旨の記載をしてはどうか。 〇福祉人材の不足は深刻、人材の確保や育成等、事業所への支援の拡充が必要である。 提言2 相談支援体制の充実 障害者の増加に伴い、相談支援機関に寄せられる相談も増加傾向にある。障害者自身のみならず、介助・援助する家族からの相談もあり、家族を含めた支援や多様なニーズに個別に対応できる専門性が相談支援に求められている。 区では、基幹相談 支援センターを中心に相談援助技術の向上を図るとともに、高齢化や複合的な課題に対応するため、分野を超えた相談支援機関の連携構築を推進されたい。 ○ニーズに対して不足している民間相談支援事業所を拡充し、基幹相談支援センターが民間相談支援事業所の支援力向上を図るなど、本来の機能を発揮できるよう相談支援体制の強化が必要である。 ○相談支援事業所の運営に対する助成金を含めた支援が必要である。 ○サービス提供事業所と相談支援事業所の顔の見える関係が希薄である。研修や分科会への参加を促し、計画相談の役割の理解や関係機関の連携が必要である。 ○多様な障害特性や高齢化、複合的な課題に対応するため、相談支援体制の強化を求める。 ○親を中心とした扇型の支援から、障害者本人を中心とした輪型の支援に移行する必要がある。家族介護から他人介護に慣れていく取組が必要である。 ○本人の意思を確認し、丁寧な計画を立てていただきたい。 ○高齢化の課題では、介護保険に係る地域包括支援センターやケアマネジャー等との相互理解、サービス等利用計画の調整など、密な連携が今後の課題である。 ○保健相談所に配置した地域精神保健相談員の更なる増員が必要である。 ○基幹相談支援センターで活躍されているピアサポーターが、より一層活躍できる取組を望む。 提言3 障害者の就労促進 一般就労や福祉的就労において、希望する働き方は多様化しており、個々の障害 特性や健康状態に応じた働く環境を求める声は多い。一般就労においては、能力や 特性に応じた職場開拓に加え、年間200人を超える就職者の就労継続と生活を支える定着支援の充実が求められる。また、福祉的就労においては、引き続き工賃向上に努め、働く喜びを実感する取組が必要である。 一方、高齢化する通所者の希望に応える取組や練馬ならではの地域性を活かした働き方を実現されたい。 ○練馬区には、社会福祉協議会に障害者就労支援センター(レインボーワーク)があり、企業就労に挑戦できる環境が整っている。就労後の定着支援も、サービスとして充実している。就労促進の状況が見えるよう、社会福祉協議会と障害者団体などとの協議の場を設置してほしい。 ○障害の種別や個々の状況によっては、雇用先や環境調整が不十分なケースもある。企業の障害理解の促進や、多様な働き方の創出による安定した就労が課題である。 ○高等部卒業時に就職した方等への職場定着の充実が必要である。 ○知的障害者の就労移行支援事業は、利用者が少なく期間も限られている。多くの方が利用できる対策が必要である。 ○就労継続支援B型事業所から一般就労を目指す方の就労支援を強化してほしい。 ○就労継続支援B型事業所の工賃向上のため、区や企業の協力を得て、受注の促進を図るべきである。 ○一般就労や福祉的就労において、就労を支える人材の育成と体制強化等が必要である。 ○区役所や区の関連施設での雇用や就労をさらに進めてほしい。   提言4 障害児支援の推進 障害児支援においては、早期発見・早期療育からつながるライフステージに応じた切れ目のない支援の実現に、関係機関が連携した支援体制の構築が必要である。早期の相談や療育体制の確立、医療的ケアへの対応や家族への支援、きょうだい支援、教育現場での取組の充実を、こども発達支援センターを中心とした関係機関の連携構築にて実現されたい。 ○家族の障害認知・理解を得ることに取り組み、早期の段階で第三者の介入を取り 入れていくべきである。家族にも障害児本人にも、自立と支援のバランスの知識・知見を取り入れていくことが必要である。  ○親の病気や緊急を要する事情が生じた場合の一時預かり場所の確保が必要である。 ○放課後等デイサービスの事業所が多く、利用が円滑に進んでおり感謝している。 ○教育と福祉の連携強化が必要。通常級に在籍する児童に関する連携ができていない。 ○教職員の専門性向上に向けた研修は大切である。障害特性に応じた研修プログラムを作成し、障害当事者による指導を進めてほしい。 ○医療的ケア児が適切な支援を受けられるよう、多分野にまたがる支援を調整する コーディネーターが必要である。 ○家族単位での支援が必要なケースがある。家族支援の充実を望む。 ○障害児本人だけでなく、きょうだい支援も必要であり現状把握と情報がほしい。 ○地域の方の障害への理解を広げたい。 ○難聴児が適切な支援を受けられるよう取り組んでほしい。   提言5 共生社会の実現と社会参加の促進 多様化する区民ニーズや複合的な課題に対応するため、誰もが安心して暮らせる「共生社会」の実現が求められている。障害福祉分野でこれまで進めてきた、差別解消や虐待防止の取組、権利擁護の取組をはじめ、災害時の要支援者対策、障害理解の取組、ユニバーサルデザインの推進等は、誰もが安全・安心に暮らし続けるうえで重要な取組であり一層の普及を求める。 また、学びの機会の提供やスポーツ、芸術の分野での参加・活躍の機会の拡充を図り、更なる社会参加の促進に取り組まれたい。   ○合理的配慮の提供では、障害当事者の意思、人格、個性等が尊重されるよう、すべての区民の理解と協力が進む施策が必要である。 ○訴える力の弱い障害者への差別や虐待に対し、丁寧かつ具体的な対策がほしい。 ○成年後見制度や権利擁護における社会福祉協議会の役割は大きく、体制を強化し、周知・普及に取り組むとともに、分野を超えた権利擁護支援の体制構築(地域連携ネットワークの構築)を望む。 ○障害に関する理解を深め、障害者や家族に寄り添い、様々な人々が自然に生活できることが大切。学校での障害理解の普及や区民との協働に努めてほしい。 ○障害者と地域住民との合同避難訓練や福祉避難所の周知、障害特性に応じた避難所運営や必要備品の確保、感染症対策等、近隣の方と相互協力できる防災体制を検討してほしい。 ○障害の重い方にも、生涯学習やスポーツの機会の提供がほしい。社会参加の促進や自己実現のために、福祉人材の育成や場の創設を望む。 ○地域生活支援センターにおいて多様な障害に対応するプログラムを用意し、社会参加を進めてほしい。 ○移動支援の利用範囲拡大や区の日常生活支援施策の対象者拡大をお願いしたい。 ○多様な区民からの意見聴取により、誰もが安全かつ円滑に利用できる建物、公共 施設、交通機関などのバリアフリー化、ユニバーサルデザインを進めてほしい。 ○区報やSNSの更なる活用など、情報提供の活性化や、ICT等の活用を含め視覚障害者や聴覚障害者、知的障害者、難病患者等への情報保障の充実を望む。 提言6 保健・医療体制の充実 障害が原因で、受診の際に負担を感じている障害者やご家族は多い。また、在宅で医療的ケアを受けている方、難病の方などが身近な地域で安心して医療が受けられるよう地域医療体制の充実や情報提供に努めていただきたい。 精神障害者の安定した生活の継続や地域に生活の場を移行する方の生活支援に 医療、福祉、介護等関係者が連携して取り組むとともに、医療や相談につながっていない方や治療を中断した方などを早期に適切な治療や支援につなげる取組の充実を望む。 感染症との共存を見据え、安心して暮らせる支援や環境を構築されたい。 ○精神障害者等への訪問支援(アウトリーチ)の体制強化を望む。 ○重度かつ慢性の患者の地域移行では、後方支援病床も必要。不調時の早期対応や レスパイト入院といった安心感の保証が得られる多機能型の精神科診療所があると地域移行の拠点となる。 ○高齢精神障害者の地域生活は、在宅での身体疾患の対応も必要。精神と身体疾患の在宅医療の連携がほしい。精神科の訪問看護ステーションの増設も望む。 ○精神科の救急医療に伴う救急搬送の公費負担がほしい。 ○医療的ケアを必要とする方の医療機関とサービス事業者間の情報共有や連携強化が必要である。 ○難病の方や介護保険第2号被保険者に関する支援の充実が求められる。 ○障害の特性を理解し、地域で適切な治療を受診できる医療体制の整備と情報提供が必要である。 ○高齢者相談から、精神疾患を有する同居家族の課題が顕在化する事例について、関係機関の連携した家族支援が必要である。 ○今後の感染症との共存を見据え、必要時の宿泊の場など、安心して生活できる場の確保を望む。 【その他 計画全体に係る意見】 ○「基本理念」と「計画策定の視点」は、次期計画においても継承してほしい。 ○課題の精査と区民ニーズに応える計画を策定し、アクションプランによって実現の方向性を示し、障害者施策推進を継続していただきたい。