資料4−3 表紙 練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例 誰もが安心して暮らすことができるまちへ 条例の内容やコミュニケーション手段などをご紹介します。 障害のある方の自立した地域生活を実現するためには、聴覚障害や視覚障害など、特性に応じた多様なコミュニケーション手段を充実することが求められています。 練馬区の条例は、一人ひとりの特性に応じた、手話言語を含むさまざまなコミュニケーション手段を充実し、障害の有無にかかわらず、誰もが人格と個性を尊重し合いながら、共生する社会の実現を目指しています。 1ページ この条例では、つぎの考え方を大切にします。 「練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例」では、誰もが暮らしやすい地域社会を目指すため、3つの大切にする考え方を、基本理念として定めました。 障害の有無にかかわらず、一人ひとりの人格と個性を大切にすること さまざまなコミュニケーション手段を自分で選べること 手話はろう者にとって「大切な独自の言葉」であることを理解し、言語であることを広めること 視覚障害や聴覚障害、知的障害、高次脳機能障害などのある方々や、障害のある方のご家族が委員となって会議を行い、ともに条例の検討を進めました。 基本理念は、「障害の有無にかかわらず、その人の個性を大切にしてほしい」「さまざまなコミュニケーション手段を大切にしてほしい」「『手話は言語である』ことを広めてほしい」という意見から定めています。 障害のある方からの意見 同じ障害種別でも、その人によって、必要としていることが違うことを知ってほしい。 言葉でコミュニケーションが取れない人の意思も大事にしたい。 近所の人と声を掛け合えるなど、地域で気軽にやりとりがある社会になってほしい。 2ページ 条例のポイント1 さまざまなコミュニケーション手段を大切にします 聴覚障害のある方の手話や文字の表示、視覚障害のある方の点字などに加え、知的障害、発達障害、重症心身障害、失語症、難病などの方々の図、写真、コミュニケーションボードなど、コミュニケーション手段を幅広く捉えています。 スマートフォンやタブレットなどの情報支援機器も障害のある方のコミュニケーションを助けます。 手話は、手、指および体の動き、顔の表情などを組み合わせた、ろう者にとって大切な言語であることを広めます。 条例のポイント2 区民や事業者との協働によって取り組みます 身近な地域やお店などで障害のある方のコミュニケーションが円滑になるよう、区民や事業者のみなさんと力を合わせて、ともに取組を進めます。 さまざまなコミュニケーション手段を充実し、理解を広める取組を進めることで、障害のある方の活躍の場が増え、社会参加が進みます。それにより、障害の有無にかかわらず、誰もが暮らしやすい地域社会の実現を目指します。 多様なコミュニケーション手段の充実、障害のある方の社会参加、誰もが暮らしやすい地域社会の実現へ 3ページ コミュニケーション手段はさまざまです 障害の種別や一人ひとりの特性によって、必要とするコミュニケーション手段は異なります。条例では、コミュニケーション手段を広く捉えています。 さまざまな手段を充実し、その理解を広めることで、誰もが暮らしやすい地域社会を目指します。 さまざまなコミュニケーション 手話 手、指および体の動き、顔の表情等を組み合わせて視覚的に表現する独自の言語 点字 触覚によって読むことが可能となるよう、凸点を組み合わせた文字 要約筆記 話し手が話す内容を要約し、ノートやパソコン等で文字として伝えること 筆談 互いに文字を書いて意思を伝えること 情報支援機器 スマートフォンやタブレット、コミュニケーションを支援するアプリなど意思を伝えやすくする機器 平易な表現 ルビ振りに加え、分かりやすく言い換えること その他 触手話、身振り、音訳 4ページ コミュニケーションを支援する人も必要です さまざまなコミュニケーション手段を使うことに加え、その方の思いなどを理解し、コミュニケーションを支援する人を必要としている方もいます。 さまざまなコミュニケーション手段や障害の特性について理解し、尊重し合うことが、障害のある方のコミュニケーションをサポートすることにつながります。 言葉でのコミュニケーションが難しい方もいます 障害の特性や心身の状態によって、自分の気持ちなどを言葉にするのが難しい方がいます。思いを知りたいという気持ちで接することが大切です。 失語症 事故や病気などで、脳を損傷したことが原因で、「聞く」「話す」「読む」「書く」などが不自由になる。 重症心身障害児(者) 自分で体を動かすことが難しい重度の肢体不自由と、重度の知的障害が重複している。 コラム 視覚障害のある方からスマートフォンなどで音声コードを読み取り、お知らせの内容を音声で聞くことができて助かるという声が届いています。情報支援機器を活用することでコミュニケーションを助けます。 5ページ 手話はろう者の独自の言語です 手話は手、指や体の動き、表情を使って表現する独自の言語です。 聴覚に障害のある方のうち、手話を使って日常生活や社会生活を営む「ろう者」は、主なコミュニケーション手段として、手話を使っています。 聴覚障害のある方は、見た目では障害があることが分からないため、生活の中でコミュニケーションが難しいと感じる場面もあります。手話言語は大切な言語であることの理解を広めることで、聴覚障害のある方の社会参加を進めます。 手話で話してみましょう おはよう、こんにちは、こんばんは、ありがとうございます、ごめんなさい、よろしく、さようなら、おつかれさま 6ページ わかりました、わからない、げんき、大丈夫、よい、悪い、春、夏、秋、冬 指文字 指文字は日本語の「かな」に当たるもので、50音を表す方法です。 あ、い、う、え、お ね、り、ま、く 7ページ 区民・事業者のみなさんの理解が必要です 障害のある方が日々の生活のなかで、円滑にコミュニケーションを取るには、区民や事業者のみなさんの理解や協力が必要です。 障害のある方から寄せられた事例から、身近でできることを考え、一緒に取り組みましょう。 条例の検討の中で、寄せられた意見から例示しています。 お店での事例紹介 聴覚障害のある方がコンビニのレジで レジで、ホットコーヒーを注文しました。店員さんから話しかけられましたが、内容がよく聞き取れませんでした。思わずうなずくと、アイスコーヒーのカップを渡されました。少し残念でしたが、後ろには並んでいる人もいたため、アイスコーヒーを買って帰りました。 私たちにできることは? レジにメニュー表があれば、指をさして、ほしいものが注文できます。コミュニケーションを助けてくれるメニュー表は、聴覚障害のある方だけでなく、知的障害や発達障害のある方などにとっても、自分の意思を伝えるためのツールになります。 コラム コロナ禍のコミュニケーション マスクをしているため、口の形や表情が読み取れず、聴覚障害のある方が、会話をしにくいと感じたり、感染対策のため、人との距離が生じ、視覚障害のある方が、近くにいる人に声を掛けにくいと感じたりしています。 8ページ 区の取組 区は、障害のある方や障害者団体の方々のご意見を伺いながら、区民・事業者のみなさんと協働で取組を進めます。 1 さまざまなコミュニケーション手段を選べるようにするための取組 一人ひとりに合う手段を選べるように、手話通訳者派遣・設置に加え、遠隔手話通訳や失語症者向け意思疎通支援者派遣などに取り組みます。 2 ICT(情報通信技術)を活用したコミュニケーション手段の支援 スマートフォンなどの情報支援機器を活用し、コミュニケーションの幅を広げるため、相談・体験や貸出、操作方法のサポートなどの支援を始めます。 3 さまざまなコミュニケーション手段の理解を進める取組 コミュニケーション方法の理解を進めるために、生活場面ごとに具体例を示したコミュニケーションガイドブックを作成し、ガイドブックを活用した講座などを行います。 4 手話が言語であることを広める取組 手話講習会の開催に加えて、手話言語が日本語とは異なる「手、指や体の動き、顔の表情を使って視覚的に表現する言語」であることを広めます。 コミュニケーションの新しい法律ができました 「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」は障害のある方の情報の取得や利用、意思疎通に係る取組を総合的に進め、共生する社会の実現を目指しています。令和4年5月25日に施行されました。 9ページ 練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例 その条の内容が書いてあるページ番号を、それぞれ記載しています。 目的(第1条)この条例が目指すことを定めています。(表紙)  この条例は、障害者一人一人の障害の特性に応じた多様な意思疎通手段の充実および手話が言語であることの普及に関し、基本理念を定め、練馬区(以下「区」という。)の責務ならびに区民等および事業者の役割を明らかにするとともに、区の施策について必要な事項を定めることにより、障害者の社会参加を促進し、もって障害の有無にかかわらず誰もが人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に寄与することを目的とする。 定義(第2条)この条例で使う言葉の意味を定めています。(3ページ)  この条例において、つぎの各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害および社会的障壁(障害がある者にとって日常生活または社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (2) 多様な意思疎通手段 手話、触手話、筆談、要約筆記、文字の表示、点字、指点字、音訳、平易な表現、身振り、図、写真、コミュニケーションボード、代読、代筆、代弁、情報支援機器(障害者の意思疎通を容易にする機器をいう。)その他の障害者が日常生活および社会生活において使用する意思疎通のための手段をいう。 (3) 区民等 区の区域内(以下「区内」という。)に居住する者、区内に存する事務所または事業所に勤務する者および区内に存する学校に在学する者をいう。 (4) 事業者 区内で 事業活動を行う法人その他の団体および個人をいう。 基本理念(第3条)この条例で大切にする考え方を定めています。(1ページ) 1 障害の有無にかかわらず、誰もが互いに理解し、その人格および個性を尊重しなければならない。 2 多様な意思疎通手段の充実は、障害者が自ら選択する機会が確保されることにより行わなければならない。 3 手話が言語であることの普及は、手話言語(手、指および体の動き、顔の表情等を組み合わせて視覚的に表現する独自の言語をいう。)がろう者(聴覚障害者のうち、手話を使い日常生活または社会生活を営む者をいう。)にとって、日常生活または社会生活を営む上で重要な言語であるという認識の下に行わなければならない。 10ページ 区の責務(第4条)区が果たす責任を定めています。(2ページ) 1 区は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、多様な意思疎通手段の充実および手話が言語であることの普及に関する施策を、総合的かつ計画的に実施するものとする。 2 区は、前項の施策の実施に当たり、区民等および事業者と協働して取り組むものとする。 3 区は、区民等および事業者による多様な意思疎通手段の理解および確保ならびに手話が言語であることの理解に向けた自主的な取組を促進するため、必要な支援を行うものとする。 区民等の役割(第5条)区民が務める役割を定めています。(7〜8ページ)  区民等は、基本理念への理解を深め、区が実施する施策に協力するよう努めるものとする。 事業者の役割(第6条)事業者が務める役割を定めています。(7〜8ページ) 1 事業者は、基本理念への理解を深め、区が実施する施策に協力するよう努めるものとする。 2 事業者は、事業活動を行うに当たり、障害者が障害の特性に応じた意思疎通手段を利用しやすい環境の整備に努めるものとする。 区の施策(第7条)区が進める取組を定めています。(8ページ)  区は、第4条の規定に基づき、つぎに掲げる施策を実施するものとする。 (1) 多様な意思疎通手段の選択の機会の確保に関する施策 (2) 情報通信技術を活用した意思疎通手段の利用の支援に関する施策 (3) 多様な意思疎通手段の理解の促進に関する施策 (4) 手話が言語であることの普及に関する施策 (5) 前各号に掲げるもののほか、区長が必要と認める施策 意見の聴取(第8条)取組はご意見を聞きながら進めることを定めています。(8ページ)  区は、前条各号に掲げる施策を実施するに当たり、必要に応じて障害者その他の関係者から意見を聴取し、その意見を反映するよう努めるものとする。 裏表紙 この条例は、聴覚障害や視覚障害、知的障害、高次脳機能障害など、16の障害者団体を対象とした個別ヒアリングや障害者地域自立支援協議会、(仮称)意思疎通条例検討部会で検討を行いました。 練馬区肢体不自由児者父母の会 練馬区視覚障害者福祉協会 練馬区聴覚障害者協会 練馬区難聴児者を持つ親の会 練馬手をつなぐ親の会 NPO法人練馬精神保健福祉会 練馬区介護人派遣センター 練馬区重症心身障害児(者)を守る会 ちゅうりっぷの会 つぼみの会(高次脳機能障害者と家族の集い) NPO法人障がい児・者の学びを保障する会 練馬区失語症友の会希望の会 練馬区福祉園父母の会連絡会 NPO法人Iam OKの会 練馬パーキンソン病友の会 こころの健康を考える会 ご協力、ありがとうございました。 編集、発行 練馬区福祉部障害者施策推進課事業計画担当係 〒176-8501 東京都練馬区豊玉北6丁目12番1号 電話 03-5984-4602  ファックス 03-5984-1215 メール shogaisisaku02@city.nerima.tokyo.jp 令和4年(2022年)7月発行