第６期第４回練馬区障害者地域自立支援協議会議事録

１　日時　令和４年８月31日（水）午前９時30分から11時
２　場所　区役所　地下多目的会議室
３　出席委員　森山委員、松澤委員、的野委員、市川委員、山岸委員、中野委員、伊東委員、田中聡委員、亀田委員、矢野委員、笹委員、安藤委員、菊池委員、石野委員、益子委員、藤巻委員、髙橋委員
（以上17名）
※欠席委員　田中康子委員、今井委員、齋藤委員
４　傍聴者　１人
５　議題
(1) 障害者虐待への対応状況について
(2) 練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例について
(3) 専門部会からの報告

○会長
第６期第４回障害者地域自立支援協議会を開催させていただきます。
この協議会は障害福祉計画が議題の一つですが、再来年の改定では、介護保険、障害福祉サービス、医療、それぞれ大きな改定が控えております。
障害者団体の皆さんも含めまして、障害者支援の現場の忌憚なき議論をお願いしたいと思います。福祉だけではなく、障害者全般に関わる教育、就労などに関係する皆さんがお集まりです。引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、議事に沿って進みます。（１）障害者虐待への対応状況について、資料３について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局
資料３の説明

○会長
ありがとうございました。委員の皆さまからご意見、ご質問等ございますか。まず、私からよろしいでしょうか。
確認ですが、虐待認定というのは、どのようなプロセスで行われるのでしょうか。事例は、どのような体制で評価されるのか。
要するに、虐待を受けてはいないという判断をどのように行うのか。
虐待でなかったとしても、なぜ届出が行われたのかということ。虐待の届出が行われることの環境をどう評価するのかというのがとても重要だと思います。
その裏に潜在している虐待事例が相当あるということが常識になっています。課題を整理して、皆さんと情報を共有しておく必要があるのではないかと感じました。

○事務局
虐待の認定について、流れをご説明します。まず、通報・届出を受けまして、障害者福祉施設従事者等による虐待の場合は、施設に訪問して調査を行います。職員への聞き取りや、本人の状況を確認した上で、支援方針検討委員会を開催します。委員会には、障害者施策推進課長あるいは総合福祉事務所長といったそのケースに応じた関係機関が集まります。ここで虐待かどうか判断しております。
虐待の認定に当たっては、厚生労働省が出している障害者虐待の対応の手引きに沿って対応します。それぞれの状況の中で、ご本人だけでなくご家族からお話を伺ったり、施設として虐待防止に対する意識が薄れていないかなど、総合的に判断しています。先ほど申し上げた手引では、身体的虐待の事例として、平手打ち、つねるなどが挙げられています。なぜ起こったのかということも確認しながら判断しています。
　また、支援の中では、暴言と言えるかどうか、それを心理的虐待と言えるのかどうかといった判断が難しいようなケースもあります。ご本人、ご家族、職員、施設の状況を聞き取りながら慎重に判断をしています。

○障害者施策推進課長
区では、「だれもが安心して暮らせるまちへ」という障害者虐待防止のリーフレットを作成しています。次回以降、協議会でご案内できるように用意させていただきます。

○会長
ありがとうございます。他にございますか。

○委員
大変重要な議題についてご説明をいただきました。障害者への虐待ということでしたが、最近の新聞報道などを見ますと、児童への虐待が大きく取り上げられています。
練馬区および東京都、全国の傾向が不勉強で分からない。ご説明の中で、学校、保育所、医療機関は法律の対象外とのことでしたが、むしろ児童虐待の情報も得たいと思います。
虐待は弱者に向けられるということでは、児童、障害者、共通するものがあると思います。

○会長
この協議会としては、障害者虐待防止法に基づいてご報告をいただきました。ただ、ご指摘があったようにその外側には、児童虐待やハラスメント、いじめというようなことがあるのではないかということ。
虐待という言葉は、なかなかセンシティブな言葉です。法律では、心理的虐待もひとつの類型として認めていますが、そこに至らないような事例もあるではないか。
こういった全体像をどこかで少し整理をしておいたほうがいいと思います。
加えて、精神科病院での虐待というのも重要なテーマとして扱われていく流れがあります。今後、日本としてどう取り扱っていくのかというのが話題になっている。
そのあたりを含めて、我々の理解を深めておく必要があるかもしれない。ここで議論できるようなものを次回、お考えいただけませんか。
これは基幹相談支援センターなど専門職の皆さんとも少し協議できたらと思います。専門部会で協議する話でもあるとは思いますが、論点整理をしておいていただくとよいと思います。
他に何かありますか。

○委員
事務局からの報告で気になったのが、養護者による虐待。親による子どもの障害の理解が不十分で虐待が起きたというのがあったと思います。
これは50年ぐらい前からずっと、親からの虐待や差別の根源にあるというような気がしました。まだそういうことが起きているということになると、親と子という関係を今後どう考えていくのか、どうやったら子どもたちは虐待を受けないのか。親に対して児童相談所が介入しづらいというのもよく聞きます。
それから、夜間の受付を業者に委託しているということでしたが、区の担当者と意見交換など、どのような関係になっているのか。教えていただきたい。

○事務局
親が子の障害の受容ができていない、十分でないということがあると思います。特に、お子さんが小さいときに障害受容をできず、手が出てしまうとか、そういったことが要因の一つと考えております。
こども発達支援センターでは、相談事業を実施しておりますので、相談機会を捉えて虐待防止に取り組んでいきたいと考えております。
それから、休日夜間の受付業務委託ですが、看護師の資格を持った職員が電話で対応します。緊急対応が必要な場合には、障害者施策推進課長、保健予防課長、あるいは担当に連絡が行くという仕組みを取っています。
急は要さないけれども対応が必要だということにつきましては、翌営業日に連絡票という形で、障害者施策推進課に通報内容が届きます。

○会長
他にありますか。

○委員
考えを少しお話ししたいと思います。何が虐待かということは、障害者自身、気付かず受けていると思います。慣れてしまっていて、虐待かどうか分からないという問題もあると思います。それについてどう考えていくかということ。
もう一つは、やはり虐待は、障害者差別解消とつながっている。つまり、差別解消が進んでいないところがあると思います。すごく難しい課題だと思いますが、考えていきたいと思います。
それからもう一つ、資料にあった練馬区における実施体制について教えてください。支援方針検討委員会とは、どのようなことをされるのか。また、この委員会には、どのような方々が参加して、どのような内容を話しているのかをお聞きしたい。

○事務局
支援方針検討委員会は、虐待の通報を受け付けた後に、調査を行い収集した情報を分析して、そのケースごとに虐待認定の有無を決めるものです。
それから、施設に対してどのように虐待防止措置を講じてもらうか、あるいは虐待を受けられた方をどのように支援していくかという方針を決定する委員会です。
委員会を構成する委員は、障害者施策推進課長、保健予防課長、総合福祉事務所長、その担当者で構成されております。内容によっては他の関係機関の方をお呼びします。

○障害者施策推進課長
虐待は、障害のある方ご本人も分からないのではないか、というお話をいただきました。まさに、虐待防止やその対応は、まず虐待に気付くところから始まります。
先ほど申し上げた、区で作成している虐待のリーフレットを使った周知啓発というのを改めて強化していく必要があると、お話を伺いながら感じたところです。
続きまして、障害者差別解消についてです。虐待防止も障害者差別解消ということが根幹にあるのではないかというご指摘は、そのとおりだと思います。
障害者虐待防止法の特徴として、高齢者虐待防止法や児童虐待防止法と異なり、使用者による虐待が位置付けられています。
雇用主による虐待は、まさに差別が根幹にあると思います。虐待を防いでいくためには、差別解消の取組も強化していく必要があると考えています。

○会長
この議論には、虐待、差別、人権の尊重、人格の尊重と様々な言葉が出てくる。児童虐待で言うと、「しつけ」という言葉も出てきて、実は深く広い話になる。
この協議会では、障害者虐待防止法という法律に基づいて、虐待を認定して対応していく行政手続きの話と、日常生活上起こる不利益を解消していく話になると思う。
加えて、高齢領域を中心に、深刻な問題だと聞いているのは、利用者によるサービス提供者への虐待類似行為という。
利用者ではなくて、むしろ利用者の家族からそういった行為があるという話も聞きます。その背景には、障害当事者の皆さん、それを取り巻く家族の方々の孤立、孤独の問題があると思う。いかに関係者がつながっていくか、という議論にもなる。
このように様々に広がっていく議論でもあるので、整理しながら話を進めていくべきだと思う。
一方で、専門的な支援の重要性と、地域社会、仲間といったインフォーマルサポートの重要性もある。障害分野でも、地域包括的支援という言葉をよく使っています。
そうしたつながりの話をしていくことになると思います。また改めて議論する機会があればと思います。
それでは、次の議題にうつります。（２）練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例について、説明をお願いいたします。

○障害者施策推進課長
資料４－１、４－２、４－３の説明

○会長
ありがとうございました。この条例は、障害者地域自立支援協議会も関わりながら、検討を進めてまいりました。条例制定は、大変喜ばしいことと思います。皆さまから、ご意見、ご質問等ありますか。

○委員
条例の検討に当たっては、様々なインタビューをしていただきました。このような条例を作っていただいて、ありがとうございます。この条例は、コミュニケーションツールを整備する、ハード面のものと思いがちですが、やはり知的障害、発達障害の方や言葉のない方は、ソフトの部分の理解啓発、障害理解啓発がとても重要だと思います。そちらもしっかりと進めていただければと思っております。よろしくお願いします。

○委員
今、ご発言があったことも当然のことですが、いつも言っているのは、共生社会づくりが目的にあるということです。
それに向かって具体的にどう進めていくかがないと、単なる思いだけで止まってしまう。具体的に、区民や事業者は、どのような行動を取るべきなのか、具体的なものがないと駄目だと思います。
先日、東京都の自立支援協議会交流会に参加しましたが、共生社会づくりをどう進めていくかという話が出ていました。障害者として伝えたことは、地域社会という大きな話でなく、隣の人とどうしていくかというものを、もう少し具体的に考えていく。区民や事業者だけではなく、障害者も含んで考えていく大きな課題だと思っています。

○委員
この条例の制定は、大変うれしく思っております。私たちは、当初、手話言語条例をつくっていただきたいという要望を出しました。しかし、区としては、共生社会を目指すためには、障害者のコミュニケーションを広く捉えるということでした。私も検討に参加しましたが、その方向で条例が作られた。
ただ、手話言語というのは、聴覚障害者の文化でもある。条例の名称に「手話言語」を入れてほしいという要望を何回か出しました。協議の結果、このような条例の名称、文章になったというのは、私たちも受け止めて、うれしく思っています。
ただ、今後について、リーフレットにいろいろと書いてありますが、私たちがやらなければならない部分はある。例えば手話についてですが、広めていかなければいけないし、どのようにして広めていくかというと、私たちの力だけでは足りない。区の皆さん方と協議をしながら、手話講習会を開くことをはじめ、積極的に進めていきたいと思っています。
もう一つ、手話通訳者の養成です。これも課題になっております。条例ができたことによって、手話通訳者が必要になってくると思うので、やはり養成にも力を入れていかなければならないと思っています。

○障害者施策推進課長
さまざまなご意見をいただき、ありがとうございます。まず、知的障害の方々などに対する理解普及の取組が重要であるというお話をいただきました。条例制定は、スタートラインだと思っております。障害理解普及の取組を、引き続き、これまで以上に頑張っていきたいと思っております。
加えて、共生社会づくりの具体的な取組を進めてほしいというご意見を頂きました。また、手話通訳者の養成、こちらも具体的な取組が重要だというご意見だと思います。
条例の検討過程から、条例制定と併せて、具体的な取組についても重要視してまいりました。（仮称）意思疎通条例検討部会の中でも、条例の関連事業として、どのようなことを進めたらよいかということもご意見を伺ったところです。
今年度は、区が送付する封筒に音声コードを全封筒に添付していく取組、ガイドブックの作成、ＩＣＴを活用した遠隔手話通訳、情報支援機器の相談といった事業を、順次実施していきます。引き続き、皆さまのご意見を伺いながら、具体的な取組を進めていきたいと考えています。

○会長
他に委員の皆さまから、何かご意見ございますか。

○委員
私どもは訪問介護の事業所で居宅介護支援をやっています。手話などのコミュニケーションには、その技術が必要だと思います。ヘルパーを含め、介護する側がそうした技術を学べる機会が必要だと思いました。

○障害者施策推進課長
コミュニケーション手段は様々ございます。今年度、障害分野と介護分野を一体化した練馬福祉人材育成・研修センターが設置されています。研修センターでも、コミュニケーションを学べる機会が提供できればと思います。
また、心身障害者福祉センターでは、手話や点字の講習会を行っています。そうした機会を皆さまにもご紹介させていただきながら、皆さまに学んでいただく機会を充実させていきたいと考えています。ご意見ありがとうございました。

○会長
私は、字幕放送のガイドライン改定に関わっています。そこで感じたのは、字幕放送は、実はアクセスするのが難しい。要するに、テレビの機械が複雑になっていて、字幕のボタンは、メーカーごとに場所が違う。それを何とかしてほしいという意見をあげた記憶があります。
コミュニケーションの手段はそれなりに充実しているけれど、アクセスする、それを利用することの難しさみたいなものがあると思います。この条例に基づいて、具体的な取組を進めていこうという区民の合意が必要だと思います。福祉部だけが理解していても進まないと思う。意思疎通の問題は、災害のときも重要な問題になります。
防災に限らず、もちろん様々な領域での共通の認識にしていただく努力はこれからだと思います。
それぞれの障害者団体の皆さまのご努力、関わりのあるお仕事をされている方のご努力も合わさって、この条例が実際的なものになっていくことを期待したいと思います。
それでは、（３）専門部会の報告についてです。

○事務局
資料５の説明（権利擁護部会）

〇委員
資料５の説明（地域生活・高齢期支援部会）

〇委員
資料５の説明（相談支援部会）

〇委員
資料５の説明（地域包括ケアシステム・地域移行部会）

○会長
ありがとうございます。それぞれ重要なテーマを専門部会で議論していただきました。それぞれ共通の部分、相互で関係し合っている部分がありました。
練馬区の実情合わせて議論を専門部会で深めています。それを受け取って、行政が政策にしていただくという、そのような議論がこの協議会の役割だと思います。それぞれの専門部会で積み重ねて、来年の計画づくりに反映させていただくとよいと思います。
では、全体を通して、何かご発言ございますか。

○委員
昨年６月に「医療的ケア児支援法」が成立しました。当会では、その法律に記されている医療的ケア児支援センター事業、医療ケア児等コーディネーターの配置について、さまざまな機会にお願いしてまいりました。
練馬区では医療的ケア児等支援連携会議が年２回開催されており、その会議で、それについて、検討いただいております。当会からも委員として参加しています。令和３年度の支援連携会議の報告の中で、令和４年２月に練馬区の医療的ケア児等コーディネーターの連絡会を開催したとありました。
また、今後の医療的ケア児支援の方向性として、令和５年度に医療的ケア児等地域支援事業を、令和６年度に医療的ケア児等相談支援拠点を整備とありました。着々と支援を進めていただいていることに、感謝いたします。

○会長
大変大事なお話でした。医療的ケア児等の支援の医療と福祉の相互連携の話だと思います。医療の生活支援の連携、それから保護者支援など、総合的に進めていく政策だと思います。事務局としても受け取ってもらえればと思います。
それでは以上で、第６期第４回、令和４年度第１回障害者地域自立支援協議会を閉会させていただきます。

――了――