資料4 障害者の意思疎通に関する現状と課題について (仮称)意思疎通条例検討部会 検討資料 令和3年8月2日(月) 国や都の動向 平成20年 障害者権利条約 手話、その他の非音声言語を「言語」と定義 平成23年 障害者基本法改正 意思疎通および情報の取得・利用のための手段の確保の明記 平成24年 全日本ろうあ連盟 「日本手話言語法案」公表 平成25年 鳥取県手話言語条例制定(全国初) 平成28年 全国手話言語市区長会発足 平成30年 東京都障害者への理解促進および差別解消の推進に関する条例制定 「言語としての手話の普及」を規定 令和3年 全国412自治体で手話言語や意思疎通に関する条例を制定済み(令和3年7月現在) 関係法令における規定@ 障害者権利条約 「意思疎通」とは、言語、文字の表示、点字、触覚を使った意思疎通、拡大文字、利用しやすいマルチメディア並びに、筆記、音声、平易な言葉、朗読その他の補助的及び代替的な意思疎通の形態、手段及び様式(利用しやすい情報通信機器を含む。)をいう。 「言語」とは、音声言語及び手話その他の非音声言語をいう。 障害者基本法 全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。 関係法令における規定A 東京都障害者への理解促進および差別解消の推進に関する条例 (情報保障の推進) 1 都は、障害者が円滑に情報を取得し、意思疎通ができるようになることは、障害者だけでなく都民及び事業者にとっても必要であるという認識に基づき、  手話、筆談、点字、拡大文字、読み上げ、分かりやすい表現その他障害者が分かりやすく利用しやすい方法(以下「障害者に配慮した方法」という。)による 情報の提供が普及するよう必要な施策を講ずるものとする。 2 都は、関係機関と連携し、意思疎通を仲介する者の養成のために必要な施策を講ずるものとする。 3 都は、障害者が都政に関する情報を速やかに得ることができるよう、可能な限り、障害者に配慮した方法によって情報の提供を行うものとする。 (言語としての手話の普及) 都は、独自の文法を持つ手話は一つの言語であるという認識に基づき、都民及び事業者において言語としての手話の認識を広げるとともに、手話の利用が普及するよう必要な施策を講ずるものとする。 他区の状況 条例の性格 手話言語 中野・荒川・板橋・江戸川 条例の性格 意思疎通(コミュニケーション)千代田・中野 条例の性格 手話言語および意思疎通 港・新宿・台東・墨田・江東・渋谷・大田・豊島・北・足立・葛飾 ※中野区は、手話言語と意思疎通それぞれ個別に条例化 練馬区の現況@ 障害者数の推移(練馬区障害者計画(令和3年度〜令和8年度)より) 平成27年 身体障害者19,828 知的障害者4,550 精神障害者5,586 合計29,964 平成28年 身体障害者20,163 知的障害者4,686 精神障害者6,041 合計30,890 平成29年 身体障害者20,310 知的障害者4,825 精神障害者6,467 合計31,602 平成30年 身体障害者20,343 知的障害者4,972 精神障害者7,001 合計32,316 令和元年 身体障害者20,405 知的障害者5,050 精神障害者7,560 合計33,015 身体障害者、知的障害者および精神障害者数は、いずれも各年度3月31日現在の手帳所持者数 (例:令和元年度の場合は令和2年3月31日) 練馬区の現況A 外出の際に他人との会話が難しいと感じる(障害者基礎調査(令和元年度)より) 知的(n474)31.4% 発達(n69)31.9% 視覚(n101)9.9% 聴覚(n99)43.4% 音声・言語(n29)48.3% 難病(n475)4.8% 練馬区の現況B 1 情報の取得・コミュニケーション支援 手話通訳者派遣・設置、UDトーク、音声コード 点字図書・録音資料・対面音読、点字広報・声の広報 磁気ループ、日常生活用具の給付 2 障害理解の促進 庁内接遇マニュアルの作成、障害体験教室 障害者差別解消講演会、つながるフェスタ 3 手話等の普及 手話講習会、点字教室 4 社会参加の促進 行動援護、同行援護、重度訪問介護、居宅介護(通院等介助、通院等乗降介助) アイメイト展の実施 5 ユニバーサルデザインの推進 練馬区バリアフリーマップ ユニバーサルデザイン体験教室 意思疎通に関する条例に係るこれまでのご意見〜障害者地域自立支援協議会より〜 障害者地域自立支援協議会の概要 地域関係者と連携し、情報の共有を行うとともに、専門部会の報告を元に、個別事例等から見えてくる地域課題の抽出、地域の実情に応じた体制の整備等について協議を行う場 障害当事者、サービス提供事業者、相談支援事業者、就労・福祉・教育関係者、学識経験者等で構成 〇令和3年3月開催の第5期第6回障害者地域自立支援協議会から条例について検討を開始 これまでの意見@ 〇障害者の意思疎通に関する条例の検討開始について、聴覚障害者(ろう者)のコミュニケーション手段は手話言語のため、手話言語に関して条例化を検討してほしい。 なお、検討に際しては、当事者の意見や考えを入れ意見交換会などを実施してほしい。また検討委員会設置の場合は、当事者を委員に入れてほしい。 〇障害者の意思疎通に関する条例について、今後、区が実施しているコミュニケーション手段等を周知することや、情報機器を導入することなど、具体的な取り組みも示してほしい。 〇誰もが住みやすい地域社会を作るためには、意思の疎通や情報を取得することは欠かせない。 手話言語を認め普及啓発をすることのみならず、障害者の特性に合った方法で、意思をどう伝えるのか、またどう読み解くかを工夫することが大切だと思う。 障害の重い、言葉を発することができない人や経験したことの少ない人のコミュニケーション手段も含め、検討をお願いしたい。 これまでの意見A 〇 意思疎通は、すべての人が必要としているので、共生社会の実現を目的とした条例としてほしい。手話言語のみならず、様々な障害者を含んだ条例を望む。 〇 重症心身障害も意思疎通困難を伴う。その方法は個別性が高く、一つの方法でコミュニケーションが取れないため、理解していただくことに困難を伴う。 一見、意思の表出をしていないとみられがちな重症心身障害児者でも意思を表している。その微弱な意思表出を受け止められる支援者が望まれる。 ⇒手話言語に関しての条例化についてご意見があった一方で、様々な障害者のコミュニケーションを含んだ条例の検討を望むご意見があった。 ⇒手話通訳者の設置、字幕や文字表示、イラストやコミュニケーションボードなどの手段の充実に加え、アプリケーションやスマートフォンなどのICTの活用が必要とのご意見があった。 第6期第1回・障害者地域自立支援協議会での検討結果 様々なコミュニケーション手段についての意見があり、広く障害者のコミュニケーション手段についての検討が必要であること (仮称)意思疎通条例検討部会の委員構成、検討スケジュール (仮称)意思疎通条例検討部会で具体的な検討を行うこと ⇒個々の障害特性に応じ、広く様々なコミュニケーション手段を対象とした条例について検討 ⇒第1回(仮称)意思疎通条例検討部会で、具体的な生活場面におけるコミュニケーション手段について検討 場面ごとの困難と感じること・必要な手段や取組 〜団体ヒアリングの結果より(抜粋)〜 団体ヒアリングの概要 1 対象団体:16団体(区内障害者団体) 2 聴取方法:書面によるヒアリング 3 実施期間:令和3年4月28日〜令和3年5月31日 4 回答数 :130件 5 質問事項:自分の意見や情報を得るときに困難と感じることや必要な取組などについて、生活場面ごとに意見を聴取 @サービス(買い物、飲食店) ○コロナ禍で店員のマスク着用でのコミュニケーションが困難。ボードでの表示や、マウスシールド着用などの合理的配慮が必要。 ○店員が早口に話すので、言われていることが分からない。「ポイントカードは?〇〇のご利用は?」など。ゆっくりと必要なことを話してほしい。 ○買い物で値札が付いていない場合など数字の理解が難しいため、お金を掌にのせ、お店の人に取ってもらうなどが必要。 ○お店に行ったとき、どこに何があるか分かりにくく、店員も少なくて困った。案内係を決めておいて、分かりやすくしてほしい。 A医療・福祉 ○病院での受付や診療の呼び出しの際、ボードや電光板で表示がなく困る。 ○医師に、細かい症状や感情的な部分を伝えることが難しい。 ○医師や看護師の表情や唇の動きがマスクで見えないため読唇(口話)ができない。 B公共交通 ○電車が止まった時、情報が分かりにくい。もっと親切な情報がほしい。アナウンスが流れているが、聞き取りにくい。 C教育 ○教科書が分かりにくい。漫画を使うなど、もっと詳しく書いてほしい。 D雇用 ○職場において、外見からは分からず怠けているように誤解される。症状や特性についての上司や同僚の事前の理解が必要。 ○職場での教わり方が難しい。誰か優しく教えてくれる人が職場にいるといい。 E行政(区役所や制度) ○障害や介護関連の書類がたくさん届くが、何をすればいいか理解できないため、書類が届くだけで緊張からパニックになる。 また、自分のしたい手続きがあっても言葉で伝えられないため、一人で役所に行くのは難しい。 ○役所などの申請書に自分で記入はできるが、内容を理解することが難しい。 ○支援や福祉のパンフレットが分かりにくい。どこを見たらいいかわからないし、ふりがなだけだと分からない。 F災害時 ○災害時など、音声だけで理解することが難しいため、放送を聞いただけでは行動することはできず、パニックになってしまう。 ○避難所等において、状況説明や食料等の配布には、掲示と音声での伝達が必要。細かな説明が必要。 Gその他 ○スマートフォンの音声読み上げ機能など、使いこなせていない。 ○失語症の認知度が低く症状が認識されていないため、配慮を受けづらい。 ○補聴器や人工内耳をつけても、全て聞き取れるわけではなく、理解できないこともある。 ○言葉で伝えようとしても、発音が不明瞭であり、うまく伝わらないことがある。また、意思に反した言葉が出てしまうことがある。 ○言葉以外のコミニケション方法があることを理解している人が少ない。 必要な手段や取組(ハード面) 手話通訳者の設置 要約筆記者の配置 字幕、音声の文字表示 文字通訳 デジタル補聴システム 口元の見えるマスク 公共の場などでの電光掲示 コミュニケーションボードの利用 視覚で理解できるような図、写真、映像などの活用 必要な手段や取組(ICT活用) スマートフォンで音声を文字に変換するソフトの活用 音声読み上げなどのアプリケーション SNSでのコミュニケーション 会話に必要な言葉を事前に録音できる支援機器 飲食店等におけるタッチパネルによる注文システム 必要な手段や取組(ソフト面) 申請書などの代筆、手続きの代行 書類の口頭による説明 街中などでの積極的な声掛け 手続きの簡易化(書類の削減や文字の拡大、表現の簡素化) 失語症意思疎通支援者など、専門職の養成と派遣 ゆっくり、しっかりと向き合って話を聞き意思を汲み取ってくれる支援者の養成 コミュニケーションを補助してくれるボランティア 言いたいことが分かってくれる人に連絡が取れるような仕組み 非常時に、正しい情報をリアルタイムに伝えてくれ、避難などを援助してくれる支援者の養成 少しのサポートによる自立につながるような仕組み 当事者でもできる範囲で、自分のことは自分でやるという習慣や認識 失語症への理解促進の学習会・講演会の実施 コミュニケーションの練習の場や障害当事者の集いの場 今日の内容 (1)困る場面について 例:うまく伝えられなくて残念だったこと、つらい思いをしたこと、言いたくても言えなかったことなど (2)困らないために必要な手段や取組について 例:困ったときに、あったらよかったと思うこと(声掛け、スマホアプリ、支援者、仕組みなど)