取組体制強化プラン~区民協働 DX 人事・人材育成~ 令和5年(2023年)3月 練馬区 取組体制強化プランの策定にあたって  GDPが年内にもドイツに抜かれるかもしれないそんなショッキングなニュースが 飛び込んできました。  日本の1億2千万人に対してドイツは8千万人、人口が日本の3分の2しかない国に 抜かれるのです。  何故こんなことになってしまったのか。根本的な問題は、国の政治のあり方ではないで しょうか。目先目先の受け狙いで赤字国債の発行を重ね、「ばら撒き」を続けてきました。 負担は全て、未来の世代に平然と先送りにしてきました。国と地方の債務残高はGDPの 2倍を超え、世界に類を見ない状況となっています。そこに、長期金利や物価の上昇、 円安の直撃を受けたのです。にもかかわらず政治の危機感が全く伝わってきません。  私は区長に就任して以来、常に東京を思い、国全体を思って仕事をしてきたつもりです。 区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」、保育所待機児童ゼロ作戦、都区合同の児童虐 待対応拠点、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種など様々な「練馬区モデル」を 立ち上げ、全国自治体を先導する多数の施策を実行してきました。  日本全体が厳しい状況にあるからこそ、区民の皆様が確かな希望を持てるよう、グラン ドデザイン構想でお示しした将来像の実現に向けて、施策を着実に推進しなければなりま せん。  今後の政策展開は、来年度策定する「(仮称)第3次みどりの風吹くまちビジョン」で 明らかにします。  これに先立ち、「区民協働」「DX」「人事・人材育成」を3つの柱とする「取組体制 強化プラン」を策定し、政策を実現する具体的な取組と体制を強化します。 「改革ねりま第三章」の実現に向け、皆様と手を携え練馬区の未来を開いていく決意です。 令和5年3月 練馬区長 前川燿男(前川区長の写真) 改革ねりま これまで・これからについて グランドデザイン構想の実現に向けて、以下のとおり、様々な政策を実現してきました。 ・練馬こども園創設 ・真夏の音楽会開催 ・ローズガーデンリニューアル ・西武新宿線連続立体交差事業都市計画決定 ・練馬光が丘病院リニューアルオープン ・練馬こぶしハーフマラソン開催 ・練馬薪能開催 ・順天堂練馬病院増築棟完成 ・ワクチン接種体制「練馬区モデル」構築 ・街かどケアカフェ創設 ・練馬こどもカフェ創設 ・世界都市農業サミット開催 ・窓口改革の展開 ・区長と練馬の未来を語る会開催 ・地域おこしプロジェクトの展開 〔政策〕 ・27年3月 みどりの風吹くまちビジョン策定 ・30年6月 グランドデザイン構想策定 ・31年3月 第2次みどりの風吹くまちビジョン策定 ・4年3月 第2次みどりの風吹くまちビジョン改定アクションプラン策定 ・(仮称)第3次みどりの風吹くまちビジョン 令和元年度から2年度の間に新型コロナウイルス感染症 感染拡大 〔政策を実現する仕組みや態勢〕 ・28年10月 区政改革計画策定 ・29年3月 公共施設等総合管理計画策定 ・29年12月 人事・人材育成計画 職員定数管理計画 外郭団体見直し方針 ・4年12月 取組体制強化プラン策定 区民協働 DX 人材育成  政策を実現する具体的な取組と体制を強化 目次 第1章 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1 区政改革のこれまでの取組・・・・・・・・・・・・・1 2 区を取り巻く状況・・・・・・・・・・・・・・・・・2 3 更なる改革に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・4 4 取組体制強化プランの位置付け・・・・・・・・・・・5 第2章 改革に向けた取組・・・・・・・・・・・・・・・6 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる・・・・・・・・・・・7 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ・・・・・・・・・・17 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる・・・・・・・・・・・・31 用語解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 ≪P1≫ 第1章 はじめに 1 区政改革のこれまでの取組 ○ 区政改革の目的は、区民サービスを充実し、向上することに あります。区は、政策を実現するための具体的な仕組みや態 勢を「区民の視点」から改めて見直すため、区政改革計画を 平成28年10月に策定しました。 ○ 区政改革計画に基づき、情報化基本計画、公共施設等総合管 理計画、人事・人材育成改革プラン、職員定数管理計画、外 郭団体見直し方針などを策定し、改革を実行してきました。 Ⅰ 区民参加と協働の区政 〇 協働推進課を設置、「地域おこしプロジェクト」の実施 〇 「区長と練馬の未来を語る会」を開催 〇 地域活動に参加したい区民の背中を後押しする「つながるカレッジねりま」 を開講 〇 高齢者をはじめとした地域住民の交流・相談・介護予防の場「街かどケア カフェ」を創設 〇 区民の気づきを区政に活かす「ねりまちレポーター」を創設 〇 地域住民による公園の維持管理を拡大 〇 保護樹林等の落ち葉清掃に地域住民等が取り組む活動などみどりを育む ムーブメントの輪を拡大 Ⅱ 区民サービスの向上と持続可能性の両立を実現 〇 区立保育園の委託・民営化を推進、待機児童ゼロの達成 〇 区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」の創設 〇 生活福祉課の新設、福祉事務所の機能強化 〇 生活保護ケースワーカーの大幅増員 〇 高齢者いきいき健康事業の見直し 〇 施設の機能移転、統合・再編、複合化 • 旧高野台運動場用地における病院・福祉園の整備 • 新たな小中一貫教育校の設置と周辺施設の集約 • 北保健相談所の移転と周辺施設の集約 • 美術館の再整備にあわせた中村橋駅周辺施設の統合・再編等 Ⅲ 区役所の総力をあげて改革を実行 〇 基金積立の目標額を達成(財政調整基金400億円、施設整備基金280億円) 〇 財政パンフレット「練馬区のおさいふ」の発行 〇 信賞必罰の人事評価を徹底 〇 職員定数200人を削減 〇 外郭団体の整理・再編、区の人的関与・財政的関与のあり方見直し 〇 窓口改革〜待たない・まごつかない・何度も書かない窓口〜 〇 税の支払や証明書の発行手数料等にキャッシュレス決済を導入 〇 マイナンバーカードを活用した各種証明書のコンビニ交付の開始 ≪P2≫ 第1章 はじめに 2 区を取り巻く状況 区を取り巻く状況の先行きは不透明 【区を取り巻く状況が、不透明であることを表したイメージ図】 「新型コロナウイルス感染症」「ウクライナ侵略」 〇デジタル化の遅れ 〇非対面・非接触 〇海外景気後退の懸念 〇債務残高GDP比2倍超 〇物価上昇 〇国際競争力低下 〇生産年齢⼈口の減少 〇人口減少社会 〇少子高齢化 〇子育ての孤立 〇ひきこもり 〇8050問題 〇生活困窮 〇ヤングケアラー ≪P3≫ 第1章 はじめに ●人口減少の加速 • 日本は世界で最も早く少子高齢化が進行し、既に人口減少 時代に突入しています。出生数の減少も加速しています。 • 少子高齢化の進行、出生数の減少により、生産年齢人口も 減少しています。区の職員数にも影響を及ぼす恐れがあります。 ●混沌とした経済情勢 • 人口減少が本格化し、構造的に日本経済が停滞する中で、 コロナ禍とウクライナ侵略の直撃を受けました。 • 世界的な金融引き締めによる海外景気の後退が懸念されています。 • 円安の長期金利や物価の上昇が、国民生活や国家財政に及ぼす影響が危惧されています。 国際競争力が低下し、日本は他国の労働者から選ばれない国になりつつあります。 • 財源を国債に依存する財政運営を続けた結果、国の債務残 高はGDPの2倍を超え、世界に類を見ない状況です。 ●新型コロナウイルス感染症の社会生活への影響 • コロナ禍で、オンラインサービスが拡大し、テレワークが 普及するなど生活様式に変化が見られています。 • 一方で、行政のデジタル化の遅れが鮮明になりました。社 会全体のデジタル技術やサービスは急速に進展しています。 区でも、デジタル技術がもたらす社会の変化へ的確に対応 していく必要があります。 ●複雑化する社会課題への対応 • 地域でのつながりが希薄化する中で、見守りの目が届きづ らい8050問題・ヤングケアラーなど、多様化・複雑化した課題への対応 も必要となっています。 • 必要とする方に支援を行き届かせるためにも、区民協働に よる対応がこれまで以上に求められています。 ○ 先行きが不透明な厳しい状況にあっても、これまでの政策を継続・発展させ、 グランドデザイン構想で示した将来像を実現しなければなりません。 ○ 令和5年度に「(仮称)第3次みどりの風吹くまちビジョン」を策定し、 今後の政策展開を明らかにします。 ○ これに先立ち令和4年度は、区を取り巻く状況の変化を踏まえ、 当面の課題に対応するため「取組体制強化プラン」 を策定し、政策を実現する具体的な取組と体制を強化します。 ≪P4≫ 第1章 はじめに 3 更なる改革に向けて 取組体制強化プラン 〜区民協働 DX 人事・人材育成〜を策定 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 区との協働は、住民自治そのものです。 コロナ禍を乗り越え、区民協働の取組をさらに前へと進めていきます。 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 多様化する行政ニーズに対応するため、DX(デジタル・トランスフォーメーション) を推進し、区民サービスの向上と業務の効率化を図ります。 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる 今後、生産年齢人口が減少していく中、DXを推進し、区民協働の区政を実現す るために、状況の変化にあわせた人事制度、人材育成の仕組みを構築します。 ≪P5≫ 第1章 はじめに 4 取組体制強化プランの位置付け ○ 令和5年度にグランドデザイン構想の実現に向けた政策展開を明らかにする 「(仮称)第3次みどりの風吹くまちビジョン」を策定します。 これに先立ち令和4年度は、政策を実現する具体的な取組と体制を強化する 「取組体制強化プラン」を策定します。 ○ 本プランは、当面の課題に対応するため3つの柱を立て、 取組の考え方を示すものです。 ○ 第2章の柱Ⅱを「DX推進方針」として位置付けます。 【ビジョン・アクションプラン、取組体制強化プランの関係図(イメージ)】 〔政策〕 ・第2次みどりの風吹くまちビジョン(平成31年3月) ・第2次みどりの風吹くまちビジョン改定アクションプラン(令和4年3月) ・(仮称)第3次みどりの風吹くまちビジョン(令和5年度策定予定)  政策の継続・発展させグランドデザイン構想の実現につなげる。 〔政策を実現する仕組みや態勢〕 ・区政改革計画(平成28年10月) ・取組体制強化プラン(令和5年3月)  政策を実現する仕組みや態勢を強化し、グランドデザイン構想の実現につなげる。 ≪P6≫ 第2章 改革に向けた取組 第2章では、政策を実現する具体的な取組と体制を強化するための取組を お示しします。 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 1 協働の新たな取組を展開する 2 「伝える」から「伝わる」情報発信へ転換する 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ〜DX推進方針〜 1 “行かない・書かない” デジタル区役所を実現する 2 アナログからデジタルへ業務改革に取り組む 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる 1 職員の能力を最大限活かし、成長を加速させる 2 外部人材の採用を強化し、改革を加速させる ≪P7≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 1 協働の新たな取組を展開する 2 「伝える」から「伝わる」情報発信へ転換する ≪P8≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる ●協働の新たな取組を展開する ・地域社会のあり様や住民意識の変化とともに地域課題は多様 化・複雑化しており、様々なニーズが生まれています。新た なニーズに対応し、きめ細やかなサービスを展開するために は、地域で活動する方々の力が欠かせません。区と区民や団 体などが適切な役割分担のもとで協働することが重要です。 ・区は「区民参加と協働のグランドデザイン」を策定し、区民 とともに協働の取組を模索しながら進めてきました。 ・地域の現場では、町会・自治会をはじめ、NPO、ボランティ ア団体などが地域の課題を我が事として考え、自発的に活動 する動きが広がってきました。 ・一方で、多くの町会・自治会で役員のなり手不足、高齢化と いった課題を抱えています。町会・自治会の役員や民生・児 童委員の方々など、地域活動を支える担い手が固定化する傾 向にあります。 ・こうした課題を解決し団体同士の連携を進めるため、これか らも試行錯誤しながら粘り強く取り組んでいきます。 ●「伝える」から「伝わる」情報発信へ転換する ・これまで区は、区報や区ホームページなどを主な情報発信 ツールとし、漏れなく正しく情報を伝えることに主眼を置い てきたため、「誰に・何を・どう伝えるか」の視点が不足し ていました。 ・コロナ禍では、行政の発信する情報へのニーズがかつてない ほど高まり、区は、SNSなど様々な手法を駆使して日々更新 される情報を発信しました。感染状況やワクチン接種など関 心が高い情報は、区民によって拡散され、タイムリーに多く の方へ情報を届けることができました。 ・重点的な広報の展開、必要な方に必要な情報を届けるプッ シュ型発信、媒体の特性を活かした発信により、「伝える」 から「伝わる」情報発信へと転換していきます。 ≪P9≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 1 協働の新たな取組を展開する ≪P10≫ 第2章 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 1 協働の新たな取組を展開する ① 新たに「(仮称)ねりま協働ラボ」を実施します 区民の皆様の自由な発想から生まれたアイデアを区と協働して具体化する 「地域おこしプロジェクト」を、団体同士がコラボした取組への支援と地域活動 へのチャレンジを後押しする「(仮称)ねりま協働ラボ」として新たに展開します。 ●区とともに地域課題に取り組む団体・アイデアを募集します 「街かどケアカフェ」や「みどりを育むムーブメント」など 様々な分野で区民と区が協働した取組が進んでいます。 こうした協働の取組をさらに区政の広範な分野に拡げるため、 区が協働により解決したい行政課題に基づきテーマを設定し、 区とともに取り組む団体およびアイデアを募集します。 ●町会・自治会とNPO・ボランティア団体、企業等がコラボして 取り組むプロジェクトを支援します 町会・自治会が、他の地域活動団体と連携することで、役員 のなり手不足といった問題を補い、あるいは新たな活動に発展 させる事例も生まれ始めています。 区政最大のパートナーである町会・自治会の活性化に向け、 町会・自治会とNPO・ボランティア団体、企業等がコラボして地域課 題に取り組むプロジェクトを支援します。 ●地域活動へのチャレンジを後押しします より多くの方々が、自由な発想で地域活動に取り組める ように、活動の後押しとなる事業を開始します。 ≪P11≫ 第2章 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 1 協働の新たな取組を展開する ② 地域福祉コーディネーターによるアウトリーチ型の支援を開始します 中高年のひきこもりや8050問題といった課題は早期発見が 難しく、事態が深刻化する恐れがあります。 複合的な課題を抱えながら、支援が行き届かない世帯を早期 に発見し、支援につなぐ仕組みが必要です。 社会福祉協議会の地域福祉コーディネーターが、区民や地域 団体から地域で気になる方などの情報を収集し、個別訪問を実 施するほか、相談に応じ、適切な支援につなげます。 【ひきこもり支援事業イメージ】 ①見守り・発見 「引きこもりの方」に対して 「民生委員、町会・自治会、NPO・ボランティア団体、近隣の方々等」が見守り・発見する。 ②情報収集 「社会福祉協議会(地域福祉コーディネーター)」が 「民生委員、町会・自治会、NPO・ボランティア団体、近隣の方々等」 から地域で気になる方などの情報を収集する。 ③訪問(必要に応じ民生委員等と訪問) 「引きこもりの方」に対して 「社会福祉協議会(地域福祉コーディネーター)」が必要に応じて民生委員等と訪問する。 「社会福祉協議会(地域福祉コーディネーター)」と「区」は連携する。 ≪P12≫ 第2章 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 1 協働の新たな取組を展開する ③ 学校を拠点とした新たな地域連携の仕組みを作ります 学校現場では、これまでも地域の多様な人材との連携により 教育活動を展開してきました。また、学校を拠点として、防災 や青少年育成など、様々な地域活動が行われています。しかし、 活動の担い手が重複している、担い手が不足しているといった 課題を抱えています。 そうした中、学校運営に地域の声を積極的に生かすため、学 校運営協議会の設置が努力義務化されました。また、教員の働 き方改革を背景に部活動の地域移行が議論されています。 区内小中学校にモデル校として学校運営協議会を設置し、新 たな地域連携の仕組みを検討しています。検討を踏まえ、学校 運営などにおける課題を解決するため、家庭や地域と協働で取 り組みます。 【学校を拠点とした地域連携のイメージ図】 学校を拠点として以下の地域活動がある。 〇PTA活動 〇学校評議員 〇ねりっこクラブ 〇地域防災活動 〇学校応援団 〇青少年育成活動 〇放課後学習支援 〇学校支援コーディネーター それぞれの地域活動において、担い手が重複、新たな地域人材も不足している。 そこで、区における地域連携の仕組みを検討する。 ≪P13≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 2 「伝える」から「伝わる」情報発信へ転換する ≪P14≫ 第2章 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 2 「伝える」から「伝わる」情報発信へ 転換する ① 区の魅力を「ALLねりま」で発信します 令和5年、「ワーナーブラザーススタジオツアー東京− メイキング・オブ・ハリー・ポッター」がとしまえん跡地に 開設されます。また、春にはNHKの連続テレビ小説で牧野 富太郎博士をモデルに描いたドラマ「らんまん」がスタート し、秋には「全国都市農業フェスティバル」を開催します。 全国から注目が集まる⼤きなプロジェクトが目白押しです。 これらのプロジェクトは、区の魅力を広く発信する絶好 の機会です。広報の組立ててや伝え方の手法など、外部の専門 的な技術や知識を活用し、全庁あげてストーリー性のある戦 略的広報を展開します。 区民の皆様とともに、プロジェクトの“面白み” や“見ど ころ”などを発信し、「ALLねりま」で練馬の魅力が伝わる 広報に取り組みます。 【牧野記念庭園(写真)】 【「ワーナーブラザーススタジオツアー東京- メイキング・ オブ・ハリー・ポッター」エントランスイメージ図】 ‘Wizarding World’ and all related names, characters and indicia are trademarks of and © WarnerBros. Entertainment Inc. - Wizarding World publishing rights © J.K. Rowling. ≪P15≫ 第2章 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 2 「伝える」から「伝わる」情報発信へ 転換する ② SNSを活用したプッシュ型情報発信に取り組みます ●LINEを活用しプッシュ型で情報を届けます LINEの配信内容を区政全般に拡充し、年齢や興味のある分 野など、一人ひとりのニーズに合わせた情報をプッシュ型で発 信します。メッセージをデザインできるFlex Messageを活用 してわかりやすく情報を発信します。 ●区ホームページの検索性を向上します コロナ禍では、様々な情報を得るために区ホームページに多 くのアクセスがありました。一方で、情報が探しにくいとのご 意見もいただいています。各ページのタイトルを工夫するなど、 検索性の向上に取り組みます。 ●SNS媒体の特性を踏まえた情報を発信します TwitterやInstagramなどの利用が多い若い年齢層へヒアリン グし、即時性・拡散力、写真や動画の活用など、各SNS媒体の 特性を活かした情報発信に努めます。 ●従来のLINE配信メッセージ(イメージ図)  文章のみ内容。 ●Flex Messageを活用したイメージ(イメージ図)  メッセージ内容のレイアウトをデザインすることで、  メッセージ内容がわかりやすくなります。 ≪P16≫ 第2章 柱Ⅰ 区民協働の区政を深化させる 2 「伝える」から「伝わる」情報発信へ 転換する ③ 区民の声を改善につなげます ●区民の声を基に、区からのお知らせを見直します 区からのお知らせがわかりにくいことによるご意見、問い合 わせが「区長への手紙」やメール、電話等で寄せられています。 いただいたご意見を分析し、ご指摘のあったお知らせの内容 を区民目線で見直します。 ●改善事例を積極的に公開します 区は、これまでも区民からのご意見やご指摘を、制度や業務 の見直しにつなげる契機としてきました。道路や公園遊具の破 損などを発券した区民から区にお知らせをいただき、区が早急 に対応する「ねりまちレポーター」はその仕組みの一つです。 区民の声やご意見に基づく改善事例や取組を、区ホームペー ジにわかりやすく掲載します。レポーターの取組を多くの方に 知っていただき、改善のサイクルを広げます。 ●改善のサイクル〜「ねりまちレポーター」の仕組み〜【イメージ図】 ①破損しているもの等を、専用アプリ「ねりレポ」で撮影します。 ②撮影した写真をアプリで投稿します。 ③区は、速やかに補修等を行います。 ④対応結果をメールでお知らせします。 投稿と対応結果は、ねりレポホームページにも掲載します。 ⑤直ってよかった ※道路拡張、施設の建て替えなど長期の検討が必要な案件は、対象外です。 ≪P17≫ 第2章 改革に向けた取組 柱ⅡDXで区民と区政を直につなぐ〜DX推進方針〜 1 “行かない・書かない” デジタル区役所を実現する 2 アナログからデジタルへ業務改革に取り組む ≪P18≫ 第2章 改革に向けた取組 柱ⅡDXで区民と区政を直につなぐ〜DX推進方針〜 DX(デジタル・トランスフォーメーション) デジタル(Digital)と変革を意味するトラ ンスフォーメーション(Transformation)を 掛け合わせた造語です。Transは交差すると いう意味があるため、それを1文字で表す 「X」を用いています。  デジタル技術やデータを活用して、制度や サービス、業務を抜本的に「変革」し、これ まで実現できなかった新たな価値を創造する ことを指します。 1 なぜ、今DXが必要なのか 世界では、様々な分野でデジタルの活用が進み、新たなビジネスや サービスが生み出されました。 日本は技術革新によるデジタル化の流れに遅れを取り、コロナ禍にお いて、給付金システムの不備など、特に行政のデジタル化の遅れが顕在 化しました。 今後、少子高齢化や人口減少が進み、労働力不足も懸念されています。 限られた財源、職員で多様化する区民ニーズに応え、区政をもっと身 近にするためには、DXを推進する必要があります。 区におけるDX推進の基本的な考え方や取組を示し、更なる区民の利 便性向上と業務の効率化に職員が一丸となって取り組むことを目的に 「DX推進方針」を策定します。 ≪P19≫ 第2章 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 2 基本理念 ●DX推進による区民サービスの向上と効率的な区政運営の実現 3 取組項目 取組1 “行かない・書かない”デジタル区役所を実現する ① いつでも・どこでも・簡単・便利!手続はデジタルで完結 ② 誰もがデジタルを活用できるように支援 ③ マイナンバー制度の活用を推進 ④ データ利活用によるプッシュ型のサービスを提供 ⑤ 地域社会のデジタル化を支援 取組2 アナログからデジタルへ業務改革に取り組む ① アナログな業務から脱却し、業務DXを加速 ② 安全で効率的なデジタル基盤を整備 ③ DXを進める職員の確保・育成 ≪P20≫ 第2章 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 4 取組の視点 ① 区民の視点で考える ・単にデジタル化するのではなく、利用者目線で考え、サービスをつくります。 ② シンプルでわかりやすくする ・デジタルが苦手な人でも簡単に操作できるようにします。 ③ 安全・安心なサービスをつくる ・情報セキュリティの確保と個人情報の保護に万全を尽くします。 ④ スモールスタートで成果を重ねる ・できることから取り組み、改善を繰り返します。 ⑤ 前例と組織の壁に捉われない ・自由な発想で新しいアイデアを生み出します。 5 推進体制 区長の総括的・総合的リーダーシップのもと、副区長を最高情報化管理責任者(CIO) および最高情報セキュリティ責任者(CISO)として、全庁的・組織横断的に取組を推進 します。 企画部、区政改革担当部が全体調整など主導的な役割を果たし、総務部や人事戦略担当部 など関係部署と連携・協力しながら、全庁をあげてDXに向けて取り組みます。 ≪P21≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 1 “行かない・書かない”デジタル区役所を実現する ≪P22≫ 第2章| 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 1 “行かない・書かない”デジタル区役所を実現する ① いつでも・どこでも・簡単・便利!手続はデジタルで完結します ●手続・相談のオンライン化を進めます 区役所業務全体では、書面や対面でのやりとりを前提として いる手続が多く、オンライン化率は約20%に留まっています。 窓口に行くことが難しい子育てや介護に携わる方々、働く世 代などが、場所や時間を選ばず、パソコンやスマホから手続・ 相談ができるようオンライン化を進めます。来庁された場合で も、タッチパネル式の入力システムを活用するなど、書かない 窓口を実現します。申請時に必要な手数料等をキャッシュレス で支払ができるようにします。 ●使いやすい区立施設の予約システムを新たに構築します 現在の予約システムは「公共施設」「地域集会施設」「区民・産 業プラザ」の3つに分かれています。このため施設の空き状況 を一括で確認することはできず、システムごとに窓口などで利 用登録をする必要があります。 区民の意見や利用実態を踏まえ、施設利用に係る運用を見直 し、使いやすい新たな予約システムを構築します。施設使用料 のあり方についても検討を進めます。 【これまで】 ・区役所に行く時間がない… ・利用料の支払が現金のみ… 【これから】 ・オンラインで手続完了! ・自宅から気軽に相談できる! ・支払はキャッシュレス! ≪P23≫ 第2章 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 1 “行かない・書かない”デジタル区役所を実現する ② 誰もがデジタルを活用できるように支援します ●高齢者等が身近な場所で相談できる機会を充実します 高齢者等を対象に、スマホ教室や相談会を実施しています。 参加者からは「一度では覚えられない」、「スマホでオンライ ン申請がしたい」などの声が寄せられています。 図書館や地区区民館など、身近な場所で繰り返し操作を学べ る機会や、一人ひとりのニーズに対応する個別相談会を充実し ます。デジタルの得意な方が、苦手な方を支援できるようにし ていきます。 ●障害者の情報取得、意思疎通を支援します 「練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する 条例」に基づき、障害の特性に応じた多様な意思疎通の支援を 充実します。 心身障害者福祉センターに「障害者ICT相談窓口」を開設し ました。イラスト・文字で会話を補助するアプリ、音声で文字を 読み上げるアプリ、パソコンを視線の動きで操作できる機器な ど、障害者の意思疎通を助けるツールの相談・体験や貸出、操 作方法のサポートを行います。 【これまで】 ・スマホの使い方が分からない… ・誰かに相談したい… 【これから】 ・教わって使えるようになった! ・個別相談で疑問解決! ≪P24≫ 第2章 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 1 “行かない・書かない”デジタル区役所を実現する ③ マイナンバー制度の活用を進めます ●マイナンバーカードの普及促進、利便性向上に取り組みます 現在、区民の半数以上の方がカードを保有しています。国に おいて、介護保険被保険者証としての利用や運転免許証との一 体化など様々な活用策が示され、健康保険証は令和6年秋を目 途にいわゆる「マイナ保険証」に切り替えることが公表されて います。今後の活用策に合わせて交付体制を強化し、利便性を 高めていく必要があります。 カードの普及促進に努め、保険証や口座の利用登録など国の 施策と連動しながら、利便性向上と業務効率化に取り組みます。 ●マイナンバーを活用し、手続の負担を軽減します マイナンバーを活用し、児童手当や心身障害者医療費助成な ど一部の事務において、住民票の写しや税証明等の添付を不要 としています。 区民の皆様の負担軽減と利便性向上のため、今後もマイナン バーを積極的に活用していきます。 ●国における今後の活用の流れ 令和4年度 ○公金受取口座登録制度の本格運用開始 ○転出届・転入予約のオンライン化 5年度 ○電子証明書機能のスマホ搭載 ○生活保護受給者の医療券・調剤券として利用開始 〇介護保険被保険者証として利用開始 6年度 〇国外転出者のカード継続利用開始 将来、年金の現況届や在外投票などがオンライン で可能に 〇運転免許証との一体化(前倒しを検討) 住所変更手続や、講習のオンライン化 【これまで】 ・手続に必要な物が沢山… 【これから】 ・カード1枚でサービス利用! ≪P25≫ 第2章 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 1 “行かない・書かない”デジタル区役所を実現する ④ データ利活用によるプッシュ型のサービスを提供します ●庁内データを連携したプッシュ型のサービスを提供します 区が保有する医療・健診・介護などのデータを活用して、 健康上に不安を抱える方の支援を行う「高齢者みんな健康プロ ジェクト」を実施しています。区民意識意向調査では「データ 利活用により自分に合ったサービスを受けたい」の割合が4割 を超えています。 子どもや高齢者に関するデータなどを庁内で連携し、複合的 な課題の解決に向けた効果的な利活用を進めます。 ●オープンデータの量と質を向上させます 人口統計や予算・決算など112種類のオープンデータを公開し ています。日付や電話番号など各データ項目の表記が統一されて いないため、機械で扱うことが難しく利用が進んでいません。 オープンデータをより使いやすく整備し、ニーズの高いデー タを積極的に公開、分かりやすく見える化することで、区民や事 業者等の活用を促進します。 【これまで】 ・健診結果が悪いけど医者に行ってない… 【これから】 ・健康サポートの案内が届いた。悪化する前に診察に行こう! 【これまで】 ・ファイル形式がバラバラ… 【これから(イメージ図)】 ・整備されて便利になった! ≪P26≫ 第2章 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 1 “行かない・書かない”デジタル区役所を実現する ⑤ 地域社会のデジタル化を支援します ●事業者・商店街のデジタル活用を支援します 区内の事業者の約9割は中小事業者であり、デジタルの活用 に向けたノウハウ、人材、資金等が不足しています。デジタル 化に関する相談窓口の設置や融資の新設などの事業者支援、 キャッシュレス決済の導入やSNSを活用した情報発信などを推 進するスマート商店街プロジェクトを実施しています。 今後は、令和4年度事業所実態調査結果や商店街へのヒアリ ング等を踏まえ、デジタル化に向けた更なる支援策を構築して いきます。区内共通商品券のデジタル化も検討します。 ●町会・自治会の活動をデジタルで活性化します 町会・自治会のデジタル活用支援として、インターネット 接続利用料等への助成を開始しました。活動の現場では、SNS を活用して加入促進に取り組むなど、デジタルを活用した事例 が生まれ始めています。一方、役員の高齢化や担い手不足によ り、団体の多くはデジタルの活用について手探りの状態です。 町会・自治会が抱える個々の課題を洗い出し、必要な支援につ なげていく必要があります。 デジタル活用の取組事例を他の町会・自治会に紹介するこ とで、活発な活動を支援します。 【これまで】 ・キャッシュレス導入の方法が分からない 【これから】 ・アドバイスをもらって疑問解消! ≪P27≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 2 アナログからデジタルへ業務改革に取り組む ≪P28≫ 第2章 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 2 アナログからデジタルへ業務改革に取り組む ① アナログな業務から脱却し、業務DXを加速します ●アナログ改革により、生産性向上と業務効率化を進めます 一部の業務においてAIやRPA、ノーコード開発ツールなどの デジタル技術を活用し、効率化を図っています。 業務フローを可視化した事務処理手順を基に、業務プロセス を見直し(BPR)、デジタルツールの活用を全庁に拡げていき、 生産性向上と業務効率化を進めます。 現場業務では、ライブカメラやドローンなどの活用、工事図 面・設計図などのデータ共有に取り組みます。 ●メタバースなど新たな技術の活用に向けて検討を進めます 近年、メタバース、NFT(非代替性トークン)、Web3な ど、新たな技術が注目されています。行政分野においてもひき こもり支援や不登校対策などで研究が始まっています。 区民サービスを充実するための一つの方法として、メタ バース等最新技術の活用を検討します。 【これまで】 ・膨大な紙資料でやりとり… 【これから】 ・図面のデータ共有で業務効率化! ・迅速な情報共有で生産性向上! ・最新技術の活用を検討! ≪P29≫ 第2章 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 2 アナログからデジタルへ業務改革に取り組む ② 安全で効率的なデジタル基盤を整備します ●標準システムによる利便性向上と業務効率化に取り組みます 令和7年度末までに、住民基本台帳や個人住民税など、区が 行う18事務について、国が整備するガバメントクラウドを活用 した標準システムへ移行する必要があります。 システム標準化への対応と併せて、業務プロセスの見直しを 行い、利便性向上と業務効率化に取り組みます。 18事務以外のシステムについても、練馬区共通基盤(データ センター)からガバメントクラウドへの移行など、クラウド活 用のあり方を検討します。 ●職員の多様な働き方の実現に向けたデジタル基盤を整備します 令和5年度にLAN環境整備方針を策定し、本庁舎や庁外施設 を含めた無線LAN整備の考え方を整理します。 パソコンの一斉更新に合わせて利用環境を見直し、フリーア ドレスやペーパーレス会議、モバイルワークに取り組みます。 場所に捉われない効率的かつ柔軟な働き方を実現します。 ●情報セキュリティ対策を徹底します モバイルワークやWeb会議など、働き方の変化に伴い、新た なセキュリティリスクが発生しています。セキュリティポリシー を改定し、高度なセキュリティ対策を講じていきます。 【これまで】 ・セキュリティが不安… ・自席でないとPCが使えない 【これから】 ・高度なセキュリティ対策! ・モバイルワークでどこでも資料が作れる ≪P30≫ 第2章 柱Ⅱ DXで区民と区政を直につなぐ 2 アナログからデジタルへ業務改革に取り組む ③ DXを進める職員の確保・育成に取り組みます ●デジタル人材の確保と庁内連携体制を構築します DXを推進するためにはデジタル人材の確保が必要です。今 後は常勤のICT職や高度な専門的知識から助言を行う特別職非 常勤など、役割に応じた専門人材を確保します。 これらの人材が組織横断的に連携・情報交換できる「デジタ ル人材連携体制」を構築します。 ●デジタル人材の育成に取り組みます 日々進歩するデジタル技術を存分に活用するため、デジタ ル人材を育成する必要があります。管理監督者のマネジメント 力向上や、職員全体のデジタルスキルの底上げなど体系的な研 修体制を構築し、デジタルリテラシーの向上に向けた人材育成 に取り組みます。 ●東京都と連携した人材の確保・育成に取り組みます 都は令和5年度にデジタル人材のシェアリングなどを行う 新団体「GovTech東京」の設立を公表しています。都と連携し ながら、デジタル人材の確保と育成に取り組みます。 【これまで】 ・デジタルの活用方法を相談したい… ・デジタル?DX?ICT? 【これから】 ・デジタル人材を確保! ●研修の体系図 ・管理職に対して、プロジェクト管理等のマネジメントに関する研修を実施する。 ・中心的役割を担う職員(デジタル人材)に対して、  デジタル技術を実務に結び付けられる職員として育成、  データ等の技術的な研修+区の制度等の実務的な研修を実施する。 ・全職員に対して、DXに関する理解を深める研修を実施、  勉強会の設置・自主研究グループ運営支援・IT系資格の取得を支援する。 ≪P31≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる 1 職員の能力を最大限活かし、成長を加速させる 2 外部人材の採用を強化し、改革を加速させる ≪P32≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる • 特別区は、職員の採用や昇任、給与等を23区統一の基準 に基づき運用しています。各区における区政課題や組織運 営が異なるにも関わらず、区独自の人事制度を組み立てる ことが出来ない課題を抱えています。 • このような中にあっても、区はこれまで「人事・人材育成 改革プラン」に基づき、「信賞必罰・実力主義」の組織運 営を基本とし、職員の育成や組織体質の強化に取り組んで きました。新型コロナウイルス感染症の対応では、応援職 員として多くの職員が積極的に手を挙げるなど、やる気の ある職員が育っています。 • 一方で、若手や中堅職員の昇任意欲が低下しています。社 会全体の傾向ではあるものの、組織を適切に運営していく には、その要となる管理監督職の確保が極めて重要です。 • 混沌とした経済情勢や新型コロナウイルス感染症による社 会への影響など、区を取り巻く状況は不透明です。行政の デジタル化の遅れや、8050問題、ヤングケアラーへの対 応など複雑化した社会課題が山積していることに加え、少 子高齢化による労働力人口の減少により人材確保が難しく なってきています。 • 引き続き特別区全体に人事制度改革を発信していくととも に、『一人ひとりの職員の能力を最大限活かすこと』と 『民間経験者等の外部人材の採用を強化すること』を車の 両輪として、人材の確保を強化していきます。特に、昇任 意欲が高い職員を確保し、継続的に優秀な管理監督職を生 み出していきます。 • 更なる区民協働やDXの推進など、課題に積極果敢に取り 組んでいける人材を採用・育成し、区政改革を加速させま す。 ≪P33≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる 1 職員の能力を最大限活かし、成長を加速させる ≪P34≫ 第2章 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる 1 職員の能力を最大限活かし、成長を加速させる ① 職員の能力を最大限活かす人事制度を構築します ●ジョブローテーションを希望制にします これまで採用後概ね10年間をジョブローテーション期間 とし、複数の異なる分野を経験する期間として、画一的な制 度として導入してきました。 一方で、長期在職による成功体験・リーダー体験を積ん だ方が職員本人の成長につながるケースもあります。そのた め、ジョブローテーションを本人の希望制にします。上司と の面談を通して、自身にとってどちらが成長につながるか考 え、自身の意向を申告できる制度を構築します。 ●職員の『職業人生』を後押しする人事制度を構築します 職員が、採用後10年(概ね35歳頃)を目途に、今後の自 らの職業人生を考え、自身のどの部分の「能力・適性」を活 かしていきたいか、また、どの分野の「知識・経験」を深め ていきたいか宣言する制度を導入します。 職員の職業人生(宣言内容)と配置場所のマッチングを 行い、職員の職業人生を後押する人事制度を構築します。 ●職員のチャレンジ分野を拡大します 若手職員が様々な「知識・経験」の獲得に挑戦する可能性 を広げるため、既に実施している「公募型人事異動(若手職員 育成型)」(若手職員がチャレンジしたい職務に応募する制度) は、これまで総務や企画系職場への配置を前提に行ってきまし たが、若手職員に他の分野にも挑戦するチャンスを与えるため、 『ジョブチャレンジ制度』として応募分野を大幅に拡大します。  専門分野での活躍を目指す職員に対しては、既に実施して いる「公募型人事異動(専門分野特化型)」(ベテラン職員が経 験のある分野への長期在職を前提として応募する制度)の対象 年齢や応募分野を大幅に拡大し、『エキスパート制度』として、 より門戸を広げていきます。 ≪P35≫ 第2章 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる 1 職員の能力を最⼤限活かし、成長を加速させる ② 職員の成長を加速させる育成体制を構築します ●『職業人生』に応じた新たな育成体系を構築します 職層、年齢に着目した研修に加えて、職員自らが思い描 く職業人生の実現に向けた育成メニューの充実に取り組み ます。 目標達成面談や研修等を活用して、職員自らの「能力・ 適性」に対する自覚を促しチャレンジ精神を喚起します。 ICTを最大限活用し、オンデマンド方式やオンラインセ ミナー等、研修方法のバリエーションを増やし、目的や内 容に合わせて効果的に研修を実施します。 新たな課題に対応していくため、必要なスキルの獲得を 目指し、外部機関研修への派遣や資格取得助成など自己啓 発支援を充実します。 ●職員同士の連携を強化します 職員の成長には、人材育成の基本であるOJTや、職員同士の 日々のコミュニケーションが必要不可欠です。 『エキスパート制度』に認定された職員をOJTの指導役とし て活用したり、職員自身が勉強会を開催するなど、職員が共 に学びあい、高めあう組織づくりに努めます。 特に専門職については、個々の「知識・経験」を組織で共 有できるよう、職種ごとの育成方針に沿って専門知識を深め、 技術を継承していきます。 チャットツールを活用するなど職員同士が気軽に相談でき る体制を構築し、組織や職層を超えたコミュニケーションの 活発化とつながりを深めます。 ●管理監督者の部下を育てる力を伸ばします 個々の職員の能力を最大限に活かし改革を推進する職員を 育てていくには、現場を牽引する管理監督者の役割が重要で す。研修以外にも、新たにメンター(相談役)などによる相 談体制を構築し、助言などを通じて管理監督職員の人材育成 力を強化します。 ≪P36≫ 第2章 改革に向けた取組 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる 2 外部人材の採用を強化し、改革を加速させる ≪P37≫ 第2章 柱Ⅲ 改革を進める人材を育てる 2 外部人材の採用を強化し、改革を加速させる 外部人材の採用を強化し、改革を加速させます ●経験者採用を強化します 新規採用職員における経験者採用の割合を高めていき ます。 土木・建築の設計・施工や、SE経験など、経験者採用 職員が有する民間で学んだ専門的技術やノウハウを区の 業務に活かすことで、区の事業に変化を起こします。ま た、中堅職員が少ない歪な職員構成を改善し、組織体制 を強化します。 経験者採用職員は昇任意欲も高い傾向にあります。短 い期間で管理監督職につなげていくことで、積極的な組 織風土に変えていきます。 ●経験者採用職員同士の連携を強化します 経験者採用職員からは、「最初は公務員の文化に戸 惑った」という意見も見受けられます。経験者採用職員 同士が、お互いに相談・情報交換できる体制を構築しま す。 ●経験者採用職員が即戦力として活躍できるフィールド を用意します 経験者採用職員を新卒扱いとはせず、ジョブローテー ションなどの対象外とし、即戦力としてこれまでの経験 が活かせる職場に配置します。 専門性が高い職員は、年齢に関係なく、『エキスパー ト制度』への応募を可能にし、早い段階で専門分野に特 化した配置を行います。 特に、ICTに携わってきたなど専門性が高い職員に対し ては、積極的に活用できる分野に特化した配置を行いま す。 【イメージ図(連携(相談・情報交換))】 ≪P38~41≫ 以下、用語解説 (頁)  −,3,5 (用語)  グランドデザイン構想 (説明)  目指す将来像を区民と共有し、区政を更に前に進めるため、平成30年6月に策 定した構想です。  おおむね10年後から30年後の将来像を「暮らし」「都市」「区民参加と協働」 の3つの分野で示しています。 (頁)  2,3,32 (用語) ヤングケアラー (説明)  本来、大人が担うと想定されているような家事や家族の世話などを日常的に 行っている子どものことをいいます。 (頁)  2,3,11,32 (用語)  8050問題 (説明)  80代の親がひきこもり状態の50代の子どもの生活を支える中で、生活困窮や家 族全体で社会から孤立してしまう問題のことです。 (頁)  11 (用語)  地域福祉コーディネーター (説明)  住民や団体、関係機関と情報交換や連携しながら、住民による支え合いが広 がっていくようにお手伝いする「地域のつなぎ役」です。 (頁)  12 (用語)  学校運営協議会 (説明)  学校と保護者や地域の皆様がともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映さ せることで、一緒に協働しながら子どもたちの豊かな成長を支え「地域とともに ある学校づくり」を進める、法律(地教行法第47条の5)に基づいた仕組みです。 (頁)  12 (用語)  学校評議員制度 (説明)  学校(園)長が学校(園)運営等について保護者や地域の方々の意見を幅広く 聞くために、練馬区立学校評議員設置要綱に基づき、学校ごとに置かれている制 度です。  学校評議員は、教育に関する理解および識見を有する方のうちから校(園)長 が推薦し、教育委員会が委嘱しています。 (頁)  12 (用語)  ねりっこクラブ (説明)  小学校施設を活用して、「学童クラブ」と「ひろば事業」のそれぞれの機能や 特色を維持しながら、事業運営を一体的に行うものです。  実施校の児童なら誰でも利用できる「ねりっこひろば」と、保育を必要とする 児童を対象とした「ねりっこ学童クラブ」があり、児童の成長などにあわせて選 択することができます。 (頁)  12 (用語)  学校応援団 (説明)  PTA関係者、町会・自治会、青少年委員などにより構成された地域住民を主体 とする組織で、各小学校に設置されています。  子どもや地域のために、地域の方々の知識やパワーを活かすとともに、学校施 設を有効活用し、地域の核としての開かれた小学校づくりを目指しています。 (頁)  12 (用語)  学校支援コーディネーター (説明)  学校の教育活動に協力していただける地域住民や企業、NPOなどの協力者と学 校とのマッチング(コーディネート)を行い、地域と学校との円滑な連携を目指 しています。 (頁)  24 (用語)  公金受取口座登録制度 (説明)  預貯金口座の情報をマイナンバーとともに国に登録しておくことにより、緊急 時の給付金等の申請において、口座情報の記載や通帳の写しの添付、行政機関に おける口座情報の確認作業が不要になる制度です。 (頁)  25 (用語)  オープンデータ (説明)  区が保有する公共データを、誰もが自由に活用できるよう公開することです。 オープンデータの推進により、行政の透明性・信頼性の向上や、区民参加と協働 による新たな課題の発見と、解決のための取組が促進されます。 (頁)  28 (用語)  AI(Artificial Intelligence) (説明)  人間と同様の知能(思考や判断、経験の蓄積等)を、コンピュータによって人 工的に再現する技術です。 (頁)  28 (用語)  RPA(Robotic Process Automation) (説明)  人間が手作業で行っているパソコン操作を、自動化することができる仕組みで す。 (頁)  28 (用語)  ノーコード開発 (説明)  プログラミングの知識やスキルがなくてもアプリやWebサービスが開発できる 手法です。 (頁)  28 (用語)  BPR(Business Process Re-engineering) (説明)  業務手順の可視化、分析、課題抽出を行い、業務プロセスを抜本的に見直し、 結合・最適化する業務改革の手法です。 (頁)  28 (用語)  ドローン (説明)  遠隔操作や自動制御によって飛行できる無人航空機の総称です。自治体では建 物の点検や、災害時の被害状況確認などに活用されています。 (頁)  28 (用語)  メタバース (説明)  Meta(超越した)とUniverse(宇宙)を組み合わせた造語です。  インターネット上に作られた仮想空間で、自身の分身(アバター)を介して、 他者との交流など現実世界に近い体験ができます。 (頁)  28 (用語)  NFT(非代替性トークン)(Non-Fungible Token) (説明)  複製や改ざんを防ぐ技術によって、本物であることが証明された唯一無二のデ ジタルデータです。 (頁)  28 (用語)  Web3 (説明)  特定の企業に依存せず、個人が適切にデータを管理し、直接相互につながる次 世代の分散型インターネットです。 (頁)  29 (用語)  標準システム (説明)  国が策定した標準仕様書に基づき開発された情報システムです。「地方公共団 体情報システムの標準化に関する法律」(令和3年9月1日施行)で、各自治体 は標準システムの利用が義務付けられています。 (頁)  29 (用語)  ガバメントクラウド (説明)  国が求めるセキュリティなどの技術要件を満たした、政府や地方公共団体が共 同で利用するクラウド基盤です。 (頁)  29 (用語)  練馬区共通基盤 (説明)  仮想化技術を活用して、複数の業務システムを、データセンターに設置した同 一のサーバ上で稼働させる仕組みです。区のプライベートクラウドとして運用し ています。 (頁)  29 (用語)  フリーアドレス (説明)  事務室内の座席を自由に場所を選んで仕事をする制度です。 (頁)  29 (用語)  モバイルワーク (説明)  ノートパソコンやタブレット端末を持ち運び、場所に捉われず、出張先や自宅 で仕事ができる働き方です。 (頁)  30 (用語)  デジタルリテラシー (説明)  スマートフォンやタブレット端末などのデジタル機器やソフトウェアの活用方 法を適切に理解し、業務に効果的に活かす能力のことです。 (頁)  35 (用語)  オンデマンド方式 (説明)  あらかじめ録画等されたコンテンツの配信方式のことです。  受講者はいつでも、何度でも繰り返し受講できることが特長です。 (頁)  35 (用語)  OJT(On-the-Job Training) (説明)  日常の業務に就きながら行われる教育訓練のことです。 取組体制強化プラン 〜区民協働 DX 人事・人材育成〜令和5年(2023年)3月 発行 練馬区区政改革担当部区政改革担当課 住所 〒176-8501 練馬区豊玉北六丁目12番1号 練馬区役所 本庁舎6階 電話 (03)3993-1111(代表) FAX  (03)3993-1195 練馬区ホームページ https://www.city.nerima.tokyo.jp