練馬区地域公共交通計画(素案) 令和8年(2026年)2月 練馬区 目次 第1章 計画の概要   1 背景・目的   2 計画の位置付け   3 計画の区域   4 計画期間 第2章 区の現状   1 区の現況   2 公共交通の現況   3 上位・関連計画等 第3章 区の公共交通が目指す姿   1 2040年代の区の姿   2 区の将来像と基本方針 第4章 今後の公共交通体系   1 将来に向けた課題   2 取組の基本目標   3 新たな公共交通体系 第5章 取組施策   1 取組施策の体系   2 取組施策の内容    ⑴ 交通環境の整備    ⑵ 利便性の維持・向上 第6章 今後の進め方   1 計画の推進体制   2 達成状況の評価 参考資料 第1章 計画の概要 1 背景・目的  区内の公共交通は、鉄道、路線バス、みどりバスなど、様々な交通機関により交通網を形成しており、区民の移動を支えています。区は、公共交通空白地域の改善に向け、都営大江戸線の延伸や都市計画道路など交通インフラの整備、路線バスやみどりバスの路線再編などに取り組んでいますが、運転手不足などにより路線バスやみどりバスの減便が生じており、バスを含めた地域公共交通の在り方の見直しが避けられなくなっています。  こうした背景を踏まえ、地域の交通課題の解決を図るとともに、社会経済の変化に対応した持続可能な地域公共交通へ再構築していく必要があります。2040年代(令和22年〜令和31年)を見据えた人々の移動を支える交通の在り方を明らかにし、実現に向けた取組方針・目標・施策を示す計画として、「練馬区地域公共交通計画」を作成します。 2 計画の位置付け  練馬区地域公共交通計画は、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づくとともに、区の最上位計画である「グランドデザイン構想」の実現に向けた計画であり、「練馬区都市交通マスタープラン」「公共交通空白地域改善計画」に代わるものです。実施に当たっては、国や東京都の地域公共交通に関する方針や区の各分野の関連計画との連携を図ります。 3 計画の区域  本計画の計画区域は、練馬区全域とします。 4 計画期間  計画期間は、計画作成から20年間(令和8年度から令和27年度まで)とします。「短期(令和12年度まで)」「中期(令和13年度から令和17年度まで)」「長期(令和18年度から令和27年度まで)」に区分し、段階的に各施策を実施します。 第2章 区の現状  区の人口、施設の立地などの現況および区内を運行する公共交通の現況は、以下のとおりです。 1 区の現況 1-1 位置・地勢 ●練馬区は、東京23区の北西部にあります。北東から南にかけては板橋区・豊島区・中野区・杉並区に接し、西から南西にかけては西東京市・武蔵野市、北は埼玉県に接しています。 ●約75万人が面積約48平方キロメートルの区域に暮らしています。高低差の少ない台地の地形であり、区内全域に住宅地が広がっています。 1-2 人口などの現況 (1)人口等の推移 ●区の人口・世帯数は増加傾向にあり、令和8年1月1日現在の区の人口は約75万人となっています。 ●少子高齢化が進んでおり、年少人口(0〜14歳)が徐々に減少し、高齢者人口(65歳以上)が増加しています。令和6年の合計特殊出生率は0.96、令和8年1月1日現在の高齢化率は約22.0%となっています。 (2)人口の分布状況 ・総人口の分布 ●区全体に居住地があり、人口は面的に広がっています。 ●駅周辺をはじめ、鉄道沿線は特に人口が多くなっています。 ・高齢者人口の分布 ●高齢者人口(65歳以上の人口)は区全体に面的に広がっています。光が丘駅周辺など、大規模な集合住宅がある地区は特に多くなっています。 1-3 将来人口等の見通し ●都営大江戸線の延伸を考慮した人口推計では、総人口は令和30年に約78.1万人に達する見込みです。 ●今後、年少人口比率、生産年齢人口比率が低下し、高齢者人口比率、後期高齢者人口比率が上昇することが予測されています。 1-4 主要な施設の立地状況 (1)公共施設等 ●区役所、区民・産業プラザなどが練馬駅周辺に立地し、区民事務所などが各地域に立地しています。 (2)主な店舗(ショッピングセンター等の大規模小売店舗) ●区内には多数の小売店舗(スーパー等)が立地しており、ふだんの買物が居住地の周辺でできるようになっています。 ●練馬駅、石神井公園駅、大泉学園駅、光が丘駅などでは、駅周辺に大規模小売店舗が立地しています。 (3)主な医療施設(病院・診療所) ●区内には多数の病院・診療所が立地しており、居住地の周辺で通院できるようになっています。 ●駅から離れた場所にある病院・診療所を利用するには、バスやタクシーといった交通手段が必要となります。 1-5 区民の外出状況等 (1)目的別の外出状況 ●パーソントリップ調査による区民の外出率は78.9%となっています。 ●全目的では、練馬区内での移動が半数以上を占めています。 ●私事(買物、通院、遊び等)での外出先は、通勤と比べて練馬区内が多くなっており、日常的な買物、通院等を区内で済ませる人が多い状況がうかがえます。 (2)区内および区内外の移動状況 ●区内と周辺区市間の移動では、都心方面への移動が多くなっています。 ●鉄道があるエリアでは、東西方向の移動が多くなっています。 ●「大泉」と「石神井・関町」間の南北方向の移動が多くなっています。 (3)外出時の利用交通手段 ●全目的では、鉄道、徒歩、自転車の順になっています。 ●通勤では、鉄道が7割以上を占め、次いで自転車が多くなっています。 ●私事での区内の移動の際の主な交通手段については、徒歩・自転車が多くを占めています。また、通勤と比べて自動車が多くなる傾向があります。 1-6 観光・集客施設等 ・主な観光・集客施設等の立地状況 ●「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京」「東映アニメーションミュージアム」などの観光・集客施設等が複数立地しています。 1-7 その他 (1)区民の自動車保有状況 ●人口・世帯数は増加傾向にありますが、自動車保有台数は減少傾向にあります。 ●世帯当たりの台数・人口当たりの台数いずれも減少傾向にあることから、自動車を保有しないライフスタイルが広がりつつあると考えられます。 (2)区のCO2排出量の推移 ●区のCO2排出量は近年減少傾向にあります。 ●運輸部門の排出量がCO2排出量の約2割を占めている状況です。 2 公共交通の現況 2-1 公共交通ネットワークの概要 (1)区の公共交通ネットワーク(全体) ●区の公共交通は、鉄道が主に東西方向に走り、路線バスが南北方向を担う交通体系となっています。 (2)鉄道 ●区内には、西武池袋線・豊島線・新宿線・有楽町線、東武東上線、東京メトロ有楽町線・副都心線、都営大江戸線の8路線の鉄道が運行し、都心等にアクセスする主要な公共交通機関となっています。輸送力が大きく、広域的な移動を支える交通機関として大切な役割を果たしています。 ●区北西部には鉄道空白地域が存在し、都心等へのアクセスが不便になっています。 (3)路線バス ●バスは、区内を東西に走る鉄道各駅を南北につなぎ、区民の日常生活にとって重要な移動手段になっています。鉄道に次いで輸送力が大きく、広域的な移動、通勤・通学や地域の暮らしを支える交通機関として大切な役割を果たしています。 (4)みどりバス ●路線バスを補完する役割を担うものとして、コミュニティバス「みどりバス」を5ルート運行しています。 ●みどりバスは、公共交通空白地域の改善や高齢者・障害者などの交通弱者を含めた区民全体の生活行動力の向上を図り、あわせて公共公益施設への交通の利便性向上などに寄与することを目的として運行しています。 (5)公共交通機関の利用圏域 ●区では、練馬区都市交通マスタープラン(平成20年3月)において、駅から800m以上、バス停(30分に1便以上)から300m以上離れている地域を「公共交通空白地域」と定義しました。 ●これまでの取組により、公共交通空白地域の一部が解消された一方で、依然として改善されていない地域もあります。運行状況の変化もあり、令和7年4月時点の公共交通空白地域は下図のとおりとなっています。 【図の説明】 区北西部をはじめ、南大泉・東大泉地域などが公共交通空白地域として着色されています。 2-2 公共交通の利用状況 (1)鉄道の利用状況 〔路線別の乗降車人員の推移(平成29年度〜令和4年度)〕 ●鉄道の乗降車人員は、コロナ禍以前まで、おおむね横ばいまたは微増傾向にありました。 ●コロナ禍の影響を受け、令和2・3年度に乗降車人員が大きく落ち込みました。その後は回復傾向にありますが、コロナ禍以前の水準には戻っていない状況です。 (2)路線バスの状況 ●路線バスの利用者数は、コロナ禍以前まで、おおむね横ばい傾向にありました。 ●路線バスも、鉄道と同様に、コロナ禍の令和2・3年度に大きく落ち込みました。その後は回復傾向にありますが、コロナ禍以前の水準には戻っていない状況です。 〔乗務員数(全社)の推移〕 ●運転手不足等を背景に、バスの減便・廃止が生じています。バス運転手の多くが50代以上であり、路線バスを運転するために必要な大型二種免許の保有者数も減少していることから、運転手不足はより一層進むことが見込まれます。 (3)みどりバスの利用状況 〔各路線の年間利用者数の推移(令和元年度〜令和5年度)〕 ●令和6年度まで、みどりバスは6ルートで運行していました。みどりバスの利用者数は、鉄道や路線バスと同様、コロナ禍の令和2・3年度に大きく減少しました。その後、利用者数は回復しましたが、「関町・南大泉ルート」(令和6年度までは「関町ルート」「南大泉ルート」)・「北町ルート」は利用者数が少ない状況が続いています。 〔各路線の収支状況(令和5年度)〕 ●みどりバスのランニングコスト(運行経費)は、運賃収入で賄い切れない部分を区が負担しています。各路線の収支状況を見ると、どの路線も支出額に対して収入額が不足している状況です。 ●特に南大泉ルートは、収支率が1割程度となっており、区の負担割合が大きくなっているのが現状です。 (4)タクシーの状況 ●「特別区・武三地区」(東京23区・武蔵野市・三鷹市)の輸送回数は、コロナ禍の令和2・3年度に大きく落ち込みました。その後は回復傾向にありますが、コロナ禍以前の水準には戻っていない状況です。 〔タクシー乗務員数(運転者証交付数)の推移〕 ●路線バス事業者と同様、タクシー事業者も乗務員の不足が深刻になっており、厳しい運営状況にあります。 (5)シェアサイクル等の状況 ●区では、1台の自転車を複数の人が使うことにより自転車の有効利用を図るとともに、駅周辺における放置自転車の抑制・地域振興・環境改善などを主な目的とし、シェアサイクルの社会実験とねりまタウンサイクルの運営を行っています。 3 上位・関連計画等 3-1 国の計画等  国は令和2年に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律を改正し、地域公共交通計画の作成を自治体の努力義務としました。令和5年には、地域の関係者の連携・協働(共創)を通じ、利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通への「リ・デザイン」(再構築)を進めるため、法改正が行われました。あわせて、地域公共交通の活性化・再生の意義・目標や地域公共交通計画の作成に関する基本的な事項を定める「地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針」が変更されました。 (1)「地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針」(令和5年8月変更)  地域公共交通の活性化及び再生に関する法律第3条の規定により国が定めるもので、この基本方針に基づいて地域公共交通計画を作成することとされています。 地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針(抜粋)(表現を一部変更) ●地域経営の視点から、まちづくり、観光振興等に関する地域戦略と一体で地域公共交通を考えることが必要である。 ●持続可能な都市の実現のためには、沿線の需要の創出を図ることにより、都市全体としての価値を高めていくことが重要であり、その実現のためには、他分野との垣根を越えた連携と協働などを一体的に進めることが不可欠である。 ●地域の多様な関係者が連携と協働を行い、分野の垣根を越えて、地域における潜在的な輸送需要に的確に対応することで、地域の既存の人的・物的資源を有効活用した移動手段の確保が期待される。 (2)「地域公共交通計画等の作成と運用の手引き 第4版」(令和5年10月)  地域公共交通計画等の作成と運用を通じて、地域の移動手段の確保・充実を図るための取組について、国土交通省が手順や考え方を示したものです。 地域公共交通計画等の作成と運用の手引き(抜粋)(表現を一部変更) ●人口の急激な減少や地域公共交通を担う運転者不足の深刻化、ライフスタイルの変化等に伴い、民間事業者による運送サービスの提供の継続が困難となる地域が増加している ●交通DX・GX、地方公共団体や民間の多様な主体との共創、地域経営における連携強化等を通じ、利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通の「リ・デザイン」(再構築)を進めることが喫緊の課題となっている。 (3)「地域の公共交通リ・デザイン実現会議 とりまとめ」(令和6年5月)  地域の多様な関係者の連携・協働により、持続可能な地域交通の再構築を実現するための方策を「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」が取りまとめたものです。 地域の公共交通リ・デザイン実現会議 とりまとめ(抜粋)(表現を一部変更) ●地域公共交通は、住民の豊かな暮らしの実現や地域の社会経済活動に不可欠な社会基盤であり、その維持・確保を図ることは、地域活性化に大きく寄与するだけではなく、脱炭素社会の実現という観点からも重要である。 ●地域の移動手段の維持・確保に係る課題に対し、地方公共団体を中心として、多様な関係者が本格的に連携・協働して対応していくことが必要となる。 (4)「地域公共交通計画の「アップデートガイダンス Ver1.0」」(令和7年3月)  自治体等が「交通空白」の解消を進めるための支援ツールの一つとして、地域公共交通計画の立案等に当たってのモビリティデータの活用方法等を国土交通省が紹介したものです。 地域公共交通計画の「アップデートガイダンス Ver1.0」(抜粋)(表現を一部変更) ●地域公共交通計画は、単なるデータ分析や課題、施策の寄せ集めではなく、地域交通の目指す姿を示し、その実現に向けた道筋を示す指針である。同時に、まちづくりや福祉、教育、観光などの他分野と連携し、関係者が共通認識を持ち、協働を促す「司令塔」としての役割も担う。 ●地域が抱える課題や、多様な関係者との連携の重要性を改めて考え、モビリティデータを活用しながら関係者間の対話を深め、地域交通のリ・デザインに継続的に取り組んでいくことが求められる。 3-2 東京都の計画等 (1)「2050東京戦略 〜東京 もっとよくなる〜」(令和7年3月)  2050年代(令和32年〜令和41年)に目指す東京の姿「ビジョン」を実現するため、令和17年に向けて取り組む政策を東京都が取りまとめたものです。 持続可能で使いやすい地域交通の形成(抜粋) ●バス路線の減便・廃止等、地域公共交通を取り巻く環境変化を踏まえ「地域公共交通の基本方針」を改定し、区市町村の取組を強化 ●コミュニティバス、デマンド交通、グリーンスローモビリティ等、地域ニーズに応じた移動手段導入への支援 ●バス事業者連絡会議等を活用し、バス運転士不足への多角的な対策を進める仕組みを構築 (2)「都市づくりのグランドデザイン」(平成29年9月)  2040年代の目指すべき東京の都市の姿とその実現に向けた、都市づくりの基本的な方針と具体的な方策を東京都が示したものです。 新都市生活創造域の将来イメージ(抜粋)(表現を一部変更) ●おおむね環状7号線から、西側はJR武蔵野線まで、東側は都県境までの区域では、駅を中心に機能を集約した拠点が形成されるとともに、木造住宅密集地域の解消や大規模団地の更新などに併せ、緑と水に囲まれたゆとりのある市街地が形成され、子供たちが伸びやかに育つことができる快適な住環境が再生・創出されている。 ●良質で機能的な住環境をベースとしながらも、芸術・文化、教育、産業、商業などの機能が複合的に利用されることで、多様なライフスタイルや新たな価値を生み出す場となり、魅力ある個性を発揮している。 ●環状・放射方向の公共交通の充実により、区域内の移動が抜本的に改善され、高齢者や子育て世代、障害者の生活と社会参加を支える高い交通利便性が確保され、新たな交流が生まれている。 ●農地、屋敷林、樹林地などが保全され、良好な緑地が維持されるとともに、誰もが気軽に利用できる農空間や公園などが確保され、子供や高齢者などのコミュニティ形成を図る身近な緑の空間の一つとして活用されている。 個別の拠点や地域の将来像(抜粋)(表現を一部変更) 成増・赤塚 ・駅周辺に商業、文化、居住などの機能が集積し、利便性の高いにぎわいのある拠点が形成されるとともに、周辺には生産緑地や赤塚公園などの緑豊かな環境と調和した、ゆとりあるまちが形成されている。 光が丘 ・駅周辺に商業、文化、医療などの生活に必要な機能の立地や更新が進み、豊かな街路樹や光が丘公園などの緑あふれる環境の中に多様な世代が住む、ゆとりとにぎわいのある住宅市街地が形成されている。 土支田〜大泉学園町・外環道大泉IC/JCT周辺 ・都市計画道路等の整備に併せて、沿線に生活利便施設や公共・公益施設等の集積が進み、その周辺には、農と住が調和した緑豊かな住宅地が形成されている。 練馬 ・交通結節機能が強化され、商業、文化、防災機能や公共・公益施設が集積し、にぎわいや交流の生まれる拠点が形成されている。 石神井・大泉学園 ・交通結節機能が強化され、商業、文化、生活サービス施設等が集積し、利便性の高い拠点が形成されている。 ・石神井公園の緑やアニメなど、地域資源を生かした取組により、地域の魅力が向上し、交流の生まれるまちが形成されている。 上石神井・外環道青梅街道IC周辺 ・道路と鉄道との立体化を契機に駅周辺のまちづくりが進み、にぎわいのある市街地が形成されるとともに、外環道ICと地上部街路の整備、団地の更新などにより、利便性が高く緑豊かな地域が創出されている。 (3)「東京における地域公共交通の基本方針(改定に向けた中間まとめ)」(令和8年1月)  東京都は、地域公共交通の取組を加速して、誰もが移動しやすく、自由自在な交流が可能な都市を実現するため、令和4年3月に「東京における地域公共交通の基本方針」を策定しました。その後、地域公共交通を取り巻く状況が大きく変化していることから、基本方針の改定に向けた検討を進め、検討結果を「東京における地域公共交通の基本方針(改定に向けた中間まとめ)」として取りまとめました。 地域公共交通の理念(抜粋) ●多様な主体の参画や様々な交通モードの連携、新たな技術の活用などにより、地域ニーズにきめ細かく対応した、利便性の高い効率的なネットワークを構築し、持続可能な地域公共交通を実現 現時点における2050年代に向けた目指すべき将来像(抜粋) ●地域の特性に応じて、利用者のニーズ、行動の多様化などに対応した効率的かつ利便性が確保された、地域公共交通ネットワークが構築され、人々の自由自在な移動や活発な交流が実現している。  ・駅等の拠点間を結ぶ基幹路線を中心に走行環境の向上が図られるとともに、多様な交通モードの連携による駅等を中心とした身近な生活圏における移動手段が充実し、多様な世代の住民や来街者が快適に移動している。  ・中型バス、小型車両など、小回りが利く車両を中心に自動運転化が進み、住民生活の移動を支えている。市街地内の交通量が多い地域におけるバス路線では、DX技術等のサポートの下、引き続きバス運転士による利用者や担い手にも優しい安全で快適な運行が確保されている。  ・交通事業者のほか、地域実情に応じた地域の交通資源を最大限に利用した交通サービスが提供されている。  ・バス等の運行や管理等の共同化・協業化が進み、効率的なサービスが提供されている。 3-3 区の計画等 (1)グランドデザイン構想(平成30年6月)  目指す将来像を区民と共有し、区政を更に前に進めるために策定したものです。グランドデザイン構想では、おおむね10年後から30年後の将来像を「暮らし」「都市」「区民参加と協働」の三つの分野で示しています。 グランドデザイン構想(抜粋)(表現を一部変更) ■多様な交通を支える道路 【目指す将来の姿】  技術革新と超高齢社会の到来により、人の移動を支える交通手段も変わっています。  自動車や定時運行が確保されたバス等の交通と、小型EV、自転車、車椅子などパーソナルな交通が共存し、円滑に運行しています。 【取組の方向性】  人々の移動を支える公共交通を充実します  ・幹線道路の整備を進め、道路ネットワークを形成し、公共交通を充実します。  ・バスの専用レーン等を整備し、公共交通の定時運行を確保します。  多様な乗り物や歩行者が安全に通行できる道路にします  ・自動車、自転車、小型EVなど移動手段に応じた走行レーンづくりを進めます。  ・買物カート、車椅子、ベビーカーを利用している人などが安全で歩きやすい歩道にします。 (2)第3次みどりの風吹くまちビジョン(令和6年3月)  グランドデザイン構想の実現に向けた政策展開を明らかにするため、区の新たな総合計画(地方版総合戦略)として策定したものです。 第3次みどりの風吹くまちビジョン(抜粋)(表現を一部変更) ■戦略計画14 人々の移動を支える交通体系の構築 令和10年度末の目標 1 社会経済の変化に対応した持続可能な地域公共交通計画を策定し、利便性を高める新たな交通手段を導入 2 誰もが安心して快適に移動できる環境の整備に向け、鉄道駅や駅周辺の更なるバリアフリー化を促進 現状と課題  区内には、鉄道の駅から遠い地域や、道路整備の遅れ等により路線バスが運行されていない公共交通空白地域が存在します。都市交通マスタープラン、公共交通空白地域改善計画に基づき交通施策を推進し、みどりバス保谷ルートの再編などに取り組んでいますが、解消には至っていません。  バス利用者の減少、人件費や燃料費の高騰およびバス運転手の不足により、バス交通のサービス低下が危惧されます。各地で新たなコミュニティ交通の取組が進んでおり、地域特性に合った新たな交通手段の可能性の検討が必要です。また、区内外への相互乗り入れが可能なシェアサイクル社会実験を実施しています。民設民営による本格実施への取組が必要です。  区内全駅には、高齢者・障害者などが円滑に移動できるバリアフリー化された経路が1ルート整備されていますが、1ルートだけでは利便性を欠く駅について、更なるバリアフリー化が必要です。また、駅ホームの安全性向上のため、未整備駅へのホームドア整備が必要です。  駅周辺と公共施設までの経路を「アクセスルート」と定め、点字ブロック等のバリアフリー整備を進めています。今後は、歩道が狭く点字ブロックが設置困難なルートでのバリアフリー整備が必要です。 (3)練馬区都市計画マスタープラン(平成27年12月)  まちづくり分野の基本計画として、まちづくりの将来像や目標を示すとともに、個別の都市計画の方針を示しています。 練馬区都市計画マスタープラン(抜粋)(表現を一部変更) ■交通の方針〜活動的に行き来のできるまち〜 〈基本的考え方〉  公共交通サービスを高め、道路ネットワーク機能の向上を図るとともに、適正な交通需要を踏まえた交通体系の確立を進めます。誰もが快適に移動できる交通環境のまちを目指します。さらに、環境に配慮した交通利用を推進します。 ア 移動しやすいまちづくり  区民をはじめ利用者の誰もが、安全かつ快適に公共交通を利用でき、円滑な移動が確保されることが必要です。さらに、高齢社会の進展等を踏まえ、交通弱者に配慮した移動手段の確保のため、駅周辺や生活道路等でのバリアフリー化の推進、歩行環境や自転車走行環境の整備を進めます。 イ 道路ネットワークと交通結節点の整備  区内の道路ネットワークは、秩序ある自動車交通の処理のため、担うべき機能に応じて段階的に構成する必要があります。駅周辺の道路等の整備により、公共交通と自動車、自転車や徒歩等の様々な移動手段の連携を図ることが必要です。 ウ 道路ネットワークの形成  練馬区内の道路ネットワークは、秩序ある自動車交通の処理のため、担うべき機能に応じて、幹線道路(都市計画道路)のほか、生活幹線道路、主要生活道路で構成します。 エ 適正な交通需要を踏まえた交通体系の確立  今後のまちづくりの状況を踏まえ、自動車使用の抑制などで、適切な交通体系の確立を図ります。 第3章 区の公共交通が目指す姿 1 2040年代の区の姿  公共交通の現状・人口の将来推計などを踏まえ、2040年代の区の姿を以下のように想定しています。 (1)区の姿 人口等の見通し ●都営大江戸線が延伸され、区の人口は令和30年に約78.1万人に達する。 ●高齢化率は約26%となり、現在より約4ポイント増加している。 ライフスタイル、ワークスタイル等 ●テレワークやコワーキングスペースの活用が進んでいる。 ●余暇を団らんや趣味に充て、生活のゆとりや質を重視する人が増えている。 ●女性や外国人の労働者が増加している。 脱炭素化 ●令和32年ゼロカーボンシティの実現に向けて、脱炭素化が進んでいる。 (2)交通の姿 公共交通等のインフラ整備 ●都営大江戸線の延伸や道路整備が進み、都心や周辺地域へのアクセスが更に向上している。 ●道路空間の再編により道路が人中心の空間になり、歩行者が安全に移動できるようになっている。また、オープンカフェや地域のイベントなど、住民のにぎわいが創出されている。 利用交通手段 ●デマンド交通、シェアリングサービスなどが普及し、鉄道や路線バスを含めた多様な手段による移動が可能になっている。 ●シェアサイクル等が充実し、自転車の利用が更に進んでいる。 ●自動車の保有が減少し、カーシェアが進んでいる。 ●ZEV(ゼロエミッション車)の普及等により、脱炭素化が進んでいる。 駅周辺のまちづくり ●多様な交通モードがつながり、誰もがスムーズに移動できるとともに、安全・快適に人々が行き交い、にぎわいが創出されている。 2 区の将来像と基本方針 現状および将来の区の姿を踏まえ、区の公共交通が2040年代に目指す姿(将来像)と、これからの取組の基本方針を以下のとおり設定します。 《将来像》 2040年代の練馬区では、都営大江戸線の延伸や都市計画道路の整備に伴うバス路線の再編、デマンドタクシーや自動運転の実用化、EV(電気自動車)・FCV(燃料電池自動車)の普及等により、需要に応じた環境負荷の少ない持続可能な交通が構築され、高齢者や障害者、子どもなど、誰にとっても目的に合った移動手段が確保され、自由な移動を実現しています。 幹線道路の整備が進み、自動車は幹線道路に誘導され、交通量が減少した道路は道路空間の再編により人中心の空間になり、歩行者の安全な移動のほか、オープンカフェや地域のイベントなど、住民のにぎわい空間が創出されています。また、自転車、自動運転車の走行レーンができるなど、練馬のみどりを楽しみながら、安全・快適に移動しています。 駅周辺では、バスやタクシー、シェアサイクル、マイクロモビリティなどの多様な交通モードがつながり、多言語に対応した分かりやすい案内サインに従って、円滑に移動しています。段差のない広場や通路など、バリアフリーやユニバーサルデザインに配慮した駅周辺空間が形成され、オープンスペースを活用したイベントの開催や休憩施設の提供などにより、誰もが安心して快適に過ごせるようになっています。 2040年代の練馬区の交通は、高齢者や障害者、子どもを含めた全ての人にとって利便性と居心地の良さ、にぎわいを兼ね備えており、安全・快適で暮らしやすいまちの実現に貢献しています。 《基本方針》 誰もが移動しやすい、利便性と快適性を兼ね備えた、持続可能な交通を構築します。 区の公共交通が2040年代に目指す姿(将来像)のイメージは、以下のとおりです。 《道路空間》 【取組の方向性】(道路空間) 【人々の移動を支える公共交通を充実します。】 ・バスやタクシーに加え、デマンドタクシーの導入などを進め、持続可能な交通を構築します。 ・幹線道路の沿道にモビリティステーション(様々な交通手段の乗換拠点)を新たに整備し、スムーズな乗継ぎを実現します。 【安全で快適に通行でき、集い憩える人中心の空間をつくります。】 ・モビリティステーションと広場等を連携させ、人が集い憩える空間を形成します。 ・安全に歩行や休憩ができるゆとりある歩道など、利用者が安全に利用できる道路空間を確保し、地域の特性、課題およびニーズに応じた道路に再構築します。 《駅周辺》 【取組の方向性】(駅周辺) 【駅前広場の交通利便性の向上を図ります。】 ・駅や駐輪場の出入口、路線バス(連節バスなど)、タクシー、マイクロモビリティなどの乗り場を駅周辺に人々の動線を考慮して配置し、乗換えがスムーズで安全・快適な駅前広場を整備します。 ・デジタル技術を活用した多言語対応の分かりやすい案内サインや情報提供の充実、さらに、バス・タクシー待合空間の整備により、人々が円滑に移動できる環境を実現します。 ・段差のない広場や通路など、バリアフリーやユニバーサルデザインに配慮した駅前空間を創出します。 【地域の個性が感じられる駅まち空間をつくります。】 ・商業サービス施設や公共施設を整備するとともに、人々の交流の場となるマルシェ等を駅前広場で開催し、駅周辺に活気に満ちたにぎわいのある空間を形成します。 ・駅周辺は、周辺環境(例:公園・観光農園、文化芸術施設)と調和し、公共交通を利用して区内外から多くの人々が訪れます。広場では、人々が憩い、楽しみ、交流できる魅力的な空間を創出します。 第4章 今後の公共交通体系 1 将来に向けた課題  現状(第2章)や公共交通が目指す姿(第3章)を踏まえ、区における将来の公共交通の課題を以下のとおり整理しました。 課題1 交通の利便性を高めることが必要 ・区北西部には鉄道空白地域があるなど、道路・鉄道などのインフラ整備が著しく遅れています。交通インフラの整備等により、区内や近隣区市、都心方面などへのアクセスを向上させることが必要です。 ・依然として残っている公共交通空白地域の改善を引き続き進めることが必要です。 ・区の合計特殊出生率は0.96(令和6年)、高齢化率は約22.0%(令和8年1月1日現在)であり、少子高齢化が進んでいます。歩行速度や地形の高低差を考慮し、子どもや子育て世代、高齢者など誰もが移動しやすい環境の整備が必要です。 ・多様な交通手段のスムーズな乗換えなど、快適に利用できる環境の整備が必要です。 課題2 需要に応じた効率の良い交通にしていくことが必要 ・区の特性に合った持続可能な交通を構築するため、既存交通と共存する新たな交通手段の導入等について検討を進めていくことが必要です。 ・運行経費の増加への対応など、持続可能な交通の実現には、行政・交通事業者・地域・企業の連携が必要です。 課題3 担い手不足に対応した交通にしていくことが必要 ・運転手不足や時間外労働の上限規制※を背景に、路線バス・みどりバスの減便・廃止が生じています。既存交通を維持するため、担い手不足の改善や運転手の負担軽減を図ることが必要です。 ・運転手不足に対応するため、自動運転などの新技術を取り入れていくことも必要です。 ※令和6年4月1日から、自動車運転の業務に時間外労働の上限規制が適用されるとともに、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)に定める拘束時間等の基準が改められました。 課題4 環境負荷の少ない交通にしていくことが必要 ・環境負荷の低減、健康増進などに向け、公共交通を積極的に利用する意識を育むことが必要です。 ・令和4年2月に宣言した「ゼロカーボンシティ」の実現に向け、脱炭素社会を目指して温室効果ガス削減に取り組むことが必要です。 課題5 まちのにぎわいに貢献する交通にしていくことが必要 ・多様な交通手段が一体的に結び付く交通結節点として、駅前空間の整備が必要です。 ・区内を手軽に移動できる交通手段の導入などにより、回遊手段の確保を進めていくことが必要です。 ・交通インフラの整備に伴って創出された空間を利活用し、にぎわいづくりを進めることが必要です。 2 取組の基本目標 将来に向けた課題に対し、取組の基本目標として以下の五つを設定します。 1 移動を便利にし、より暮らしやすくします。 ・円滑な交通環境の実現に取り組みます。 ・都営大江戸線延伸の早期事業化に向け、都区の実務的な協議を更に進めます。 ・西武新宿線(井荻駅〜西武柳沢駅間)連続立体交差事業等について、東京都や鉄道事業者、沿線区市と連携して取り組んでいきます。 ・重要な交通インフラである都市計画道路の整備を着実に進めます。また、都市計画道路を補完し、地区の主要な道路となる生活幹線道路の整備を推進します。 ・鉄道駅や駅周辺の更なるバリアフリー化を促進します。 ・バス停の上屋やベンチの設置など、利用者に優しい待合環境の形成を促進します。 ・多言語に対応した案内板の整備など、情報の充実に取り組み、様々な人々が利用しやすい環境を整備します。 2 移動が不便な地域の外出手段を確保し、日々の暮らしを支えます。 ・公共交通空白地域の改善に取り組みます。特に重点的に支援することが望ましい地域を抽出し、優先的に対策を講じることとします。 ・既存の公共交通機関を補完するものとして、地域特性に合った新たな交通手段を導入します。 ・手軽に移動できる交通手段として、シェアサイクル等の利用を促進するとともに、新たなモビリティの導入を検討します。 ・持続可能な地域の交通手段の確保を目指し、地域の企業・団体や区民が連携してラストワンマイル※の交通手段を検討します。 ※ラストワンマイル 最寄り駅やバス停と自宅あるいは目的地の間の短距離や特定の敷地内、区域内等比較的狭い範囲内の移動のこと 3 将来にわたって公共交通を確保・持続できるようにします。 ・バスやタクシーは豊かな暮らしの実現や地域の社会経済活動に不可欠な基盤ですが、全国的に運転手等が減少しており、担い手不足が更に深刻になっていくことが見込まれます。厳しい現状を踏まえ、交通事業者と区や東京都が連携を図りながら、担い手確保に向けた取組を行います。 ・各地で進められている取組などを踏まえ、自動運転などの新技術の導入により、交通のサービスレベルの維持・向上を目指します。 ・完全キャッシュレスバスの導入など、バス運転手の負担軽減につながる取組について検討します。 4 地球にも優しい外出スタイルを更に広げます。 ・区民の意識や行動の変容を通じて地域の公共交通の利用を促進します。 ・EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)の導入など、モビリティの脱炭素化を進め、CO2削減に取り組みます。 5 集客・交流を創出し、まちなかのにぎわいに貢献します。 ・安全・快適に人々が行き交う駅前広場を整備し、地域住民や訪問者にとって利便性の高い環境を創出します。 ・鉄道の高架下や道路空間を活用し、にぎわいや快適な空間の創出に加え、多様な交通手段を利用できる交通結節点の整備についても検討します。 3 新たな公共交通体系  現状(第2章)・公共交通が目指す姿(第3章)・将来に向けた課題(第4章)を踏まえ、以下のとおり公共交通体系の在り方を整理しました。 3-1 公共交通体系の在り方  区の公共交通は、鉄道が主に東西方向に走り、路線バスが南北方向を担う交通体系となっています。区内・区周辺の移動を将来にわたって支えるため、現在ある鉄道・バス路線の維持を目指すとともに、区の特性に合った持続可能な交通を構築します。  公共交通の課題を解決するため、移動距離や時間帯・目的・人数等に応じ、交通手段の特長を生かした役割分担を行います。役割分担の整理に当たっては、公共交通ネットワーク全体を「木」に例え、骨格となる「幹」、骨格を補完する「枝」、ラストワンマイルの交通を担う「葉」という階層に分類します。 1 公共交通の「幹」(骨格)  都心方面へのアクセスなど、東西方向の広域的な移動を支える交通軸として、鉄道を位置付けます。これに対し、鉄道路線間の拠点を結ぶ南北方向は、主要なバス路線を交通軸に位置付けます。主要なバス路線は、鉄道路線を結ぶなど、広域的な移動を支える交通軸であり、高い輸送頻度の確保を目指します。 2 公共交通の「枝」  主要なバス路線以外の路線バスは、通勤・通学や地域の暮らしを支える移動手段として、骨格となる交通軸を補完する役割を担います。現在ある路線の維持を目指すとともに、利用者ニーズ等を踏まえた再編などを適宜実施し、地域に合ったサービス水準を確保します。 3 公共交通の「葉」  デマンド交通、グリーンスローモビリティ、シェアサイクル等は、ラストワンマイルの交通を担い、日常生活を支えます。地域住民をはじめとする多様な主体の参画により、地域特性やニーズに応じた交通サービスを共創し、将来にわたって持続可能な交通を目指します。  みどりバスは、路線バスを補完する役割を担います。収支や利用者数の状況を踏まえ、運行計画の見直しや路線再編等を検討します。 3-2 重点支援地域 1 公共交通空白地域の考え方  区では、練馬区都市交通マスタープラン(平成20年3月)において、「だれもが快適に移動できる交通環境」の実現を目指し、駅から800m以上、バス停(30分に1便以上)から300m以上離れている地域を「公共交通空白地域」と定義しました。その後、平成21年3月に公共交通空白地域改善計画を作成、平成29年3月に改定し、公共交通空白地域の改善を図ってきました。  これまでの取組により、公共交通空白地域の一部が解消された一方で、依然として改善されていない地域もあります。子どもや子育て世代、高齢者など誰もが移動しやすい環境の整備に向け、引き続き改善に取り組む必要があります。公共交通空白地域を解消する取組として、鉄道・バスだけでなく、デマンドタクシーなど新たな交通手段の導入も位置付けます。 2 重点支援地域の考え方  公共交通空白地域の中には、地形や年齢構成といった観点から、特に支援が必要な地域が存在しています。このため、公共交通空白地域のうち重点的に支援することが望ましい地域を「重点支援地域」として抽出し、優先的に対策を講じることとします。  ⑴ 抽出基準    抽出に当たっては、地形(移動の物理的な困難さ)という視点から「①高低差」、年齢構成(支援ニーズの高さ)という視点から「②高齢化率」、交通利便性(公共交通の不便さ)という視点から「③バス本数」という基準を設けます。  ①高低差   250mメッシュ内の標高差が5mを超える地域   (設定の考え方)    坂道は歩行時の身体的な負担が大きく、高齢者や障害者、子育て世代にとって移動を困難にする要因となると考えられます。  ②高齢化率   高齢化率が区平均を超える町丁目   (設定の考え方)    高齢者は、身体機能の低下や運転免許の返納により、公共交通のニーズが高くなります。このため、高齢化率が高い地域は、生活の足を確保する必要性が特に高いと考えられます。  ③バス本数   バス停(1時間1便以上)から300m以上離れている地域   (設定の考え方)    1時間1便以上のバス停が近くにない地域は、公共交通空白地域の中でも特に公共交通の利用が不便な地域だと考えられます。  ⑵ 対応方針    抽出基準に一つ以上該当する地域を重点支援地域とし、該当する基準の数、人口や年齢構成、交通インフラの整備状況等を踏まえ、区と地域等が連携して具体的な取組を検討します。抽出結果および各地域の具体的な改善策は、つぎのとおりです。 重点支援地域の抽出結果 重点支援地域における主な取組施策 【大江戸線延伸予定地域】 大江戸線延伸による改善 (当面の改善策)デマンド交通など新たな交通手段を検討 【早宮四丁目地域】 補助172号線の整備に合わせたバス路線再編による改善を検討 【石神井町・三原台地域、石神井台地域、大泉学園町地域(南東側)】 外環の2の整備に合わせたバス路線再編による改善を検討 【石神井台地域、南大泉地域(東側)】 補助135号線の整備に合わせたバス路線再編による改善を検討 【大泉学園町地域(南西側)】 放射7号線の整備に合わせたバス路線再編による改善を検討 【南大泉・東大泉地域】 デマンドタクシーによる改善 【西大泉地域】 バス路線再編による改善を検討 第5章 取組施策  五つの基本目標(「1 移動を便利にし、より暮らしやすくします。」「2 移動が不便な地域の外出手段を確保し、日々の暮らしを支えます。」「3 将来にわたって公共交通を確保・持続できるようにします。」「4 地球にも優しい外出スタイルを更に広げます。」「5 集客・交流を創出し、まちなかのにぎわいに貢献します。」)について、計画期間(令和8年度から令和27年度)に取り組む施策を整理しました。  今後、取組の実施状況を確認するとともに、全体の評価・検証を行い、必要に応じて計画・目標値を一部見直します。このように、改善を図りながら継続的に取り組んでいきます。 1 取組施策の体系 《基本目標》 1 移動を便利にし、より暮らしやすくします。 2 移動が不便な地域の外出手段を確保し、日々の暮らしを支えます。 3 将来にわたって公共交通を確保・持続できるようにします。 4 地球にも優しい外出スタイルを更に広げます。 5 集客・交流を創出し、まちなかのにぎわいに貢献します。 《取組施策》 ⑴ 交通環境の整備   取組施策1-1 交通インフラの整備           都営大江戸線の延伸           連続立体交差事業           道路整備の推進   取組施策1-2 地域特性を踏まえた新しい交通の導入           新たな交通手段の導入           多様な主体と連携した地域交通の検討           シェアサイクルの利用促進           小型シェアモビリティの導入検討           新たなモビリティサービスの導入検討   取組施策1-3 交通インフラの利活用           鉄道の高架下の利活用           道路空間の利活用   取組施策1-4 交通結節機能の向上           駅まち空間の整備           交通広場の整備           分かりやすい案内サインの整備   取組施策1-5 バリアフリー・ユニバーサルデザイン           駅と駅周辺のバリアフリー化の促進           バス停の上屋・ベンチの整備促進 ⑵ 利便性の維持・向上   取組施策2-1 既存交通の持続的な運行           担い手確保の取組           バス路線の再編検討           バス運行の省力化           自動運転の導入検討   取組施策2-2 公共交通の利用促進           モビリティ・マネジメントの実施           区全体の公共交通マップ   取組施策2-3 ZEV(ゼロエミッション車)の普及促進等           ZEVの普及に向けた情報発信の強化等   取組施策2-4 高齢者、障害者等への支援 2 取組施策の内容  「取組施策の内容」の見方 ① 取組施策の「背景、取組の方向性」「取組内容」「基本目標との対応」を記載 ② 取組のスケジュールについて、短期・中期・長期で記載 ③ 取組の関係主体・実施地域・内容を記載 ※事業者が関係主体となる場合、交通事業者以外も含めて広く主体になり得るときは「関係事業者」、交通事業者のうち鉄道・バスのように限定されるときは「鉄道事業者」「バス事業者」のように記載しています。 ⑴ 交通環境の整備 取組施策1-1 交通インフラの整備 【背景、取組の方向性】  ○ 区北西部には鉄道空白地域があるなど、道路・鉄道などのインフラ整備が著しく遅れています。  ○ 交通インフラの整備等により、区内や近隣区市、都心方面などへのアクセスを向上させることが必要です。  ○ 都営大江戸線の延伸(光が丘〜大泉学園町間)は、平成28年の交通政策審議会答申第198号において、鉄道ネットワークの充実に資する24のプロジェクトのうち「進めるべき」六つのプロジェクトの一つとして明確に位置付けられています。  ○ 都営大江戸線の延伸(光が丘〜大泉学園町間)により、鉄道空白地域を改善し、区北西部と都心部とのアクセス利便性の向上が図られます。  ○ 平成16年に東京都が策定した「踏切対策基本方針」では、鉄道立体化の検討対象区間として西武池袋線(椎名町駅〜桜台駅付近)・西武池袋線(大泉学園駅〜保谷駅付近)・西武新宿線(井荻駅〜東伏見駅付近)が位置付けられており、踏切の解消に向けた取組が急がれます。  ○ 西武新宿線(井荻駅〜西武柳沢駅間)には区内13か所の踏切があり、交通渋滞や踏切事故の解消には連続立体交差化が有効です。 【取組内容】  ① 都営大江戸線の延伸    都営大江戸線延伸の早期事業化に向け、都区の実務的な協議を更に進めます。また、延伸地域のまちづくりを更に進め、大江戸線延伸推進基金は引き続き計画的に積み増します。  ② 連続立体交差事業    西武新宿線(井荻駅〜西武柳沢駅間)連続立体交差事業に取り組みます。西武池袋線(椎名町駅〜桜台駅付近)・西武池袋線(大泉学園駅〜保谷駅付近)の事業化について、東京都に働き掛けます。  ③ 道路整備の推進    重要な交通インフラである都市計画道路の整備を引き続き進めます。また、都市計画道路を補完し、地区の主要な道路となる生活幹線道路を整備します。 取組の内容 都営大江戸線の延伸[関係主体:東京都、練馬区、交通事業者]【実施地域:大江戸線延伸予定地域】  都営大江戸線の延伸は、鉄道空白地域を改善するために欠かせない事業です。事業予定者である東京都は、令和5年3月に庁内検討プロジェクトチームを設置し、検討を進めています。区は、延伸の早期事業着手に向け、引き続き、促進活動等に取り組むとともに、区が協力する事項について東京都と具体的な協議を進めます。また、大江戸線延伸推進基金を計画的に積み増し、基金を効果的に活用していきます。  新駅予定地周辺では、地区の特性に合わせた新たな拠点づくりを進め、新たな交通結節点としてバス、タクシー、シェアサイクル等の多様な交通モードがつながる駅前広場を整備し、大江戸線延伸を見据えたバス路線の再編をバス事業者と検討します。 コラム エイトライナー構想 ・東京近郊では、山手線・都営大江戸線と武蔵野線・南武線の間に環状鉄道がないため、環状方向の移動に多くの時間がかかっています。このため、北区・板橋区・練馬区・杉並区・世田谷区・大田区の6区は環状8号線を導入空間として、この地域を結ぶ環状交通(エイトライナー)の実現を目指しています。 ・環状7号線を導入空間として、江戸川区・葛飾区・足立区の3区から成る環七高速鉄道(メトロセブン)と連携し、環状線「区部周辺部環状公共交通」の実現に向けた活動を行っています。 連続立体交差事業[関係主体:東京都、練馬区、沿線区市、鉄道事業者]【実施地域:西武線沿線地域】  連続立体交差事業は、市街地において道路と交差している鉄道を一定区間連続して高架化または地下化することで立体化を行い、多数の踏切の除却や新設交差道路との立体交差を一挙に実現する都市計画事業です。平成16年に東京都が策定した「踏切対策基本方針」では、鉄道立体化の検討対象区間として西武池袋線(椎名町駅〜桜台駅付近)・西武池袋線(大泉学園駅〜保谷駅付近)・西武新宿線(井荻駅〜東伏見駅付近)が位置付けられています。引き続き、区は、西武池袋線の当該区間について東京都に事業化を働き掛けます。  西武新宿線(井荻駅〜西武柳沢駅間)連続立体交差事業は、約5.1kmの区間で鉄道を高架化し、道路と鉄道を連続的に立体交差化するものです。これにより、区内13か所の踏切が除却され、踏切における交通渋滞の解消、道路と鉄道の安全性の向上が図られます。また、路線バスやみどりバスなどの定時性の確保も期待されます。さらに、側道を併せて整備することにより、良好な住環境の保全や駅へのアクセス性・防災性の向上を図ります。区は、これらの事業について東京都や鉄道事業者、沿線区市と連携して取り組んでいきます。 道路整備の推進[関係主体:練馬区、東京都]【実施地域:区内全域】  都市計画道路は、交通の円滑化や防災機能の向上に資するとともに、みどり豊かで快適な空間を創出する重要な交通インフラです。都市計画道路の整備に伴う混雑解消により、バスの定時性確保も期待されます。しかし、区内の整備率は約5割(令和6年度末時点)と23区平均(約67%)を下回っており、特に西部地域の整備が遅れています。都市計画道路ネットワークを形成・充実し、次世代を見据えた円滑な自動車交通と良質な歩行者空間が共存した都市を実現するため、新たな「東京における都市計画道路の整備方針」に基づき、区と東京都が連携して整備を進めます。  また、都市計画道路を補完し、地区の主要な道路となる生活幹線道路を整備します。円滑な交通ネットワーク機能や防災機能の向上のため、必要性が高い路線から整備を進めます。 取組施策1-2 地域特性を踏まえた新しい交通の導入 【背景、取組の方向性】  ○ 区の特性に合った持続可能な交通を構築するため、既存交通と共存する新たな交通手段の導入等について検討を進めていくことが必要となっています。  ○ 担い手の不足、運行経費の増加などに対応し、交通を維持していくため、行政・交通事業者・地域・企業の連携が必要となっています。  ○ 区内を手軽に回遊する移動手段の導入、ねりまタウンサイクル・シェアサイクルの利用促進などにより、回遊手段の確保を進めていきます。 【取組内容】  ① 新たな交通手段の導入    南大泉・東大泉地域におけるデマンドタクシー実証実験の実効性を検証し、地域特性に合った新たな交通手段を導入します。  ② 多様な主体と連携した地域交通の検討    地域の企業・団体や区民が連携してラストワンマイルの交通手段を検討します。  ③ シェアサイクルの利用促進    区内外への相互乗り入れが可能なシェアサイクル社会実験を実施しています。民設民営による本格実施に向け、事業者を支援します。  ④ 小型シェアモビリティの導入検討    手軽に回遊できる交通手段として、電動キックボードや新たな小型シェアモビリティの導入を検討します。  ⑤ 新たなモビリティサービスの導入検討    複数の交通手段や地域の店舗等と連携したサービスを組み合わせたMaaS(マース)の普及に向けて検討します。 取組の内容 新たな交通手段の導入[関係主体:練馬区、関係事業者]【実施地域:区内全域】  運転手不足等により、区内の路線バスやみどりバスが減便となっています。運転手不足は今後も続く見通しであり、今後のバス交通の在り方の見直しは避けられません。区の特性に合った地域公共交通へと再構築するため、新たな交通手段の導入等について検討を進めていく必要があります。  新たな交通手段の実効性を検証するため、南大泉・東大泉地域でデマンドタクシーの実証実験(令和7年1月〜3月)を実施しました(同年10月から再び実施)。持続可能な交通を目指し、利用者ニーズを踏まえた運行計画、地域と連携した周知広報、寄付金による運行支援など、様々な対策を地域の方々と共に取り組みます。  鉄道、路線バスなどの既存の公共交通機関を補完するものとして、現在、全国各地で、デマンドタクシーのほか、グリーンスローモビリティ・超小型モビリティ等の新たなモビリティサービスの取組が進められています。また、自動運転など技術革新の進展も注視し、将来的な導入も視野に検討します。 コラム デマンドタクシー実証実験 ・南大泉・東大泉地域におけるデマンドタクシー実証実験では、令和7年1月〜3月は延べ1,200人以上、同年10月〜12月は延べ2,100人以上の方々に利用されました。 ・障害者、高齢者、子育て世代など幅広い方の利用がある一方で、収支採算性に課題があることも分かりました。引き続き、地域と連携した周知活動等を実施し、利用者数の向上・定着を目指します。 多様な主体と連携した地域交通の検討[関係主体:練馬区、区民]【実施地域:区内全域】  交通の担い手不足、人件費・燃料費等の高騰に伴う運行経費の増大など、地域の足の確保が一層厳しい状況になっています。こうした状況の中で地域交通を確保するためには、地域のことを理解している地域住民が中心となった取組も必要になっています。  持続可能な地域の交通手段の確保を目指し、地域の企業・団体や区民が連携してラストワンマイルの交通手段を検討します。先行する他自治体での取組等を踏まえ、区による支援策について検討していきます。 シェアサイクルの利用促進[関係主体:練馬区、関係事業者、施設関係者]【実施地域:区内全域】  自転車は、買物や通勤・通学・子どもの送迎など、日常生活における身近な交通手段として、またサイクリングなどのレジャーの手段として多くの人々に利用されています。さらに、近年では、排出ガスや騒音を出さない交通手段としての環境負荷低減の側面、運動を伴う交通手段としての健康維持・増進の側面など、多様な側面で自転車ニーズが高まっています。  シェアサイクルの社会実験を通じて区民の移動利便性の向上を図るとともに、事業効果等の検証を行います。実施に当たっては、区は事業者に対し、シェアサイクルの駐車用地として駅前等の公共用地(区立自転車駐車場等)を提供する等の支援を行い、シェアサイクルのポート増設を図ります。  また、インスタグラム「ねりま健すたぐらむ」上で、自転車活用と健康づくりに関するコラムやシェアサイクルの案内について積極的に発信します。 小型シェアモビリティの導入検討[関係主体:練馬区、関係事業者]【実施地域:区内全域】  小型シェアモビリティは、地域交通の省エネルギー化に資するとともに、高齢者を含むあらゆる世代に新たな移動手段を提供し、生活・移動の質の向上をもたらす、「新たなカテゴリーの乗り物」です。安心・快適な暮らしを支えるとともに、地域の活性化への貢献が期待されます。平成23年以降実証が進められ、その実証結果を踏まえ基準が整備され、令和2年12月には量産車(型式指定車)が販売されるようになりました。  今後の技術動向を注視し、小型シェアモビリティなど、公共交通を補完し区内を手軽に回遊できる新たな交通手段の導入を検討します。 新たなモビリティサービスの導入検討[関係主体:練馬区、東京都、交通事業者、施設関係者]【実施地域:区内全域】  MaaS (Mobility as a Service) は、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索、予約、決済等を一括で行うサービスです。  複数の交通手段や地域の店舗や魅力あるスポット等と連携したサービスを組み合わせたMaaSを検討します。地域の回遊性を高め、地域に対する誇りや愛着(シビックプライド)を育むとともに、誰もが移動・外出しやすい環境を目指します。MaaSについては、区内だけにとどまらない広域的な連携が求められます。検討に当たっては、東京都や交通事業者等のMaaSに関する取組の動向を踏まえ、関係者と連携して取り組みます。 コラム 外出することの重要性 ・外へ出て歩くことは、心肺機能の向上や筋力の維持に役立ちます。気分転換に外出することで、ストレスの軽減や精神的なリフレッシュにもつながります。歩行による医療費抑制効果について、国土交通省「まちづくりにおける健康増進効果を把握するための歩行量(歩数)調査のガイドライン」(平成29年3月)では、1日1歩当たり0.065〜0.072円としています。 ・外出し、地域のイベントやコミュニティ活動に参加することで、共通の趣味や関心を持つ人々とつながることができます。実際に会って交流を深めることが、ウェルビーイング(幸福感)を高めることにつながります。 取組施策1-3 交通インフラの利活用 【背景、取組の方向性】  ○ 公共施設、商業施設、医療施設等が集積し、訪れる人々が交流し憩える空間を駅周辺に創出していくことが必要です。  ○ コロナ禍を経て、ゆとりある屋外空間や徒歩などで回遊できる空間へのニーズが高まっています。道路は通行の場としてだけでなく、にぎわいの場としての活用等も求められてきています。また、多様な交通手段を活用し、身近な移動がスムーズにできる環境が求められています。 【取組内容】  ① 鉄道の高架下の利活用    公共施設など地域の利便性向上に資する機能を確保するため、鉄道の高架下を積極的に活用します。  ② 道路空間の利活用    地域の特性やニーズに応じた道路に再編し、ゆとりやにぎわい等を生み出し、快適に移動できる環境の実現を検討します。 取組の内容 鉄道の高架下の利活用[関係主体:練馬区、東京都、鉄道事業者]【実施地域:鉄道沿線】  都市部において高架下は、新たなにぎわいの創出、地域の利便性の向上に資する貴重な都市空間です。  西武池袋線では、自転車駐車場や図書館資料受取窓口、観光案内所などを設置しており、多くの方に利用されています。また、民間事業者による様々なイベントが開催されるなど、まちのにぎわいを創出しています。  西武新宿線では、連続立体交差事業の進捗状況に応じ、地域のニーズを踏まえて、高架下の利活用について検討します。  引き続き、区・東京都・鉄道事業者が連携し、社会状況や地域のニーズを踏まえた高架下の利活用を進め、地域の回遊性を更に向上させるとともに、歩き回りたくなる、訪れたくなるようなウォーカブルな空間を創出してまちの魅力を高めます。 道路空間の利活用[関係主体:練馬区]【実施地域:区内全域】  道路は通行の場としてだけでなく、にぎわいの場としての活用等も求められてきています。多様化する道路空間の活用ニーズを踏まえ、にぎわいや快適な滞在空間の創出、地域に適した交通手段の充実など、道路空間の再編※について検討します。歩行者が安全に利用できる道路空間を確保し、商店街の活性化を図るなど、地域の特性、課題およびニーズに応じた道路に再編することで、ゆとりやにぎわい等を生み出し、快適に移動できる環境の実現を検討します。 ※道路空間の再編:回遊性や滞在の快適性の向上などの多様化するニーズ、次世代モビリティの社会実装といった技術革新などに応じて、道路空間の再配分や幅員構成の見直しを行うことで、地域にゆとりやにぎわい等の新たな付加価値を生み出す取組 取組施策1-4 交通結節機能の向上 【背景、取組の方向性】  ○ 既存のバスやタクシーに加え新たなモビリティサービスを含めた多様な交通手段が一体的に結び付く交通結節点として、駅まち空間の整備や誰もが安心して快適に移動できる環境の整備に向けた分かりやすい案内サインの整備が必要です。  ○ 駅や交通広場の空間を利用する人がスムーズに移動できるよう、交通結節点としての機能向上に取り組みます。 【取組内容】  ① 駅まち空間・交通広場の整備    交通結節点として駅まち空間※・交通広場の整備を進め、地域住民や訪問者にとって利便性の高い環境を創出します。 ※駅まち空間:駅や駅前広場と一体的に、周辺市街地との関係も踏まえ、必要な機能の配置を検討することが期待される空間  ② 分かりやすい案内サインの整備    多言語に対応した案内板の整備など、情報の充実に取り組み、様々な人々が利用しやすい環境を整備します。 取組の内容 駅まち空間の整備[関係主体:練馬区、交通事業者、区民]【実施地域:区内全域(鉄道駅周辺)】  鉄道・バス・タクシーだけでなく、新たなモビリティサービスも含めた多様な交通手段が一体的に結び付く交通結節点として、区が鉄道事業者と連携して駅まち空間の整備を進めます。駅を中心とする移動を円滑にするだけでなく、地域住民や訪問者にとって利便性の高い環境を創出します。 □ 都営大江戸線の新駅予定地周辺   都営大江戸線の新駅予定地周辺では、延伸を見据え、地域特性を生かした新たな拠点づくりを推進します。(仮称)大泉学園町駅予定地周辺では、市街地再開発事業等による公共施設の集約・新設や駅前広場の整備等の検討を進め、にぎわいを創出します。(仮称)大泉町駅予定地周辺では、駅前広場の整備とともに、公園や農地などの地域資源を生かした拠点づくりを進めます。 □ 西武新宿線沿線地域   西武新宿線沿線地域では、連続立体交差事業等の進捗に合わせ、各駅周辺の地域特性を生かしたまちづくりを推進します。また、上石神井駅では、高架化した駅と接続する立体横断施設の整備の検討を進めるとともに、隣接する車両留置施設については、再編後の跡地の活用方法を鉄道事業者と協議し、拠点性を高める土地利用を誘導します。 □ 石神井公園駅周辺   石神井公園駅周辺では、駅前にふさわしい土地利用を促進するため、南口西地区市街地再開発事業の支援を行うとともに、補助232号線(南口交通広場〜富士街道の区間)の整備を進めます。令和10年度の竣(しゅん)工を予定している再開発ビルへ、区民生活に密着した行政サービスの機能を石神井庁舎から移転します。 □ 中村橋駅周辺   中村橋駅周辺では、令和7年3月に「美術のまち構想」を策定しました。構想では、三つの将来像として「まちのあちこちにアートなスポットがあふれている」「美術館・図書館を起点に新しい交流がうまれる」「アートを軸としたさまざまな活動がまちなかで行われている」を描いています。練馬区立美術館・貫井図書館のリニューアルを機に、「だれもがアートを感じられるまち」をコンセプトとしたまちづくりを進めます。 □ 富士見台駅および桜台駅周辺   富士見台駅および桜台駅周辺では、災害に強いまちづくりを推進します。老朽木造住宅が密集する地域の改善を密集住宅市街地整備促進事業(密集事業※)等により進めます。また、地域の主要な避難路を選定し、沿道の危険なブロック塀等の撤去や狭あい道路の拡幅を促進する改善事業を重点的に進めます。  ※密集事業:防災性の向上と住環境の改善を図るため道路・公園などの整備や老朽建築物の建替え促進を行う事業 交通広場の整備[関係主体:練馬区、関係事業者]【実施地域:区内全域(鉄道駅周辺、幹線道路沿道)】 □ 都営大江戸線の新駅、西武新宿線の上石神井駅・武蔵関駅   多様な交通モードがつながり、誰もがスムーズに移動できる交通広場を整備します。地域のイベントに活用できるスペースや店舗など、区・鉄道事業者・地域住民が連携し、にぎわい空間の創出を図ります。 □ 幹線道路沿道   スムーズな乗継ぎを実現するため、幹線道路の沿道にモビリティステーションなどを整備することを検討します。 分かりやすい案内サインの整備[関係主体:練馬区、交通事業者、施設関係者]【実施地域:区内全域】  複数の公共交通機関が乗り入れる交通結節点において、案内サインの統一、主要な移動経路における図解サインの設置、バリアフリールートの明示、多言語に対応した案内板の整備など、情報の充実に取り組みます。オープンデータの活用も検討しながら、区・交通事業者・周辺施設の関係者が連携し、様々な人々が利用しやすい環境を整備します。また、現在の運行状況やバス停での待ち時間を簡単に確認できるバスロケーションシステムの周知について、区と交通事業者が連携して取り組みます。 取組施策1-5 バリアフリー・ユニバーサルデザイン 【背景、取組の方向性】  ○ 誰もが安心して快適に移動できる環境を整備していくことが必要です。  ○ バリアフリーやユニバーサルデザインに配慮した施設の整備に取り組みます。  ○ 区内には、上屋やベンチがないバス停があり、特に複数の公共交通機関が乗り入れる駅や利用者が多い駅周辺では、バス待ち環境の改善が必要となっています。 【取組内容】  ① 駅と駅周辺のバリアフリー化の促進    誰もが安心して快適に移動できる環境の整備に向け、鉄道駅や駅周辺の更なるバリアフリー化を促進します。  ② バス停の上屋・ベンチの整備促進    バス停の上屋やベンチの設置など、利用者に優しい待合環境の形成を促進します。 取組の内容 駅と駅周辺のバリアフリー化の促進[関係主体:練馬区、交通事業者、道路管理者、施設管理者]【実施地域:区内全域】  高齢者、障害者などが円滑に移動できるバリアフリー化された経路が区内全駅に1ルート整備されていますが、安全性や利便性を向上させるため、更なるバリアフリー化が必要です。また、駅ホームの安全性向上のため、未整備駅へのホームドア整備が必要です。鉄道駅における2ルート目のバリアフリー化や区内各駅におけるホームドアの早期整備に向け、費用の一部を補助するなど、鉄道事業者と連携していきます。  都営大江戸線の延伸による新駅、連続立体交差事業により高架化する駅については、東京都・関係者と連携しながら、ユニバーサルデザインに配慮した整備を進めます。  駅と主要な公共施設を結ぶアクセスルートについては、高齢者、障害者、乳幼児連れの方などの意見を取り入れながら、経路のバリアフリー化と経路上の公共施設などの敷地を活用した休憩場所の環境整備に取り組みます。「公共施設へのアクセスルート ユニバーサルデザインガイドライン」の考え方についても適宜見直しを行い、安心・快適に移動できる環境の向上を目指します。 バス停の上屋・ベンチの整備促進[関係主体:練馬区、バス事業者、区民]【実施地域:区内全域】  路線バス利用者の利便性や快適性を向上するため、利用者に優しい待合環境の形成を促進します。複数路線が乗り入れる鉄道駅の周辺など、特に利用者が多いバス停については、区とバス事業者が連携・協力し、上屋やベンチの設置、スマートバス停(液晶ディスプレイでリアルタイムに情報発信できるバス停)やバスロケーションシステムの接近表示器の導入など、利便性の向上に取り組んでいきます。他自治体では、地域住民がベンチを設置・管理する取組があります。そうした事例を参考に、新たな仕組みづくりの可能性について検討します。 ⑵ 利便性の維持・向上 取組施策2-1 既存交通の持続的な運行 【背景、取組の方向性】  ○ バスは、区内を東西に走る鉄道各駅を南北につなぎ、区民の日常生活にとって重要な移動手段になっています。鉄道に次いで輸送力が大きく、広域的な移動、通勤・通学や地域の暮らしを支える交通機関として大切な役割を果たしています。輸送力の小さい交通手段で代替することは困難であり、現在ある路線の維持を目指す必要があります。  ○ バスやタクシーは豊かな暮らしの実現や地域の社会経済活動に不可欠な基盤ですが、運転手不足等を背景に、バスの減便・廃止が生じています。既存交通を維持するため、交通事業者と区や東京都が連携した取組により、担い手不足の改善を図ります。区民には、公共交通の利用者であるだけでなく地域交通の担い手でもあるとの意識の下、地域公共交通への主体的な関与が求められます。  ○ 担い手確保の取組に加え、自動運転などの新技術の導入により、交通のサービスレベルの維持・向上を目指します。 【取組内容】  ① 担い手確保の取組    交通事業者と区や東京都が連携し、担い手確保につながる取組を実施します。  ② バス路線の再編検討    現在ある路線を維持することを目指しつつ、利用者ニーズ等を踏まえて適宜バス路線の再編を実施します。  ③ バス運行の省力化    完全キャッシュレスバスの導入など、バス運転手の負担軽減につながる取組について検討します。  ④ 自動運転の導入検討    各地で進められている取組などを踏まえ、自動運転導入の可能性について検討します。 取組の内容 担い手確保の取組[関係主体:練馬区、東京都、交通事業者]【実施地域:区内全域】  運転手不足や時間外労働の上限規制を背景に、路線バス・みどりバスの減便・廃止が生じています。バス運転手の多くが50代以上であり、路線バスを運転するために必要な大型二種免許の保有者数も減少していることから、運転手不足はより一層進むことが見込まれます。厳しい現状を踏まえ、交通事業者と区や東京都が連携を図りながら、担い手確保に向けた取組を行うことが必要です。  区が行う取組の一つとして、交通事業者の人材確保や育成の取組、求人情報など、公共交通に関する仕事を目指す方が必要な情報にアクセスしやすいようにします。具体的には、区内を運行する交通事業者と連携し、担い手の確保に向けた交通事業者の取組などを区ホームページやSNSで周知します。  また、区のイベント等も活用し、交通事業者と連携して、運転手採用の情報発信やみどりバスの実車展示など、多くの方に交通関係の職に興味・関心を持ってもらう機会を創出することで、交通の担い手確保につなげます。  さらに、担い手不足の現状等について区と交通事業者が情報共有や意見交換を行い、担い手確保の推進、運行方法の調整、区による広報活動の改善といった取組につなげます。  このほか、他自治体の事例も参考に、実現可能な取組を検討していきます。 コラム 担い手不足解消に関する国・東京都・他自治体の取組 ①国の取組  ・防衛省・自衛隊との連携   大型自動車運転免許を取得しているなど、退職自衛官は自動車運送業や自動車整備業にとって即戦力として期待されています。   令和6年6月、国土交通省・防衛省・業界団体の間で「自動車運送業等及び自衛隊における人材確保の取組に係る申合せ」が締結されました。全国各地で業種説明会や運転体験会等の取組が実施されやすい環境を整備することで、退職自衛官の自動車運送業や自動車整備業への更なる再就職を後押しします。  ・日本版ライドシェア   国土交通省は、地域交通の「担い手」「移動の足」不足解消のため、令和6年3月、タクシー事業者の管理の下で、自家用車・一般ドライバーを活用した運送サービスの提供を可能とする日本版ライドシェア(自家用車活用事業)を創設しました。タクシー配車アプリデータ等を活用して、タクシーが不足する地域・時期・時間帯を特定し、地域の自家用車・一般ドライバーを活用して不足分を供給するもので、「特別区・武三交通圏」(東京23区・武蔵野市・三鷹市)では令和6年4月から運行が開始されました。令和7年12月にはバス会社による日本版ライドシェアのトライアル運行が実施されるなど、在り方について検討が進められています。 ②東京都の取組  ・DX(デジタルトランスフォーメーション)による運転手の負担軽減   バス運転士の担い手不足が深刻化する中、業務負荷の軽減と円滑なコミュニケーションの両立が課題となっています。東京都は、令和7年11月に渋谷区コミュニティバス「ハチ公バス」神宮の杜ルート、令和8年1月に都営バス浅草エリアでAI翻訳透明ディスプレイ導入実証を行いました。バスの運転席周辺にAI翻訳透明ディスプレイを設置するもので、多様な利用者とのコミュニケーションにおける有効性・利便性を検証しつつ、バス運転士の負担軽減やAI翻訳透明ディスプレイ導入に向けた課題整理・検討を実施します。  ・「2050東京戦略」における取組   東京都は、2050年代に目指す東京の姿「ビジョン」を実現するため、令和17年に向けて取り組む政策を取りまとめた「2050東京戦略 〜東京 もっとよくなる〜」を令和7年3月に策定しました。   「2050東京戦略」では、「まちをつくり、まもる担い手・原動力の確保」の政策展開の視点や考え方として「将来にわたって都市機能を維持するため、建設業、運輸業等の担い手確保やAI・DXによる業務の効率化、インフラやまちの高度化・最適化」が掲げられました。主な施策として、「バス事業者連絡会議等を活用し、バス運転士不足への多角的な対策を進める仕組みを構築」が盛り込まれています。 ③他自治体の取組  ・官民連携による地域人材の活用(北九州モデル)  福岡県北九州市では、地域住民・交通事業者・行政がそれぞれの役割分担の下で協業し、鉄道や路線バスの運行が困難な公共交通空白地域において、小型車両による乗合交通「おでかけ交通」を運行しています。深刻な高齢化や運転手不足によりバス路線の維持が困難な状況であり、今後役割が大きくなる「おでかけ交通」の担い手を確保し持続可能にすることが喫緊の課題となっていました。   こうした背景を踏まえ、交通空白解消に向け、「北九州モデル」として以下の取組を実施しています。   ・「おでかけ交通」のドライバーとして地域人材を活用   ・既存の「おでかけ交通」をアプリ予約可能にする等、利便性向上を図る。   ・北九州市と交通事業者が連携して運転体験会や交流会を開催し、ドライバー確保に向けた取組を実施   地域内でドライバーを採用することで、持続可能な交通体系の構築が可能となるとともに、「地域で交通を守る」という意識醸成が期待されています。 バス路線の再編検討[関係主体:練馬区、バス事業者]【実施地域:区内全域】  区内を走る路線バスは、区内を東西に走る鉄道各駅を南北につなぎ、区民の日常生活にとって重要な移動手段になっています。しかし、運転手不足等により路線バス・みどりバスの減便・廃止が生じています。現在ある路線を維持することを目指しつつ、利用者ニーズ等を踏まえて適宜再編を実施し、地域に合ったサービス水準の維持を図ります。みどりバスについては、収支や利用者数の状況を踏まえ、運行方法の見直しや路線再編等を検討します。  都営大江戸線の新駅予定地周辺では、駅前広場整備による交通結節機能の強化を図るとともに、延伸を見据えたバス路線の再編をバス事業者と検討します。このほか、新たに都市計画道路等が整備された際、採算性や利用者ニーズ等を踏まえ、バス路線の再編について検討します。 バス運行の省力化[関係主体:練馬区、バス事業者]【実施地域:区内全域】  運転手不足等を背景に、バスの減便・廃止が生じています。公共交通の担い手確保に加え、バスの運行を省力化する取組を検討します。具体的には、スマートバス停(液晶ディスプレイでリアルタイムに情報発信できるバス停)や完全キャッシュレスバスの導入を検討します。  国土交通省は、完全キャッシュレスバスを強力に推進する「完全キャッシュレスバス推進協議会」を令和8年1月に設立しました。完全キャッシュレスバスは、両替や運賃確認が不要になり運転手の負担軽減を図ることができるほか、利用者の乗り降りがスムーズになり、定時性の確保による利便性の向上も期待されます。また、現金の取扱いに係るコストや運賃箱の改修等に係るコストなどが削減されることにより、経営改善にもつながります。キャッシュレス決済手段がなく、現金で決済している利用者に配慮した上で、導入の検討を行います。 自動運転の導入検討[関係主体:練馬区、交通事業者]【実施地域:区内全域】  交通の担い手不足が深刻化する中、自動運転の導入により運転人員の省人化が期待されます。人的ミスによる交通事故が減少するだけでなく、適切な速度管理が行われることで交通渋滞の緩和にも寄与します。完全自動運転(レベル5)に至らない状態でも、運転支援技術を実装することで、運転手が安心して運転できる環境の実現につながります。  東京都は「バスなど公共交通への自動運転サービスの導入に向けたガイドライン」を令和6年3月に策定し、自動運転サービスを導入するための検討内容や取組事項を取りまとめました(令和7年3月に改定)。また、国土交通省は「都市空間における自動運転技術の活用に向けたポイント集」を令和7年5月に公表しました。その中では、個人所有の車両へ自動運転が普及した場合、公共交通利用から自動運転車利用へ転換される可能性があることが指摘されています。自家用車の過度な利用を抑制するモビリティ・マネジメントに取り組む必要があります。  こうした動向や自動運転技術の進展、交通インフラの整備状況などを踏まえ、公共交通への自動運転の導入の可能性について、関係事業者と連携して検討します。 取組施策2-2 公共交通の利用促進 【背景、取組の方向性】  ○ 環境負荷の低減、健康増進などに向け、公共交通が選ばれる環境づくりが必要です。  ○ モビリティ・マネジメント※に取り組み、区民の意識や行動の変容を通じて地域の公共交通の利用を促進します。既に自動車の分担率が低くなっていることを踏まえ、自動車利用を抑制するだけでなく、様々な移動手段の中から最適なものを選択できるようにすることを目指します。 ※モビリティ・マネジメント:コミュニケーション施策を中心として、知る機会、考える機会、乗る機会等を提供することで、車以外の交通手段を利用する状態へと、意識や行動が自発的に変容するように促す取組  ○ 鉄道やバスの経路、駅・バス停の位置などについて分かりやすく周知し、乗換えの利便性向上に取り組みます。 【取組内容】  ① モビリティ・マネジメントの実施    出前講座などを通じて、公共交通を積極的に利用する意識を育みます。  ② 区全体の公共交通マップ    分かりやすい公共交通マップを作成し、利用者に周知します。 取組の内容 モビリティ・マネジメントの実施[関係主体:練馬区、東京都、交通事業者]【実施地域:区内全域】  区、交通事業者、学校等の関係者が連携して乗り方教室・出前講座などを行い、公共交通を積極的に利用する意識を育みます。公共交通の役割、安全な乗り降りの方法、交通マナーといった内容を分かりやすく説明し、公共交通への理解や親近感を深めます。  また、公共交通の担い手を目指す学生が増えるよう、区・東京都・交通事業者が連携して魅力を発信します。地域社会を支える公共交通の役割を伝え、仕事への関心を高めることで、将来の担い手育成につなげます。運転手だけでなく、整備士や事務職など公共交通に関わる多様な職種の魅力を伝え、将来の職業の選択肢として認識できるようにします。 区全体の公共交通マップ[関係主体:練馬区、交通事業者]【実施地域:区内全域】  区内を運行する多様な公共交通を使った活発な外出や回遊を促すため、誰もが分かりやすい公共交通マップを区が交通事業者と連携して作成し、様々な関係者を通じて利用者に周知します。また、高齢者や障害者、子育て中の方などが安心して外出できるよう、区立施設や駅等のバリアフリー整備状況を公開している「練馬区バリアフリーマップ(あんしんおでかけマップ)」についても、併せて利用を呼び掛けます。 取組施策2-3 ZEV(ゼロエミッション車)の普及促進等 【背景、取組の方向性】  ○ 記録的な集中豪雨による自然災害の頻発、台風の大型化による風水害の激甚化など、気候変動の影響は、身近な生活領域を脅かすものとなっています。  ○ 区民の生命・財産を将来にわたって守るとともに、社会経済活動の持続可能な発展を支えていくため、脱炭素社会を目指して温室効果ガス削減に取り組むことが必要です。  ○ CO2排出量を削減するため、環境負荷の少ない車両に転換していくことが必要となっています。バス、タクシー等の業務用車両のZEV(ゼブ)※化を促進します。 ※ZEV:ゼロエミッション車。走行時にCO2等の排出ガスを出さないEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)、PHV(プラグインハイブリッド自動車)のこと。 【取組内容】  ○ ZEVの普及に向けた情報発信の強化等    バス、タクシー等の業務用車両のZEV化を普及する取組についての情報発信を強化します。 取組の内容 ZEVの普及に向けた情報発信の強化等[関係主体:練馬区、交通事業者]【実施地域:区内全域】  区は、令和4年2月、令和32年のCO2排出実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言しました。脱炭素社会の実現に向け、モビリティのゼロエミッション化を進め、CO2排出量の削減に取り組みます。  区のCO2排出量の約2割を占める運輸部門の脱炭素化を進めるためには、ZEVの導入など、業務用車両の電動化を進めることが必要です。そのため、交通事業者では、バス、タクシー等の車両の更新時にZEVの導入を進めます。あわせて、バイオ燃料など、次世代燃料の導入についても検討します。  区は、ZEV化の普及を促進するため、業務用車両のZEV化の普及や充電インフラ確保支援の取組についての情報発信、充電インフラの普及などに取り組みます。 取組施策2-4 高齢者、障害者等への支援 【背景、取組の方向性】  ○ 高齢になっても障害があっても、今まで暮らしてきた地域で安心して暮らし続けるには、通院、買物等のための移動・外出が欠かせません。  ○ 高齢者や障害者にとって使いやすく安全な移動手段を確保し、外出を支援します。 【取組内容】  ○ 高齢者、障害者等の移動支援    新たな交通手段を導入する際、高齢者、障害者等の移動に配慮します。 取組の内容 高齢者、障害者等の移動支援[関係主体:練馬区、交通事業者]【実施地域:区内全域】  福祉・医療分野において、移動手段の確保のニーズが特に高まっています。例えば、路線バスの減便など移動手段の減少により、病院の通院や介護施設への通所が困難になっています。また、福祉送迎の運転手が確保しづらくなり、福祉施設ごとの輸送サービスを維持することが難しくなっています。新たな交通手段を導入する際、高齢者、障害者等の移動に十分配慮します。  このほか、リフト付福祉タクシー※等の利用助成について引き続き実施します。 ※リフト付福祉タクシー  ストレッチャーや車椅子のまま乗り降りできるタクシー。身体障害者手帳、愛の手帳(療育手帳)、精神障害者保健福祉手帳の所持者または要介護3〜5の65歳以上の高齢者で、移動の際に車椅子等を必要とする方について、費用の一部を区が負担する事業を実施している。 第6章 今後の進め方 1 計画の推進体制  公共交通が2040年代に目指す姿の実現に向け、計画期間において、本計画に基づく取組を進めていきます。 ■計画の検証  PDCA(Plan, Do, Check, Action)のサイクルにより、計画を進めていきます。進捗状況の確認を定期的に行い、必要に応じて改善を図っていきます。得られた結果のほか、今後の地域や社会の情勢、交通手段に関する技術革新の動向、人々の意識・行動や生活様式の変容などによって、計画の見直し等を行います。 ■計画の進め方  おおむね年1回、取組の実施状況を確認します。計画作成から5年間を目途に全体の評価・検証を行い、必要に応じて計画・目標値を一部見直します。このように、改善を図りながら継続的に取り組んでいきます。 ■指標等の報告  公共交通の現状を客観的に分析できるようにするため、指標等の数値を分かりやすく整理します。整理した内容は練馬区地域公共交通活性化協議会に報告し、関係者間での情報共有と課題の共通認識を図ります。 ■役割分担  区は、東京都や交通事業者をはじめとする関係主体と連携して本計画に位置付けた取組を実施し、区民の移動手段を確保します。区民は積極的な公共交通利用だけでなく、地域交通の担い手であるとの意識の下、地域公共交通へ主体的に関与することとします。このほか、東京都には広域的な視点からの総合調整、国には地域公共交通の確保・維持・改善のための支援が期待されます。 2 達成状況の評価  計画の達成状況を評価するため、数値指標1〜6を設定します。数値指標の推移を踏まえて計画の評価を行うとともに、公共交通に関するその他のデータ(例:みどりバスの利用者数、運輸部門の区内CO2排出量)についてもモニタリングし、取組の改善や見直しにつなげます。  なお、社会経済情勢に変化があった場合など、必要に応じて数値指標・目標値の見直しを行います。 数値指標1 鉄道・道路・バス交通など都市インフラの整備に対する満足度 現状値:57.0%(R7年度) 短期の目標値(R12年度):60%以上 長期の目標値(R27年度):更に向上 対応する基本目標:基本目標1(移動を便利にし、より暮らしやすくします。)          基本目標3(将来にわたって公共交通を確保・持続できるようにします。)  令和7年3月に国土交通省が公表した「地域公共交通計画の「アップデートガイダンス Ver1.0」」では、「住民等の公共交通に対する満足度・認知度」が例示されています。多くの区民を対象とした長期的なモニタリングが可能な指標として、区民意識意向調査による「鉄道・道路・バス交通など都市インフラの整備に対する満足度」を設定します。  短期の目標値はコロナ禍以前の数値を基に60%とし、その後も更に向上させることを目指します。 数値指標2 区内鉄道駅の乗降車人員(1日平均) 現状値:108万人(R5年度) 短期の目標値(R12年度):110万人 長期の目標値(R27年度):114万人 対応する基本目標:基本目標1(移動を便利にし、より暮らしやすくします。)          基本目標4(地球にも優しい外出スタイルを更に広げます。)  令和7年3月に国土交通省が公表した「地域公共交通計画の「アップデートガイダンス Ver1.0」」では、「公共交通の利用者総数」が例示されています。公共交通利用の定着を確認する指標として、練馬区統計書による「区内鉄道駅の乗降車人員(1日平均)」を設定します。  目標値は、区の人口増加により乗降車人員が増えることを見込み、都営大江戸線の延伸を考慮した人口推計を基に設定します。 数値指標3 区内鉄道駅の乗降車人員(1日平均)(定期外利用) 現状値:44万人(R5年度) 短期の目標値(R12年度):45万人 長期の目標値(R27年度):47万人 対応する基本目標:基本目標5(集客・交流を創出し、まちなかのにぎわいに貢献します。)  国土交通省「地域公共交通計画等の作成と運用の手引き 第4版」(令和5年10月)では、「まちのにぎわい創出」に関する選択指標として「市区町村内特定地区・施設最寄りの駅・バス停の乗降者数」が示されています。通勤、通学等以外の利用状況を把握する指標として、練馬区統計書による「区内鉄道駅の乗降車人員(1日平均)(定期外利用)」を設定します。  目標値は、区の人口増加により乗降車人員が増えることを見込み、都営大江戸線の延伸を考慮した人口推計を基に設定します。 数値指標4 区内ホームドア整備駅数 現状値:12駅(R6年度) 短期の目標値(R12年度):16駅 長期の目標値(R27年度):21駅(全駅) 対応する基本目標:基本目標1(移動を便利にし、より暮らしやすくします。)  駅ホームにおける安全性の向上は、視覚障害者を含む全ての利用者にとって重要な課題です。ホームドアは、駅ホームにおける転落・接触事故やそれに伴う列車遅延を減少させる効果を有するとともに、利用者の安心感の向上にも寄与します。このため、バリアフリー化の進捗を定量的に把握する指標として、「区内ホームドア整備駅数」を設定します。 数値指標5 区内におけるバス乗務員数 現状値:893人(R7年度) 短期の目標値(R12年度):900人程度 長期の目標値(R27年度):900人程度 対応する基本目標:基本目標3(将来にわたって公共交通を確保・持続できるようにします。)  令和7年3月に国土交通省が公表した「地域公共交通計画の「アップデートガイダンス Ver1.0」」では、「公共交通に従事する運転者数」が例示されています。公共交通を持続させるためには、交通の担い手を確保することが必要です。このため、バス事業者へのアンケートによる「区内におけるバス乗務員数」を指標として設定します。  担い手不足・高齢化が進む中、現状を維持することも容易でない状況ではあるものの、これ以上担い手不足を深刻化させないことを目指します。 数値指標6 新たな交通手段の取組地区数(地域主体交通を含む。) 現状値:1地区(R6年度) 短期の目標値(R12年度):2地区 長期の目標値(R27年度):- 対応する基本目標:基本目標2(移動が不便な地域の外出手段を確保し、日々の暮らしを支えます。)          基本目標5(集客・交流を創出し、まちなかのにぎわいに貢献します。)  区の特性に合った持続可能な交通を構築するため、既存交通と共存する新たな交通手段の導入等について検討を進めていくことが必要となっています。取組状況を把握する指標として、「新たな交通手段の取組地区数(地域主体交通を含む。)」を設定します。  短期の目標値は既に実証実験に取り組んでいる「南大泉・東大泉地域」を含む2地区とします。長期の目標値は、今後、新技術の動向等を踏まえて設定します。 参考資料 1 練馬区地域公共交通計画 検討体制  ⑴ 練馬区地域公共交通活性化協議会 委員名簿    学識経験者     日本大学理工学部土木工学科 教授 大沢 昌玄(会長)     流通経済大学経済学部 教授    板谷 和也    地域公共交通の活性化及び再生に関する法律第2条第2号に規定する公共交通事業者等の関係者     西武鉄道株式会社鉄道本部計画管理部駅まち創造課長         岩澤 貴顕     東京地下鉄株式会社鉄道本部鉄道統括部開発連携・工事調整担当課長  廣元 勝志     東武鉄道株式会社鉄道事業本部事業戦略部課長            小瀧 正和     東京都交通局総務部技術調整担当課長                近藤 琢哉     西武バス株式会社計画部長                     秦野 凌     国際興業株式会社運輸事業部担当部長                鈴木 健史     関東バス株式会社運輸部計画営業担当副部長             小川 将和     京王電鉄バス株式会社運輸営業部乗合事業担当課長          三浦 裕介     東京都交通局自動車部計画課長                   井上 清一     一般社団法人東京バス協会乗合業務部長               冨樫 秀樹     一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会 専務理事         髙橋 哲哉     東京都交通運輸産業労働組合協議会 バス部会 部会長代理      舟山 明久     東京都交通運輸産業労働組合協議会 幹事 ハイタク部会 事務長   奥村 公章    区民     練馬区町会連合会 副会長  上野 一幸     練馬区商店街連合会 副会長 佐久間 利和    関係行政機関の職員     国土交通省関東運輸局東京運輸支局 首席運輸企画専門官(総務企画担当) 中山 俊夫     国土交通省関東運輸局東京運輸支局 首席運輸企画専門官(輸送担当)   小林 聡     国土交通省関東地方整備局 東京国道事務所交通対策課 建設専門官    菊池 信久     東京都第四建設事務所管理課長                     高橋 伸子     東京都都市整備局都市基盤部交通企画課長                荒井 大介     東京都都市整備局都市基盤部地域公共交通担当課長            吉川 昌孝     警視庁交通規制課調査担当管理官                    西東 俊郎     警視庁石神井警察署交通課長                      森 浩之     警視庁光が丘警察署交通課長                      岡本 大地     警視庁練馬警察署交通課長                       塩田 竜也    区職員     練馬区都市整備部長          中沢 孝至(副会長)     練馬区福祉部管理課長         渡邉 慎     練馬区都市整備部交通企画課長     安田 圭吾     練馬区都市整備部大江戸線延伸推進課長 大塚 峰生     練馬区土木部管理課長         星野 明久  ⑵ 練馬区地域公共交通活性化協議会 開催経過    第1回 令和6年5月29日 練馬区職員研修所    ・練馬区地域公共交通計画の策定に向けた基本的な考え方(案)    第2回 令和6年10月15日 練馬区職員研修所    ・練馬区地域公共交通計画の基本方針・基本目標について    第3回 令和7年1月28日 練馬区石神井庁舎    ・練馬区地域公共交通計画における取組施策の概要(案)について    第4回 令和7年3月26日 練馬区石神井庁舎    ・練馬区地域公共交通計画 中間取りまとめ(案)について    第5回 令和7年7月7日 練馬区石神井庁舎    ・練馬区地域公共交通計画の取組施策について    第6回 令和7年10月22日 練馬区立勤労福祉会館    ・練馬区地域公共交通計画の取組施策等について    第7回 令和8年1月20日 練馬区職員研修所    ・練馬区地域公共交通計画(素案)について 2 区民意見の聴取  ⑴ 区民アンケート    令和6年12月 練馬区の公共交通について    配布数 1,500票    回収数  539票(回収率 35.9%)  ⑵ 障害者団体へのアンケート    令和7年3月〜4月 障害のある方の外出や移動手段についてなど    練馬区障害者団体連合会を通じて依頼    回答数 3団体  ⑶ パブリックコメント・子どもへの意見募集    令和8年2月12日(木)〜3月12日(木)