表紙 障害者とのコミュニケーションガイドブック みんなでつくろう 暮らしやすいまち ねりま 障害者とのコミュニケーションガイドブック はじめに このガイドブックは、電車やお店、まちなかなど、暮らしの中での障害のある方とのコミュニケーション方法の具体例を紹介しています。 障害の特性は一人ひとり異なり、場面によってその方に合ったコミュニケーション方法があります。記載している内容は一例ですので、まずは声をかけ、本人の意思を確認することが大切です。 このガイドブックを活用し、障害のある方とのコミュニケーションを通して、誰もが暮らしやすいまちを目指しましょう。 練馬区 1ページ 誰もが暮らしやすいまちへ 障害ってどこにあるのだろう 車いすに乗っている人が、お店の前に段差があるため店内に、 歯いれない様子を示しているイラストです。車いすに乗っている人にとって、障害はどこにあるのでしょうか。 車いすに乗っていることでしょうか。 それとも、歩くことが難しい足でしょうか。 例えば、段差にスロープを付ける、誰かが段差を越えるサポートをすることで、車いすに乗っていてもお店に入ることができます。環境が変わることで、お店に、はいれない障害がなくなるのです。 つまり、障害は段差=社会の側にあるということです。 わたしたちが暮らす社会には、様々な人が暮らしています。誰もが暮らしやすいまちにするためには、みんなで社会にある障害をなくしていかなければいけません。 設備面の障害を解消するには時間やお金がかかりますが、わたしたち一人ひとりの声かけや配慮、サポートはすぐに行動することができます。そして、その行動は、誰か一人のためではなく、誰もが暮らしやすいまちへの第一歩となります。 身近でできることを一緒に考えてみましょう。 災害時・緊急時 障害のある方からは、「日常の場面だけでなく、災害時や緊急時に障害者が命を守り、取り残されないためには、日頃から、周りの人とのコミュニケーションや障害理解が大切である」との声が上がってます。障害のある方は、災害時や緊急時に自力で情報を得たり、助けを求めたりすることが難しいです。区では、周りの方へ手助けや配慮が必要であることを伝える「ヘルプカード」を配布しています。 2ページ 暮らしの中でのコミュニケーション方法 障害のある方から聞いた、「安心した・助かった暮らしの中でのコミュニケーション」を紹介します。 この事例をヒントに障害のある方とのコミュニケーションを考えてみましょう。 電車・バス・駅の場面 車いす使用者 運転手さんがバスに乗るためのサポートをしてくれました。時間がかかってしまったのですが、車内の皆さんも温かく見守ってくれてホッとしました。 聴覚障害のある方 電車が止まった時、何で止まったのか分からなくて不安でした。携帯電話のメモ機能などを使って教えてくれました。 視覚障害のある方 列の最後尾や車内で席が空いていることが分かりません。周りの方が声をかけて教えてくれてとても嬉しかったです。 駅のホームで、方向を勘違いし、ホームの端を歩いていたところ、周りの方が声をかけてくださり、安心して移動することができました。 視覚障害のある方へのサポート方法 声のかけ方 1 こんにちは、とあいさつなどの声をかけます 2 軽く肩に触れます 3 「何かお手伝いできることはありますか?」と尋ねます お店などの従業員のかたわ「私はまるまるといいます」など、自分が誰かを伝えてください 誘導の方法 1 白杖を持ってないほうに立ちます 2 ご本人の半歩前に立ちます 3 肩や腕を持ってもらいます 4 周りの状況を説明しながら歩きます(上りの段差があります、5メートル先を右に曲がります、など) 3ページ 買い物・ 飲食店の場面   聴覚障害のある方 レジの店員さんが「ありがとう」と手話で伝えてくれて嬉しかったです。 会計をするとき、「袋は いりますか」「ポイントカードはありますか」などの質問内容を紙で見せてくれたので、分かりやすかったです。 覚えてみよう!簡単な手話 ありがとう 右手を左手の甲に乗せ、上げながら頭を下げる こんにちは 人差し指と中指を立ててひたいに当てたあと、人差し指を向き合わせて軽く曲げる 精神障害のある方 初めて行くレストランは緊張します。障害があることを伝えたら、席を案内する時や注文する時に、穏やかに対応してくれて安心しました。 聴覚障害のある方との様々なコミュニケーション方法 相手に合わせ、様々な方法を組み合わせてコミュニケーションを取りましょう。 手話、筆談、口の形で伝える、ジェスチャー、スマートフォンのメモ機能やアプリ、コミュニケーションボード 聞こえやすくするための、補聴器・人工内耳・デジタル補聴システムを使っている方もいます。伝わりやすい方法を尋ねましょう。 4ページ 知的障害のある方 お金の計算が苦手です。会計の時、お金を手のひらに乗せ、支払額をお店の方が取ってくれて助かりました。 コーヒーを頼みましたが、 SMLのサイズが分からず困っていたら、実際のカップを見せてくれました。 視覚障害のある方 スーパーに行ったとき、買いたい商品がどこにあるのか分からず困っていたら、ほかのお客さんが声をかけてくれて商品を取ってくれました。 お店の人が快くメニューの読み上げをしてくれてとても嬉しかったです。 重症心身障害のある方 介助者ではなく、本人の目を見てゆっくりと「いらっしゃい」などと声をかけてくれて嬉しかったです。 補助犬(身体障害者補助犬) 身体障害者補助犬とは、盲導犬、介助犬、聴導けんのことです。公共施設や交通機関だけでなく、飲食店やスーパーなどの様々な施設は、補助犬の同伴を受けいれる義務があります。補助犬は、目や手足、耳が不自由な方を手助けしています。まちなかで補助犬を見かけたら、温かく見守りましょう。 5ページ まちなかの場面 車いす使用者 自動販売機の高いボタンや取り出し口に手が届きづらくて困っていたら、代わりにボタンを押してくれたり、商品やお釣りを取ってくれたりしました。 視覚障害のある方 信号のある横断歩道を渡るときは、周囲の音で判断してますが、とても不安です。「青になりましたよ」などと声をかけてくれて安心しました。 発達障害のある方 方向が分からなくなり道に迷うことがあります。道に迷ったとき、周りの方が分かりやすい目印を伝えてくださり、目的地にたどり着くことができました。 200mくらい歩くと右側にパン屋さんがあります。そのパン屋さんの角を右に曲がってください。 車いす使用者へのサポート方法 コミュニケーションのポイント サポートが必要かを確認しましょう 車いすに乗っている方と話す時は、目線を合わせましょう 車いすを押している人ではなく乗っている方と話しましょう 車いすに勝手に触れず、動かし方を確認しましょう 車いすの押し方 動かす前に声をかけましょう 急な坂道は後ろ向きにゆっくりくだりましょう 点字ブロック 視覚障害のある方が足の裏の感覚で確認し安全に移動するために設置されています。 ブロックの上に障害物を置いたり、立ち止まったりしないようにしましょう。 点状ブロック 注意する場所を示す 線状ブロック 進行方向を示す 6ページ まちを笑顔にするための良かったこと調査 練馬区では、令和元年度、みんなが笑顔になるための行動(第一歩)を広げるため、まちでよかった設備や気配りについて、障害のある方などにアンケート調査(良かったこと調査)を行いました。ここでは、その結果の一部をご紹介します。 基本的に声かけは嬉しい。断る時もあるけど声を掛けることをあきらめないで助けてほしい。気にかけてくれるだけで嬉しいです。(車いす使用者) 車いすでエレベーターに乗降する時、ドアの開閉ボタンをずっと押していてくれました。小さな親切ですがとても助かります。(車いす使用者) 店員さんが適度な距離を保って対応してくれて安心しました。(精神障害のある方) 何度聞いても丁寧に教えてくれました。笑顔で対応してくれて安心しました。(精神障害のある方) 娘のたどたどしい注文にも、ゆっくりきいてくださり、快く対応してくれて嬉しかったです。(知的障害のある方) 商店街の方たちがみんな顔見知りで、一人で買い物に行っても、困ったときに声をかけてくれたり手伝ってくれたりして安心できました。(知的障害のある方) 改札を通ろうとするタイミングで電車が来ました。駅員さんが「ゆっくりでいいですよ」 と案内してくれて嬉しかったです。(視覚障害のある方) スーパーなどの店員さんの身振りや表情が豊かになり、コミュニケーションを取りやすくなりました。(聴覚障害のある方) まちで良かったこんなことが、もっと練馬区に広がるといいなぁ 7ページ 障害についてしって欲しいこと 肢体不自由 手や足などを動かすことが難しく、日常生活の移動や動作が困難な状態です。移動のために車いすに乗っていたり、杖を使ったりする人もいます。 こんな手助けが必要です 字を書いたり物をつかんだりする細かい動作が難しいことがあります。手助けできることがあるか尋ねましょう。 車いすでは、階段やエスカレーターを使うことができないため、エレベーターの利用が欠かせません。エレベーター以外の方法で移動ができる方は、別の移動手段を使うようにしましょう。 重症心身障害 重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複している状態です。姿勢を保つために、体に合わせた形の車いすに乗って移動している方もいます。呼吸を補助するための機械をつけたり、栄養を摂るためのチューブをしていたり、痰を取るなどの医療的ケアが必要な方もいます。 バリアフリートイレ 車いす使用者や人工肛門・人工膀胱を使用している方(オストメイト)など、この設備が必要な方のために設けられたトイレです。必要がない方の利用は控えましょう。 車いす使用者用 駐車施設 車いす使用者など、車の乗り降りや移動に際して配慮が必要な方のために設けられた専用駐車区画のことです。いりぐちの近くに設置されていたり、車のドアを開けられるように左右に広いスペースが設けられたりしています。必要がない方の利用は控えましょう。 8ページ 視覚障害 目で情報を得ることが困難な状態です。全く見えない人、見えづらい人、一部しか見えない人、色の見え方に特性のある人などがいます。見え方は人によって異なります。白い杖(白杖)や盲導犬を使用している人もいます。  こんな手助けが必要です 初めての場所は方向が分からず一人での移動が難しいです。誘導の際は、「こちら」「あちら」などの指示語は使わずに、「右」「2歩前」など具体的に説明しましょう。 きにゅうする書類があっても、書いてある文字やきにゅう欄が分からないため、文字を読み上げたり、本人の意思を確認しながら代わりに書いたりしましょう。 聴覚障害 全く聞こえない状態、聞こえづらい状態です。どれくらい聞こえるかは人により異なり、読み書きする力もそれぞれです。手話や指文字を使ってコミュニケーションを取る人もいます。 こんな手助けが必要です 音声情報だけのアナウンスは内容がわからないため、同じ内容を掲示したり、筆談などで伝えたりしましょう。 大勢が一度に話す場所では、誰が話しているのか分かりません。話す前に手を挙げたり、一人ずつ発言したりしましょう。 耳マーク/手話マーク/筆談マーク 耳が聞こえない・聞こえづらい方は外見で分かりづらいため、マークで自身が聴覚障害者であることや、手話や筆談で対応してほしいことを表します。事業者が手話や筆談などの対応が可能であることを伝えることもできます。 9ページ 知的障害 複雑な会話を理解すること、読み書き計算、自分の考えや気持ちを表現することが苦手といった特性があります。買い物、家事などの社会生活への適応については、それぞれ個人差があります。 こんな手助けが必要です 複雑な説明や難しい言葉が分かりづらいです。また、困ったことがあっても自分から伝えることが苦手です。困っているようであれば手助けが必要か声をかけましょう。 相手の話をしっかり聞き、ゆっくり、分かりやすい言葉で話しましょう。イラストや写真を使うとより伝わりやすいです。 子ども扱いせず、年齢に合った丁寧な対応をしましょう。 発達障害 コミュニケーションや対人関係に困りごとがあったり、こだわりの強さや落ち着きのなさがあったりします。読み書きに困難がある学習障害なども含まれます。 こんな手助けが必要です 初めての場所で混乱してしまうことがあります。気持ちを落ち着かせることができる静かな場所を用意しましょう。 不安や緊張を落ち着かせるため、思ったことが言葉に出てしまう人もいます。温かく見守りましょう。 忘れ物が多い、時間や物の管理が苦手な人もいます。特性を理解し、チェックリストやスケジュール表などを使ってみましょう。 ヘルプマーク 内部障害や義足使用者、妊娠初期の方など、外見からは手助けや配慮が必要なことが分からない方が、周囲の人へ手助けや配慮が必要であることを伝えるためのマークです。このマークを身に付けている方を見かけたら、電車内で席をゆずる、困っているようであれば声をかけるなど、思いやりのある行動をお願いします。 10ページ 精神障害 気分の落ち込みや不安、妄想や幻覚などにより、心身に影響が出ることで、社会参加や日常生活が困難な状態です。外見からは判断しづらく、個人差があります。 こんな手助けが必要です 精神障害があることを周囲の人に理解してもらえず、偏見を持たれることがあります。自然体で接し、本人の意見や相談に耳を傾けましょう。 初めての人とのコミュニケーションが苦手です。穏やかな表情でゆっくり丁寧に伝えるようにしましょう。 高次脳機能障害 事故や病気などで脳を損傷したことが原因で、新しいことを覚えるのが苦手、集中力が続かない、段取り良く家事や仕事を進められないなどの特性があります。 こんな手助けが必要です 言葉だけの説明では理解が追いつかないことがあります。伝わりづらいと感じたら、書いて見せたり、イラストや図を用いたりして説明しましょう。 外見からは障害があると分かりづらく、言葉が出ない時などに配慮をされないことがあります。困っているようであれば、手助けが必要か声をかけましょう。 失語症 事故や病気などで脳を損傷したことが原因で、「聞く」「話す」「読む」「書く」などが不自由な状態です。例えば、言葉が出ない、言い誤ってしまう、字を書こうと思っても字が思い出せないなど、さまざまな困難が生じますが、その特性は一人ひとり異なります。 裏表紙 みんなに知ってほしい法律や条例 練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例 練馬区の条例は、一人ひとりの特性に応じた、手話言語を含むさまざまなコミュニケーション手段を充実し、障害の有無にかかわらず、誰もが人格と個性を尊重し合いながら、共生する社会の実現を目指しています。 この条例の詳しい内容は、「練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例」で検索してください 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法 この法律は、障害のある方の情報の取得や利用、意思疎通に係る取組を総合的に進め、共生 する社会の実現を目指しています。 この法律の詳しい内容は「内閣府 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」で検索してください 障害者差別解消法・東京都障害者差別解消条例 障害者差別解消法および東京都障害者差別解消条例では 、行政機関等・事業者に対し 、 障害を理由とする「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」を求めています。 不当な差別的取扱いの例…補助犬の同伴を理由に、にゅうてんを断る/知的障害があることを理由に、家族等の同伴をにゅうてんの条件とする 合理的配慮の提供の例…飲食店において、視覚障害のある人に店員がメニューを読み上げる/車いす利用者が電車に乗るとき、駅員が段差に簡易スロープを設置する  このガイドブックは、障害当事者や区内の事業者が参加するワークショップを開催し、多くの方と一緒に検討しながら、作成しました。ご協力、ありがとうございました。 編集・発行:練馬区福祉部障害者施策推進課事業計画担当係 〒176-8501東京都練馬区豊玉北六丁目12番1号 電話 03-5984-4602 FAX 03-5984-1215 メール SHOGAISISAKU02@city.nerima.tokyo.jp 令和5年(2023年)1月発行