第3次みどりの風吹くまちビジョン 基本計画・アクションプラン〔戦略計画〕【素案】 令和5年(2023年)12月 練馬区企画部企画課 目次 基本計画 第1章 策定の目的 第2章 改革ねりま これまでの取組 第3章 区を取り巻く状況 第4章 施策の体系 第5章 施策の柱 施策の柱1 子どもたちの笑顔輝くまち 施策の柱2 高齢者が住みなれた地域で暮らせるまち 施策の柱3 安心を支える福祉と医療のまち 施策の柱4 安全・快適、みどりあふれるまち 施策の柱5 いきいきと心豊かに暮らせるまち 施策の柱6 区民とともに区政を進める アクションプラン 戦略計画 施策の柱1 子どもたちの笑顔輝くまち 戦略計画1 子育てのかたちを選択できる社会の実現 戦略計画2 子どもの成長に合わせた切れ目のないサポートの充実 戦略計画3 学齢期の子どもや若者の居場所の充実 戦略計画4 夢や目標を持ち困難を乗り越える力を備えた子どもたちの育成 施策の柱2 高齢者が住みなれた地域で暮らせるまち 戦略計画5 高齢者地域包括ケアシステムの深化・推進 戦略計画6 元気高齢者の活躍と健康づくり・フレイル予防の推進 施策の柱3 安心を支える福祉と医療のまち 戦略計画7 障害者が地域で暮らし続けられる基盤の整備 戦略計画8 ひとり親家庭や生活困窮世帯等の自立を応援 戦略計画9 誰もが安心して生活できる地域福祉の推進 戦略計画10 安心して医療が受けられる体制の整備 戦略計画11 身体とこころの健康づくりを応援 施策の柱4 安全・快適、みどりあふれるまち 戦略計画12 地域の災害リスクに応じた「攻めの防災」 戦略計画13 みどり豊かで快適な空間を創出する交通インフラの整備 戦略計画14 人々の移動を支える交通体系の構築 戦略計画15 快適な住宅都市を実現するまちづくりの推進 戦略計画16 練馬のみどりを未来へつなぐ 戦略計画17 脱炭素社会の実現に向けた環境施策の展開 施策の柱5 いきいきと心豊かに暮らせるまち 戦略計画18 意欲ある事業者の支援と商店街の魅力づくり 戦略計画19 生きた農と共存するまち練馬 戦略計画20 みどりの中で優れた文化芸術を楽しめるまち 戦略計画21 みどりの中で誰もがスポーツを楽しめるまち 施策の柱6 区民とともに区政を進める 戦略計画22 地域コミュニティの活性化と区民協働の推進 戦略計画23 DX で区民と区政を直につなぐ 巻末資料 練馬区の人口動向分析 財政状況 参考 施策の体系と戦略計画・個別計画の関連図 第3次みどりの風吹くまちビジョンとSDGs 第3次みどりの風吹くまちビジョン 基本計画 第1章 策定の目的 この章では、「第3次みどりの風吹くまちビジョン」策定の経緯と目的について記載しています。 策定の目的 グランドデザイン構想の実現 区は、平成27年3月、新しい区政運営の方向性を明らかにし、将来を見据えた戦略を提示するため、 「みどりの風吹くまちビジョン」を策定しました。平成30年6月には、区政を更に前に進めるため、「暮らし」・「都市」・「区民参加と協働」の 3つの分野からなる「グランドデザイン構想」を策定し、目指す将来像を区民の皆様と共有しました。 グランドデザイン構想の実現を目指し、平成31年3月には、新たな総合計画として「第2次みどりの風吹くまちビジョン」を策定しました。 令和4年3月には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大など社会情勢の変化に対応するため、令和4年度から5年度の2か年の取組を定める 「第2次みどりの風吹くまちビジョン改定アクションプラン」を策定しました。 さらに、令和5年3月には、政策を実現する具体的な取組と体制を強化する「取組体制強化プラン」を策定しています。 グランドデザイン構想の実現に向けて、これまでの政策を着実に継続・発展させ、その上に立ち、みどり、文化、スポーツ、都市インフラなど 区民生活を豊かにする施策に更に力を入れていく必要があります。構想実現に向けた政策展開を明らかにするため、 区の新たな総合計画(地方版総合戦略※)として、「第3次みどりの風吹くまちビジョン(以下「第3次ビジョン」という。)」を策定します。 ※まち・ひと・しごと創生法第9条および第10条に基づく「都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略」および「市町村まち・ひと・しごと創生総合 戦略」のこと。都道府県および区市町村は、国の「デジタル田園都市国家構想総合戦略」を勘案し策定が求められている。 第2章 改革ねりまこれまでの取組 この章では、区がこれまで進めてきた「改革ねりま」について記載しています。 全国の自治体を先導する「練馬区モデル」の展開 我が国は、少子高齢化・人口減少により経済活力が弱まり、国際競争力が低下するなかで、赤字国債の発行を重ねた結果、債務残高はGDPの2倍を超え、 世界に類を見ない危機的な状況となっています。将来を見通すことが難しいモデルなき未知の時代に直面している今こそ、現実を直視し、 リアルな打開策を打ち出していく必要があります。 従来の施策を漫然と繰り返し、他自治体と横並びの施策を実施しているだけでは、こうした変化の激しい時代に対応することはできません。 未来を切り開くため、区はこれまでの施策を抜本的に変革し、全国自治体を先導する「練馬区モデル」を様々な分野で展開してきました。 例えば「3歳からは預かり保育のある幼稚園に通わせたい」という保護者のニーズに対応するため、全国初となる区独自の幼保一元化施設 「練馬こども園」を創設しました。子どもの教育や保育について保護者の選択の幅が広がり、共働き家庭などからも利用されています。 コロナ禍においても、希望する区民が身近な場所で速やかに安心してワクチン接種を受けられる体制を一刻も早く整備するため、 国と綿密に協議し、練馬区医師会の協力を得て、かかりつけ医による個別接種をメインに集団接種会場でカバーする「練馬区モデル」を構築しました。 国が先進事例として紹介し、全国自治体の標準モデルとなりました。 今後もこうした取組を継続し、発展させていきます。 〈練馬区モデルの例〉 区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」の創設 保護者の就労形態やニーズの多様化に応える区独自の幼保一元化施設 新型コロナウイルスワクチン接種体制の構築 診療所での個別接種と集団接種を組み合わせたベストミックス方式 練馬区モデルT 子どもたちの笑顔輝くまち 必要な子育てサービスを選べる社会に 子育ては誰が担うべきか、様々な考え方や価値観が存在しますが、最も尊重されるべきことは、それぞれの家族の思いです。 家庭で子育てがしたい、子どもを預けて働きたいなど、多様化する子育てサービスのニーズに応える施策を展開しています。 保育所待機児童ゼロを達成 待機児童ゼロ作戦を展開し、平成26年度からの9年間で全国トップレベルの約8,500人の定員拡大を実現しました。 令和3年度から待機児童ゼロを継続しています。 練馬こども園を創設 区独自の幼保一元化施設である練馬こども園を創設し、子どもの教育や保育について、保護者の選択の幅を広げました。 ねりっこクラブの拡大 小学校内で、学童クラブとひろば事業の運営を一体的に行う「ねりっこクラブ」を全65校中52校で実施し、小学生の居場所を整備しました。 支援を必要とする子どもたちのそばに 区では、子どもを虐待から守るために、区による地域に根差したきめ細かい寄り添い支援と、都の広域的・専門的支援の更なる連携強化に 取り組んでいます。また、誰もが等しく公平に必要な教育が受けられるよう、一人ひとりに応じたきめ細かな支援を進めます。 (仮称)東京都練馬児童相談所の設置 都内で初めて都区共同で「練馬区虐待対応拠点」を設置しました。虐待対応拠点は他区にも拡がっています。 子ども家庭支援センターの体制強化 令和6年度の(仮称)東京都練馬児童相談所の設置に向けて、区子ども家庭支援センターの専門職員(福祉職等)を増員し、相談体制を更に強化します。 支援が必要な子どもたちへの取組の充実 ・不登校児童生徒 不登校経験者やその保護者等を対象に、令和3年度から4年度にかけて、不登校に関する実態調査を実施しました。 令和5年8月には、調査結果等を踏まえて「練馬区教育委員会不登校対策方針」を改定し、児童生徒一人ひとりの将来的な 社会的自立に向けた取組を進めています。 ・ヤングケアラー 実態調査の結果、ヤングケアラーが一定数存在することが明らかになりました。学校等で早期に発見し、関係機関が連携して支援できる体制を整備しました。 ・医療的ケア児 「医療的ケア児支援法」の成立に先駆けて、平成27年度に区立の小学校および学童クラブで医療的ケア児の受入れを開始し、その後、 区立保育園および幼稚園での実施や受入れ人数を拡大してきました。 練馬区モデルU  高齢者が住みなれた地域で暮らせるまち 高齢者地域包括ケアシステムの確立 令和7年に、団塊世代の全ての方が75 歳以上の後期高齢者となります。 区では、介護が必要になっても、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的・継続的に提供される、 地域包括ケアシステムの確立を着実に進めています。 街かどケアカフェを区内各地へ 高齢者をはじめとする地域の方が気軽に立ち寄り、介護予防について学んだり、健康について相談したりできる「街かどケアカフェ」を 地域の拠点として拡充しています。令和5年4月に、6か所目の常設型として、「街かどケアカフェかしわ」を開設しました。 地域包括支援センターの体制強化 地域包括支援センターと区民ボランティアによる訪問支援、町会・自治会、民生委員、事業者など地域と連携した見守り活動等を通して 高齢者の見守りに取り組んできました。これらの取組の中核機関である地域包括支援センターをより身近で利用しやすい窓口にするため、 令和5年4月に2か所増設し、27か所体制に強化しました。 高齢者の生活を支えるサービス提供体制の充実 ひとり暮らし高齢者や、高齢者のみ世帯が増加しています。ひとり暮らし高齢者等への個別訪問に取り組むとともに、 施設の整備目標を定め整備を進めるなど、高齢者の生活を支えるサービスの提供体制の充実に取り組んでいます。 高齢者みんな健康プロジェクトの展開 高齢者の健康を支援するため、令和3年度から「高齢者みんな健康プロジェクト」を開始しています。区が保有する医療・健診・介護等の データを活用し、リスクの高い後期高齢者を抽出のうえ、栄養士などの専門員が個別訪問し、糖尿病重症化予防等に取り組んでいます。 都内トップの施設数を実現 特別養護老人ホーム、都市型軽費老人ホームおよび看護小規模多機能型居宅介護施設の整備に取り組んでいます。これらの施設数は、全て都内最多となっています。 練馬区モデルV 安心を支える福祉と医療のまち ひとり親家庭や生活困窮世帯等の自立を応援 コロナ禍や物価上昇の影響で、生活困窮に関する相談や生活保護受給世帯が増加しています。 なかでも相対的に貧困率の高いひとり親家庭は大きく影響を受けています。区は、生活にお困りの方の自立に向け、 一人ひとりに寄り添った、きめ細やかな支援に取り組んでいます。 ひとり親家庭自立応援プロジェクトの展開 ひとり親家庭を対象に、生活・就労・子育ての3つの支援を組み合わせて提供するひとり親家庭自立応援プロジェクトを平成29年度から開始し、 23区で最多の事業を実施しています。令和4年に実施したニーズ調査結果を踏まえ、自立に向けた支援策を更に充実しています。 障害者が地域で暮らし続けられる基盤を整備 練馬区は、住み慣れた地域で、障害の特性に応じた就労支援や暮らしの支援を受けられる、誰もがいきがいを持ち、 自分らしい生き方ができるまちの実現を目指しています。そのため、一人ひとりのライフステージに応じた支援や障害者の意思疎通の支援を 充実させています。 重度障害者グループホームの整備拡大 意思疎通に関する条例を制定・支援を充実 令和4年6月、「練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例」を制定しました。 23区初の障害者ICT相談窓口の開設等、支援の充実を図っています。 新病院建設などで医療環境を充実 区の人口10万人当たりの一般・療養病床数は、23区で最も少ない状況です。今後の高齢化の進展に伴う医療需要を見据え、 必要な機能を備えた病床の確保を進めるなど、医療環境の充実に取り組んでいます。 順天堂練馬病院の三次救急の指定 順天堂練馬病院が令和5年3月に三次救急医療機関に指定されました。脳卒中や急性心筋梗塞等の生命の危機が切迫している患者に、 一刻も早く医療を提供できるようになりました。 新病院建設などで病床を確保 平成26年度には約1,800床だった病床が、練馬光が丘病院の跡施設を活用し、医療・介護の複合施設として開設する令和7年度には 約2,800床となり、約1,000床の増床となります。 練馬光が丘病院の移転・改築 光が丘第四中学校跡地に令和4年10月に開院しました。光が丘地域で初となる回復期リハビリテーション病棟を含む457床を整備しています。 慈誠会・練馬高野台病院を開院 旧高野台運動場用地を活用し、令和4年8月に開院しました。石神井地域で初となる回復期・慢性期機能を有する218床を整備しています。 練馬区モデルW 安全・快適、みどりあふれるまち 練馬のみどりを未来へつなぐ みどりは、練馬区の大きな魅力であり、快適な都市生活を支えている大切な都市基盤です。 練馬のみどりを守り、未来へつなぐため、特色ある公園の整備などを行うことで、みどりのネットワークの形成を進めるとともに、 区民と協働し、みどりを育むムーブメントの輪を広げています。 みどりのネットワークの形成 四季の香ローズガーデンの拡充、大泉学園町希望が丘公園の全面開園など、みどりの拠点となる公園づくりなどを進めた結果、 公共のみどりは大幅に増加しました。 公園の整備や幹線道路の整備等にあわせたみどりのネットワークの形成を進めています。 みどりを育むムーブメントを展開 練馬の特色であるみどりを地域の財産として育むため、区民がみどりに関わりやすい仕組みづくりを進めています。 公園や花壇、憩いの森での区民管理の拡充をはじめ、民有樹林地では区民ボランティアによる落ち葉清掃を 開始するなど、みどりを育む区民活動が広がり始めています。 交通インフラの整備を着実に推進 練馬区は、都市化が急激に進んだため、道路・鉄道などのインフラ整備が著しく遅れています。 快適で暮らしやすいまちの実現に向け、災害に強く、安全・安心な暮らしを支える交通インフラの整備を着実に進めています。 大江戸線延伸に向け着実に前進 大江戸線の延伸に向けて、区民や各種団体と一体となった促進活動の展開、沿線のまちづくりを推進するとともに、 東京都との実務的な協議を進めてきました。その結果、東京都が副知事をトップとする庁内検討組織を立ち上げるなど、 大江戸線延伸着工に向け、着実に前進しています。 都市計画道路の着実な整備 第四次事業化計画における優先整備路線の事業着手に積極的に取り組み、みどり豊かで快適な空間を創出する都市計画道路の 着実な整備を進めています。 西武新宿線の連続立体交差化、いよいよ始動 西武新宿線の連続立体交差化計画は、都市計画決定により、大きく前進しました。東京都、鉄道事業者、沿線区市とともに、 事業認可取得に向けて準備を進めています。 攻めの防災まちづくりを展開 地域ごとに異なる災害リスクに応じたまちづくりとして、「攻めの防災」を展開してきました。 老朽木造住宅が密集し、地震発生時の建物倒壊や延焼の危険性が高い地域では、道路拡幅や危険なブロック塀等の撤去等を進めています。 特定緊急輸送道路の沿道等で、旧耐震建築物の耐震化を着実に進めています。 練馬区モデルX いきいきと心豊かに暮らせるまち 練馬区は東京という大都市の都心近くに立地しながら、生活と融合した生きた農業が営まれている稀な都市です。 区では、農業者とともに、練馬でしか体験できない都市農業の魅力発信や、農地の保全などに取り組んでいます。 世界都市農業サミットを開催 令和元年度に都市農業の魅力と可能性を世界に発信するため、「世界都市農業サミット」を開催しました。 海外5都市から招いた農業者や研究者と都市農業の意義を共有し、サミット宣言を発表しました。 都市農地の保全を推進 農地制度や税制度の改善を国に要望してきました。特定生産緑地制度の創設は、こうした活動が実った一つです。 対象の95%を超える農地を特定生産緑地に指定しています。 区民が農に親しむ取組を充実 令和5年3月に種まきから収穫まで農業体験ができる「高松みらいのはたけ」を開設しました。 その他、様々な果実を味わえる「果樹あるファーム」など区民が農に親しめる施設・機会を拡充しています。 優れた文化芸術に触れられるまち 練馬区は、みどり豊かな住宅都市だからこそ、豊かな文化芸術が花開く可能性があります。 都心に行かずとも、みどりの中で優れた文化芸術を楽しめるまちの実現を目指し、独創的で 発信力のある新たな企画や、文化芸術と一体となったまちづくりを進めています。 美術館のリニューアルに着手 美術館は「まちと一体となった美術館」、「本物のアートに出会える美術館」、「併設の図書館と融合する美術館」の 3つのリニューアルコンセプトの実現を目指し、全面改築します。令和5年1月に設計に着手しています。 練馬の魅力を効果的に発信 令和5年6月、としまえん跡地に、映画「ハリー・ポッター」の制作の舞台裏を体験できるスタジオツアー東京がオープンしました。 区の新たな映像文化の拠点となる施設には、多くの来場者が想定されており、この施設を拠点に区の魅力発信に取り組んでいます。 優れた文化芸術に触れられる機会の創出 人間国宝である狂言師の野村万作さんによる「みどりの風練馬薪能」や、世界的なヴァイオリニストの大谷康子さんによる 「真夏の音楽会」など、優れた文化芸術イベントを毎年実施してきました。参加した区民の皆さんからは、毎回好評をいただいています。 みどりの中で誰もがスポーツを楽しめるまち スポーツ施設を積極的に整備し、障害の有無にかかわらず身近な場所でスポーツを楽しめるよう体験会や教室の実施に取り組んでいます。 ユニバーサルスポーツフェスティバルを展開 障害の有無にかかわらず身近な場所でスポーツを楽しめるよう、ユニバーサルスポーツフェスティバルを各地域で開催し、 ボッチャ体験会やパラスポーツ教室などを実施しています。 練馬区モデルY 区民とともに区政を進める 「参加と協働」から「参加から協働」へ 地域社会のあり様や住民意識の変化とともに地域課題は多様化・複雑化しており、様々なニーズが生まれています。 新たなニーズに対応し、きめ細やかなサービスを展開するためには、地域で活動する方々の力が欠かせません。 区は、区民とともに協働の取組を進めています。 地域おこしプロジェクトの展開 練馬の新しい魅力の創造や地域の課題解決に向けて、区民の自由な発想から生まれたアイデアの具体化を支援する 「地域おこしプロジェクト」を実施しています。 町会・自治会の基盤強化 転入者に町会・自治会への加入案内リーフレットを配付するほか、集合住宅における加入促進ハンドブックを作成し、 町会・自治会の加入促進を強化してきました。 区政改革を徹底 窓口サービス向上の取組に加えて、公共施設のマネジメント、人材育成、職員定数の管理、外郭団体の見直し、DXの推進、 持続可能な財政運営など、あらゆる面で区政改革の取組を着実に進めています。 窓口から区役所を変える 令和2年9月に練馬区民事務所のレイアウトを改善するとともにゲートサインを設置し、来所者に分かりやすくリニューアルしました。 DXで区民サービスを向上 オンライン化の妨げとなる押印の見直しに取り組み、92%の手続きで押印を不要にするとともに、 時間や場所を選ばずに必要な手続き等ができるよう、オンライン申請を推進しました。 区財政の基盤を強化 区政改革計画に基づき、基金の積立目標額を定め、残高の確保に努めてきました。財政調整基金、施設整備基金の目標額を達成するなど、 財政基盤は強化されています。 施設の統合・再編、複合化を推進 公共施設等総合管理計画に基づき、施設配置の最適化を進めています。令和3年3月には、保健相談所や街かどケアカフェ、 児童館などが一体となった複合施設「北町はるのひ児童館」を開設しました。 第3章 区を取り巻く状況 この章では、世界経済や日本社会の情勢など、区を取り巻く状況を分析したうえで、今後解決すべき課題を提起します。 1 世界の状況 (1)世界構造の転換 ・第二次世界大戦以降、世界経済は欧州や日米が中心となり牽引してきましたが、1980年代以降に急成長を遂げた中国の台頭により、  世界経済の主軸は大きくシフトしました。 ・人口動態にも大きな変化が表れており、先進国では既に少子高齢化が大きな社会問題となっています。  日本を追い抜き急速に経済発展した中国においても、2022年、61年ぶりに人口減に転じました。 ・人口減少に伴い、これまでのような大きな経済成長が見込めないなか、今後は、今なお大幅な人口増加が続く南アジアや  アフリカ諸国が主軸となる可能性が指摘されています。 ・世界の分断が進むなか、米国や英国、中国など、自国の利益を追求する「自国第一主義」が広がり始めています。 ・一方、グローバル化した世界経済のもとでは、国際的な協調なしには発展は望めず、新型コロナを始めとするパンデミック対策や気候変動対策など、  世界が足並みを揃えなければ対応できない課題にも直面しています。 ・世界は今、大きな転換期を迎えています。 (2)世界政治の動向 ・2022年2月、ロシアがウクライナへの侵攻を開始し、世界は大きな混乱に陥りました。今なお終結は全く見通せず、被害が拡大し続けています。 ・侵攻を契機に、スウェーデン、フィンランドがこれまでの中立政策を転換しNATO 加盟に踏み切るなど、  第二次世界大戦以後続いてきた欧州における安全保障の枠組みは大きな転期を迎えています。 ・米中の覇権争いやウクライナ侵攻などを背景に多くの国が軍拡の方向へ進んでいます。パレスチナ地区での紛争の更なる激化や拡大が懸念されるほか、  アジア地域でも台湾有事が懸念されるなど、かつてない緊張の高まりを見せています。 ・エネルギーや経済を特定の国に依存するリスクが顕在化し、輸出入の制限を通じ他国に圧力をかける経済的威圧が広がるなど、  経済の安全保障への関心が飛躍的に高まっています。  各国は重要な産業部品の内製化や貿易ルートの分散化を図るなど、サプライチェーンの強靭化に取り組んでいます。 (3)世界経済の動向 ・ロシアのウクライナ侵攻を背景に、原油や天然ガス、穀物などの流通が滞り、世界各国で資源・エネルギー価格が高騰しています。  途上国等への食糧の安定供給にも大きな影響が生じています。 ・米国では物価が40年ぶりの高い水準にまで上昇しました。物価の抑制に向け大幅な利上げを繰り返すものの、依然としてインフレ状態は続いています。 ・政策金利の引き上げが国債金利の引き上げや投資環境の悪化を招き、銀行3行が相次いで破綻に追い込まれました。  大規模な銀行破綻による金融不安が世界へ波及することが懸念されています。 ・そうしたなかでも、米国の経済は堅調に回復しており、ダウ平均株価は2023年7月には1年3か月ぶりに3万5,000ドルにまで回復し、  一時14.7%まで悪化していた失業率は3%台まで改善しています。 ・一方、世界経済を牽引してきた中国経済は鈍化しつつあり、かつて日本で起きた不動産バブルの崩壊も不安視されています。 ・OECDによる2023 年の世界経済の成長率見通しは、2022年の3.5%を下回る3.0%と見込まれています。  2024年は2.7%と更に鈍化する予測が立てられており、世界経済の先行きは不安定な状況です。 2 日本の状況 (1)日本経済の低迷と国際的地位の低下 ・我が国は現在、歴史上経験したことのない、国難ともいえる少子化問題に直面しています。 ・人口減少に伴う市場規模の縮小、労働力の不足に加え、技術革新の遅れなどもあり、経済は永く低迷しています。  そうしたなか、新型コロナとロシアによるウクライナ侵攻の直撃を受け、状況は更に悪化しています。 ・国債に永く依存する財政運営を続けた結果、国の債務残高は既にGDPの2倍を超え、政策選択の幅は狭められ、  有効な手立てが見いだせない状況です。 ・GDPは2010 年に中国に抜かれて以降、世界3位を維持していましたが、2023年には、人口が3分の2程度のドイツに  抜かれて世界4位に転落する見通しであり、1人当たりの労働生産性の低さも課題となっています。 ・米国企業GAFAM を核としたIT 戦略、中国の「一帯一路」など、各国は生き残りをかけて各分野で長期的展望を持った国際戦略を進めています。 ・日本は発展に向けた具体的戦略も不透明であり、経済力の低下とともに国際的な地位が低下し続けています。 (2)少子化・人口減少問題 ・2022 年の合計特殊出生率は1.26。出生者数は7年連続減少となる約77 万人となり、1899年の統計開始以降、最小となりました。 ・人口減少が進む自治体では、税収減による行政サービスの廃止や有料化、小売や飲食、娯楽などの生活関連サービスの縮小、  鉄道や路線バスなど公共交通の撤退や縮小など様々な課題に直面しています。 ・こうした状況にかかわらず、国の問題意識は薄く、少子化の根本的な分析がされないまま、対策が進められています。 ・政府は2023 年4月に「こども家庭庁」を創設し、6月、新たな少子化対策「こども未来戦略方針」をとりまとめましたが、  安定財源の確保、政策効果の検証など、整理すべき課題が多く残されています。 (3)新型コロナウイルス感染症 ・2023 年5月に感染症法上の分類が5類に移行したことに伴い、社会経済活動が本格的に再開しました。  2023 年4月から6月のGDP 増加率は新型コロナ前をも上回り、過去最高となりました。 ・入国規制も撤廃され、円安の影響もあり、訪日外国人旅行者数はコロナ禍前の水準を取り戻しつつあります。 ・新型コロナを契機に、社会全体のデジタル化が急速に進展しました。ビジネスや教育分野など、  従来デジタル化が進んでいなかった分野にも広がり、生活様式は大きく変化しました。 (4)経済が低迷するなかでのインフレの進行 ・日本は石油や石炭、天然ガスなどの資源の多くを海外に依存しています。資源価格の高騰、円安の進行なども相まって物価は上昇し、  経済低迷が続く中でインフレが進行しています。 ・世界主要国では、これまでの大規模な金融緩和を転換して金利を引き上げ、インフレを抑える試みを続けていますが、  日本では積極的な金融政策が打てず、世界との金利差がさらに拡大しています。 ・2022年1月には1ドル110円台だった円相場は、急落した後、上下を繰り返し現在は150円台間近で推移しています。  円相場は不安定な状況で、国際社会での円の価値は凋落傾向にあります。 ・諸外国に比べて、日本の賃金水準は上がっておらず、気付けば日本の賃金はOECD平均を下回り、GDPでは日本より下位である  韓国やスペインなどを下回っています。 ・円安と相まって、このままでは外国人労働者から選ばれない国になる恐れもあります。 3 区を取りまく情勢 (1)日本における首都東京の立ち位置 ・首都東京は、日本の政治・経済・文化の発展を牽引する重要な役割を果たしてきました。その中心となってきたのが特別区です。 ・新型コロナの影響により、都の2021年の人口は転出超過となりましたが、2022年は一転して転入超過となりました。 ・首都圏全体では人口は一貫して増え続けており、コロナ禍を経ても、東京の持つ力や担う役割は全く変わっていません。 ・国はこうした東京の努力や役割を全く評価せず、今なお東京の活力を削ぐ財源の収奪を続けています。  法人税の国税化やふるさと納税等により、令和5年度は約1兆4,000億円の税収が失われる見込みです。 ・東京が衰退すれば日本全体の衰退に更に拍車をかけることになります。日本の発展を続けるためにも、  都と特別区は力を合わせて国と対峙していくことが求められています。 (2)区における課題 @ 区を取り巻く状況 ・こうした世界、日本における社会・経済情勢の変動は区民生活にも大きな影響を与えています。 ・コロナ禍を受け、区の人口は、令和3年度はマイナスとなったものの、4年度は一転してプラスに転じました。  しかし、日本全体の人口減少が進むなか、区の人口もいずれ減少局面に入ることは避けられません。 ・歳出面では、保育関係費を中心に社会保障関係費がこの10年で約500億円から約1,000億円に倍増し、  義務的経費が予算の5割以上を占めています。老朽施設の維持更新、都市インフラの整備など区特有の財政需要に加え、  社会状況の変化に応じた新たな課題にも対応していく必要があります。 ・税収は回復しているものの、歳出の伸びに追いついておらず、一般財源の不足を基金、起債で穴埋めする構造は変わっていません。  この状況が続けばいずれ基金は底を打ち、起債残高が大幅に増加する懸念があります。 ・今後、少子高齢化や人口減少が進み、労働力不足も懸念されています。限られた財源、人材で効果的、効率的な行財政運営に努めていく必要があります。 A 都区の役割分担、特別区制度の課題 ・特別区では、都民は区の領域を超えて生活しており、生活圏と行政区域が一致していません。  都の広域的・専門的行政と、住民に寄り添って生活を支える身近な行政との境界が曖昧で、行政権限が混乱しています。 ・例えば、医療政策は都が担い、公衆衛生(感染症等)は区保健所が担うという役割分担は、平時には機能していますが、  今回のパンデミック時には、入院調整やPCR検査等の役割分担について、混乱が生じました。 ・都区の役割分担が必要不可欠な児童相談行政においても、根本的な議論がされないまま区による児童相談所の設置が進められています。 ・また、特別区では、人事・財政制度面で権限に制約が設けられており、一般の基礎的自治体よりも裁量の余地が狭められています。 ・東京の持つ力を最大限発揮するため、課題が顕在化した今こそ、改めて大都市行政を根本的に見直すことが必要となっています。 第4章 施策の体系 この章では、第3次ビジョンの体系・計画期間、施策体系について記載しています。 1 体系・計画期間 第3次ビジョンは、グランドデザイン構想実現への道筋を示す基本計画と、具体的な実行計画であるアクションプランの2部構成とします。 基本計画では「6つの施策の柱」をお示しし、アクションプランでは、「23の戦略計画」、「年度別取組計画」と「財政フレーム」を明らかにします。 計画期間は、基本計画、アクションプランの「戦略計画」が5年間(令和6〜10年度)とします。 「年度別取組計画」は3年間(令和6〜8年度)とし、令和8年度に後半の計画を策定します。 2 施策体系 第3次ビジョンでは、区民生活全般を充実させる施策を6つの施策に分け、柱ごとに今後の取組を明らかにします。 第5章 施策の柱 この章では、6つの施策の柱ごとに「区の基本姿勢」や「施策の方向性」とともに、施策をけん引する「リーディングプロジェクト」を示します。 施策の柱1 子どもたちの笑顔輝くまち 区の基本姿勢 日本全体で少子化が進む中、区の出生数も減少傾向が続いています。一方、共働き家庭の増加等に伴い、保育ニーズは依然として増加し、多様化しています。 引き続き、保育所待機児童ゼロを維持しながら保育サービスの充実に取り組んでいく必要があります。 核家族化が進み、地域のつながりの希薄化など、社会的に孤立し、子育てに不安や負担を感じる保護者が増えています。 安心して出産・子育てできる環境を整備し、支援を充実することが求められています。 令和2年度に改定した「練馬区教育・子育て大綱」の目標である「夢や目標を持ち困難を乗り越える力を備えた子どもたちの育成」を実現することが 区の責務です。教育環境の変化を捉えた施策を実施する必要があります。 子育ては誰が担うべきか、様々な考え方や価値観が存在しますが、最も尊重されるべきことは、それぞれの家族の思いです。 家庭で子育てがしたい、子どもを預けて働きたいなど、多様化する子育てサービスのニーズに応える施策を展開することで、 子育てのかたちを選択できる社会を実現します。 施策の方向性 ・保育所での障害児の受入れ拡大など、保育サービスを更に充実する。 ・すべての妊婦・子育て家庭が安心して身近な場所で気軽に相談、交流できる環境を整備する。 ・都と区の緊密な連携をさらに深め、児童相談体制を充実・強化する。 ・ねりっこクラブを拡充し、待機児童解消を目指す。 ・学齢期の子どもや若者の居場所を充実する。 ・児童生徒一人ひとりに応じた、きめ細かな指導や支援を行う。 ・教員の負担を軽減し、やりがいを持って職務に従事できる環境を整備する。 リーディングプロジェクト ・子どもの一時的な預け先の選択肢の拡大  地域子ども家庭支援センター関で乳幼児一時預かり事業を拡充します。  石神井公園駅南口西地区の再開発ビルでの乳幼児一時預かり事業の開始に向けて調整を行います。  仕事をしている方も在宅で子育てをしている方も安心して子育てができるよう、自宅で子どもを預かる  ベビーシッターの利用料助成制度を導入します。 ・都児相設置にあわせた児童相談体制の強化  都は令和6年度に(仮称)東京都練馬児童相談所を区の子ども家庭支援センターと同じ施設内に設置します。  広域的・専門的機能を担う都と、地域に根差したきめ細かい支援を担う区の連携を更に深め、  児童相談体制「練馬区モデル」を強化していきます。 ・障害児など支援が必要な子どもたちへの取組の充実  保育園、幼稚園、学童クラブ、学校において障害児や医療的ケア児の受入れ体制を拡充します。  表面化しにくいヤングケアラーを早期に発見し、支援につなげる取組を進めます。  増加傾向にある不登校児童生徒の支援体制を強化します。 施策の柱2 高齢者が住みなれた地域で暮らせるまち 区の基本姿勢 令和10年に、団塊の世代の大半が80代となります。 令和22年には、団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口は約20万人に上ります。 将来を見据え、介護が必要になっても、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、 医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的・継続的に提供される、地域包括ケアシステムを深化・推進させていくことが不可欠です。 高齢者の3人に1人はひとり暮らし、認知症高齢者は約3万人いるとされ、更に増加が見込まれます。 よりきめ細やかに一人ひとりの高齢者を支える体制を拡充する必要があります。 高齢者の約8割は要介護認定を受けていない、いわゆる「元気高齢者」です。 地域の担い手として活躍できるよう、様々な場を提供し、健康づくりを支援することが必要です。 高齢者一人ひとりが希望するサービスを選択できるよう、施設サービスと在宅サービスをバランスよく整備してきました。 引き続き、医療と介護サービスの基盤整備に取り組み、住み慣れた地域での暮らしを支えます。 施策の方向性 ・高齢者を地域でよりきめ細かく支えられるよう、地域包括支援センターや「高齢者みんな健康プロジェクト」の体制を強化する。 ・認知症高齢者が安心して暮らせるよう、地域における支援体制を充実する。 ・介護保険施設等の整備は、既存資源の転換等により行うとともに、在宅サービス基盤を充実する。 ・シルバー人材センターと連携し、元気高齢者の活躍の場を拡大する。 ・デジタルを活用した新たなフレイル予防とデジタル格差対策を推進する。 リーディングプロジェクト ・高齢者の生活を支えるコーディネート力の強化  高齢者をよりきめ細やかに支えるため、令和6年度から、日常生活圏域を4地区から地域包括支援センターに合わせて  27地区とします。支援が必要な高齢者を地域で活動している団体等へつなぐ生活支援コーディネーターを各地区へ  1名ずつ配置し、体制を強化します。 ・区内初となる介護医療院の整備  練馬光が丘病院跡施設を活用し、医療・介護の複合施設の整備を進め、令和7年度の開設を目指します。  医療ニーズが高く、特別養護老人ホームでの受け入れが困難な方に対して、医療、介護、看取り、ターミナルケアなどを行う  区内初の介護医療院を開院します。 ・高齢者みんな健康プロジェクトの拡充  糖尿病やフレイルなど、健康上の課題をかかえる高齢者を総合的に支援する「高齢者みんな健康プロジェクト」を拡充します。  保健師等の専門職を増員し、ハイリスク高齢者への個別支援を強化します。また、練馬区薬剤師会との連携により、  「多剤服薬」等の方を対象に、服薬指導・健康相談を個別訪問や薬局窓口等で実施します。 施策の柱3 安心を支える福祉と医療のまち 区の基本姿勢 障害者の重度化・高齢化、家族の高齢化が進んでいます。法定雇用率の上昇、就労する家族の増加等、取り巻く環境も変化しています。 障害者が住み慣れた地域の中で、自立して暮らし続けることができるよう、ライフステージに応じたサービスを充実する必要があります。 増加傾向にある生活保護受給世帯や相対的貧困率の高いひとり親家庭など、一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな自立支援の強化が求められています。 様々な生きづらさを抱える方が、孤独・孤立に至らないよう、地域で課題解決に取り組む必要があります。 順天堂練馬病院の三次救急医療機関指定などにより、区の医療提供体制は大きく進展しました。 更なる病床整備や在宅医療の充実とともに、大規模災害等に備えた医療機能の整備を進める必要があります。 区民のさらなる健康増進を図るため、受診環境の整備など受診率を向上させる取組を進めることが重要です。 誰もが安心して暮らせ、未来に希望を持って生活できるまちの実現を目指し、福祉・医療サービスを一層充実させます。 施策の方向性 ・重度障害者の地域生活を支えるため住まいや通いの場、家族支援等を充実する。 ・障害者の就労定着支援・再就職支援を強化する。 ・ひとり親家庭や生活困窮世帯等の自立を応援する。 ・ひきこもりや8050問題など、複合的な課題を抱える世帯等への支援を進める。 ・災害時や、感染症拡大時に備えた医療提供体制を構築する。 ・医師会等、各関係機関と連携し、在宅医療の充実・周知啓発を図る。 ・区民一人ひとりの身体とこころの健康づくりを支援する。 ・がん対策・がん患者等の支援の充実を図る。 リーディングプロジェクト ・医療的ケアが必要な方を支援する多機能型施設の誘致  令和5年度に取得した三原台二丁目用地に、通いの場や家族支援などの機能を備えた多機能型施設を誘致するなど、  医療的ケアが必要な方への支援を充実します。 ・ひとり親家庭自立応援プロジェクトの深化  令和4年度に実施したひとり親家庭ニーズ調査の結果を踏まえ、自立に向けた支援策を更に充実します。  ひとり親家庭が、希望する地域で仕事と育児を両立できるよう、住まい確保支援やホームヘルプサービスの充実などに取り組みます。 ・順天堂練馬病院における新病棟整備の支援  順天堂練馬病院の新病棟整備を支援し、災害時の応急処置等の対応スペースや備蓄物資等の保管場所、感染拡大時における感染症患者の  隔離スペース等を確保するとともに、増床に向けた調整を進め、医療提供体制の強化を図ります。 施策の柱4 安全・快適、みどりあふれるまち 区の基本姿勢 練馬区は都市化が急激に進んだため、道路・鉄道などのインフラ整備が著しく遅れています。 都市計画道路の整備等は、完了まで年月を要する事業であり、計画的に進める必要があります。 残されている鉄道空白地域を改善し、区が更に発展するために大江戸線の延伸は欠かせない事業です。 実現に向け、早期の工事着手を促進する必要があります。 首都直下地震の発生が懸念されるとともに、局地的な集中豪雨など災害が激甚化しています。 地震・火災や風水害による被害を最小限に抑えるため、地域ごとのリスクに応じた防災力を強化させる取組が求められています。 練馬区の魅力は、都心の近くに立地しながら、豊かなみどりに恵まれているところです。 引き続き、みどりのネットワークの拠点となる公園整備やみどり豊かな軸となる道路の整備、重要な樹林地の確保等を進めるとともに、 民有地のみどりを地域全体で支える仕組みを強化する必要があります。 温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「脱炭素社会」の実現には、区民・事業者との協働を更に推進し、 2030年度までに区内のCO2排出量を2013年度比46%削減することが必要です。 安全で快適な、みどりあふれるまちの実現を目指し、区民と手を携えながら積極的に取り組んでいきます。 施策の方向性 ・都市計画道路の整備、西武新宿線の連続立体交差化を着実に進める。 ・大江戸線延伸の早期実現に向けて取組を進める。 ・新たな地域公共交通計画を策定し、計画の実現に向けた取組を始める。 ・建築物の耐震化・不燃化や狭あい道路の拡幅等とともに、避難行動要支援者の対策、出火防止への取組、初期消火力の強化等、災害に強いまちづくりを進める。 ・流域対策を進めるとともに、河川や下水道の早期整備を東京都に要請する。 ・公園や都市計画道路の整備により、みどりのネットワークを形成する。 ・区民とともにみどりを守り育むムーブメントの輪を広げる。 ・区民・事業者と協働して家庭部門におけるCO2削減の取組を加速する。 リーディングプロジェクト ・大江戸線の延伸の実現へ  都では、副知事をトップとする庁内検討プロジェクトチームによりスピード感を持って検討が進められています。  区は、旅客需要の増加につながる沿線まちづくりの推進や基金の効果的な活用方法の検討を進め、早期事業着手に向け、  都とともに取り組みます。 ・地震・火災に対する防災まちづくりの推進  密集住宅市街地整備促進事業実施地区や防災まちづくり推進地区において、地域住民への丁寧な周知啓発に取り組むとともに、  道路拡幅、建築物の不燃化、危険なブロック塀等の撤去など、災害に強いまちづくりを推進します。  桜台東部地区は、地区計画の策定等に向けた取組を進めるとともに、道路整備に向けた取組等を進めます。 ・稲荷山公園・大泉井頭公園の整備  みどりのネットワークの拠点となる公園づくりを進めるため、稲荷山公園は事業区域を分けて段階的な整備の検討を進め、  第一期事業認可の取得を目指します。  大泉井頭公園では基本計画策定に向けた検討を進めます。 施策の柱5 いきいきと心豊かに暮らせるまち 区の基本姿勢 練馬区はみどり豊かな住宅都市です。誰もがいきいきと心豊かに暮らすためには、子育て支援や福祉医療の充実とあわせ、 文化芸術やスポーツ振興も一体的に進めることが不可欠です。 この2つはどちらか一方を選ぶというものではありません。引き続き、子どもから高齢者まで、年齢や障害にかかわりなく、 誰もが文化芸術やスポーツを楽しめるまちの実現に取り組む必要があります。 東京という大都市の都心近くに立地しながら、生活と融合した生きた農業が営まれています。 一方で、相続に伴う農地の減少や農業者の高齢化など農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。 貴重な練馬の都市農業を守り、次世代に継承していくための取組が求められています。 人口74万人の住宅都市としての特性を活かし、区内経済の発展に向け、事業拡大等に積極的に取り組む企業や商店会を 後押しする必要があります。 文化芸術・スポーツ振興、都市農業振興、中小企業支援、商店街振興など、区民が暮らしに潤いや幸せを感じる、 魅力あふれるまちを目指して取組を進めます。 施策の方向性 ・みどり豊かなまちと一体となった練馬独自の新しい美術館を創造する。 ・優れた文化芸術を楽しめる魅力的なイベントを展開する。 ・練馬の歴史を活かした映像文化のまちづくりに取り組む。 ・「これからの図書館構想」に基づき、より多くの人が気軽に、簡単に情報を得られる環境を整備する。 ・スポーツ施設の整備を進め、多くの人がスポーツに参加できる機会を充実する。 ・スタジオツアー東京の開設を契機として、練馬の魅力を効果的に発信する。 ・農地の保全や区民が農に親しむ取組を充実する。 ・持続可能な都市農業の実現に向けて、農業振興を強化する。 ・区内事業者の積極的な企業活動を支援・商店街の賑わい創出に取り組む。 リーディングプロジェクト ・美術館・貫井図書館の全面リニューアル  「まちと一体となった美術館」、「本物のアートに出会える美術館」、「併設の図書館と融合する美術館」という新しい発想により、  「現代の富士塚」をイメージした新しい美術館・図書館をオープンします。  令和9年度に開館予定です。 ・石神井松の風文化公園の拡張整備  石神井松の風文化公園の約0.6haの拡張部分にフットサル・テニス兼用コートの他、スケートボード等ができる広場を整備します。  令和8年度の開設を目指します。 ・商店会や個店の意欲に応える3つのサポート  個々の商店街活動の枠を超えて、商店会同士や民間企業などの多様な主体と連携した取組を支援するとともに、  個性溢れる意欲的な個店同士が取り組むイベント事業等に対する補助制度を充実するなど、魅力ある商店街を増やしていきます。 施策の柱6 区民とともに区政を進める 区の基本姿勢 地域社会のあり様や住民意識の変化とともに地域課題は多様化・複雑化しています。 新たなニーズに対応し、きめ細やかなサービスを展開するためには、行政だけではなく、 町会・自治会をはじめとした地域で活動する方々の力が欠かせません。 区と区民が適切に役割分担し、取組を進めていくことが重要です。 区は、「区民参加と協働のグランドデザイン」を策定し、区民とともに協働の取組を進めてきました。 地域の現場では、町会・自治会をはじめ、地域で活動するNPO、ボランティア団体などが地域の課題を我が事として考え、 自発的に活動する動きが広がっています。 区民協働の区政を深化させるため、試行錯誤しながら協働の取組を展開していく必要があります。 コロナ禍において、行政のデジタル化の遅れが顕在化しました。限られた財源、職員で多様化する区民ニーズに応えるためには、 デジタルやデータを活用し、サービスや業務を抜本的に変革するDXを推進する必要があります。 施策の方向性 ・町会・自治会の自発的な活動を促進する。 ・区民や団体と区が一体となった協働の取組を促進する。 ・来庁しなくても手続きができるサービスを拡大する。 ・区への支払いにおけるキャッシュレス決済を拡大する。 ・業務のDXを推進する。 リーディングプロジェクト ・町会・自治会の相談体制の強化  課題解決に向けた助言等を行うコンサルタントの派遣など、各町会・自治会の状況に合わせたきめ細やかな支援を行うために  相談体制の強化に取り組みます。 ・ねりま協働ラボの実施  区とともに地域課題に取り組む団体・アイデアを募集するとともに、町会・自治会や、NPO、ボランティア団体等がコラボして  取り組むプロジェクトを支援し、地域活動への新たなチャレンジを後押しします。 ・手続き・相談のオンライン化の推進  窓口に行くことが難しい子育てや介護に携わる方々、働く世代などが、場所や時間を選ばず、パソコンやスマホから手続き・相談が  できるよう、オンライン化を進めます。  来庁された場合でも、デジタルを活用して書かない窓口を実現します。利用者からの問い合わせに、AIが対話形式で応答する  チャットボットの対応分野を拡大します。 第3次みどりの風吹くまちビジョン アクションプラン戦略計画 施策の柱1 子どもたちの笑顔輝くまち 戦略計画1 子育てのかたちを選択できる社会の実現 戦略計画2 子どもの成長に合わせた切れ目のないサポートの充実 戦略計画3 学齢期の子どもや若者の居場所の充実 戦略計画4 夢や目標を持ち困難を乗り越える力を備えた子どもたちの育成 施策の柱2 高齢者が住みなれた地域で暮らせるまち 戦略計画5 高齢者地域包括ケアシステムの深化・推進 戦略計画6 元気高齢者の活躍と健康づくり・フレイル予防の推進 施策の柱3 安心を支える福祉と医療のまち 戦略計画7 障害者が地域で暮らし続けられる基盤の整備 戦略計画8 ひとり親家庭や生活困窮世帯等の自立を応援 戦略計画9 誰もが安心して生活できる地域福祉の推進 戦略計画10 安心して医療が受けられる体制の整備 戦略計画11 身体とこころの健康づくりを応援 施策の柱4 安全・快適、みどりあふれるまち 戦略計画12 地域の災害リスクに応じた「攻めの防災」 戦略計画13 みどり豊かで快適な空間を創出する交通インフラの整備 戦略計画14 人々の移動を支える交通体系の構築 戦略計画15 快適な住宅都市を実現するまちづくりの推進 戦略計画16 練馬のみどりを未来へつなぐ 戦略計画17 脱炭素社会の実現に向けた環境施策の展開 施策の柱5 いきいきと心豊かに暮らせるまち 戦略計画18 意欲ある事業者の支援と商店街の魅力づくり 戦略計画19 生きた農と共存するまち練馬 戦略計画20 みどりの中で優れた文化芸術を楽しめるまち 戦略計画21 みどりの中で誰もがスポーツを楽しめるまち 施策の柱6 区民とともに区政を進める 戦略計画22 地域コミュニティの活性化と区民協働の推進 戦略計画23 DXで区民と区政を直につなぐ※ ※官民データ活用推進基本法第9条第3項において策定が求められている、「市町村官民データ活用推進計画」の性格を併せ持つものです。 戦略計画1 子育てのかたちを選択できる社会の実現 ・令和10年度末の目標 家庭で子育てがしたい。子どもを預けて働きたい。様々なニーズを持つ保護者の希望に応じた社会的サービスを提供することで、 子育てのかたちを選択できる社会を実現 ・現状と課題 子育てしながら働く女性が増加し、共働き家庭が増えています。増加を続ける保育ニーズに対応するため、 区独自の幼保一元化施設である「練馬こども園」の創設、保育所待機児童ゼロ作戦の展開などにより、 平成26年度からの9年間で全国トップクラスとなる8,500人以上の保育定員増を実現し、 令和3年4月から3年連続で待機児童ゼロを達成しました。 引き続き待機児童ゼロを継続していくとともに、保育サービスを担う人材を安定的に確保しながら、 保育水準を維持向上していくことが重要となっています。 また、増加する障害児の更なる受入れや医療的ケア児への対応の強化が求められています。 区独自の幼保一元化施設として、年間を通して預かり保育や3 歳未満児の保育を実施している私立幼稚園を 練馬こども園として認定してきました。引き続き「3歳からは幼稚園に通わせたい」という保護者のニーズに対応していく 必要があります。 子育ての孤立感などによる不安や悩みに対応できるよう、区独自の取組である「練馬こどもカフェ」など、 保護者同士が交流できる場の整備を着実に進めてきました。引き続き拡大に取り組むとともに、 より利用しやすい環境を整えていくことが必要です。 また、急な残業や土日勤務が発生したときや、家庭で子育てをしている際に急な事態が発生したときなどに、 一時的に子どもを預けられるサービスの充実が必要となっています。 ・5年間の取組 1 保育サービスの充実【充実】 ハローワークと共催で行う就職相談・面接会、保育サービスを担う人材への家賃補助、 国制度の対象外となっている職員への処遇改善給付などを引き続き行い、保育人材の確保を支援します。 国基準以上の職員配置を継続するとともに、保育士や栄養士などの専門職である区職員が保育施設に巡回する回数を増やし、 きめ細かく支援を行うことで保育水準の維持向上を図ります。 障害児の受入れ枠を拡大するとともに、医療的ケア児への新たな支援方針に基づき、医療的ケア児の受入れ環境を充実します。 2 練馬こども園の充実【充実】 保護者の就労形態やニーズの多様化に応えるため、引き続き拡大を図ります。 また、小規模保育事業など2歳児までの保育施設の園児が、練馬こども園の園庭を日常的に利用し、 園行事に参加するなど、2歳児までの保育施設と練馬こども園の連携を充実します。 3 子育て支援サービスの拡充【充実】 親子で遊んだり保護者同士が交流できる子育てのひろば「ぴよぴよ」で、休日にも参加できる講習などを実施します。 また、練馬こどもカフェを拡大します。 地域子ども家庭支援センター関の分室を開設します。子育てのひろばぴよぴよを分室に移転し、充実します。 地域子ども家庭支援センター関では、乳幼児一時預かり事業を拡充します。 石神井公園駅南口西地区の再開発ビルでの乳幼児一時預かり事業の開始に向けて調整を行います。 仕事をしている方も在宅で子育てをしている方も安心して子育てができるよう、 自宅で子どもを預かるベビーシッターの利用料助成制度を導入します。 戦略計画2 子どもの成長に合わせた切れ目のないサポートの充実 ・令和10年度末の目標 子育てに関する相談体制を強化し、妊娠期から子育て期まで切れ目のないサポートを充実 ・現状と課題 核家族化の進展、共働き世帯の増加、地域のつながりの希薄化など、家庭を取り巻く環境が多様化する中で、 特に心身の負担の大きい妊娠・出産・子育て期は不安感や孤立感を抱えやすい傾向があります。 妊娠期から出産・子育て期まで切れ目なく身近な場所で相談ができ、安心して出産・子育てができる環境の さらなる充実と、よりきめ細やかな寄り添ったサポートが求められています。 依然として児童虐待等の通告件数は増加し続けています。児童虐待対応は、区の子ども家庭支援センターによる 地域に根差した寄り添い支援と、東京都の児童相談所による広域的・専門的な支援の緊密な連携が重要です。 令和2年7月に区子ども家庭支援センターに都区合同で設置した「練馬区虐待対応拠点」により、 都区の実態に即した連携が強化され、虐待発生時の速やかな合同訪問や一時保護等につなげるなど大きな成果を上げてきました。 都は令和6年度に(仮称)東京都練馬児童相談所を、区の子ども家庭支援センターと同一施設内に設置します。 子どもを虐待から守るため、都区の緊密な連携をさらに深め、児童相談体制を強化する必要があります。 また、児童虐待対応件数の増加など、子育てに困難を抱える家庭がこれまで以上に顕在化してきている状況等を踏まえ、 子育て世帯に対する支援を行うための体制強化等が求められています。 ・5年間の取組 1 妊娠から子育てまでの切れ目のない支援【新規・充実】 (1)不安感や孤立感の解消に向けた相談支援の実施 子育て世帯が気軽に相談や問合せができるよう、オンラインやチャットボットによる案内を実施します。 よりきめ細かな支援を行うため、出産や育児に不安感や孤立感を抱えやすい妊娠8か月の時期の相談に加え、 新たに、生後2か月を迎える時期にグループ相談や個別相談を実施するとともに、1 歳を迎える時期の相談体制を強化します。 (2)産後ケア事業の充実 出産直後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行う産後ケア事業はニーズが高まっており、利用者数も年々増加しています。 産後ケア実施施設数の拡充および利用者負担額の軽減を行います。 2 児童相談体制「練馬区モデル」の強化【充実】 (1)迅速かつ一貫した児童虐待への対応強化 (仮称)東京都練馬児童相談所設置後は、都区合同のケース検討会議や虐待通告に基づく家庭訪問等が随時可能となります。 広域的・専門的機能である一時保護や児童養護施設入所などの法的対応もさらに的確・迅速に行えます。 都区の緊密な連携をさらに深めていきます。 (2)子ども家庭支援センターの体制強化 子どもの特性にあった関わり方を助言し、虐待の未然防止、再発防止を図るため、都児相職員と連携し、 区心理職による保護者支援を拡充します。 また、都区が連携して対応した困難事例や、都の一時保護解除後の地域生活を見据えた支援事例を題材とした演習など、新たな研修を実施し、人材育成を図ります。 (3)ショートステイ事業の充実 保護者の疾病・出産・就労や育児不安などにより、家庭で養育することが一時的に困難な時に子どもを宿泊で預かる子どもショートステイを充実します。 また、子どもの養育方法や関わり方について支援が必要な親子が一緒に入所できる親子入所型ショートステイを新たに実施します。 戦略計画3 学齢期の子どもや若者の居場所の充実 ・令和10年度末の目標 1 地域・事業者・区の協働により、すべての子どもが安全かつ充実した放課後等を過ごすことができる環境を整備 2 家庭・養育環境に課題がある子どもや、ひきこもり状態等自立への支援が必要な若者に対する相談・支援を強化 ・現状と課題 共働き家庭の増加に伴い、学童クラブの需要は今後も増加が見込まれます。 これまで、学童クラブとひろば事業を一体的に行う「ねりっこクラブ」の実施により、 学童クラブの校内化と定員拡大を実現してきました。 引き続き、全区立小学校でのねりっこクラブ実施に向けた取組などを進め、 学童クラブの待機児童の解消を目指します。 すべての小学生を対象とする「ひろば事業」を充実し、放課後等の居場所への多様なニーズに対応する必要があります。 障害の顕在化等に伴い、特別な配慮が必要な児童が増えているため、学童クラブの障害児受入れ枠の拡大が必要となっています。 また、保護者からの要望等を踏まえ、学童クラブの利便性向上に向けた取組が必要となっています。 児童福祉法が改正され、学齢期の子どもたちに学校や家庭以外の安全・安心な居場所を提供し、支援していくことが求められています。 ひきこもり状態等にある方を対象に、居場所を提供するとともに相談や自立への支援を春日町青少年館で行っています。 就労の意欲が高まった方には、就労支援へつなげるとともに、定着に向けて支援を行っていく必要があります。 ・5年間の取組 1 ねりっこクラブの全区立小学校での実施【充実】 ねりっこクラブを全区立小学校で実施し、学童クラブの定員を拡大します。 また、学童クラブとひろば事業の一体的な運営のメリットを活かし、ねりっこ学童クラブの待機児童を対象に、 区独自の待機児童対策「ねりっこプラス」を実施します。 2 ひろば事業の充実【充実】 ねりっこクラブ実施小学校の児童であればだれでも利用できる放課後の居場所「ねりっこひろば」で、 1年生の利用開始時期の前倒しや冬期の終了時刻の延長を実施します。 3 障害児および医療的ケアが必要な児童の受入れ体制の充実【新規・充実】 近隣に児童館内等学童クラブが無く、特別支援学級(固定級)のある小学校内のねりっこ学童クラブで、障害児受入れ枠を拡大します。 医療的ケア児への新たな支援方針に基づき、医療的ケアが必要な児童の学童クラブでの受入れを引き続き実施します。 4 学童クラブのICT 化【新規】 これまで連絡帳や「おたより」で行っていた保護者と学童クラブとの連絡を、スマートフォン等で行えるようにします。 また、保護者が、場所や時間を選ばず、スマートフォン等から入会申請手続きを行えるようにします。 5 学齢期の子どもたちの居場所の支援 【充実】 学校や家庭以外の居場所を確保するため、児童館の日曜・祝日の開館、平日の開館時間を拡大します。 児童館と子ども家庭支援センターや学校教育支援センター等との連携を強化し、家庭・養育環境に課題のある中高生への支援を充実します。 6 若者自立支援事業の充実【充実】 若者自立支援事業により就労された方を招いたセミナーを行うなど、就労に向けた支援プログラムを充実します。 就労にあたっては、マッチング支援や職場体験等の支援を行うとともに、職場への定着もサポートします。 戦略計画4 夢や目標を持ち困難を乗り越える力を備えた子どもたちの育成 ・令和10年度末の目標 児童生徒一人ひとりに応じた、きめ細かな指導や支援により、夢や目標を持ち、困難を乗り越える力を備えた子どもを育成 ・現状と課題 子どもたちが困難を乗り越え、様々な課題を解決するためには、基礎的・基本的な知識や技能を確実に身に付けるとともに、 考える力、判断する力、表現する力を育成することが重要です。 全児童生徒へのタブレットパソコンの配備が完了し、ICT 機器を活用した授業は着実に定着しています。 デジタル教科書の導入等を見据え、より効果的な授業が行えるよう、教育内容、通信環境を強化充実していく必要があります。 各学校へのサポート人材の配置、学校徴収金管理システムや出退勤システム導入、部活動指導員の配置拡充などにより、 教員の働き方改革に努め、一定の成果は上げてきましたが、依然として教員の負担は重く、なり手不足も大きな課題となっています。 引き続き勤務状況の改善に取り組む必要があります。 学校現場では、これまでも地域の多様な人材との連携により教育活動を展開してきました。 学校を拠点として、防災や青少年育成など、様々な地域活動が行われていますが、活動の担い手が重複している、 担い手が不足しているといった課題を抱えており、見直しが必要となっています。 特別な支援を必要とする児童生徒は増加傾向にあります。障害の重複や医療的行為など必要な支援も複雑化・多様化しており、 取組を強化していく必要があります。 また、不登校児童生徒やヤングケアラーなど、一人ひとりの状態に応じたきめ細かな支援を行っていく必要があります。 現在、児童生徒数はピーク時の約6割まで減少しており、今後も長期的に減少していく見込みです。 過小規模校では交友関係が固定しやすく多様なものの見方・考え方に触れる機会が少なくなる、 過大規模校では教室や部活動の活動場所に余裕がなくなるなど様々な課題があります。 また、築60 年を迎え、長寿命化改修か改築が必要となる学校が多数あります。 将来を見据え、改築計画と整合した適正配置の考え方が必要となります。 ・5年間の取組 1 ICTを活用した教育内容の充実・校務のデジタル化【充実】 通信環境を強化しICTを活用した教育効果の高い授業を実施します。 また、ICT支援員を活用し、実践的な授業支援や校内研修、各校におけるICT活用推進リーダーの育成を行い、 教員全体のICT 活用能力を高めます。デジタル採点システムや保護者との連絡ツール活用、教員用端末の校務環境最適化、 会議等のオンライン活用、指導要録等の電子化を実施します。 2 教員の働き方改革【充実】 引き続き、副校長補佐等のサポート人材の配置拡充を進め、サポート人材を対象とした研修会の実施等により、 各校でより効果的な活用が図れるようにします。 また、中学校部活動の地域移行に係る検討会議を立ち上げ、国や都の動向を踏まえ、部活動のあり方の見直しを図ります。 3 学校を拠点とした新たな地域連携の仕組みづくり【充実】 小学校2校、中学校1校を学校運営協議会の実証校に位置付け、実践的な研究と検証を行いました。 実証校による実証結果や国や都の動向を踏まえ、学校運営協議会制度を段階的に導入します。 4 支援が必要な子どもたちへの取組の充実【新規・充実】 (1)特別支援教育、医療的ケア児への支援の充実 区の特別支援教育にかかる新たな方針を策定し、多様化するニーズへの対応や教育内容の向上など、 特別支援教育の充実に必要な具体的な取組を検討します。 また、医療的ケア児への新たな支援方針に基づき、医療的ケアが必要な児童生徒の受入れを引き続き実施します。 (2)不登校対策の充実 児童生徒の不安や悩みを早期発見する体制を強化するほか、ICTを活用した学習支援の推進など、多様な支援を実施します。 (3)ヤングケアラーへの支援の充実 区立学校での実態把握を行い、ヤングケアラーの発見、啓発を引き続き行います。 また、スクールソーシャルワーカーの学校訪問を増やし、学校との連携を密にします。 今後も相談支援体制の充実を検討し、個々の状況に合わせ、福祉・教育・子育て等の関係者が連携して支援を進めていきます。 5 改築計画と整合した区立学校の適正配置【新規】 今後の児童生徒数の推移等を踏まえ、今年度策定予定の「第二次区立小・中学校および区立幼稚園の適正配置基本方針」に基づき、教育環境の整備に取り組みます。 戦略計画5 高齢者地域包括ケアシステムの深化・推進 ・令和10年度末の目標 介護が必要になっても、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、 医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的・継続的に提供される、 地域包括ケアシステムを深化・推進 ・現状と課題 団塊世代の全ての方が後期高齢者になる令和7年に向けて、地域包括ケアシステムの中核を担う 地域包括支援センターの増設・移転を進め、27 か所体制を整備しました。 今後も、団塊ジュニア世代の方が高齢者となる令和22年を見据え、 高齢者人口の将来推計や地域の人口バランスを考慮し、増設・移転を検討していく必要があります。 令和22 年には、ひとり暮らし高齢者は約9 万人、高齢者の2人に1人がひとり暮らし高齢者となり、 認知症高齢者も増加する見込みです。介護サービス事業者に加え、NPO 等の地域活動団体との協働を更に推進し、ひとり暮らし高齢者等を支えていくことが必要です。 介護施設の整備を着実に進めてきた結果、特別養護老人ホームは都内最多の施設数となっており、入所待機の状況は大きく改善されています。 一方、施設老朽化への対応が新たな課題となっています。 住み慣れた地域での在宅生活の継続を希望する方を支えるため、医療と介護の基盤整備に引き続き取り組んでいく必要があります。 介護分野では求人倍率・離職率が他産業と比較して高く、慢性的に人材が不足しています。 質の高い介護サービスを安定的に提供するため、介護人材の確保・育成・定着支援を強化していく必要があります。 ・5年間の取組 1 高齢者の生活を支えるコーディネート力の強化【充実】 高齢者をよりきめ細やかに支えるため、令和6年度から、日常生活圏域を4地区から地域包括支援センターに合わせて27地区とします。 支援が必要な高齢者を地域で活動している団体等へつなぐ生活支援コーディネーターを、各地域包括支援センターに1名ずつ配置し体制を強化します。 今後も、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯等を、より身近で利用しやすい窓口で支援できるよう、 高齢者人口の将来推計や地域の人口バランスを考慮しながら、地域包括支援センターの増設、区立施設等への移転を進めます。 2 認知症高齢者や家族介護者への更なる地域支援の充実【新規・充実】 地域包括支援センターに加え、認知症高齢者グループホーム等においても本人や家族への相談を行うなど、 介護サービス事業者と連携し、支援体制を強化します。認知症高齢者等を介護する家族の身体的負担を軽減するため、 三療師会との連携により、家族介護者への支援を拡充します。 3 介護保険施設等の整備【新規・充実】 特別養護老人ホームは、ショートステイなど既存資源の転換等により定員数の確保を図ります。 また、老朽化に伴う大規模改修等に対する支援策を検討します。 練馬光が丘病院跡施設において、令和7年度の開設を目指し、区内初となる介護医療院の整備を進めています。 特別養護老人ホームで受入れ困難な方が円滑に入所できる仕組みづくりを進めます。 都市型軽費老人ホームは、利用状況や待機者数、ひとり暮らし高齢者数等の推計を踏まえ、整備を進めます。 4 在宅生活を支える医療と介護サービス基盤の整備【充実】 地域密着型サービスは、医療・介護双方のニーズを有する高齢者や認知症高齢者の増加が見込まれるため、適切なサービス供給量の確保に向けて整備を行います。 また、介護サービス事業者連絡協議会との協働等により、更なる普及啓発に取り組み、利用の促進を図ります。 5 介護人材の確保・育成・定着【新規】 練馬光が丘病院跡施設において、令和7年度の開設を目指し、介護福祉士養成施設の整備を進めています。 卒業生が区内介護サービス事業所に就職し、定着することを誘導する仕組みを検討します。 戦略計画6 元気高齢者の活躍と健康づくり・フレイル予防の推進 ・令和10年度末の目標 多くの高齢者が就労・地域活動等で活躍できる場の提供と、一人ひとりのライフスタイルに合った健康づくり・フレイル※予防に取り組める環境の整備 ・現状と課題 区内の高齢者の約8割は要介護認定を受けていない、いわゆる「元気高齢者」であり、地域の担い手として様々な場面での活躍が期待されています。 意欲のある高齢者が働き続けられる場や地域活動に参加できる場の提供をさらに進める必要があります。 高齢者が住み慣れた地域で、孤立せずに暮らし続けるためには、人と人とのつながりが重要です。 特に、高齢の男性は孤立しやすい傾向にあります。身近な地域で交流や相談等ができる通いの場の充実が必要となっています。 一方、近年スマートフォンを活用し、インターネットでの情報収集やSNS で友人・家族との交流を楽しむ高齢者が増えています。 デジタル技術を活用した健康づくりやフレイル予防等の新たな取組を進めていく必要があります。 また、民間通話会社による3G サービスが令和8年に全て終了する予定であり、いわゆる「ガラケー」の大部分が利用できなくなるため、 スマートフォンへの移行を支援する取組が必要です。 健康に課題を抱える高齢者を医療・健診・介護等のデータから把握し、個別訪問などにより支援する「高齢者みんな健康プロジェクト」などの 取組を進めてきました。重症化予防に向け、今後も生活習慣の改善をきめ細かく支援していくことが必要です。 ※フレイル …老化により心身機能の活力(筋力や認知機能など)や、社会的な活力(人との交流など)が低下し、要介護になる危険性が高まっている状態 ・5年間の取組 1 元気高齢者の活躍の場を拡大【充実】 高齢者が長年培ってきた知識や経験を活かして、様々な場面で活躍できるよう、就職先や地域活動などを紹介し、希望に沿った社会参加に繋げます。 元気高齢者が特別養護老人ホームなどで清掃や洗濯等の補助業務を行い、介護職員の負担軽減を図っています。 今後、デイサービスセンターなどの小規模事業所が利用しやすい仕組みづくりを進め、就労の場を拡大します。 シルバー人材センターと連携して、シニアのスマホ相談員を養成し、町会・自治会や街かどケアカフェ等へ派遣します。 2 街かどケアカフェの充実【充実】 交流・相談・介護予防の拠点となる「街かどケアカフェ」を多様な地域団体との協働や区立施設の機能転換等により増設します。 3 スマホアプリ「フィット&ゴー」を活用したフレイル予防の充実【充実】 60 歳から自らフレイル予防に取り組めるアプリ「フィット&ゴー」を充実します。 フレイル推定AI を搭載し、一人ひとりの興味関心に合ったイベントや介護予防事業の情報を発信し、社会参加や健康づくりの後押し、 孤独になりがちな高齢者の外出・交流のきっかけとします。 4 デジタル格差解消を目指した取組の推進【充実】 スマホ教室を短期集中的に実施し、高齢者のデジタル格差の早期解消を目指します。 高齢者がスマートフォンの基本操作等を気軽に相談できるよう、はつらつセンターにスマホ相談窓口を設けます。 5 高齢者みんな健康プロジェクトの拡充【新規・充実】 保健師等の専門職を増員し、ハイリスク高齢者への個別支援を強化します。 また、練馬区薬剤師会との連携により、「多剤服薬」等の方を対象に、服薬指導・健康相談を個別訪問や薬局窓口等で実施します。 戦略計画7 障害者が地域で暮らし続けられる基盤の整備 ・令和10年度末の目標 障害者が住み慣れた地域のなかで、自立して暮らし続けることができるよう、障害特性に応じた住まい・日中活動・就労・意思疎通の支援や 障害福祉サービス等、障害者のライフステージに合ったサービスを充実 ・現状と課題 障害者一人ひとりの自立した地域生活を支えるため、障害の特性に応じた就労の支援や通いの場の整備、重度障害者のグループホームの増設や 医療的ケアに対応したショートステイの整備、「練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例」の制定などに取り組んできました。 一方、障害者の重度化・高齢化、家族の高齢化が進んでいます。医療の進歩により、医療的ケアが必要な方も増加しており、 住まいや通いの場、ショートステイなどが不足しています。令和3年6月に成立した医療的ケア児支援法の 理念を踏まえ、どんなに障害が重くても、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、医療的ケアが必要な方への支援の充実が必要です。 障害者の法定雇用率の上昇に伴い、就労する障害者が増加する一方、就労の定着が大きな課題となっています。 離職を防止するため、本人や雇用する企業に対する支援を充実することが必要です。 障害者を支える家族から、介護負担の軽減を望む声や、発達障害児の子育てに関する悩みなどが多く寄せられています。 就労をしながら障害者を支える家庭も増加しており、家族支援の充実が必要です。 精神的な障害に加え、ひきこもりや8050 問題など複合的な課題を抱える世帯が増加しています。 事態が深刻化する前に早期に発見し、地域で支えていくための仕組みづくりが必要です。 ・5年間の取組 1 重度障害者への支援の充実【充実】 介護者の急病等の緊急時にも24 時間対応できる相談体制とショートステイを備えた多機能型地域生活支援拠点として、 旧石神井町福祉園用地に重度障害者に対応したグループホームを誘致します。 2 医療的ケアが必要な方への支援の充実【充実】 医療的ケアが必要な障害者やその家族の地域生活を支えるため、新たに取得した三原台二丁目用地に、 通いの場や家族支援などの機能を備えた多機能型の施設を誘致します。 医療的ケア児の家族が身近な地域で相談ができるよう、医療的ケア児等コーディネーターによる相談支援を拡充します。 3 重度化・高齢化対応と日中活動後の支援の充実【充実】 障害者の重度化・高齢化に対応するため、区立福祉作業所を民営化する際に、生活介護事業を開始します。 また、就労している家族や介護家族を支援するため、福祉園等の利用時間の延長や移動支援の充実に取り組みます。 4 就労支援の充実【新規・充実】 障害者就労支援センター(レインボーワーク)の体制を強化し、障害者の就労定着を支援します。 障害が重度であっても就労できるよう、介護者が通勤や勤務時間中の支援を行う重度障害者等就労支援事業を開始します。 障害者施設の自主生産品の販路の拡大に向けて、電子決済の導入などICT化の支援を行い、工賃向上を図ります。 農業者との連携により、農作業の作業種目の拡大について検討し、農福連携の取組を推進します。 5 障害特性に応じたきめ細やかな対応【新規・充実】 買物などの日常生活場面において積極的に声をかけることができるコミュニケーションサポーター養成研修を拡大して実施します。 また、手話を紹介する動画を作成するなど、手話言語の普及に取り組みます。 ペアレントトレーニングを開始するなど、発達障害児やその家族への支援を強化します。 また、障害児の兄弟姉妹がいる子どもたち同士の交流の場を創設し、不安解消や障害への理解に取り組みます。 ひきこもり、8050 問題など支援につながりにくい世帯に対する訪問支援体制を強化するとともに、 当事者の立場から相談に応じるピアサポーターを養成し、精神に課題を抱える方の地域生活を支援します。 戦略計画8 ひとり親家庭や生活困窮世帯等の自立を応援 ・令和10年度末の目標 誰もが、誇りを持って生活できるよう、ひとり親家庭や生活困窮世帯等の自立に向けた、きめ細かな支援を充実 ・現状と課題 相対的貧困率が高いひとり親家庭を対象に、生活・就労・子育ての3つの支援を組み合わせて提供する ひとり親家庭自立応援プロジェクトを平成29 年度から開始し、23 区で最も多くの事業を実施しています。 非正規就労の割合の高いひとり親家庭は、物価上昇などの影響を大きく受けており、更なる支援の充実が必要です。 コロナ禍において区は、生活相談コールセンターの設置、ひとり親家庭臨時特別給付金の支給、 生活サポートセンターの相談支援員の増員など、生活保護に至る前の支援を機動的に実施してきました。 新型コロナによる休業や失業等により、収入が減少した世帯を対象とした生活福祉資金特例貸付の償還が始まること等に伴い、 生活困窮者の増加が見込まれます。特例貸付利用者の8割が20 代から50 代です。 円滑に生活サポートセンターなどの支援につなぐため、相談支援体制の強化が必要です。 増加する生活保護受給世帯の自立支援を強化するため、ケースワーカー等を着実に増員してきました。 早期の自立に向けてケースワーカーと就労サポーター等が連携した就労支援体制の充実が必要となっています。 生活困窮、性暴力、性犯罪被害、家庭関係の破綻などの課題を抱える若年女性に対し、 都女性相談センターなどと連携した支援を行っています。令和6年4月に予定されている困難女性支援法の施行を見据え、 民間団体と連携した若年女性支援の強化が求められています。 ・5年間の取組 1 ひとり親家庭自立応援プロジェクトの深化【新規・充実】 令和4年度に実施したひとり親家庭ニーズ調査の結果を踏まえ、家賃負担を軽減するため、 低廉な家賃の住居への転宅を希望する世帯に対し、引っ越し費用や敷金・礼金など転居に要する費用を助成します。 子育てや家事などの支援ニーズにきめ細かく対応できるよう、ひとり親家庭ホームヘルプサービスを充実します。 早期に区のひとり親支援策につなぐため、離婚前後の親を対象とした支援講座を実施します。 養育費確保に向けた更なる支援として、ADR(裁判外紛争解決手続)利用支援事業を充実します。 2 生活困窮者への支援体制の強化【新規・充実】 生活にお困りの方の相談窓口である生活サポートセンターで、オンライン相談を開始します。 また、石神井再開発ビル内に生活サポートセンターを新たに設置します。 円滑に支援につながるよう、生活保護制度に関するAI チャットボットを実施します。 3 生活保護受給世帯に対する自立支援の充実【充実】 生活保護の新規受給世帯の増加に対応し、きめ細やかなサポートを行うため、今後も適正なケースワーカーの人員を確保します。 「就労自立の促進」「生活自立の促進」「次世代育成支援」「適正支給の強化」を4つの重点項目として、生活保護受給世帯の自立支援に取り組みます。 特に、就労自立については、求人開拓・事業者とのマッチング・就労定着支援を行う就労サポーターを増員するとともに、 ケースワーカー、ハローワーク等が連携して、生活困窮から生活保護に至るまで、切れ目のない支援を実施します。 4 若年女性への支援の強化【新規・充実】 困難な問題を抱える女性が、それぞれの意思が尊重されながら最適な支援を受けられるようにするため、 困難女性支援に関する基本計画を策定し、支援調整機能の強化や居場所事業等を実施します。 戦略計画9 誰もが安心して生活できる地域福祉の推進 ・令和10年度末の目標 子ども・障害者・高齢者・生活困窮者など、誰もが住み慣れた地域で安心して生活ができるよう、福祉の各分野を超えた支援体制を構築 ・現状と課題 子育て、高齢者介護、生活困窮などの悩みには複合的なものが多く、誰にも相談できずに困っている方々がいます。 地域でのつながりが希薄化するなか、コロナ禍での外出抑制などの影響が重なり、社会的な孤立が顕在化し、事態は深刻化しています。 「子ども」「障害者」「高齢者」「生活困窮者」など、施策の対象ごとに構築してきたこれまでの福祉制度と、 複雑化する支援ニーズとの間にギャップが生じています。 複合的な課題を抱える世帯の孤独・孤立を防止するためには、区民や地域団体、民間事業者、NPO 法人等との協働により支援する必要があります。 増加する認知症高齢者や、障害者等が尊厳ある生活を継続できるようにするため、成年後見制度や権利擁護事業を更に利用し易くする必要があります。 全国の検挙人員に占める再犯者数の割合は上昇傾向にあります。出所者等の中には、様々な生きづらさを抱え立ち直りに多くの困難を抱える者が 少なくありません。安定した生活基盤の確立に向けた支援を行うことで再犯を防止していく必要があります。 ・5年間の取組 1 地域活動の推進【充実】 地域で活動してみたいと考える区民を幅広い分野の活動へとつなぎ、地域を支える担い手を広げていきます。 また、生活支援コーディネーターを27 か所の地域包括支援センターに1名ずつ配置し、 地域で活動する団体等へ元気な高齢者等をつなげる体制を強化します。 2 重層的な支援体制の充実【充実】 複合的な課題に対する支援ニーズへの対応を強化するため、令和5年度から開始したアウトリーチ型の支援や社会参加に向けた 居場所支援などの重層的な支援を、区内全域で展開します。 (1)アウトリーチ型支援等の充実 地域福祉コーディネーターを増員し、区内4か所の「ボランティア・地域福祉推進センター(コーナー)」に配置します。 区民や地域団体から地域で気になる方などの情報を収集し、個別訪問を実施するほか、相談に応じ、適切な支援につなげます。 (2)社会参加に向けた居場所支援の充実 長期間ひきこもり状態にある方等の社会参加のきっかけづくりとなるよう、居場所提供から就労準備・職場定着支援まで行う 「あすはステーション」を区西部地域に増設します。 3 権利擁護支援事業の充実【新規・充実】 権利擁護センターに終活相談窓口を設置し、把握したニーズや課題の分析を行い、身寄りのない高齢者等へのサービスの充実に取り組みます。 また、後見人候補者の選択肢を増やし適切な後見人が選任されるよう、法人後見を実施する団体への人的・財政的支援を充実します。 4 再犯防止を推進するための取組【充実】 就労・住居の確保や福祉サービスの提供などにより、出所者等の社会的な孤立を防ぐとともに社会復帰を支援するため、 再犯防止推進計画を次期地域福祉計画に位置付け、継続的に支援に取り組みます。 戦略計画10 安心して医療が受けられる体制の整備 ・令和10年度末の目標 今後の更なる高齢化の進展を見据え、入院から在宅に至るまで、切れ目なく本人の状態に応じた医療が受けられる体制を整備 ・現状と課題 区民の命と健康を守るため、病床整備に積極的に取り組んできました。令和4年度には、順天堂練馬病院が、 重篤な救急患者に対して高度な医療を総合的に提供する三次救急医療機関に指定されたほか、 練馬光が丘病院は、移転・改築により大幅な増床とともに、医療機能を拡充しました。 増加する高齢者を支える回復期病床や慢性期病床の整備も進んでいます。 今後、更なる高齢化に対応するため、練馬光が丘病院跡施設を活用した医療・介護の複合施設の整備を着実に進めていく必要があります。 新型コロナウイルス感染症の拡大時には、医療提供体制が逼迫するなど様々な課題が顕在化しました。今後想定される大規模災害や感染症の拡大等に備えて、 更なる医療提供体制の強化と医療施設の充実を図る必要があります。 脳卒中の後遺症などで長期療養が必要になった場合、高齢者の約5割は在宅療養を希望しており、 今後、訪問診療や在宅看取りの需要は更に高まると見込まれます。 住み慣れた自宅で安心して医療を受けられるよう、かかりつけ医を中心とした在宅医療の提供体制を充実していくことが求められています。 区民自身が望む医療や介護を選択できるよう、医療や介護を含めた療養生活について早い段階から考え、 家族や関係者と共有する取組を普及啓発していくことが重要です。 ・5年間の取組 1 練馬光が丘病院跡施設における複合施設の整備 医療・介護の複合施設の整備を進め、令和7年度の開設を目指します。医療分野では、地域包括ケア病床および療養病床に加え、 区内初となる緩和ケア病床を有する157 床の病院を整備します。 2 災害時や感染症拡大時に備えた医療体制の整備【充実】 順天堂練馬病院の新病棟整備を支援し、災害時の応急処置等の対応スペースや備蓄物資等の保管場所、 感染症拡大時における感染症患者の隔離スペース等を確保するとともに、増床に向けた調整を進め、医療提供体制の強化を図ります。 3 新たな病院整備の検討 練馬区医療施策検討委員会からの提言を踏まえ、区内の病院配置状況を考慮しながら、 今後の医療需要等を見据えた医療機能を有する新たな病院の誘致を目指します。 4 在宅医療提供体制の充実【充実】 練馬区医師会医療連携・在宅医療サポートセンターと連携し、在宅医療を行う医療機関の休日夜間診療を支援するモデル事業を実施します。 あわせて他科連携支援体制の検討を行います。 また、福祉関係機関と連携して相談支援時にACP(人生会議)※や在宅療養の仕組みについて周知を進めます。 医師会、薬剤師会や消防署等の関係機関とも連携し、ACP の普及啓発に取り組みます。 ※ ACP…Advance Care Planning(人生会議)の略。もしものときのために、医療やケアについて前もって考え、     家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組のこと 戦略計画11 身体とこころの健康づくりを応援 ・令和10年度末の目標 区民一人ひとりが健康的に仕事や子育て、趣味などに取り組んでいけるよう身体とこころの健康づくりを応援する取組を充実 ・現状と課題 運動不足、栄養の偏りや不規則な食事による肥満などが原因と考えられる生活習慣病が増加しています。 これまで、健康管理アプリ「ねりまちてくてくサプリ」の開発・提供や小・中学校への健康教育に関する出張講座など、 区民の健康づくりに向けた取組を進めてきました。 引き続き健康に関心が薄い方など幅広い層に対し、生活習慣を改めることができるよう、本人が無理なく健康な行動を取れるような環境づくりが必要です。 健康であり続けるためには、病気の予防や早期発見、早期治療が重要ですが健康診査、がん検診の受診率は、 目標の50%を下回っている状況です。これまで、様々なツールを用いた健診(検診)受診勧奨や、 自分が対象の健診(検診)が一目でわかる受診券のチケット化などの取組を進めてきました。 引き続き、受診率向上に向けた取組を強化していくことが必要です。 日本人の2人に1人は生涯でがんに罹患しています。がん患者の多くの方が治療と仕事や子育てなどを 両立して日常生活を過ごしています。がん患者とその家族の生活の質が向上する支援に取り組みます。 区の自殺者は年々減少傾向にありましたが、コロナ禍において一時的に増加しました。 自殺防止に向けて、こころの健康問題を抱える方等の支援体制を強化する必要があります。 ・5年間の取組 1 区の特色を生かした健康づくり【充実】 区内の自然や区の魅力を感じながらウォーキングができるよう、健康管理アプリ「ねりまちてくてくサプリ」のコースを拡充します。 また、ねりまならではの新鮮な農産物を活用して、食について学び・体験する機会を設けるとともに、 食育応援店や大学などとの協働による食育を推進します。 2 健診等の受診促進【充実】 健診(検診)を受ける行動を後押しするナッジ理論を用いた案内を実施します。 高血圧など重大な疾病につながる危険性の高い方で医療機関未受診の方に対して、健診のデータを活用し、医療機関を速やかに受診するよう個別勧奨を実施します。 3 がん対策の推進【新規・充実】 練馬区医師会や医療機関の協力のもとで、健康診査と複数のがん検診を同時に受診できる医療機関を拡充します。 がん患者等ニーズ調査の結果やがん患者等支援連絡会の意見を踏まえて、がんに関する相談先や支援策等の周知・啓発を図るとともに、 要望の多いウイッグ等購入費用の助成を開始します。 4 こころの健康問題を抱える方等への支援【新規・充実】 NPO 法人と連携した相談支援や、LINE やアプリ等により広く情報を発信し、適切な相談窓口につなぎます。 また、区内の経営者等向けのメンタルヘルスケア講座や、高校生を対象とした若年ゲートキーパー(自殺防止対策の要となる人材)の 養成講座を実施します。三次救急に指定された順天堂練馬病院と連携し、保健師・地域精神保健相談員が自殺未遂者やその家族の相談に応じ、支援します。 戦略計画12 地域の災害リスクに応じた「攻めの防災」 ・令和10年度末の目標 地域ごとに異なる災害リスクに応じた「攻めの防災」を進め、地震・火災や風水害による被害を軽減し、 「災害に強く、逃げないですむまち」の整備を推進 ・現状と課題 区内には、老朽木造住宅が密集し、狭あいな道路が多く、地震発生時に建物倒壊や延焼の危険性が高い地域が存在します。 これまで、こうした地域を対象に、密集住宅市街地整備促進事業や区独自の防災まちづくり推進地区の指定などに取り組んできました。 引き続き、地域特性に応じて、建築物の耐震化・不燃化、避難や消火・救助活動に必要な道路の整備などの取組を積極的に進めていく 必要があります。 令和4年5月に東京都が10 年ぶりに更新した「首都直下地震等による東京の被害想定」では、 区内の建物倒壊等の想定棟数は減少した一方、消火困難な火災が28 件発生し、約11,000 棟が焼失する想定が示されました。 被害を防止するためには、地震発生時に建物倒壊や延焼の危険性が高い地域における出火防止対策を推進するとともに、 初期消火力を強化していく必要があります。区内の中高層住宅の居住者の割合は45%(令和2年)で、増加傾向にあり、 中高層住宅特有の防災課題への対策を進めていく必要があります。 「練馬区総合治水計画」に基づき、公園など公共施設への雨水貯留浸透施設の設置や、民間施設への設置助成などの 流域対策の強化に取り組んできました。一方、全国的に記録的な豪雨が毎年のように発生しています。 気候変動による豪雨の頻発化・激甚化を踏まえ、更なる治水対策を進めていく必要があります。 要介護高齢者や障害者など自力で避難することが困難な方が災害時に円滑に避難できるよう、実効性の高い安否確認や 避難支援の体制を構築する必要があります。 災害の被害を最小限に抑えるには、区民一人ひとりの防災意識を高めるとともに、 区民の行動変容につながる周知・啓発に取り組む必要があります。 ・5年間の取組 1 地震・火災に対する防災まちづくりの推進【充実】 密集住宅市街地整備促進事業実施地区や防災まちづくり推進地区において、地域住民への丁寧な周知啓発に取り組み、 引き続き、道路拡幅、建築物の不燃化、危険なブロック塀等の撤去など、災害に強いまちづくりを推進します。 これまで耐震化を進めてきた特定・一般緊急輸送道路沿道建築物に加え、地域輸送道路※1沿道建築物の耐震化について 検討していきます。また、新耐震基準の住宅のうち、いわゆる2000 年基準※2を満たさない木造住宅の耐震化を促進します。 2 出火防止対策および初期消火力の強化【新規】 地震発生時に延焼の危険性が高い地域の木造戸建て住宅を対象に、感震ブレーカーを無償で貸与します。 また、区立施設やコンビニなどの街頭に、消火用スタンドパイプを設置します。 令和5年度に購入した防災訓練車を活用し、地域で積極的に初期消火訓練を展開していきます。 3 中高層マンション防災対策の推進【新規】 居住者の自助・共助意識を向上させ、在宅避難が可能となるよう、「中高層住宅の防災対策ガイドブック」を全面改訂し、 中高層マンションを対象に全戸配布します。防災会の組織化や防災マニュアルの作成などのマンション防災会の活動支援を行います。 さらに、応急給水栓やマンホールトイレの整備費用を補助します。 4 水害への対策(河川、下水道の早期整備および流域対策の推進) 降雨による浸水被害を防止するため、河川および下水道の早期整備を東京都に要請するとともに、 公共・民間施設への雨水貯留浸透施設の設置による流域対策を進めます。 都は、気候変動の影響を踏まえた新たな豪雨対策について検討を進めており、その結果を踏まえて練馬区総合治水計画を見直します。 5 避難行動要支援者対策の推進【新規・充実】 避難行動要支援者が「どこへ」「だれと」避難するかを明確にする個別避難計画の作成を進めるとともに、 避難行動要支援者名簿や個別避難計画を活用した、より実効性の高い訓練を実施します。また、要介護高齢者や障害者など 配慮を要する方の福祉避難所への直接避難を検討します。 6 区民の行動変容につながる周知・啓発【充実】 在宅避難への備えなど、具体的な行動につながる契機となるよう、「防災の手引」を全面改訂し、全戸配布します。 地域の災害リスクや防災情報をまとめた地域別防災マップを、水害リスクの高い未作成地区で地域住民と協働で作成します。 ※1 地域輸送道路…緊急輸送道路から避難拠点や災害時医療関係施設などを結ぶ道路 ※2 2000 年基準…建築基準法の改正により平成12 年(2000 年)6月1日に導入された耐震基準のうち、    木造建築物を対象にしたもの。平成28 年熊本地震では、新耐震基準であっても2000年基準を満たさない木造住宅で被害が発生した。 戦略計画13 みどり豊かで快適な空間を創出する交通インフラの整備 ・令和10年度末の目標 1 質の高い都市空間の創出や交通の円滑化等に資する都市計画道路の整備 2 鉄道空白地域を改善し、区を更に発展させる大江戸線延伸の工事着手 3 交通の円滑化、市街地の一体化により安全で快適なまちづくりに繋げる西武新宿線の立体化の整備促進 4 区民の安全・安心な暮らしや都市活動を支える道路・橋梁の機能保全 ・現状と課題 都市計画道路は、みどり豊かで快適な空間を創出し、交通の円滑化や防災機能の向上に資する重要な交通インフラです。 区内の整備率は、約5割と23 区平均の約66%を下回っており、整備が遅れています。 区は、「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」において、 18.5km を優先整備路線※に位置付け、23 区内で最長規模となる約4.1km(令和4年度末)に事業着手しました。引き続き、着実に整備を進めていくことが必要です。 大江戸線の延伸は、鉄道空白地域を改善し、区が更に発展するために欠かせない事業です。 様々な機会を通じて都への早期事業化の要請や実務的な協議を行うとともに、延伸地域のまちづくりや 新駅周辺での拠点整備の検討を行ってきました。大江戸線延伸推進基金は50 億円まで積み立てています。 都は、令和5年3月に庁内検討プロジェクトチームを設置し、スピード感をもって検討を進めています。 延伸実現に向け、まちづくりを更に推進するとともに、事業全体における経費負担のあり方について検討するなど 区の役割を明確化し、早期の工事着手を促進していくことが必要です。 西武新宿線(井荻駅〜西武柳沢駅間)には区内13 か所の踏切があり、交通渋滞や踏切事故の危険性等の解消には連続立体交差化が有効です。 区民、区議会、区が一体となり、立体化の実現に取り組んできた結果、都市計画決定されました。 今後、早期整備を促進していくことが必要です。 道路等の施設機能を確実に発揮するため、「練馬区橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、橋梁の修繕や耐震補強を実施しています。 今後、架設から概ね50 年を超える橋梁が増えることから計画的な更新が必要です。 ※優先整備路線…都市計画道路のうち、令和7 年度までに優先的に整備すべき路線 ・5年間の取組 1 都市計画道路の整備【継続・充実】 事業中路線の着実な整備や未整備路線の早期事業化に向けた取組を推進するとともに、 第四次事業化計画に続く都市計画道路の整備方針の検討を進めます。 また、都市計画道路等の整備に合わせて無電柱化を推進していきます。 2 大江戸線の延伸【充実】 延伸の早期着工に向け、引き続き都との協議を進めるとともに、公共施設の集約・新設の可能性やバス路線の再編検討など、 旅客需要の増加に繋がる沿線のまちづくりを更に推進します。 また、大江戸線延伸推進基金の効果的な活用方法を検討し、必要に応じて基金の積み増しも実施します。 3 西武新宿線の連続立体交差化 西武新宿線(井荻駅〜西武柳沢駅間)の連続立体交差事業および側道整備事業について、都市計画事業認可を取得し、 工事着手に向け、東京都や鉄道事業者、沿線区市と連携して用地取得等に取り組みます。 また、連続立体交差事業に合わせて、鉄道と交差する都市計画道路等の整備を進めます。 4 道路・橋梁の機能保全 令和4年度に更新した練馬区橋梁長寿命化修繕計画に基づき、コスト縮減や補修費用の平準化、 道路ネットワークの安全性・信頼性の長期的な確保を図るため、橋梁の計画的な更新を実施します。 戦略計画14 人々の移動を支える交通体系の構築 令和10年度末の目標 1 社会経済の変化に対応した持続可能な地域公共交通計画を策定し、利便性を高める新たな交通手段等を導入 2 誰もが安心して快適に移動できる環境の整備に向け、鉄道駅や駅周辺の更なるバリアフリー化を促進 ・現状と課題 区内には、鉄道の駅から遠い地域や、道路整備の遅れ等により路線バスが運行されていない公共交通空白地域※が存在します。 都市交通マスタープラン、公共交通空白地域改善計画に基づき交通施策を推進し、 みどりバス保谷ルートの再編などに取り組んでいますが、解消には至っていません。 バス利用者の減少、人件費や燃料費の高騰およびバス運転士の不足により、バス交通のサービス低下が危惧されます。 各地で新たなコミュニティ交通の取組が進んでおり、地域特性に合った新たな交通手段の可能性の検討が必要です。 また、区内外への相互乗入れが可能なシェアサイクル社会実験を実施しています。 民設民営による本格実施への取組が必要です。 区内全駅には、高齢者・障害者などが円滑に移動できるバリアフリー化された経路が1ルート整備されていますが、 1ルートだけでは利便性を欠く駅について、更なるバリアフリー化が必要です。 また、駅ホームの安全性向上のため、未整備駅へのホームドア整備が必要です。 駅周辺と公共施設までの経路を「アクセスルート」と定め、点字ブロック等のバリアフリー整備を進めています。 今後は、歩道が狭く点字ブロックが設置困難なルートでのバリアフリー整備が必要です。 ※公共交通空白地域…駅から800m以上かつ30分に1便以上のバス停から300m以上の地域 ・5年間の目標 1 新たな地域公共交通計画の策定【新規】 鉄道やバスなどの交通環境、交通分野のICT や新たな交通手段の導入状況、みどりバスの利用実態、 シェアサイクルの普及などを踏まえ、2040年代を見据えた交通体系のあり方を検討します。 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正を踏まえ、従来策定した都市交通マスタープラン、 公共交通空白地域改善計画に代わる新たな地域公共交通計画を策定し、計画の実現に向けた取組を進めます。 2 みどりバスの再編と新たな交通手段の実証実験【新規】 みどりバスのルート再編や、利用者が多い時間帯の増便などに取り組みます。 また、公共交通空白地域の改善に向け、デマンド交通等の新たな交通手段の実証実験などに取り組みます。 3 鉄道駅や駅周辺のバリアフリー化【充実】 鉄道駅における2ルート目のバリアフリー化に向け、光が丘駅では令和6年度の完成を目指してエレベーター設置工事を 着実に進め、小竹向原駅では早期着手に向けて取り組むよう鉄道事業者へ働きかけていきます。 区内各駅におけるホームドアの早期整備に向け、費用の一部を補助するなど、鉄道事業者と連携していきます。 まちづくりの進捗に合わせたアクセスルートの指定・整備を進めるほか、歩道のない道路における視覚障害者等の新たな誘導方法を検討し、 試行整備するなど、駅周辺のバリアフリー化に取り組みます。 戦略計画15 快適な住宅都市を実現するまちづくりの推進 ・令和10年度末の目標 1 大江戸線延伸の早期実現に向けて新駅予定地周辺などのまちづくりを推進 2 連続立体交差事業や都市計画道路の整備などに合わせて、多くの人々でにぎわう駅前空間や、みどり豊かで快適な都市空間を創出 3 住宅の適正管理と有効活用を促進し、安全で快適な住環境を実現 ・現状と課題 大江戸線延伸地域では、導入空間となる補助230号線の沿道すべての地区で地区計画を決定しました。 延伸実現に向け、新駅予定地周辺において、鉄道旅客需要の増加につながる、 多くの人々が集まる拠点機能を備えたまちづくりを更に推進する必要があります。 西武新宿線沿線地域では、連続立体交差事業等の進捗に合わせてまちづくりを進めてきました。 上石神井駅周辺地区では、地区計画の都市計画決定に向けた手続きを進めています。 引き続き、各駅周辺の地域特性を活かしたまちづくりを推進する必要があります。 現在事業中の放射35号線・36号線、外環の2、補助156号線などの道路整備に合わせて 沿道にふさわしい土地利用等に向けた検討を進めています。引き続き、道路整備の進捗を見据えながら、 地域特性を活かしたまちづくりを推進する必要があります。 石神井公園駅周辺では、令和4年10月に再開発組合が設立され、駅南口西地区の市街地再開発事業に着手しました。 再開発事業に合わせて、安全で魅力あるまちづくりを推進しています。 引き続き、にぎわいの創出・利便性の向上、防災力の強化を図るため、地域の拠点となる駅周辺のまちづくりを進めていく必要があります。 建物の老朽化や所有者の高齢化による管理の担い手不足等のために、今後、管理不全な分譲マンションの急増や、 近隣に悪影響を及ぼす戸建て住宅の空き家等の増加が見込まれます。 現状を把握し、管理不全に陥らないよう、適正管理の促進に向けた対応が急務です。 ・5年間の取組 1 大江戸線新駅予定地周辺のまちづくり【充実】 (仮称)大泉学園町駅予定地周辺では、市街地再開発事業や駅前広場の整備計画および公共施設の集約・新設等の検討を進めます。 (仮称)大泉町駅予定地周辺では、駅前広場や地域特性を活かした拠点整備を検討します。 補助230号線・233号線沿道では、地区計画を活用し、地域にふさわしいまちづくりを進めます。 2 西武新宿線沿線のまちづくり【充実】 西武新宿線の連続立体交差化、交差する都市計画道路の整備を推進します。 上石神井駅・武蔵関駅周辺では交通広場の整備を進めるとともに、建築物の共同化を促進し、地区計画を活用したまちづくりに取り組みます。 上石神井駅に隣接する車両留置施設については、再編後の跡地活用を鉄道事業者と協議します。 上井草駅周辺では、近接区と連携したまちづくりを進めます。 3 都市計画道路沿道のまちづくり【充実】 放射36号線、外環の2、補助156号線沿道地区では、都市計画道路の整備に合わせて、地区計画を活用し、 沿道の利便性と周辺環境が調和したまちづくりを進めます。 今後、整備が計画されている都市計画道路沿道についても、周辺のまちづくりを検討します。 4 地域の拠点となる駅周辺のまちづくり【充実】 石神井公園駅周辺では、現在進めている再開発事業の円滑な実施を支援するとともに、南口商店街では地域の皆様と街並み整備を進めます。 中村橋駅周辺では、美術館再整備に合わせた街並み整備を進めます。富士見台駅および桜台駅周辺では、災害に強いまちづくりを推進します。 5 住宅の適正管理と活用の促進【新規】 区内の分譲マンションの管理状況に関する実態調査を実施し、その結果を踏まえ、マンション管理適正化推進計画を策定するとともに、 管理組合への助言・指導を行います。 空き家の老朽度等の実態調査を実施し、空家特措法や民法等の改正を踏まえ、空き家等対策計画を改定します。 管理が不全状態の空き家に対する指導を強化し、周囲に著しい悪影響を及ぼす状態とならないよう適正管理と有効活用を促します。 戦略計画16 練馬のみどりを未来へつなぐ ・令和10年度末の目標 練馬のみどりに満足している区民の割合80%を目指し、みどりのネットワークの形成と区民とともにみどりを守り育てる取組を推進 ・現状と課題 練馬区の魅力は、都心近くに立地しながら、屋敷林や農地、公園などの豊かなみどりに恵まれているところです。 公園や街路樹の整備、樹林地の保全を進めてきた結果、公共のみどりは増加しています。 一方、区のみどりの約4分の3を占める民有地のみどりは、税負担や相続などにより一貫して減少を続けています。 公共のみどりについては、引き続き、みどりのネットワークの拠点となる公園の整備やみどり豊かな軸となる幹線道路の整備、 重要な樹林地の確保を進めていく必要があります。 また、約半数の公園が開園から30年以上経過していることから、計画的な改修を行う必要があります。 民有地のみどりについては、樹林地や大木の所有者の維持管理に係る負担軽減や、地域全体で支える仕組みの強化が求められています。 公共施設の整備や民間の開発事業の際には、一定面積の緑化を義務付け、みどりの創出を図ってきました。 一方、屋上への緑化など区民の目に触れにくいケースや、維持管理が十分にできていないケースなどが見受けられます。 区民が見ることのできる沿道緑化を推進し、みどり豊かな街並みを形成するため、制度を見直し、支援のあり方を検討する必要があります。 公園や花壇、憩いの森の区民管理、ボランティアによる落ち葉清掃など、みどりの活動に関わる区民は増えています。 「みどりのムーブメント」につなげていくためには、さらに多くの区民が関わり、地域に根差した活動へと発展させる必要があります。 ・5年間の取組 1 みどりの拠点となる大規模な公園づくり【充実】 拠点づくりを進める長期プロジェクトとして、稲荷山公園は、事業区域を分けて段階的な整備の検討を進め、 第一期事業認可の取得を目指します。大泉井頭公園では基本計画策定に向けた検討を進めます。 2 既存公園の改修・公園トイレのリニューアル【新規】 各公園の持つ機能や特徴等を踏まえて公園等改修計画を策定し、計画的な改修を進めます。 また、公園のトイレが清潔・快適であることは、公園のみならず練馬区のイメージアップにつながることから、リニューアルに取り組みます。 3 重要な樹林地などの保全【充実】 みどりの軸沿いの樹林地や良好な屋敷林など希少な樹林地は、都市計画緑地の指定を進めます。 また、保護樹木などの所有者の負担軽減と適切な剪定を促進するため、補助を拡充します。 4 地域ぐるみでの沿道緑化の推進【充実】 道路から見えるみどりを増やすため、沿道緑化を誘導する緑化基準へと見直します。 また、みどりの協定制度の見直しなどを行い、緑化から管理までサポートする仕組みを検討します。 5 みどりを育むムーブメントの輪を広げる【充実】 区民が気軽に参加できる活動として、引き続きボランティアによる落ち葉清掃を行います。 ボランティアの中から、活動を支えるサポーターを育成します。 公園や憩いの森の区民管理の拡充に向け、地域の団体へ働きかけます。また、区民管理している憩いの森が、 地域住民から親しまれる森となるよう、地域住民との交流を促進します。 みどりを守り育てる区民活動や区の取組などを総合的に紹介する 「(仮称)ねりまみどりフェスタ」などを開催し、 練馬のみどりの魅力を伝える情報発信を強化します。 戦略計画17 脱炭素社会の実現に向けた環境施策の展開 ・令和10年度末の目標 住宅等の省エネルギー化や再生可能エネルギー導入の促進、脱炭素型ライフスタイルや3Rの推進により、 区民・事業者と協働して家庭部門のCO2排出削減の取組を加速 ・現状と課題 記録的な集中豪雨による自然災害の頻発、台風の大型化による風水害の激甚化など、気候変動の影響は、 身近な生活領域を脅かすものとなっています。 区民の生命・財産を将来にわたって守るとともに、社会経済活動の持続可能な発展を支えていくため、 脱炭素社会を目指して温室効果ガス削減に取り組むことが必要です。 練馬区では、CO2排出量の5割以上が家庭部門に由来し、全国と比べて高い割合になっているため、 住宅部門を中心とした取組が必要です。「練馬区環境基本計画2023」に掲げた「2030年度までに、区内CO2排出量を2013年度比46%削減」する目標達成に向け、 住宅等の消費エネルギー削減や環境に配慮したライフスタイルを推進する取組の更なる充実が必要です。 また、区立施設等の省エネ化・再エネ導入など、区の率先した取組の強化も求められています。 大量生産・大量消費による社会経済活動は、大量廃棄、CO2の排出などにつながり、環境への影響が懸念されています。 引き続き、区民・事業者と協力して、ごみの発生抑制・適正排出に取り組んでいく必要があります。 海洋プラスチック問題やプラスチックの製造・処分に起因するCO2の排出、諸外国における廃棄物輸入の規制強化などを背景に、 国内でのプラスチックの資源循環を一層促進することが求められています。 令和4年4月に施行されたプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律では、全てのプラスチックがリサイクルの対象となりました。 プラスチックの削減に向けた普及啓発を図るとともに、区がすでに行っている容器包装プラスチックも含めた全てのプラスチックの 回収・資源化に取り組む必要があります。 ・5年間の取組 1 住宅等の消費エネルギー削減【充実】 新築住宅は、建築物省エネ法による省エネ基準への適合義務や東京都環境確保条例による太陽光発電設備の設置義務等により、 環境性能向上が見込まれるため、国や都と連携し、周知啓発を行います。既存住宅に対しては、補助制度を充実するなど、 省エネ化と再エネ導入の促進に重点的に取り組みます。 2 環境に配慮したライフスタイルの推進【新規・充実】 事業者や環境団体等が実施する環境学習プログラムを積極的に活用して、環境について学び・体験する機会の拡充を図ります。 リサイクルセンターは、総合的な環境学習拠点を目指し、展示やイベントなどを通じて、脱炭素の必要性や対策等に係る情報を発信し、 区民・事業者の自主的な行動の支援に取り組みます。 CO2 吸収量の分かる樹木プレートを活用した環境学習、エコライフチェックのデジタル化、ねりま環境まなびフェスタの本格実施など、 子ども向けの環境学習を充実します。 3 区の率先行動【新規・充実】 区立施設等の新築・改築時は、建物の用途や特性等を踏まえて、原則として一次エネルギー消費量の30〜50%以上の削減を目指します。 また、照明のLED化、高効率設備の導入等による省エネ化、太陽光発電設備等の再エネ導入を推進するとともに、 低炭素電力や再エネ電力の導入割合を高めます。第三者所有による太陽光発電設備導入(PPA※1)はモデル事業を検証した後、 本格導入を目指します。公用車は電動車※2 への置き換えを進めます。 4 ごみの減量・資源化の推進【新規・充実】 「練馬区資源・ごみ分別アプリ」等によるプッシュ型広報やAI チャットボットの導入など、 デジタルツールを活用した普及啓発に取り組み、ごみの発生抑制・適正排出を推進します。 資源の有効利用とCO2 排出量の削減のため、使用済みペットボトルを新たなペットボトルにリサイクルする「ボトルto ボトル」の取組を、事業者と連携して進めます。 プラスチックに係る環境負荷やプラスチックの資源循環に向けた先進的な取組事例などを講座やイベント等で周知し、区民と協働してプラスチックの削減に取り組みます。 容器包装プラスチックに加え、製品プラスチックの回収・資源化を実施します。 ※1 PPA…発電事業者が電気利用者の建物や敷地などに無償で太陽光発電設備を設置し、電気利用者は      発電された電気を使い、電気料金を発電事業者に支払う電力契約のこと。 ※2 電動車…電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV) 戦略計画18 意欲ある事業者の支援と商店街の魅力づくり ・令和10年度末の目標 74万人の人口を擁する住宅都市としての特性を活かした、中小企業の事業活動の活性化と商店街の魅力づくり ・現状と課題 区内には、2万を超える事業所が存在し、多様な企業活動を行っています。 産業別の構成では、卸売業・小売業、医療・福祉業、飲食サービス業等の、区民の日常生活に密着・関連した産業が約75%を占めています。 令和4年度に実施した「事業所実態調査」では、様々な業種で、新型コロナウイルス感染症や物価上昇等の影響を受けながらも、 新たな商品開発を始めとした事業拡大等を進めている実態が明らかとなりました。 区内経済の発展には、こうした意欲ある事業者の更なる事業展開を支援する取組が必要です。 また、調査では、多くの区内事業者が、自社の商品・サービスの情報発信、デジタル化の取組、人材確保に課題を抱えていることも明らかとなりました。 こうした個別の経営課題の解決に向けた支援の充実も求められています。 商店会数は、店舗経営者の高齢化や後継者不在により年々減少し、商店会の組織力が低下しています。 一方、商店街の賑わいを創出したい・活性化させたいと考えている意欲的な商店会や個店が存在しています。 意欲ある商店会や個店の取組への支援を通じて、商店街の更なる活性化につなげていく必要があります。 商店街においても、キャッシュレス決済への対応など、デジタル化の推進が求められていますが、 専門的なデジタル知識を持った人材や環境整備に係る資金が不足しています。商店街のデジタル化推進に向け、 令和4年度から展開している「スマート商店街プロジェクト」を練馬区商店街連合会等と連携しながら、更に充実していく必要があります。 ・5年間の取組 1 積極的な事業展開に取り組む事業者への支援【新規】 新商品・新サービスの開発、新市場への参入等の積極的な事業展開に取り組む事業者に対して、 必要な費用の一部を補助するとともに、中小企業診断士等で構成する専門家チームが、事業計画の策定・実行を伴走支援します。 また、区内大学等と連携して、商品・サービス等の魅力を発信する企業活動を支援します。 2 企業活動のデジタル化への支援【継続・新規】 練馬ビジネスサポートセンターでの専門相談、デジタル化等支援融資等を引き続き実施します。 また、企業活動のデジタル化を試行できるよう、会計ソフト等の業務効率化に資するソフトを設定したタブレット等の 無料貸出事業を新たに開始します。 3 人材確保に向けた場を提供【新規】 区内事業者と求職者とのマッチングの場として、気軽に参加できる交流会や合同説明会を実施するとともに、 職場見学ができる機会を設ける等、区内事業者の人材確保を支援します。 4 商店会や個店の意欲に応える3つのサポート【充実】 個性あふれる意欲的な個店同士が取り組むイベント事業等に対する補助制度を充実し、魅力ある商店街を増やしていきます。 個々の商店街活動の枠を超えて、商店会同士や民間企業など多様な主体が連携して商店街のにぎわいの創出に取り組めるよう、 補助制度を充実します。 空き店舗を活用した、お客が集まる魅力的な店舗の誘致活動に対する支援を通じて、商店街の魅力向上や活性化につなげます。 5 スマート商店街プロジェクトの更なる展開【充実】 SNS 等を活用した魅力発信など「商店街を“知ってもらう”・“来てもらう”」 取組に対する既存の補助制度を充実します。SNS 等を活用したクーポンを配信するなど 「商店街に“また来てもらう”」ための取組を支援し、商店街のデジタル化を更に推進します。 戦略計画19 生きた農と共存するまち練馬 ・令和10年度末の目標 練馬の魅力である都市農業を振興し、多面的な機能を持つ都市農地を保全 ・現状と課題 東京という大都市の都心近くに立地しながら、練馬区では生活と融合した生きた農業が営まれています。 これまで、認定農業者や都市型認定農業者制度の適用、農業体験農園や果樹あるファームの経営支援、 マルシェの開催や生産緑地の貸借による営農拡大促進など、農業経営に積極的な農業者へ様々な支援を実施してきました。 こうした取組を今後も継続していく必要があります。 一方、農業者の中には支援が届いていない方も多くいます。持続可能な都市農業の実現には、より幅広い層への経営支援が必要です。 個々の農業者の状況を把握し、それぞれに応じた丁寧な支援が求められています。 生産緑地の貸借は、農地保全や担い手不足の解消に効果的であり、一層の拡充が望まれます。 今後は、新規の就農者や参入事業者向けに支援を検討する必要があります。 また、農業者の中には、農地を貸すことに対する不安感を持つ方も多く、制度の更なる理解促進が必要です。 高松一・二・三丁目地区と南大泉三・四丁目地区の2 地区を「農の風景育成地区」に指定し、 地域のPR 活動や収穫体験などを支援してきました。高松地区では「高松みらいのはたけ」を開設しました。 今後の地区の保全・育成について、地域の皆様とともに検討していく必要があります。 令和元年に開催した世界都市農業サミットや令和5年11 月に開催した全国都市農業フェスティバルの成功により得られた 農業者の意欲の高まりや参加都市との繋がりを維持していくため、参加都市による連携を始め、 農業者の機運向上に繋がる取組を充実させていく必要があります。 ・5年間の取組 1 区民が農に親しむ取組の充実【充実】 農業者と区民が触れ合う「ねりマルシェ」の開催や気軽に摘み取りが楽しめる「果樹あるファーム」のPR 支援等を 引き続き積極的に推進します。また、野菜の収穫体験等を行える「ベジかるファーム」の拡充など、区民が農に親しめる取組を充実していきます。 2 個々の営農状況に応じた支援【新規】 JA東京あおばが計画している全戸訪問や農業委員会の農地調査を活用しながら、営農継続に必要な労働力の有無、家族状況、 抱えている技術的不安などの情報をヒアリングします。個々の状況を把握したうえで、必要に応じて相談支援を行っていきます。 3 農地の借り手となる担い手確保の強化【充実・新規】 農業者個々の意向や状況に応じた働きかけを強化し、生産緑地の貸借制度活用を推進します。 東京都農業改良普及センターと連携し、営農アドバイスやセミナーを開催するなど、多様な担い手の確保に努めます。 また、新規参入を希望する個人・法人等向けに、都事業を活用した農業機械・農地整備に要する経費の支援などを開始します。 4 農の風景育成地区における取組の推進 農の風景育成地区に指定されている高松地区および南大泉地区において、農業者や地域住民等の活動を引き続き支援し、農地保全に取り組みます。 5 農業者と区民の機運の醸成【充実】 世界都市農業サミットおよび全国都市農業フェスティバルの成果をふまえ、農業者の意欲向上や区民の理解促進に繋がるイベントの開催について 検討します。また、全国都市農業フェスティバルの参加都市との意見交換を継続し、連携を深めます。 戦略計画20 みどりの中で優れた文化芸術を楽しめるまち ・令和10年度末の目標 文化芸術活動とまちづくりが一体となって展開されることで、日々の暮らしの中で文化芸術が根付いている ・現状と課題 これまで、都心に行かずとも、みどりの中で誰もが優れた文化芸術を楽しめるまちの実現に取り組んできました。 こうした取組が評価され、「みどりの風 練馬薪能」や「真夏の音楽会」は、練馬を代表するイベントとして定着してきました。 区には、昭和初期から数々の映像作品が生まれてきた歴史があるほか、令和5年4月に石神井公園ふるさと文化館長に就任した 村上もとかさんをはじめ、多くの漫画家が居住するなど、映像に関する資源が数多くあります。 作品、人、場所が揃った練馬ならではの取組が期待されています。 令和5年6月にオープンした「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 -メイキング・オブ・ハリー・ポッター」には、 国内外から年間300 万人もの来場が想定されています。さらに、区立美術館は約7,600 点の収蔵品の活用や大規模企画展が開催できるよう、 美術館再整備基本構想に基づき、令和9年度に美術館および併設する貫井図書館の全面リニューアルを予定しています。 中村橋駅周辺を「美術館のあるまち」として、まちの魅力をさらに高め、誰もが文化芸術を楽しめる拠点となるような取組が必要です。 こういったチャンスを、区の文化芸術の魅力を高める絶好の機会ととらえ、魅力的な事業展開を行い、効果的に発信することで 普段の暮らしの中に文化芸術を楽しめる機会を充実させていく必要があります。 「これからの図書館構想」に基づき、区民の身近にある図書館は、知的探求心を深める情報の充実や多様な学びの機会の提供を図るため、 環境を整備する必要があります。 ・5年間の取組 1 美術館・貫井図書館の全面リニューアル推進【充実】 美術館再整備基本構想で掲げる「まちと一体となった美術館」、「本物のアートに出会える美術館」、 「併設の図書館と融合する美術館」の3つのコンセプトの実現に向け、練馬独自の新しい美術館・図書館を創造します。 美術館・図書館のリニューアルにあわせて、美術のまち構想に基づき、中村橋駅周辺の街並み整備等に取り組みます。 ハード・ソフト両面から「アートを感じられるまち」として、魅力を高めていきます。 美術館リニューアルに向け、「もっともっとアートプロジェクト」を旗印に、新しい発想によるイベントの開催や、 区の文化芸術の魅力を総合的に発信する広報に取り組みます。 2 文化芸術イベントの充実【充実】 「真夏の音楽会」や「みどりの風 練馬薪能」を引き続き実施します。大谷康子さんプロデュースによる、 野外の開放的な雰囲気の中で音楽を親しむ「ねりまの森の音楽祭」をはじめ、名誉区民であり、人間国宝である野村万作さんらの協力により、 能楽公演を新たに開催します。また、区ゆかりの芸術家の方々と連携し、更なる文化芸術の取組につなげます。 3 練馬の歴史を活かした映像文化のまちづくり【充実】 東映やワーナー ブラザースと連携した映画上映会の実施や区ゆかりの漫画家と連携したイベントの開催など、 区の映像文化資源を活かした、誰もが気軽に楽しめるイベントを実施します。 映画、アニメ、漫画のコンテンツの活用や、スタジオツアー東京などとの連携により、子どもの頃から映像文化に触れ、 興味を持つきっかけとなる体験授業の充実を図ります。 4 電子図書館の実現に向けた取組の推進【新規】 区立図書館の利便性を高めるため、利用登録手続きのオンライン申請、利用カードのデジタル化や電子書籍貸出しサービスを導入します。 全児童生徒へ配備しているタブレットパソコンを使って読書活動等を推進するほか、文字拡大や音声読み上げ機能などにより 障害者や高齢者の読書活動を支援します。また、地域資料のデジタルアーカイブ※1化に取り組みます。 5 練馬の魅力を効果的に発信【充実】 令和5年度から実施している「区内周遊ツアー」のメニューを充実するとともに、年間催行本数を増加し、区内の魅力発信につなげます。 区の魅力発信等を行う拠点である観光案内所の在り方についても、産業振興公社と連携して検討します。 ※1 デジタルアーカイブ…有形無形の文化資源などをデジタル情報として保存し、データを公開することで、   多くの人がインターネット上で共有・利用できる仕組みのこと 戦略計画21 みどりの中で誰もがスポーツを楽しめるまち ・令和10年度末の目標 様々なスポーツを楽しめる施設を整備し、みどりの中で誰もがスポーツの楽しさを実感できる機会を充実 ・現状と課題 健康志向の高まりなどを背景に、スポーツに対するニーズが益々大きくなっています。 また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会などを契機として、アーバンスポーツやパラスポーツへの注目が更に高まっています。 スポーツ施設の利便性向上に向け、人工芝化や夜間照明の設置などのリニューアルを行ってきたほか、 車椅子テニスに対応した庭球場の新設、車椅子バスケなどに対応した体育館の床の改修など、 パラスポーツに対応した施設の整備も行ってきました。 平成28年度に初めてユニバーサルスポーツフェスティバルを開催して以来、内容を充実して地域に展開し、車椅子ラグビー体験会など、 多くの人が参加できるイベントを開催しています。 今後も、様々なスポーツに対応した施設の整備やイベントの開催など、身近な場所でスポーツを楽しめる機会、環境の充実に取り組む必要があります。 総合体育館は、昭和47年に練馬区内で最初の区立体育館として開設しました。 老朽化やバリアフリーなど設備環境の改善、競技種目が多様化する中で現状の施設機能ではニーズに対応できていないといった課題があります。 令和4年度にはコロナ禍で中止となっていた練馬こぶしハーフマラソンを4年ぶりに再会しました。回を重ねるごとに定着し、 今では3,000人を超える区民と、日本全国のランナーが2,000人も集う屈指の人気を誇る大会へと成長しました。 引き続き工夫を重ね、魅力あるイベントにしていく必要があります。 令和7年に東京での開催を予定している世界陸上競技選手権大会と聴覚障害を持つアスリートを対象とした国際総合スポーツ競技大会である デフリンピックは、更なるスポーツ振興の機会となります。主催団体と連携して大会の周知を行うなど、機運を醸成する必要があります。 ・5年間の取組 1 誰もがスポーツを楽しめる環境の充実【充実】 石神井松の風文化公園を拡張し、フットサル・テニス兼用コートや、スケートボード等ができる広場を整備します。 令和8年度の開設を目指します。 総合体育館は、改築に向けて、新しい総合体育館に求められるニーズを把握するとともに、 施設の機能・規模や整備・管理運営に関する事業方式について調査します。 2 ユニバーサルスポーツの機会の充実【充実】 障害のある方もない方もスポーツを楽しめるよう、パラリンピック種目として注目されているボッチャの交流大会を充実し、 ユニバーサルスポーツフェスティバルを地域に展開します。 障害のある方がスポーツを楽しめる環境を充実するため、パラスポーツを支える指導員の育成に取り組むとともに、活用を図ります。 3 練馬こぶしハーフマラソンの魅力向上【充実】 練馬こぶしハーフマラソンは、令和5年5月に新たに開園した練馬城址公園を取り込んだコースを設定するなど、 ランナーや沿道で応援する方に更に楽しんでいただけるよう工夫を重ね、魅力ある大会を開催していきます。 4 世界陸上およびデフリンピック開催を見据えた取組【新規】 令和7年に、世界陸上競技選手権大会およびデフリンピックが東京で開催されます。 大会の広報に協力するなど、主催団体と連携して大会の機運を醸成していきます。 戦略計画22 地域コミュニティの活性化と区民協働の推進 ・令和10年度末の目標 区内の至るところで広がっている区民の自発的な活動が、更に活発に行われるよう協働の取組を深化 ・現状と課題 区政最大のパートナーである町会・自治会は、防犯・防災活動や掲示板による情報提供など様々な活動により地域の暮らしを支えています。 一方で、加入率の減少、役員のなり手不足、高齢化による後継者不足等、様々な課題に直面しています。 コロナ禍により縮小傾向にあった町会・自治会活動は徐々に再開しつつあります。 今後も円滑に活動できるよう負担軽減を図るとともに、相談支援体制を更に充実していく必要があります。 これまで、区民等の自由な発想から生まれた協働のアイデアを具体化するため、「協働事業提案制度」や「地域おこしプロジェクト」などの事業を展開してきました。 区内各所では、「街かどケアカフェ」や「みどりを育むムーブメント」など、様々な分野で区民と区が協働した取組が広がっています。 こうした協働の取組をより広範に、深化させるための支援の強化が必要となっています。 外国人区民は令和5年1月1日時点で2万813人となっています。コロナ禍などにより一時減少に転じましたが、 令和4年3月の入国規制緩和後、再び増加傾向にあります。外国語に対応した相談窓口の設置、SNSをはじめとした多言語での情報発信、 日本語教室の主催、日本人との交流イベントなど、外国人の暮らしを支えるための取組を進めてきました。 外国人に選ばれる国になれるかどうかは我が国の未来を左右する重要な課題です。基礎的自治体として受入れ環境を整え、 開かれた地域づくりを進めていく必要があります。 ・5年間の取組 1 町会・自治会の相談体制の強化【新規】 課題解決に向けた助言等を行うコンサルタントの派遣など、各町会・自治会の状況に合わせた きめ細かな支援を行うための相談体制の強化に取り組みます。 2 町会・自治会のデジタル技術活用支援 町会・自治会によるデジタル技術を活用した負担軽減や加入促進の取組を支援するため、 SNS を活用した情報共有や魅力発信に関する講習会の開催や専門知識を持つアドバイザーの派遣等を実施していきます。 3 地域で活動する団体等への支援 町会・自治会、NPO・ボランティア団体等の地域活動団体が安定的に事業継続できるよう、区民協働交流センター等において、 地域で活動したい区民に様々な団体の活動を紹介するなど、団体とのつながりづくりをサポートします。 また、地域活動に関する相談や、資金調達、広報、企画など地域活動に必要なスキルを学べる講座などを開催していきます。 4 地域活動に参加する区民等への支援 地域活動に役立つ知識やスキルを学ぶ「つながるカレッジねりま」のプログラムの充実を図り、より多くの人材を地域で活動する団体につなげていきます。 また、地域で活動する団体を区民が知り、団体同士がつながるきっかけとなる「練馬つながるフェスタ」を、区内6か所の地域で開催していきます。 5 「ねりま協働ラボ」の実施【新規】 区とともに地域課題に取り組む団体・アイデアを募集するとともに、町会・自治会や、NPO・ボランティア団体等がコラボして取り組むプロジェクトを 支援し、地域活動への新たなチャレンジを後押しします。 6 外国人に開かれた地域づくり【新規・充実】 国籍や言語、文化などの違いも受け入れて、だれもが心豊かに暮らせるよう、外国人に開かれた地域づくりに向けた新たな方針を策定します。 日本語講座・日本語教室ボランティア養成講座の定員を拡充し、外国人が地域で安心して生活できるよう、日本語学習の場を充実します。 戦略計画23 DXで区民と区政を直につなぐ ・令和10年度末の目標 DX推進による区民サービスの向上と効率的な区政運営の実現 ・現状と課題 コロナ禍において、オンラインサービスやテレワークが普及する一方、行政のデジタル化の遅れが顕在化しました。 少子高齢化や人口減少が進み、労働力不足も懸念されています。 限られた財源、職員で多様化する区民ニーズに応えるためには、デジタルやデータを活用し、 サービスや業務を抜本的に変革するDXを推進する必要があります。 令和5年3月に、区民の更なる利便性向上と業務の効率化に職員が一丸となって取り組むため、「DX 推進方針」を策定しました。 方針に基づき、“行かない・書かない”デジタル区役所を実現するため、オンラインによる手続きや相談、 キャッシュレス決済の拡大などに取り組んでいます。 デジタル化を進める上では、高齢者や障害者など、誰もがデジタルサービスを利用できるようにすることが重要です。 また、区内事業者や商店街、町会・自治会など、地域社会のデジタル化に向けた支援が求められています。 区においても、アナログな業務から脱却するため、AI やRPA※1、ノーコードツール※2などの活用を全庁に拡げ、業務DX を加速しています。 モバイルワークやペーパーレス会議など、場所に捉われない効率的かつ柔軟な働き方ができる環境を整備する必要があります。 DX を進めるためには、専門人材の確保や、デジタルを活用した業務改革を実践できる職員を育成することが重要です。 ・5年間の取組 1 “行かない・書かない”デジタル区役所の実現【新規・充実】 (1)手続き・相談のオンライン化の推進 窓口に行くことが難しい子育てや介護に携わる方々、働く世代などが、場所や時間を選ばず、 パソコンやスマホから手続き・相談ができるよう、オンライン化を進めます。 来庁された場合でも、デジタルを活用して書かない窓口を実現し、手続きの負担を軽減します。 利用者からの問い合わせに、AI が対話形式で応答するチャットボットの対応分野を拡大します。 (2)施設利用の利便性向上 施設利用に係る運用を見直し、利用登録がオンラインでできるなど、使いやすい新たな予約システムを構築します。 施設使用料のあり方についても検討を進めます。 窓口や券売機等での施設使用料の支払いにキャッシュレス決済を順次導入し、利便性を高めます。 (3)電子図書館の実現に向けた取組の推進 利用登録のオンライン化や利用カードのデジタル化など、新たな図書館情報システムを構築します。 オンラインで閲覧できる電子書籍サービスを 導入し、区民の利用を促進するとともに、文字拡大や音声読み上げなどの機能により、障害者や高齢者の読書活動を支援します。 また、地域資料のデジタルアーカイブ化に取り組みます。 (4)情報発信手段の充実 SNS やアプリを活用し、一人ひとりのニーズに合わせた情報をプッシュ型で発信します。 防災分野では、区民の具体的な行動変容につながるよう、区ホームページ内の防災、防犯・防火コンテンツの改訂や オンデマンド防災学習コンテンツの作成・配信に取り組みます。 (5)高齢者・障害者等のデジタル利活用支援 高齢者等が身近な場所で繰り返しスマホの操作を学べる機会や、一人ひとりのニーズに対応する個別相談会を充実します。 障害者の情報取得や意思疎通を助けるツールの相談・体験や貸出、操作方法のサポートを行います。 障害者施設において、自主生産品の販路拡大や魅力的な商品開発を後押しするため、電子決済の導入やホームページの作成などを支援します。 (6)マイナンバー制度の活用 区民の事務手続きの負担軽減と利便性向上のため、今後もマイナンバーを積極的に活用します。 マイナンバーカードの公的個人認証による本人確認を活用した申請・手続きを拡大します。 健康保険証機能の登録など、引き続き窓口で適切な支援を実施するとともに、国の施策と連動しながら、カードの普及促進、 利便性向上に取り組みます。 (7)データ利活用によるプッシュ型サービスの提供 歩数や睡眠時間などのデータからAI がフレイルリスクを点数化し、健康行動等を促すアドバイスを表示するアプリの配信を行います。 区が保有する医療・健診・介護などのデータを活用して、健康上に不安を抱える方の支援を行う「高齢者みんな健康プロジェクト」に引き続き取り組みます。 (8)オープンデータの充実 オープンデータ※3を機械判読可能な形式に統一するなど、より使いやすく整備するとともに、データセット(情報量)を拡大し、 区民や事業者等の活用促進につなげます。区の保有するデータを視覚的に分かりやすい形で公開するデータダッシュボード※4の取組を進めます。 (9)地域社会のデジタル化支援 企業活動のデジタル化への支援やスマート商店街プロジェクトの更なる展開、町会・自治会のデジタル活用支援に取り組みます。 2 アナログからデジタルへの業務改革【新規・充実】 (1)デジタルツールの活用による業務DX AI やRPA、ノーコードツールを活用するとともに、業務フローを可視化した事務処理手順を基に、業務プロセスを見直し、生産性向上と業務効率化を進めます。 施設整備などの業務においても、図面や設計図のペーパーレス化・データ共有に取り組みます。 生成AI※5やメタバースなど、新たなデジタル技術の活用に向けて検討を進めます。 (2)データ利活用の環境整備 根拠(エビデンス)に基づく政策立案(EBPM※6)を推進するため、必要なデータを収集・加工・分析できる環境整備についての検討を進めます。 (3)標準システムによる利便性向上と業務効率化 住民基本台帳や住民税など20 業務について、国が整備するガバメントクラウドを活用した標準システムへ移行するとともに、 業務プロセスの見直しを行い、区民サービスの向上と業務効率化に取り組みます。練馬区共通基盤(データセンター)からガバメントクラウドへの移行など、 クラウド活用のあり方を検討します。 (4)多様な働き方の実現に向けたデジタル基盤の整備 事務用パソコンの一斉更新に合わせて利用環境を見直し、フリーアドレスやペーパーレス会議、モバイルワークに取り組みます。 場所に捉われない効率的かつ柔軟な働き方を実現します。 モバイルワークやWeb 会議など、働き方の変化に伴い、新たなセキュリティリスクが発生していることから、セキュリティポリシーを改定するなど、 高度なセキュリティ対策を講じていきます。 (5)DX を進める職員の確保・育成 都が令和5年7月に設立した外部団体「GovTech 東京」の人材シェアリングを活用した外部人材の確保や、 今後開始される常勤のICT 職の採用に向けた検討を進め、DX を推進する体制の強化を図ります。 業務知識とデジタルスキルを兼ね揃え、DX を推進する中心的役割を担う職員を育成するため、業務にデジタルを取り入れるスキルや、 データを活用するスキル等の習得に必要な研修を実施していきます。 ※1 RPA…Robotic Process Automation の略。人間が手作業で行っているパソコン操作を、自動化することができる仕組み。 ※2 ノーコードツール…プログラミングの知識やスキルがなくても、アプリやWeb サービスが開発できるツール。 ※3 オープンデータ…区の保有する公共データを、区民等が活用しやすいように、機械判読性が高いデータ形式により公開されたデータのこと。 ※4 ダッシュボード…オープンデータを活用し、グラフなど直感的で分かりやすい形に可視化した資料。 ※5 生成AI…画像、文章、プログラムコードなど様々なコンテンツを生成することができる人工知能。    大量のデータを学習した学習モデルが、人間が作成するような絵や文章を生成することができる。 ※6 EBPM…Evidence Based Policy Making の略。根拠に基づく政策立案。 巻末資料 1 練馬区の人口動向分析 1 練馬区の人口動向 (1) 人口の推移 @区の総人口の推移 総人口は増加傾向にありましたが、令和3年はコロナ禍の影響もあり、減少に転じています。 令和4年は再び人口増加に転じています。 A年齢構成で見てみると・・・・・ 総人口を4 つの年齢区分別の構成比で見てみると、後期高齢者人口比率が上昇している一方、年少人口比率は一貫して低下しています。少子高齢化が確実に進んでいます。 B日本人、外国人別で見てみると・・・・・ 外国人人口は、東日本大震災の影響により一時的に減少しましたが、その後増加傾向が続き、 平成27 年以降は1,000 人を超える増加が続きました。令和2・3年はコロナ禍の影響を受け、減少に転じました。 令和4年は再び増加に転じています。また、日本人人口は令和3年以降減少に転じています。 (2) 人口増加の要因 人口が増減する要因には、「@自然動態(出生・死亡)によるもの」と「A社会動態(転入・転出)によるもの」の2つがあります。 @ 自然動態の状況 出生数は6,000 人前後で推移してきましたが、平成28年頃から減少傾向にあります。 一方、死亡数は年々増加しています。平成29年に初めて自然減に転じ、その後減少幅が拡大しています。 区の合計特殊出生率※は、平成28年に都を下回り、その後下落傾向が続いています。 ※合計特殊出生率…15〜49 歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの A社会動態の状況 平成24年以降転入超過が続いていますが、コロナ禍の影響を受け、令和2年以降、転入者数が減少しています。 2 練馬区の人口の特徴 (1) 周辺自治体との比較 〜年齢構成比で見てみると〜 練馬区と周辺自治体の人口を年齢三区分別の構成比率で比較しています。区部平均と比較すると、 年少人口比率が高い一方で、高齢者人口比率は若干高くなっています。 (2) 周辺自治体との比較 〜「子育て世帯」が多い〜 総世帯に占める「15 歳未満世帯員のいる世帯」の比率でみると、14.8%と比較的高い値となっています。 練馬区は子育て世帯の多い自治体と言えます。 3 直近の人口動向 区の人口は、例年3・4月に進学・就職に伴う転入により人口が大きく増加する傾向にあります。 令和3年はコロナ禍の影響を受け、3・4月のほか6月を除き人口減となりました。令和4・5年は令和3年と比較すると、 回復の傾向が見られます。 コロナ禍の影響により、区の人口増を支えてきた区外からの転入超過数と外国人人口のいずれもが減少しました。 外国人人口が再び増加に転じていますが、令和3年以降、日本人人口の減少が続いているなど人口動向は変化しつつあります。 今後の人口動向を引き続き、注視していく必要があります。 4 練馬区の将来人口推計 今後の区の施策を考えるにあたって、人口の現状分析と合わせて重要となるのが、将来人口の推移です。 区では、令和5年1 月の住民基本台帳人口を基準人口とし、人口推計を行いました。 (1) 近年の傾向を踏まえた人口推計 @総人口の推移 総人口は、約20年後の令和23年に約75万人に達し、その後、減少に転じる見込みです。 A総人口の年齢構成比の推移 人口推計を4つの年齢区分別の構成比で見てみると、年少人口比率、生産年齢人口比率が低下 し、高齢者人口比率、後期高齢者人口比率が上昇していることが分かります。 B総人口の推移(日本人・外国人別) 日本人の人口は、5年後の令和10 年をピークに約72.1 万人に達し、その後、減少に転じます。 外国人の人口は、30年後の令和35 年に約4.6 万人に達し、その後も増加していくことが予測されます。 総人口は、令和10年から減少が見込まれる日本人人口を、外国人人口が補う形で令和23年まで増加を続け、 その後は緩やかに減少していくことが予測されます。ただし、外国人の移動は、国の施策、社会情勢、景気動向、 自然災害等により大きく変動するため推計値が上下にぶれる可能性があります。 (2)大江戸線延伸を考慮した人口推計 @延伸地域における人口増加の試算 大江戸線の延伸は、鉄道空白地域を改善し、区が更に発展するために欠かせない事業です。延伸地域は、 区内の他の地域と比べると建物の利用容積率などが低く、空地等も多い状況です。 こうした地域が、大江戸線の延伸によって、類似する区内の地域と同水準の土地利用が図られることにより、人口の増加が見込まれます。 事業予定者である東京都は、令和5年3月に庁内検討プロジェクトチームを設置し、検討を進めています。 今後の区の施策の検討にあたっては、大江戸線の延伸によって見込まれる中長期的な人口増加の影響を考慮する必要があります。 区において、下記方法により延伸地域における人口増加の試算を行った結果、延伸地域では、約2.1 万人増加する試算結果が出ました。 A大江戸線延伸を考慮した人口推計の試算方法 @の延伸地域における人口増加の試算結果を踏まえ、区において下記のように前提条件を設定し、大江戸線延伸を考慮した人口推計を行いました。 B総人口の推移 大江戸線延伸を考慮した人口推計では、総人口が、約20年後の令和26 年に約77.9万人に達し、その後、減少に転じる見込みです。 C総人口の年齢構成比の推移 大江戸線延伸を考慮した人口推計を、4つの年齢区分別の構成比で見てみると、年少人口比率、生産年齢人口比率が低下し、 高齢者人口比率、後期高齢者人口比率が上昇していることが分かります。 D総人口の推移(日本人・外国人別) 大江戸線延伸を考慮した人口推計では、日本人の人口が、15年後の令和20年頃をピークに約74万人に達し、 その後、減少に転じます。外国人の人口が、30年後の令和35年に約5.2万人に達し、その後も増加していくことが予測されます。 E近年の傾向を踏まえた人口推計と大江戸線延伸を考慮した人口推計の比較 近年の傾向を踏まえた人口推計では、令和23年をピークに約75 万人に達すると予測されます。 一方、大江戸線延伸を考慮した人口推計では、令和26年をピークに約77.9万人に達すると、予測され、その差は約2.9万人となっています。 2 財政状況日本経済の情勢 (1) 経済 新型コロナの急速な感染拡大により、令和2年度の国内総生産(GDP)の対前年度成長率は、マイナス4.1%と落ち込みました。 令和3年度以降、景気は持ち直しの動きが続き、令和5年度は1.3%が見込まれますが、物価上昇が続き、 経済の先行きは不透明感が増しています。 (2) 国の財政状況 国の普通国債残高は累増し、債務残高の対GDP比は先進諸国で最悪の水準が見込まれます。 2 区財政の状況 (1) 歳入の状況 @ 歳入構造 区の歳入の5割以上は、景気動向の影響を受けやすい特別区財政調整交付金と特別区税が占めています。 A 歳入一般財源の推移 区の歳入の5割以上は、景気動向の影響を受けやすい特別区財政調整交付金と特別区税が占めています。 区の歳入一般財源は、令和2年度はコロナ禍の影響で減少したものの、令和3・4年度は増加傾向です。 法人税収が堅調に推移したことなどによる、特別区財政調整交付金の増収が主な要因です(令和4年度は、対前年度81億円増)。 経済の先行きは不透明さを増しています。交付金は景気動向の影響を受けやすく、今後も同様の傾向が続くかは不明です。 B 不合理な税制改正の影響 国は税収偏在を名目に、特別区からの財源の収奪を繰り返しています。練馬区は、特別区長会や東京都と力を合わせ、 率先して、国に制度の廃止を含めた抜本的な見直しを求めています。 不合理な税制改正の影響より、法人住民税の一部国税化に伴う特別区財政調整交付金の減収が見込まれています。 また、ふるさと納税制度の影響により、特別区民税の減収が年々拡大しています。令和5年度は44.5億円の減収が見込まれています。 (2) 歳出の状況 @ 歳出構造 区の裁量で削減が困難な義務的経費が約5割であり、このうち大半を扶助費が占めています。 A 社会保障関係費の増加 保育関係費を中心とする、主な社会保障関係費は、10年間余で倍増しています。 今後も、少子化対策や高齢化の進行などによる増加が見込まれます。 B 老朽化が進む公共施設への対応経費の増加 老朽化した区立施設が一斉に更新時期を迎えており、改修・改築経費の更なる増加が見込まれます。 さらに、建築コストの上昇による経費の増加も見込まれます。 第3次みどりの風吹くまちビジョンとSDGs SDGsとは、平成27年(2015年)9月の国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略であり、 令和12(2030)年を年限とする国際目標です。SDGsは、持続可能な世界を実現するための17 のゴールから構成され、 先進国を含む全ての国々の共通目標となっています。 国は、地方自治体に対し、SDGsを原動力とした地方創生の推進を求めており、区は、第3次みどりの風吹くまちビジョンを中心に あらゆる施策を通して取り組んでいます。